西木正明
November 21, 2006
『冬のアゼリア』 西木正明
冬のアゼリア 大正十年・裕仁皇太子拉致暗殺計画
大正十一年。裕仁皇太子拉致暗殺「冬のアゼリア」計画。もしも実現していたら、間違いなく歴史は変わっていた。日本はもちろん、その後に起こる大戦もまったく違ったものになっていたはず・・・。
とまた、歴史には禁忌の「IF」を考えたくなってしまう、重いテーマの作品だ。
今や映像の世界を突破口として大きく開かれることになった日本と韓国の関係だが、この作品を読むと、日韓が「本当に」親交(その言葉どおり親しく交わる)するなんてできるのだろうか、と思ってしまう。そのくらい、このテーマは重く厳しい。
作者は日本側、韓国側どちらからもとても平等に距離を置いて描いている。そのせいだろうか、日本側の人物にも、韓国側の人物にも、それぞれに感情移入してしまう。どっちの人物も好きになってしまう。味方したくなってしまう。でもその溝を埋めることができないかなしみや痛みを、作者の目と(たぶん)同じ視点から、つらく感じてしまう、そんな作品だ。
限りなくノンフィクションに近い(らしい)この作品、まるでミステリーのように読んでしまうが、事実は小説よりもずっと怖いという当たり前のことに気づかされる。
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大正十一年。裕仁皇太子拉致暗殺「冬のアゼリア」計画。もしも実現していたら、間違いなく歴史は変わっていた。日本はもちろん、その後に起こる大戦もまったく違ったものになっていたはず・・・。
とまた、歴史には禁忌の「IF」を考えたくなってしまう、重いテーマの作品だ。
今や映像の世界を突破口として大きく開かれることになった日本と韓国の関係だが、この作品を読むと、日韓が「本当に」親交(その言葉どおり親しく交わる)するなんてできるのだろうか、と思ってしまう。そのくらい、このテーマは重く厳しい。
作者は日本側、韓国側どちらからもとても平等に距離を置いて描いている。そのせいだろうか、日本側の人物にも、韓国側の人物にも、それぞれに感情移入してしまう。どっちの人物も好きになってしまう。味方したくなってしまう。でもその溝を埋めることができないかなしみや痛みを、作者の目と(たぶん)同じ視点から、つらく感じてしまう、そんな作品だ。
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