返済猶予は、中小零細事業者にとって、色んな意味において劇薬だといえます。
それまで苦労を重ねた資金繰りから、一気に解放をされるでしょう。
同時に、経営者の感覚をも、大きく狂わせてしまい、まるで、突然に経営改善が実現し健全化したとでも勘違いをしてしまいます。
とても返済できない様な、大きな借入負債の存在は何ら変わらないのに、経営者は、何故か、危機意識を喪失させ気を緩めてしまうのです。
それだけの大きな借入を、完済できる可能性はあるのでしょうか。
年間売り上げの、半分程度の借入金があります。
日々、収益の向上する、30年ほど前の右肩上がりの高度成長期であれば、別段に問題はないと思われる程度の借入だったかもしれません。
しかし、今は、明日の経営がどうなるかさえ判らない経営環境で、僅かな利益を確保するのにも苦労する様な状況です。
利息は何とか支払えても、とても借入元本を返済できる様な利益は確保できていません。
元本の返済猶予をしてもらうことにより、資金繰りを確保できているに過ぎず、借入元本を返済により減少させることなど、とても無理な状況が続いています。
もしも、返済猶予が出来なければ、途端に資金繰りは破綻してしまいますから、返済猶予の継続がいつまで可能なのか、その不安は計り知れません。
この状況を、根本的に打開するために、返済猶予で資金繰りが確保できている今、具体的に取組む必要があるのは判っているでしょう。
しかし、日々の作業に追われて忙しく、そんな余裕はないということですが、本当に、そんな悠長なことでいいのでしょうか・・・。
日本経済は、安定的に景気を維持しているようで、中小企業の破産件数も低水準を維持しています。
しかし、それは政策や制度に守られているからに過ぎないからだと思います。
実態はそんなに甘いものではなく、生きるか死ぬかのギリギリのラインで踏ん張っている中小零細事業者は、決して少なくありません。
健全な経営を纏いながらも、大きな借り入れ負担に喘いでいたり、債務超過に追い込まれている中小零細事業者など、珍しくもないのです。
返済猶予を代表とする、制度的な対策により、事業が維持できて生かされているといっても、現実的には間違っていないでしょう。
リーマンショック以降、中小企業金融円滑化法が終了後も、そして、まだまだ将来的にも、返済猶予は、中小零細事業者にとって不可欠な制度なのです。
返済猶予は、結果的に、時間的な猶予をもらうことになります。
そして、確保した時間的な猶予期間に、何ができるかが大事なのです。
完済を目指して、根本的に経営改善により再生を目指すのが理想でしょう。
従業員等の社会的弱者のために、事業譲渡などを検討するのもいいのかもしれません。
現実を理解し、第二会社方式に取り組むのも方法だと思います。
場合によれば、任意での整理も選択肢になるのかもしれません。
様々な方法がありますが、取組むことが大事なのです。
現状のまま、何も対策を講じずに放置するというのは、大きな問題になります。
返済猶予をしたことで、資金繰りが楽になったからといって、そのまま具体的な対策を実施しなければ、いずれ状況をさらに悪化させることになってしまうでしょう。
その時には、もはや手の施しようのない、厳しい状況に追い込まれている可能性は高いでしょう。
普通に考えれば、現在の収益性では絶対に完済できない借入金を抱えているのですから・・・。
気を引き締めて、何とかするという、前向きな努力が必要ではないでしょうか。
今、明日のために・・・。
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