中小事業者の経営環境は激変をしています。
それに合わせて、中小事業者に関する制度も大きく変わろうとしています。
特に、経営が厳しくなった事業者に対しての政府の施策は、過去の施策を否定するほどに取組むべき方向性を転換させたといえるでしょう。
そのキーワードは、『延命の否定』と『新陳代謝の促進』となるのでしょうか・・・。
日本の中小事業者施策は、現経営形態のままでの『延命』が基本でした。
『資金繰りを破綻させない』こと、『倒産をさせない』ことに主眼を置いて、政府は施策を展開してきたといえます。
その顕著な施策が、リーマンショック時の『中小企業金融円滑化法』だといえるのではないでしょうか。
それまでも、リスケジュール(借入金の返済条件の変更)は、中小事業者の資金繰り対策として活用はされていました。
しかし、リスケジュールの実施については債権者金融機関がイニシチアブを握り、厳しい対応を取ることが基本だったために、取り組みは困難だったといえます。
そのリスケジュールを、時限立法とはいえ合法化させて、資金繰り対策としてお墨付きを与えて推奨したのが『中小企業金融円滑化法』なのです。
当時は、モラルハザードなどの問題もあげられましたが、リーマンショックという未曽有の不況だからこと容認された施策だったともいえます。
現実的に、この施策の効果は絶大で、多くの中小事業者が倒産を回避することができました。
しかし、問題はその後です。
リーマンショックが落ち着いてからも、リスケジュールは当たり前の資金繰り手段として容認され、その後も継続され続けました。
そして、一度、リスケジュールに手を染めた事業者が、返済を正常化させて再生することは困難で、多くの事業者がゾンビ企業として生き延びるしかなくなったといえます。
そのゾンビ企業が、今、経済や景気を停滞させてしまっていると社会問題化しているのです。
政府も、この現実の問題点について十分に認識をしていると思われます。
コロナ禍当初、ゼロゼロ融資等の施策により、資金繰りを確保させるための施策を全力で展開しました。
しかし、途中から方針を転換し、財務面への配慮を優先した施策に変更したのです。
施策転換に合わせて、様々な政策やガイドラインを打ち出しましたが、その内容を精査してみると、明らかな方向性が見えてきます。
『延命』のための施策を拒否し、『新陳代謝』を図って事業を維持するという驚くべき内容なのです。
今までの様に、資金繰り確保に主眼をおいて延命を図る施策ではなく、いつまでも自力再生できない事業者は市場からの退場を前提に、有望な事業だけを譲渡によって維持を図るという内容になります。
現在の経営形態・・・会社・・・の維持ではなく、事業だけの維持を図るということ・・・。
今までの施策とは180度方針転換したものとなり、事業者には厳しい施策だといえますが、経済や景気の維持を考慮すれば、効果的な方針といえるのかもしれません。
政府は、コロナウイルス感染により大きく経営環境が変化したことで、中小事業者施策の問題点に気付き、根本的に対応を改めたのだと思います。
経済環境を悪化させる延命施策ではなく、事業再生の概念さえも変更して、勇気と目的を持って新陳代謝を図ることが、経済維持のためには正しい方向だと判断をしたのでしょう。
そして、この転換が、今後の中小事業者施策の基本となることは間違いありませんから、事業者も十分に理解する必要があるでしょう。
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