今回の民法改正は、中小零細事業者には、理解しておく必要がある内容だと思います。

日常の業務に、密接に関係する内容が多く、知っていることで、様々な場面で有効に活用できるのではないでしょうか。

今回は、民法改正についての最終回になりますが、詐害行為等の残りの大きなテーマについて触れてみたいと思います。



今回の民法改正を、新旧対比の資料で見てみますと、詐害行為の項目についてが、突出して新規が多い事に気付かされます。

10倍ぐらいに膨れ上がったといっても、過言ではないぐらいに増えているのではないでしょうか。

120年前に制定された時に、詐害行為については簡単にしか触れられていなかったのかもしれませんが、多くの詐害行為取消請求に関わる過去の判例について、今回の改正で明文化したために項目が膨れ上がったとのことです。

したがって、実は、大きな改正点というのは余りないように思えます。

もっとも大きな改正点を挙げるとすれば、詐害行為取消請求に関わる消滅時効の期間になるのかもしれません。

今までは、『取消の原因を知った時から2年』もしくは『行為の時から20年』と消滅時効の期間が決められていましたが、これが『行為をしたことを債権者が知った時から2年』もしくは『行為の時から10年』となりました。

今までは最長で20年であったものが、短期消滅時効の変更と同じ様に、最長で10年というように変更をされたのです。

詐害行為については随分と多くの改正がなされたように思えますが、さきほど申し上げたように、実際は判例が具体的に明文化されたことにより、内容が増えて理解しやすくなったという事になります。



今まで、売買や賃貸などの契約において、細かい文字で書かれた約款に目を通さないままに、記名押印をされていた方は少なくないと思います。

その結果、後日になって、約款の内容について揉めることも少なくなかったのですが、今回の改正で、定型約款についても、規定が設けられました。

定型約款の定義を、『不特定多数が相手方』,『画一的な取引内容が双方に合理的』,『契約の内容を補充する目的で作成』というものに定められました。

そして、この定型約款で取引をするという合意があれば、個々の取引の度に約款の内容を細かくチェックする負担から解放されるようになりました。



また、法定利率もフレキシブルに引き下げられます。

法定利率とは、利息について意思表示のない債権についての利率のことであり、民法では1年間で5%と定められていました。

このゼロ金利時代に5%ですから驚きますが、これが3%に引き下げられることになったのです。

そして、今までは民法とは別に、商法上の法定利率も6%と定められていましたが、この民法改正に合わせて商法での規定は削除されて、民法の3%に統一されるようになりました。

この時代ですから、3%でも高いよう思えるのですが、この改正により、3年ごとに環境に合わせて見直すことにもなったのです。



さらに、今回の民法改正において忘れてならないのが瑕疵担保責任の見直しでしょう。

日本は、恥と節度を知る文化のはずでしたが、最近は文句を言ったものが得をするという時代になり、クレーマーが幅を利かせる様になってしまいました。

商売においては、このクレーマーを防ぎながらも、責任も全うするために瑕疵担保責任が定められていたのです。

瑕疵担保責任とは、有償の売買について、その目的を達せられない様なキズや不具合などの瑕疵があった場合に、売主などが買主に対して責任を負う事になりますが、この瑕疵について揉めることが少なくありませんでした。

今回の民法改正では、この『瑕疵』という言葉を『契約不適合』という表現に変更し、『目的物の種類または品質に関して契約の内容に適合しないとき』と明確に規定し、それに合わせて法環境を整えたのです。

契約内容の確認や合意については、これまで以上にエビデンスの確保が求められますが、常に具体的な根拠を備えることができれば、不条理な要求に耐える必要はなくなるのかもしれません。



今回の民法改正に絡む、大きな流れは以上になります。

会社再生・経営危機打開の視点から、消滅時効と保証人に焦点を絞って考えてまいりました。

施行は、2020年の1月か4月からと言われており、間際になれば改正に伴う多くの情報が流されることだろうと思います。

中小零細事業者として、メリットになることがあれば、デメリットになることもありますので、最低でも基本は理解して、今後の経営や人生で損をしない様にしてください。





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