経営改善に取り組んだがために、経営破綻状況に至った事例は珍しくありません。
今まで通りに、何もせずに経営を続けていれば、業績は改善しなくても、経営破綻などしなかったでしょう。
真面目に事業のことを考え、前向きに取り組むことで、今まで隠れていた負の要素が副作用として現れ、経営が立ち行かなくなってしまったのです。
そんな事例に事欠きませんが、経営改善の失敗事例には、明確な共通点が存在しているように思います。
この、先の見えない、厳しくて苦しい経営状況から脱出しようとして、残り僅かな資金も投入して経営改善に取り組みました。
従業員には心配をかけないように配慮し、金融機関に紹介された外部の専門家に全てを託して、再生を夢見たのです。
その結果が、夢見た再生ではなく破綻であれば、何のための経営改善か判りません。
しかし、この様な取り組みであれば、経営改善は失敗をして当たり前だといえます。
経営改善に取り組むポイントを、完全にはき違えた対応となっているのです。
そのお客様は、私どものご相談者の中では大きな規模で、100億円を超える売上を誇っておられました。
食の業界において、様々に展開をされていましたが、積極展開が裏目に出て、有利子負債が膨らみ、資金繰りを圧迫するよう状況に陥っています。
このまま、何もせずに経営を続ければ、およそ1年後には資金破綻をおこす可能性があるので、早い段階で私どもにご相談に来られました。
本業は、ここ2期ほど赤字が続いており、メインバンクであるR銀行からは厳しい評価をされているようですが、借入返済の条件変更(リスケジュール)ができれば、当座の資金繰りは何ら問題がないと判断されます。
早速、リスケジュールを前提に、金融機関と交渉を始めたのですが、何と、R銀行は正式な経営改善への取組みを要求してきました。
専門家に依頼し、正確なデューデリジェンス(資産精査)を前提として、具体的な経営改善計画を策定して取り組めというのです。
このパターンは、我々の経験からいえば、債権回収を具体化するための事前手続きでしかなく、その先には骨と皮だけになった企業が残されると予想されます。
当然に、この取り組みに大反対をしましたが、R銀行は固くなで主張を曲げようとはしません。
お客様は、メインバンクであるR銀行に逆らうことができず、デューデリジェンスと経営改善計画の策定に取り組むことを選択され、私は顧問から外れました。
それから数か月後、新聞の経済面に、その会社が破産を申請したという倒産情報の記事が掲載をされていました。
何もせずにいても、1年は資金繰りを確保できた会社が、僅か数か月で破産を選択したのですから、その間に、経営改善の名を借り、R銀行は確実に債権回収をされたことでしょう。
そのお客様は、大きな有利子負債を抱えておられました。
資金繰りは、それほど厳しくなかったのですが、事業承継を考えると、今のうちに負債を減少させておこうと考え、債権放棄ができる可能性があるとの弁護士の勧めで、中小企業再生支援協議会に相談をされました。
2次対応まで進み、具体的な経営改善の作業に入りましたが、債権放棄など、どこにも出てきません。
債権放棄について問い合わせても、全く相手にもされない状況で、経営改善計画の実施を強要されるだけです。
新たな融資も受けられなくなり、従業員のモチベーションも低下し、経営改善どころか業績は悪化する一方です。
その結果、後継者になるはずの息子も退社し、事業を整理するしかなくなってしまいました。
負債の減少を考えて経営改善に取り組まなければ、何の問題もなかったのにです。
倒産するかもという不安はありましたが、可能性があれば何とか健全に立て直したいと思い、専門組織に依頼して経営改善に取り組みました。
着手金として100万円を支払い、公認会計士と中小企業診断士が担当者になり、それぞれ20万円で合計で40万円を毎月支払います。
さらに、補助金がでるとはいうものの、デューデリジェンスで150万円,経営改善計画の策定で200万円を実費で支払いました。
これだけ払えるのなら、資金繰りに問題はないように思えますが、個人資産もつぎ込んで用立てした、なけなしの資金です。
それなのに、彼ら専門家がしてくれたことは・・・
1. 見栄えは良いが全く役に立たない経営改善計画書などの資料を作成したこと。
2. 実現不可能な結果を強要し、膨大に無駄な時間を消費させたこと。
3. 給与の減額,賞与カット,解雇などの雇用リストラを繰り返し、モチベーションを極端に低下させたこと。
4. 必要な不動産を強引に売却させ、仲介手数料を儲けたこと。
要は、専門家が儲けるための、根拠のない経営改善を押し付けられただけのことだったのです。
倒産するまでには至りませんでしたが、事業規模は大幅に減少し、資金繰りも厳しくなりました。
経営改善に取り組んだために、倒産をするなど想像できないでしょうが、ご紹介した事例は全て実例です。
天国を夢見て取り組んだのに、地獄に突き落とされないためには、理解しておかなければならないポイントがあります。
1. 経営改善は、システムを理解し、目的を明確にして取り組む。
2. 他人任せにせず、経営者が先頭に立って、自ら計画を策定する。
3. 情報を共有し、全社挙げて取り組む。
4. 従業員のモチベーション維持を優先し、雇用リストラは最劣後。
5. 金融機関の要求を理解し、実現可能な計画を策定する。
6. 常に状況を確認し、随時見直しをする。
経営改善は、これらのポイントを理解して取り組まないと、無駄に手間暇をかけただけの絵にかいた餅のようになってしまいます。
専門家に依頼して経営改善に取り組み、最悪の結果になってしまった事例には事欠きません。
十分に、一冊の興味深い本が書けるほどの事例があります。
しかし、依頼した専門家にそうなった責任があるのではなく、当然に、依頼した経営者に責任があるということを忘れないでください。
そうならないために、自らが取り組むしかないのです。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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