その判断は、余りにもおかしいでしょう・・・。

ご相談者の『資金繰りが厳しいので・・・』という言葉だけで、破産を選択する方向で話を進め、その結論に導くのは納得できません。

その弁護士は、相談者が持ってきた決算書などの資料さえも満足に目を通すことなく、知識のない相談者に対して破産しか方法はないと断言し、破産の手続きに着手しようとしています。

いったい、何を根拠に破産という選択をしたのか、相談者も理解されていないまま、事業を諦めようとされているのです。



友人から、ご親戚の案件をご紹介されたので、お話をしてきました。

そのご親戚は、ある中核都市で、県下唯一という特殊な技術を持った仕事を、先代から続けておられますが、ここ最近は収益性が低下し、受注も安定性が無くて、資金繰りの厳しい状況が続いています。

数年前からリスケジュールに取組み、何とか資金繰りを確保してきたのですが、今年に入り受注が更に低下し、仕入先などの支払も不足するような状況に陥ったそうです。

困ったご親戚は、顧問会計事務所の担当者に、資金繰りが厳しいことを相談すると、弁護士と相談するように勧めて紹介をしてくれました。

弁護士と面談をすると、事前に会計事務所から弁護士に状況説明をあったようで、おおまかな話をしただけで、何の躊躇もなく破産を勧められました。

財務資料の精査や具体的な確認もなく,さらには相談者に対する説明も満足になく、破産しか選択肢が残っていないとの前提での決定だったそうです。

当時は、ご親戚も、資金繰りの悪化で健全な思考が確保できていない状況でしたから、弁護士のいうことを信頼し、破産がどういうものか具体的に把握しないまま、また破産以外の選択肢なども理解せぬままに、破産の決定に従ったということです。



たしかに、この様な状況において破産を選択するのは、20年前であれば、当たり前の選択だったのかもしれません。

債権債務処理が多様化した現在においても、弁護士に相談に行った段階で、90%以上の確率で、破産という選択になるのが普通でしょう。

いや、会計事務所の担当者は、既に資金繰りが確保できなくて対策が見いだせないため、破産するしかないという判断をしたうえで、弁護士にその方向でお願いをしたのかもしれません。

ご親戚自身も、厳しい資金繰りに精神は病み、資金繰り確保の方策も見いだせず、前向きな考え方なども持てないという状況でした。

この苦境から、逃げることができたら、それでいい・・・という様な、精神状態だったといえます。

相談した弁護士や会計事務所が破産を勧めたのですから、その選択に従うのはいたしかたないといえるのかもしれません。



しかし、ご親戚の話をお聞きして、私は破産という選択に驚きました。

この現在においては、まだまだ破産を選択すべき状況ではないからです。

ご親戚は、その県では唯一という技術を持ち、民間の大手企業からの評価が高く、今後が期待できる環境だといえます。

今までは、勝手に仕事が舞い込んでいたので、まともな営業などはしていませんでしたから、通常の積極営業を展開すれば、かなりの受注が見込めるとも思われます。

この資金繰りを乗り越えれば、展開は好転する可能性を十分に秘めているといえるでしょう。

しかも、リスケジュールには取り組んでいましたが、本当に厳しい環境を生き延びという有事での資金繰りなど、ほとんど手つかずの状況だったといえます。

この状況からでも、再生への取り組みは十分に可能だと思われるのです。

資金繰り計画を策定し、有事での資金繰り対策を実施すれば、資金繰りが確保できた可能性は十分にあります。

もしも、金融機関借入が金融事故になっても、信用保証協会に代位弁済されることで資金繰りは楽になり、当座は担保不動産を維持することが不可能ではなくなり、再生にチャレンジすることができたでしょう。

最悪、民事再生でも選択すれば、債務を大きく圧縮したうえで、再生の可能性はあったと思います。

まだまだ、他の選択肢も残っているのに、破産です。

しかも、破産するしかないという精査もないままに、弁護士が破産を選択させたことによって・・・。



ご親戚にも、今回の選択と破産以外の取組みについてご説明をしましたが、もはや手の施しようはないのかもしれません。

弁護士は、債権者などに受任通知を発送し、新たな仕事の受注も完全に止めさせていますから、手遅れだといえます。

ご親戚は、まだまだ事業継続や再生の可能性があったのに、専門家に相談したことにより、破産に追いやられたということなったのです。

そのご親戚も、今まで心血を注いできた事業を諦めたいはずはなく、方法があれば頑張って維持したいという考えでした。

しかし、信頼して相談した専門家の弁護士が、破産しかないとアドバイスをしたのですから、それに従うしかありません。

弁護士にとっては、沢山ある債権債務処理案件の1つに過ぎないのかもしれませんが、ご相談者にとっては唯一なのです。

それなのに、現状を具体的に精査せぬまま、破産を勧めるというのは、余りにも傲慢で無責任だといえるのではないでしょうか。



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