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「6月0日 アイヒマンが処刑された日」を観に行ってきました

映画の途中から、かなりウトウトしてしまい、中盤以降は断片的にしか覚えていない。つまらなかったからウトウトしたのか、そうではないのかはなんとも言えないが、少なくとも、冒頭から中盤ぐらいに掛けては、ちょっと思っていた感じの展開ではなかったかなぁ、と感じてしまった。


そもそもだが、僕は、「ホロコーストでユダヤ人を大量虐殺したアイヒマンが、何故イスラエルにいるのか?」さえ知らなかった。映画の中では、「アルゼンチンでは違法に拉致を行ったから、それ以外はすべて法に則ってやりたい」みたいなセリフがあったから、アルゼンチンからイスラエルに連れてこられたことは分かったが、それだけだ。公式HPを読んで、その状況を理解した。なるほど、アイヒマンの逮捕劇や裁判などは、色んな映画で描かれているらしく、「多くの人が知っているはずの知識」として扱われているのだろう。

さて、そのような作品でも描かれていなかった点がある。アイヒマンは最終的に、絞首刑に処された後で火葬され、遺灰は海に撒かれたことが知られているのだが、「イスラエルでいかに火葬したのか」が謎だったのだ。

何故なら、イスラエルでは宗教的な理由から、火葬が禁止されているからだ。火葬が禁止されている国に、火葬場が存在するはずもない。だったらどうやって? この映画は、その真実に迫る物語だ。

物語は、1人の少年から始まる。ダヴィッドという名のその少年は、リビアから一家でイスラエルに移民してきたアラブ人であり、だから、アイヒマンの判決を伝えるラジオ放送を授業を中断してまで聞き入る教師やクラスメートを不思議そうに見ている。ユダヤ教を信じる者にとって、ユダヤ人を虐殺したアイヒマンは憎き敵だが、ダヴィッドにはその感覚はイマイチよく分からない。
学校に馴染めずにいたダヴィッドは、言葉が通じずに職探しが上手く行かない父親に代わって、近くに町工場で働くことになった。炉の煤を払うのに、痩せていて小柄な人物の方が便利だからという理由だ。
そしてダヴィッドは、ちょっとした偶然から、この町工場で「アイヒマンを火葬する焼却炉」を作る事実を知ってしまう……。

その話の後、アイヒマンを収容している刑務所の護衛の話になった辺りから睡魔に襲われるようになり、それ以降は、ラスト10分ぐらいまで意識があったりなかったりという状態を繰り返していた。うーむ、もうちょっとちゃんと観たかったのに残念だ。

どんな物語を期待していたというわけでもないのだが、たぶん、「もうちょっとアイヒマンに焦点が当たること」を望んでいたような気もする。ざっくりとした設定ぐらいは知っていたものの、この物語は割と徹底して「アイヒマンの処刑に色んな形で関わった人たち」を描く物語であり、アイヒマンを描く比重はかなり少ないと言っていいだろう。たぶん、僕の期待の仕方がちょっと間違っていたという感じなんだと思う。

ウトウトしてて断片的にしか覚えていないのだが、「収容所から生き延びて、アイヒマンの裁判では検察官補佐として尋問側に回った人物」の話は興味深かったような記憶がある。彼が、「これほど大きな事件を人間が裁けるのか」みたいな問題提起をしていて、確かにそれはその通りだと感じた。

アイヒマンに関しては、「ミルグラム実験(アイヒマン実験とも呼ぶ)」が知られており、心理学的な側面の方をむしろ知っていたが、アイヒマン自身がどのように裁かれ処刑されたのかというのはあまり知らなかったので、その辺りをもうちょっと知りたいという感じもした。

ちょっと今回は、「ちゃんと映画を観た」と言えるレベルの鑑賞ではなかったので、それはちょっと残念だった。

「6月0日 アイヒマンが処刑された日」を観に行ってきました
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