マンガやサブカルを得意とする出版社の一迅社が、デジタル配信に向けてアクセルを踏む。2016年11月18日に、同社が刊行するマンガ誌全てをデジタル化し、紙雑誌と同日発売することを発表した。
まず18日の「コミック百合姫」からスタートした。今後は22日の「まんが4コマぱれっと」、27日の「月刊ComicREX」、28日の「月刊コミックゼロサム」、30日の「gateau」に続く。価格は「コミック百合姫」が紙版780円(税抜き)に対してデジタル配信版は700円(税込)と、いずれも配信版が低く抑えられている。
電子書籍の普及に連れて、マンガ誌のデジタル化も急増しているが、短期間に5誌、全誌のデジタル版同日発売の決定は、インパクトもたっぷりだ。一迅社の意気込みも伝わる。
また一迅社の雑誌は、BLや百合といったニッチなジャンが多い。デジタル配信となることで近所の書店で手に入り難くかった層の新たなニーズを開拓することで、読者の拡大にもつながりそうだ。
一迅社は10月に、大手出版社である講談社が全株式を取得し、完全子会社化することを発表したばかりだ。その際に一迅社は、電子書籍の展開と海外展開の強化をその目的として真っ先に挙げた。
全雑誌デジタル化、紙版と同日発売は、そうした一迅社の積極的な取り組みを裏付ける。今後も、同社から思い切ったビジネスが飛び出しそうだ。