新千歳のグランプリ決定、短編ベルギー「Easter Eggs」・長編「シチリアを征服したクマ王国の物語」

第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭

 今年で8回目を迎えた新千歳空港国際アニメーション映画祭が、2021年11月5日から8日までの4日間開催された。イベントはコロナ禍でもあり、昨年に続き新千歳空港とオンラインの双方を会場にしたハイブリットになった。しかしコンペティションには2243作品もの応募があり、質の高さは例年どおりだ。
 上映プログラムはコンペティションだけで92作品。さらに招待作品や特集企画もあり、従来通りの華やかさ。一方でトークプログラムやマスタークラス、開会式、閉会式などのプログラムは配信プログラムとなったが、20以上も用意され充実した内容になった。
 またオンラインならの企画となったのは、多くの作品を11月9日から19日の11日間見放題としたことだ。地元に行けない、期間中にとても全部観られないといった人たちのニーズを汲み取る。
 映画祭全体では厳しい環境であったが、出来ることを最大限実施する。新しい試みも積極的にやることで満足度の高いイベントとしたことは、高く評価出来るだろう。

 映画祭の最終日には、各部門の受賞者、受賞作品が発表された。エントリーが94ヵ国・地域に及んでいることから、受賞作も国際色豊かになっている。
 長編部門のグランプリは、フランスとイタリアの合作『シチリアを征服したクマ王国の物語』。監督はロレンツォ・マトッティさん、制作スタジオは『レッドタートル ある島の物語』も手がけたプリマ・リネア・プロダクションズだ。カンヌ国際映画祭、アヌシー国際アニメーション映画祭でも上映された本作が新千歳で大きなアワードに輝いた。本作は2022年1月14日からの日本公開も決定している。
 審査委員特別賞には山村浩二さんの『幾多の北』が選ばれた。作品は日本とフランスの合作で、新千歳がワールドプレミアの場となっている。

 短編部門グランプリは、ベルギーの 『Easter Eggs』(ニコラス・ケペンズ)に与えられた。「情けない日常、取り立ててドラマを持たないようなささやかな出来事を、大変洗練された上品な演出とビジュアルによって、映画的な幻想のレベルに押し上げた」と評された。
 また学生部門グランプリは、『Butterfly Jam』 。台湾出身のShih-Yen Huangさんがフランス/台湾作品としてエントリーした。若い女性が自身の父親、家族、ペットの動物について語っている。

 新千歳空港の特徴である多彩な賞で、今回は14もの受賞作品が選ばれている。部門は長編、短編、学生、日本グランプリ、キッズ・観客、各スポンサー企業とこちらもバラエティに富んでいる。たとえ全部観られなくても、受賞作を並べてみるだけでも、現在の世界のアニメーションの豊かさが伝わってくる。そんなラインナップになっている。

第8回 新千歳空港国際アニメーション映画祭
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【コンペティション長編部門】
グランプリ 『シチリアを征服したクマ王国の物語』 ロレンツォ・マトッティ (フランス、イタリア)
審査員特別賞 『幾多の北』 山村浩二 (日本、フランス)

【コンペティション短編部門】
グランプリ 『Easter Eggs』 Nicolas Keppens (ベルギー)
日本グランプリ 『Replacements』 Jonathan Hagard (日本)
新人賞 『The Fourth Wall』 Mahboobeh Kalaee (イラン)

【学生部門】
学生グランプリ 『Butterfly Jam』 Shih-Yen Huang (フランス、台湾)
審査員特別賞 『Love is Just a Death Away』 Bára Anna Stejskalová (チェコ)

*他受賞作は公式サイトで確認ください。

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