昔、会社分割を活用すれば、債務(借入金)の圧縮は可能でした。

会社分割により債務を圧縮したうえで、保証債務の負担などなく、後継者に事業承継をさせることができたのです。

ところが、新たな縛りが用意されて、この手法の活用が難しくなり、平成26年ころから、この手法の活用が見られなりました。

そして、時を同じくして、大きな社会問題となってきたのが、中小企業の事業承継だったのです。。

多くの中小企業は、多かれ少なかれ金融機関から借入れ《有利子負債》を債務として抱えています。

高度成長期など、収益性の高い時代ならば、少々の有利子負債など考慮する必要などなかったのかもしれません。

しかし、この時代は、著しく収益性を低下させ、有利子負債の元本返済どころか利息の支払いさえ厳しい中小企業が少なくありません。

リスケなどにより、資金繰りを確保している中小企業は多く、そんな企業は、計算上で『完済』などできない状況だといえます。

そんな会社を承継すれば、当然に保証人としての地位を承継させられ、いずれは経営者個人として責任追及をされる可能性が高いのですから、事業承継が難しくて当たり前だといえるでしょう。

中小企業の事業承継をスムーズにするには、債務の圧縮を可能とする、以前の会社分割のような制度が必要だと思います。

しかし、現在の会社分割の制度を活用しても、債務の圧縮が難しくなったと認識されていますが、実は、何点かに留意すれば、債務の圧縮は可能なのです。
 
『債権者への説明』,『経済的合理性のある代価』,『清算価値』などに留意して会社分割に取り組めば、 健全な財務内容に事業再生ができて、理不尽な負担のない事業承継が可能になります。



中小企業庁の資料によると、ほとんどの中小企業経営者が、事業を承継したいと考えているそうです。

ところが、事業の承継を希望する企業において、債務超過企業は14.5%を占めているそうです。

中には、債務超過が理由で、『このままでは事業をやめられない』と考えている経営者も少なくはないでしょう。

自分の代で廃業を検討されている経営者においても、その理由として、債務超過など財務内容状況が大きな割合を占めているのが現状のようです。

そして、中小企業の場合は、経営者が保証債務を背負っていることが大半です。

このまま会社の債務を完済しなければ、経営者の個人保証に追及が来ます。

業績が悪化したまま、後継者に事業承継をすれば保証債務も承継することになり、前門の虎,後門の狼状況だといえるのかもしれません。


事業の承継は、高齢の経営者にとって、必ず解決しなければならないが、手間のかかる難しい問題だといえます。

しかし、事業承継について誰かに相談をしているかについては、それほど高くはないそうで、55歳以上の経営者を対象にした場合でも、53.6%の経営者が誰とも相談をしていないとしています。

誰とも相談していない理由としては、30%を超える経営者が、『深く検討をしていない』としており、『相談に足る人がいない』,『まだ探していない』が夫々10%強となっているそうです。

また、後継者が決まっている企業においても、事業承継の準備が不十分という企業が80%を超えているとのこと。

中小企業にとって、極めて重要な問題でありながら、経営者としては簡単に着手もできず、答えを落とすことの難しいのが事業承継だといえるのでしょう。

特に、債務超過企業や、資金繰りの厳しい企業においては、その傾向は顕著になって当然だと思います。

社会問題となっている中小企業の事業承継を解決しようとすれば、債権の圧縮は避けては通れないテーマとなるのです。



事業承継問題の解決手段として、M&Aが注目を浴びています。

M&Aは、事業承継の手続きとしては有効ですが、手続きとしては大きな欠落があるように思います。

多くのM&Aの場合、会社を右から左へ動かすだけであり、債務の圧縮などによる財務の健全化に取り組もうとしないからです。

その結果として、債務超過やそれに近い厳しい経営状況の中小企業は、M&Aが出来ないということになり、事業承継は失敗に終わることが多いのです。

やはり、中小企業の事業承継には、健全な債務の圧縮が必要なのだと思います。

そして、その最も有効な手段が、会社分割の活用だといえるでしょう。



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