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【15%pt還元】 出会って4光年で合体












1 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/14(土) 02:20:43 ID:U6gn8BnM

カレン「……気持ちはとても嬉しいデス」
カレン「でも、今は応援したい人が何人かいるんデス」
カレン「返事はもう少し、待ってもらえマセンか?」

カレン「……ごめんナサイ」
カレン「どうしても、その人たちが気になって、また返事が出来ないんデス」
カレン「『どうしてそこまで』デスか……どうしてなんでショウね?」

カレン「――きっと」
カレン「私にとって、大事な友達とか色んな人が関わってるからデス」
カレン「もう少しだけ、待って頂けマセンか?」 


カレン「……」
カレン(ヨーコ、久世橋先生、それにその相手の人タチ……)
カレン(そうデス。私はまだ、自分のコトは……)

カレン「……ウーン」
カレン(でもやっぱり、迷いマスね……)
カレン(告白されたこと自体は、きっとヨーコや久世橋先生がそうだったようニ)
カレン(とても嬉しいことデス。……デモ)

カレン「……まだ」
カレン(久世橋先生もヨーコも、応援し終わってマセン)
カレン(あの二人が安心して相手と付き合えるようになるまで、私ハ――)

カレン「……アレ?」
カレン(でも、それッテ)
カレン(一体、いつまでなんでショウか……?)
カレン(あの4人が結ばれるマデ? それじゃ私も、もう成人になっちゃってるじゃないデスか)
カレン(……じゃあ、私ハ)

カレン「――付き合うのが怖い、んでショウか?」 




3 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/14(土) 02:28:52 ID:Nhw3A6cU

もう始まってる! 




4 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/14(土) 02:29:46 ID:U6gn8BnM

カレン「……」
陽子「カレン? どうかしたのか?」
カレン「あっ、ヨーコ……」
カレン「イ、イエ。何でもないデス」
陽子「そっか。……あっ」
陽子「悪い。今日もアイツと一緒に帰るからさ」
陽子「またなっ」
カレン「……ハイ」

久世橋「……あっ、九条さん」
カレン「久世橋先生……」
久世橋「どうかしましたか?」
カレン「……イエ。なんでもないデス」
カレン「ところで、その……それからはどうデス?」
久世橋「……ま、まあ、何とか上手くやってる、と思いたいですね」
カレン「そうデスか。それは良かったデス」
久世橋「……何だか元気がないのでは?」
カレン「そ、そんなことないデス!」
カレン「それじゃ、サヨナラ!」
久世橋「く、九条さん……?」

カレン「……」
カレン(おかしいデス)
カレン(ヨーコや久世橋先生の応援は、とてもやり甲斐があるし楽しいノニ……)
カレン(どうして……)

カレン「――自分のことになると、こうなんでショウか?」 




12 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/15(日) 01:29:39 ID:XEteInmA

カレン(私がそう言われたのは9月デシタ)
カレン(夏休み中に、久世橋先生たちもヨーコたちも……もう、一線を越えてマシタ)
カレン(私はその知らせを聞いて、凄く嬉しかったのを覚えていマス)

カレン「……」
アリス「カレン? どうかしたの?」
綾「何だか上の空ね……」
忍「心配です……」
カレン「あっ、ごめんナサイ」
カレン「ちょっと考え事をしてたデス」
アリス「考え事?」
カレン「ハイ」
忍「何かあるのなら、相談に乗りますよ?」
綾「わ、私もよ」
カレン「ありがとうございマス。その時はお願いしマス」
カレン(……とはイエ)
カレン(きっと、このことはシノたちに相談しテモ……という話でショウ)
カレン(頼れるのは、ヤッパリ――) 




13 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/15(日) 01:37:11 ID:XEteInmA

陽子「……そ、それじゃ、またな」
陽子「そろそろ、お前の親御さんも帰ってくるだろうし。今日は帰るわ」
陽子「……か、数こなすと、あんまり痛くなくなるもんなんだな」
陽子「最初は凄く痛かったのに。……『私のガンバリのおかげ』?」
陽子「お、お前は、そういうことを言わないでくれってば……」

陽子「んじゃ、また明日」
陽子「もうすぐ、文化祭だな。……一緒に回るか?」
陽子「『友達はいいのか?』って……そ、そっちこそ」
陽子「……まぁ、一緒にいるのが楽しいからさ。考えといてよ」
陽子「それじゃなっ」 




14 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/15(日) 01:37:27 ID:XEteInmA

陽子「……ふぅ」
陽子(少しズキズキするけど、まぁシャワーも借りられたし)
陽子(最近は気持ちよくなってきた、ような……わっ、か、顔赤くなっちゃうって)

陽子「……あれ?」
陽子(電話……カレン?)
陽子「もしもし?」
カレン「あっ、ヨーコデス?」
陽子「そうだけど、どうかした?」
カレン「……今から空いてマス?」
陽子「……え、えっと」
陽子「実は、その……さ、さっき、ちょっと疲れることしちゃってて」
陽子「それでもいいなら、会えるよ。どこで会おっか?」
カレン「……」
陽子「……カレン?」
カレン「あっ、ご、ごめんナサイ」
カレン「少し、照れちゃってマシタ……」
陽子「……わ、私も、改めて言ってると照れるな。こういうの」 




18 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/15(日) 23:59:31 ID:XEteInmA

カレン「来てくれてありがとデス」
陽子「いや、友達のためならいくらでも大丈夫だし」
カレン「……でも、お疲れなんデショウ?」
陽子「ま、まぁ。で、でも、最近は慣れてきたし……」
陽子「い、いや。こういう話は照れちゃうからやめよう。うん」
カレン「そうデスね……」

陽子「それで、どうかしたのか?」
カレン「……アリスたちもみんな気を遣ってくれたんデスが」
カレン「やっぱり、こういうのはヨーコじゃないと頼れないのかもッテ」
陽子「……」
陽子「もしかして……そういうことか?」
カレン「ハイ。そういうことデス」
陽子「そっかー……」

陽子「カレンも、告白されたのか?」
カレン「……ハイ」
陽子「いやー、カレン可愛いもんなぁ」
陽子「それに、男子とも女子とも仲良しだし」
カレン「それはヨーコだって同じでショウ?」
陽子「そ、それは……まぁ、そうなのかもしれないけど」 




19 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/18(水) 23:14:46 ID:JMx8Lj0.

カレン「……私、よく分からないんデス」
カレン「ヨーコと彼、後……前にも言ったようにもう一組のカップルも応援してマス」
カレン「それで、凄く楽しかったし、役に立ててるみたいなのが嬉しかったデス」
陽子「……カレン」

カレン「デモ」
カレン「いざ、自分がそうなるなんて思って無くて……それで、今すごくデスね」
カレン「悩んでマス。嬉しいケド……って感じデス」
カレン「私は彼のことがキライではないデス。……デモ」
陽子「……付き合えるかどうかって言われると、って感じか?」
カレン「……やっぱり分かりマス?」
陽子「そりゃ、分かるよ。だって、私だってそうだったんだし」
陽子「でさ。最初は『お試し』だったんだよ、ホントに」
陽子「そりゃ嫌いじゃないけど、そういう風に見れてたかって言われたら……多分、あの時は違かったと思うんだ」
カレン「……ヨーコ」

陽子「だからさ」
陽子「いや、私みたいに『お試し』って言って納得してくれそうならいいけど……」
陽子「それでダメっぽいなら……ああ、でも」
陽子「断ったらさ、きっと……カレン、凄く空気読めるタイプだろ?」
カレン「そ、そうデスか?」
陽子「うん。私はよく知ってるつもり」
陽子「で。そうなると、もう……相手のこととか考え過ぎちゃって、返事を変えたり出来ないかも」
カレン「……!」 




20 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/18(水) 23:15:03 ID:JMx8Lj0.

陽子「……だ、だから」
陽子「無責任かもしれないけど、私は付き合ってみたら? って思うかな」
陽子「……私さ。カレンたちといる時も、もちろん凄く楽しいけど」
陽子「そういう相手が出来るとさ。それは別な感じで楽しくなるし」
カレン「……」
陽子「……って。アドバイスになったかな?」

カレン「……ありがとございマス」
カレン「今、決められマシタ。ヨーコのおかげデス」
陽子「……私、カレンのためなら何の役にでも立つからさ」
陽子「色々、世話になったし。お礼になったらいいんだけど……」
カレン「イエ。十分すぎマス」
カレン「……」

カレン「――私も」
カレン「ヨーコたちみたいな関係を……試してみたいと思いマス」
陽子「……ん。わかった」 





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21 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/18(水) 23:21:45 ID:JMx8Lj0.

カレン「――というわけデ」
カレン「失礼かもしれないデスけど……『お試し』というのはダメデスか?」
カレン「今のままじゃ私は、あなたの気持ちに応えられないかもしれないデス……」

カレン「……ハイ?」
カレン「『それでもいいのか』? ……む、むしろ、私がいいんデスか?」
カレン「『いいに決まってる』って……わ、分かりマシタ」

カレン「そ、それでは、そうしマショウ!」
カレン「お願いしマス!」
カレン「……ハイ? 『そんなにかしこまらなくていい』?」
カレン「わ、分かりマシタ。……え?」
カレン「『自分の友達とか応援してるのを見て、好きになった』……?」
カレン「あ、あの二人も、あなたの友達だったデス?」
カレン「そういえば、一緒にいる所を見たことがある様ナ……」

カレン「……わ、私」
カレン「誰かを応援したりするのは得意かもしれないデスし、好きデス」
カレン「で、デモ……まさか、自分がそうなるナンテ」
カレン「……」
カレン「あ、ありがとございマス」
カレン「そんな私を見て好きになってくれたのなら……ちょっと安心しマシタ」
カレン「……改めて、お願いしマス」 




22 :チーズケーキ鍋:2015/11/18(水) 23:37:32 ID:???

これは勝ち組グループですね… 




23 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/19(木) 00:14:32 ID:Se/cNltw

カレン「……お、お待たせしマシタ」
カレン「え、えっと……どこか行きたい所とかありマス?」
カレン「え? 『私に合わせる』? ……そ、そうデスね」
カレン「それじゃ、美味しいラーメン屋が……あっ、デモ!」
カレン「タ、タイショーにからかわれるのはチョット……」
カレン「あ、あなたの行きたい場所でいいデス。……ハイ?」
カレン「『タイショーって誰?』って……そ、それハ」 




24 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/19(木) 00:18:01 ID:Se/cNltw

カレン「……美味しいデス」
カレン「『オススメのラーメン屋』デスか……タイショーのと負けず劣らずって感じデスね」
カレン「……『タイショーが気になる』? え、エット」
カレン「顔見知りみたいなラーメン屋の店主さんなノデ……会うのがチョット」
カレン「……アレ?」

カレン「……今、お話ししてマシタけど」
カレン「あなたも、こちらの常連さんなんデスか?」
カレン「……『だから連れて来たかった』?」
カレン「……」
カレン「な、何でもないデス」
カレン「ちょ、ちょっと、ビックリしちゃいマシタ……」 




25 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2015/11/19(木) 00:23:00 ID:Se/cNltw

カレン「……そ、それデハ」
カレン「今日は、ここでお別れデスね……」
カレン「ラ、ラーメン、美味しかったデス。ありがとございマシタ」

カレン「……」
カレン「あなた、度胸ありマスね」
カレン「あそこのタイショーにからかわれてたのに、余裕そうデシタし」
カレン「……え? 『むしろ自慢してた』?」
カレン「……え、エット」
カレン「そ、それデハ!」
カレン「ま、また明日デス!」

カレン「……」
カレン(私、いつものタイショーに紹介する度胸なんて無かったノニ)
カレン(あの人、当たり前みたいにやって……それに、そう出来なかった私に何も言わなかったデス)
カレン「……ああ」
カレン(ヨーコも……こんな気持ちから始まったんデショウか?) 




26 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/01(月) 20:47:46 ID:b9rThKTY

カレン「久世橋先生? 最近、どうデス?」
久世橋「く、九条さん……えっと、その」
久世橋「ま、まあ、仲良くやってますよ。おかげさまで」
カレン「……そうデスか」
久世橋「……何かお悩みですか?」
カレン「イエ! トラの久世橋先生に話してもしょうがないことデス!」
久世橋「ははぁ……もしかして、ですが」
カレン「そ、それじゃ失礼しまシタ!」

久世橋「……ということがありましたが」
久世橋「九条さんも大変なんですね……」
久世橋「え? 『もしかしなくてもあなたの友達』? ……そ、それは尚更フクザツですね」
久世橋「……でも、九条さんにはお世話になりましたものね。助けを求められたら是非とも乗ってあげたいです」
久世橋「はい? 『その前に烏丸先生に相談しに行くかも』? そ、それもそうですね。あなたがそうでしたし」 




27 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/01(月) 21:35:01 ID:b9rThKTY

カレン「……そ、それじゃ行きマショウか」
カレン(放課後、私は彼とどこかに行くことにしマシタ)
カレン(彼は『放課後に決めよう』と行って、私もそれでいいと返して……)
カレン(……一緒にいて感じる、この感覚)
カレン(普段、シノやアリスたちといても、たしかに感じないデスね……何だか落ち着かないデス)


カレン「ハイ? 『調子、悪い』? そ、そんなことないデスよ?」
カレン「私はいつもこうデス。……イエ、ごめんナサイ。ちょっと嘘つきマシタ」
カレン「……『スターバックス』? いいデスね、そうしマショウか」
カレン「『奢るから』って……わ、私、自分で払えマスよ?」
カレン「え? 『元気になってほしいから』って……そ、それは、その」
カレン(ああ、ダメデス。調子が狂いっぱなしデス……)
カレン(久世橋先生やヨーコを応援してる時は、そんなこと全然なかったノニ……)
カレン(どうして、緊張しちゃってるんデショウか……?) 




28 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/01(月) 21:45:54 ID:b9rThKTY

カレン「……『悩みとかあるなら話してほしい』?」
カレン「イ、イエ。悩みがあるわけじゃないんデス」
カレン「ただ……こうして、あなたと一緒にいると何だか落ち着かなくテ」
カレン「そうデスね。……きっと、それが申し訳ないんダト」

カレン「……ど、どうして笑ってるんデス?」
カレン「『それはあなたも同じ』? ……そんな緊張してるようには見えませんケド」
カレン「『好きっていうのはそういうもの』? ……ホントデスか?」
カレン「わ、私……あなたのことが好き、なんデショウか」
カレン「こんなこと聞くのもヘンデスが……」

カレン「……『それは私が考えること』?」
カレン「『あなたは私と一緒にいられるだけで楽しい』、って……そ、そんなのでいいんデス?」
カレン「『いい』って……あ、ありがとうございマス」

カレン「……お試し、って申し訳ないデスね」
カレン「え? 『それでもいい』って……もう」
カレン「『ちょっと笑うようになってきた』デスか。……安心、してるのかもしれマセン」 




29 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/02(火) 23:28:42 ID:M/oHm/No

再開いいゾ~これ 




30 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/04(木) 00:44:06 ID:Qser4.8Q

カレン「――それじゃ、ここでお別れデスね」
カレン「ま、また明日、会いマショウ」
カレン「……今日はあんまり上手く話せなくてごめんナサイ」
カレン「ハイ? 『そういうこといちいち気にしないでほしい』?」
カレン「『話してるだけで嬉しい』……そ、そう、デスか。わかりマシタ」

カレン「……ホントは、アリスたちと一緒にいる時みたいな感じがいいと思うんデスが」
カレン「どうして私は、いざ自分が『そういう関係』になるとこうなんデショウか……」
カレン「……『ゆっくりでいい』?」
カレン「『それにお試しだし』って……そ、それ、あなたが言っちゃうんデスか」
カレン「え? 『一緒にいるだけで楽しいから』 ……ご、ごめんナサイ。ちょっと今、私の顔見ないで下サイ」
カレン「きっと……凄く赤くなっちゃってマスから」 




31 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/04(木) 00:57:27 ID:Qser4.8Q

カレン「……」
穂乃花「な、何かカレンちゃん……最近、調子悪かったり?」
カレン「ああ、ホノカ。……いや、えっと、それはその」
カレン「な、なんでもないデス。ちょっと季節の変わり目? で、風っぽくなっちゃったのかもデス」
穂乃花「ええ!? し、心配だよ……」
カレン「だ、大丈夫デス」

綾「……でもたしかに、二学期に入ってから調子悪そうね」
忍「二学期が始まった辺りからですよね」
カレン「べ、別に、何もないデス。ホントに……」
カレン「……」
穂乃花(カレンちゃん、何かあったのかな……?) 




32 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/04(木) 00:57:47 ID:Qser4.8Q

カレン「――ということがあったんデスが」
カレン「どう思いマス? その……お、お試しとはいえ、付き合ってるワケで」
カレン「そのことを伝えた方が……え? 『もうあなたは他の人にも話してる』?」
カレン「そ、そうだったデスか。それじゃ、それがホノカとかの耳に入るのも時間のもんだ――」

穂乃花「カ、カレンちゃん!? 付き合ってるってホント!?」

カレン「――い、デシタね」

穂乃花「……そっか。カレンちゃんの相手が、この人なんだね」
カレン「ハイ……」
カレン(お試し、ということは言わないほうがいいかもデスね……)
穂乃花「……わ、私! カレンちゃんの恋、応援するよ!」
穂乃花「だ、だから、その……あ、あなたもカレンちゃんを幸せにしてね?」
カレン「ホノカ……」
穂乃花「そ、それじゃっ!」

カレン「……行っちゃいマシタね」
カレン「ハイ? 『いい人』? ……ホノカは優しいデスよ」
カレン「私にはもったいないくらい……え? 『私がいい人だからいい人が集まってくる』?」
カレン「だ、だから! そういうことはデスね……うう」 




33 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/04(木) 01:11:07 ID:Qser4.8Q

カレン「……今日は、どうしマス?」
カレン「『カラオケとか行くか?』 ……うーん、行かないかもデス」
カレン「でも、歌うのは好きデス。そこに行きマスか?」

カレン「――ふぅ」
カレン「結構、歌いマシタね……履歴が凄いことになってマス」
カレン「かなり疲れちゃいマシタ……ハイ? 『飲み物取ってくる』?」
カレン「そ、そんなパシリみたいなことさせられマセン! 私も行きマス」
カレン「……こういう時は、一緒に行きマショウ?」
カレン「付き合ってるわけデスし……な、何で、そんなに笑うんデス?」
カレン「『やっぱり優しい』って……で、ですから、そういうコトじゃ」 




34 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 17:58:51 ID:MeetFTZc

カレン「……」
カレン(「お試し」を始めて一週間ちょっと経ちましたケド)
カレン(結局、答えは出ないままデス……)

カレン「――あっ、久世橋先生。今日も、放課後ハ……」
久世橋「え、ええ。……彼と一緒に料理をと」
カレン「そうデスカ! 楽しんで来てくだサイ!」
久世橋「……九条さんも」
カレン「ハイ?」
久世橋「自分のペースで、あの子に『答え』を出した方がよろしいかと」
久世橋「……あなたに助けられている身としては尚更そう思います」
カレン「……ありがとうございマス」 




35 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 17:59:12 ID:MeetFTZc

カレン「あっ、ヨーコは……放課後デートデス?」
陽子「い、いや、まあ……そうだよ。うん」
陽子「アイツ、ご飯のことばっかりなんだから。新しいラーメン屋行きたいんだってさ」
カレン「……似た者同士デスね!」
陽子「あ、あのなぁ……」

陽子「ところで、その……カレンは『決まった』のか?」
カレン「……」
カレン「もう少し、かかりそうデス」
陽子「そっか。……まあ、私も時間かかった気がするし」
陽子「いやー、アイツが『俺の友達なら優しいし大丈夫だろ』とか自慢っぽく言うからさ。いいヤツなんだろ?」
カレン「……もったいないくらいデス」
陽子「二人とも、お似合いだと思うけどなー」
陽子「まっ、いいや。それじゃ……頑張ってな」
カレン「ヨーコも、デス」 




36 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 17:59:30 ID:MeetFTZc

カレン「――それじゃ、私たちも行きマショウか?」
カレン「ハイ? 『途中から見てた』? ……そ、それは照れマスね」
カレン「というか、どの辺りからデス? ……『ヨーコとの話』?」
カレン「そ、それなら良かったデス」
カレン(久世橋先生の所からだと危なすぎデスし……)

カレン「……今日は、どこに行きマス?」
カレン「放課後は暇デスし、色んな所行けマスよ」
カレン「ハイ? 『私の家』? ……そ、それは、その」
カレン「うちにはママがいますし……あなたとどっか行きたいデス」
カレン「……『ゲームセンターは』? いいデスね」
カレン「一緒に太鼓、叩きマショウ!」
カレン「ハイ? 『プリクラ撮りたい』? ……そ、それは、えっと」 




38 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 18:35:04 ID:MeetFTZc

カレン「……」
カレン「ハァ……」
カレン母「カレン? どうかしたの?」(英語)
カレン「あっ、ママ。実はちょっと色々あって……」(英語)
カレン母「……もしかして、パパとも話してたんだけど」
カレン母「カレン……付き合ったりしてる?」
カレン「……え?」

カレン母「帰りが遅くなる日が増えたし」
カレン母「朝も、前までは適当だったのに……最近はヘアトリートメントとかしてるじゃない」
カレン母「気づかないほうがおかしいわよ」
カレン「……うん。実は、そうなの」
カレン母「やっぱり」 




39 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 18:35:23 ID:MeetFTZc

カレン「で、でも! ……実際、付き合ってるわけじゃないというか、その」
カレン母「カレン。多分、相手から告白されたんでしょ?」
カレン母「それでね。私が見てる限り……もうカレン、その子が好きなのよ」
カレン「……!」

カレン母「――素直になってもいいと思うわ」
カレン母「私だって昔は……まあ、その話は置いときましょうか」
カレン母「ほら。電話、鳴ってるわよ?」
カレン「……あっ」
カレン母「ほら。出てあげなさい」
カレン「……うん」 




40 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 18:53:28 ID:MeetFTZc

カレン「……もしもし」
カレン「どうかしたデス? 『掛けてみたくなっただけ』?」
カレン「も、もう。……そういうことならしょうがないデスね」
カレン「……」
カレン「あ、あの! 『答え』、言ってもいいデス?」
カレン「……私も」

カレン「あなたが好き、みたいデス……」

カレン「……『ありがとう』?」
カレン「そ、そんなお礼なんて……ですから」
カレン「ハイ? 『今から私の家に行く』って……き、気が早すぎデス!」
カレン「明日から、ちゃんと付き合いマショウ?」
カレン「……『そうするつもりだった』? あ、あなたは冗談が多すぎデス」
カレン「それじゃ、また明日デス」

カレン母「……終わった?」
カレン「うん。付き合う、ことになったよ」
カレン母「そっか。カレンが、ねぇ……」
カレン母「アリスちゃんとどっちが早いかなぁ、なんて思ってたけれど」
カレン「……アリスも、いい相手が出来ると思うよ」
カレン「いい子だし」
カレン母「そうね。もちろん、カレンも。……授業態度じゃ『悪い子』だけど」
カレン「マ、ママったら。もう……」 





【10%OFF】Girl's Secret v1.03




41 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 19:40:08 ID:MeetFTZc

カレン「……それじゃ、今日から本格的に付き合うわけデスけど」
カレン「な、何か変えた方がいい所トカ……『何もない』デス?」
カレン「『今まで通り一緒にいたいだけ』って……あ、あなたはそれでいいんデスか?」
カレン「私、気合い入れて何か変えないとって思ってたんデスけど……」
カレン「そのためにオシャレ雑誌を普段よりよく読んだり……わ、笑わないでくだサイ」

カレン「……それじゃ、最初ハ」
カレン「そうデスね。タイショーのお店で乾杯デス!」
カレン「……もう、前より恥ずかしくないデスし」
カレン「あなたも、そうやって私を知り合いに紹介してくれマシタから。今度は私の番デス」
カレン「……タイショー、どんな顔するんデショウか?」

カレン「……」
カレン「『胡椒入れすぎた?』 ……違いマス」
カレン「まさか、タイショーにあそこまでからかわれるとは思いませんデシタ」
カレン「あなたはフツーにしてましたけど……何かコツとかあるんデスカ?」
カレン「『私があなたの分まで照れてくれたし』って……あ、あなたもタイショーも、ちょっぴりイジワルデスね……」 




42 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 20:01:57 ID:MeetFTZc

カレン「……いざ付き合うとなるト」
カレン「何かステップ? とかありマスよね?」
陽子「んー、まあ……そういやそうだったな」
陽子「というか、私の場合かなり時間かかっちゃったからなあ……アイツ、辛抱強く待ってくれたけどさ」
陽子「カレンはかなり早く決めたから、ペースも早いんだな」
カレン「そ、そういうものなんデショウか……」

陽子「まあ、何というか……ま、まずは、手を繋ぐ所からじゃないかな?」
陽子「王道って言ったらそれまでだけどさ」
カレン「王道……手を繋ぐコト」
陽子「い、いやいや。メモることじゃないだろ」
陽子「そういうのは、自分たちで決めていくものなんだと思うし、自然とそうなっていくものだって思うよ」
カレン「……ヨーコ、やっぱり大人デスね」
陽子「あ、あのなぁ……」

カレン「――と、いうワケで」
カレン「私たちの『ステップ』を決めマショウ」
カレン「えっと、まずは……ハイ? 『臨機応変でいい』?」
カレン「『私のペースに合わせるから』って……あ、あなたは自分の都合だって考えてもいいと思いマス」
カレン「何かしてほしいこととかないデス? 肩、揉みマショウか?」
カレン「『それは普段から迷惑かけてる久世橋先生に』って……み、身も蓋もないデスね」 




43 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/05(金) 20:25:00 ID:MeetFTZc

カレン「……何だか、いつもと同じ帰り道なノニ」
カレン「緊張しちゃうようになりマシタ。本格的に『そう』なるって決まったから、デショウか……」
カレン「ハイ? 『そういう時は久世橋先生相手みたいにリラックスすればいい』?」
カレン「い、いや……相手があなただからだと思うんデスけど」
カレン「『それじゃあなたも厳しくする』? そ、それは、ちょっと……」
カレン「トラは一頭だけで手一杯デス」

カレン「……ひゃっ!?」
カレン「な、なんデスか!?」
カレン「『背中、ツンってしただけ』って……な、何で、こんなに反応しちゃったんデショウか」
カレン「それくらい緊張しちゃってるんデスね……」

カレン「……ど、どうしたらいいんデショウか?」
カレン「『その内、慣れるからステップはその後でいい』? ……分かりマシタ」
カレン「そうしマショウか」
カレン「……相手があなたで良かったデス」 




44 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 00:06:38 ID:F/7Y9.bc

カレン「……今日は、ちょっと混み合ってマスね」
カレン「いつもだったら、もっと空いてるのに……この通り、迷子になりそうデス」
カレン「『はぐれないように』? き、気をつけマス」
カレン「……あっ!」
カレン(人に押されちゃいマシタ……どうしマショウ?)

カレン「――!」
カレン(手、繋がれて……?)
カレン「……た、助けてくれたデス?」
カレン「あ、ありがとうございマス」
カレン「……あっ!」
カレン「『どうかした』って……今、ステップクリアしちゃいマシタ」
カレン「ほら。手、繋いじゃってマス……」

カレン「え、えっと……このまま繋いでマス?」
カレン「私、凄く照れちゃってマスけど……それでもいいデスか?」
カレン「……『凄く嬉しい』? だ、だったら、このまま行きマショウか」 




45 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 19:00:16 ID:HQrZUogY

カレン「……」
カレン(つ、次は、多分……ハグ、デスね)

忍「アリスー!」
アリス「シノー!」

カレン(……今、二人がやってるような感じのことデス)
陽子「カレン? どうかしたのか?」
カレン「ヨーコ……その、手つなぎマシタ」
陽子「えっ!? は、早いな……」
カレン「ちょっと照れっぱなしデス……」
陽子「うーん。まさか、そんなに早いとはなぁ」
カレン「も、もうそろそろ次デショウか?」
陽子「次かー、そうだなぁ……」 




46 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 19:00:39 ID:HQrZUogY

陽子「とりあえずは、まあ……今のままでいいんじゃないか?」
カレン「今のまま、デスカ」
陽子「そうそう。……多分、偶然そうなったとかだろ?」
カレン「……ヨーコはエスパーデス?」
陽子「いや、何となく」

陽子「それじゃ、きっと……次も、偶然だよ」
陽子「そんな感じで行けばいいんじゃないか?」
カレン「……そ、そんなのでいいんデショウか」
陽子「カレンらしくないなー。もっと適当でいいんだって! いつもの授業態度みたいに!」
カレン「し、失礼な! ヨーコより真面目デス!」
陽子「……私、進級出来ないかもとか言われたことはないぞ?」
カレン「うっ……」 




47 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 19:24:30 ID:HQrZUogY

カレン「……」
カレン(次も偶然、デスか……)
カレン(デ、デモ! 次は偶然にしたくないデス)
カレン(何となくデスが……それじゃ申し訳ないような気ガ)

カレン「……『また難しいこと考えてる?』」
カレン「そ、そんなこと考えてないデス!」
カレン「た、ただ……次は偶然にしたくないなって思ってるだけデス」
カレン「ハイ? 『それが難しいこと』って……そ、そうなんデスか?」

カレン「……そ、それじゃ言いマスよ?」
カレン「ここなら誰もいないデスね? ……え、えっと」
カレン「ハグ、してもいいデス?」
カレン「い、言っちゃいマシタ。あ、あなたがしたくないなら今ハ――」

カレン「……!」
カレン「……あ、あの、いいデスか?」
カレン「そ、そういう不意打ちは……『こうでもしないと話が終わりそうにないから』?」
カレン「そ、それハ! ……そう、なのかもしれマセンけど」
カレン「……温かいデスね」
カレン「嬉しいデス。……恥ずかしいデスけど」 




48 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 19:36:43 ID:HQrZUogY

カレン「……」
カレン(結局そんな感じのまま、もうすぐ文化祭……)
カレン(ハグまでで止まったままデスけど、いいんデショウか……)

カレン「……『また何か焦ってる』? え、えっと」
カレン「そう言われたら確かにそう何デスけど……どうしマス?」
カレン「『どうするって?』 ……わ、分かってるデショウ?」
カレン「……『今のままでいい』? そ、そうデスか」
カレン「ハイ? 『一緒にいられるだけでいいんだから』って……あ、あなたはホントにそれでいいんデス?」
カレン「……私は、ちょっと焦っちゃってマス」

カレン「……」
カレン(きっと、久世橋先生とかヨーコが影響してるんデスね……)
カレン(あの二人に比べて、私は早いのかもしれマセンけど……それでも、やっぱり)
カレン「『また何か考えてる』? ……そ、そうデスけど」
カレン「どうしたら……焦らないでいられるんデショウか?」
カレン「『マイペースでいいのに』、デスか……難しいデスね」
カレン「授業中、真面目にしてるより難しいかもデス」 




49 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 23:24:37 ID:HQrZUogY

カレン「……文化祭デスね」
カレン(久世橋先生もヨーコも、楽しんでほしいデス。特に久世橋先生は、何とかバレないように……)
カレン「……そ、それじゃ回りマショウか」
カレン「な、何かしたいこととかありマスか? 合わせマスよ?」
カレン「ハイ? 『私がしたいことは何?』、デスか……」
カレン「そうデスね……やっぱり、模擬店巡りデショウか」
カレン「食べることは大事デス!」
カレン「ハイ? 『私らしい』? ……そ、それなら良かったデス」

カレン「……あなたはしたいことないデス?」
カレン「『私と一緒に色々食べたい』? ……ホントにそれだけデス?」
カレン「体育館でバンド演奏とかしてマスよ? 見たくないデスか?」
カレン「……見たそうデスね」
カレン「あなたもたまにはわがまま言ってくだサイ」 




50 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 23:35:16 ID:HQrZUogY

カレン「……あっ」
カレン(久世橋先生……バンド演奏、見に来てたデスか)
カレン(隣には、やっぱり彼がいマスね……良かったデス。仲良さそうデス)

カレン「……『何か気になるのか』?」
カレン「い、イエ! 別に、何モ……」
カレン「ただ……ちょっと嬉しくなっただけデス」
カレン「やっぱり、いいものデスね。……誰かが幸せデスと」

カレン「……ハイ?」
カレン「『相手が私で良かった』? ……い、いきなり何デス?」
カレン「『そういう所が好きになったから』って……で、ですから、そういうことを言うのはデスね……」 




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51 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 23:47:15 ID:HQrZUogY

カレン「……」
カレン(もうすぐ、文化祭も終わっちゃいマス……)
カレン(このままでいいんデショウか……?)

カレン「……ハイ?」
カレン「『こっちに来てほしい』? わ、分かりマシタ」
カレン(彼から誘うのは珍しいデスね……)

カレン「……ここ、人いマセンね」
カレン「どうかしたデス? ……ハイ?」
カレン「『ここなら、私がしたそうなことが出来るんじゃないか』? ……もう、先回りするようになっちゃったんデスね」
カレン「デ、デモ……上手く出来るか自信ないデス」
カレン「『こういうのに自信も何も関係ない』? ……わ、分かりマシタ」

カレン「――覚悟、決めマス」 




52 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/06(土) 23:47:40 ID:HQrZUogY

カレン(言いながら、私は彼に近づいて……)
カレン(ハグをしながら、口を――)

カレン「……や、やっぱりダメデス!」
カレン「な、何か心臓がバクバク言っちゃってマス……」
カレン「い、今は、やっぱり――」

カレン(……あ)
カレン(彼の口が、私の口に触れちゃってマス……)
カレン(……さっき食べたクレープの味がしマス)

カレン「……」
カレン「し、しちゃいマシタね」
カレン「ビックリしマシタ。……あなたから、求めるとは思わなかったノデ」
カレン「……『私と付き合ってあなたも変わった』? そ、そうかもしれマセンね」
カレン「私も……同じデスから」

カレン「――これで」
カレン「色んなステップ……越えちゃいマシタね」
カレン「嬉しいデス。……あなたもデスか?」 




53 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 16:48:14 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……次は体育祭デスね」
カレン「……」
久世橋「な、何ですか?」
カレン「いや、何かイベントを起こしても、なんてことを考えただけデス」
久世橋「あ、あなたが考えつくことは大抵、問題行動じゃないですか!」
カレン「いやー、照れちゃいマスね」
久世橋「褒めてません!」

久世橋「……それで」
久世橋「あなたたちはどうなんですか?」
カレン「……」
久世橋「あっ。顔、真っ赤ですね」
カレン「――この前、キスしマシタ」
久世橋「……さ、最近の生徒は進んでますね」
カレン「ヨーコは、もっとスローペースデシタけど……」
久世橋「ひ、人によりけりですね」 




54 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 16:48:46 ID:Rm/3Y6J.

久世橋「……まあ、色々ありましたが」
久世橋「あなたにも感謝しないといけませんし、実際に本当に感謝しています」
カレン「いえいえ。……ショーグンみたいなものデス」
久世橋「『性分』の間違いですね? ……ところで、何かお悩みでも?」
カレン「……分かっちゃいマス?」
久世橋「あなた、自分のことになると弱いみたいですし」
久世橋「猪熊さんも、時々お話ししてますよ?」
カレン「ヨ、ヨーコ……」

久世橋「……まあ、私もアドバイス出来る立場にはありませんが」
久世橋「学生時代のイベントを、余すところなく満喫できるあなたたちが羨ましいですね……つくづく」
カレン「……久世橋先生のお家で、イチャイチャしてればいいじゃないデスか」
久世橋「そ、それとこれとは話が別なんです!」

久世橋「でも……文化祭では、もっと近づけたんでしょう?」
久世橋「それなら、あなたたちなりの、そのペースを大切に進んでいけばいいのではないかと」
カレン「……まさか、久世橋先生にアドバイスされるとは思いませんデシタ」
久世橋「もう。……私たちの『幸せ』は、あなたと烏丸先生の存在なくして決してありえなかったんですよ?」 




55 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 16:49:36 ID:Rm/3Y6J.

カレン「――と、いうわけデ」
カレン「次は体育祭デスけど……何か思いつきマス?」
カレン「ハイ? 『この前、キスまで行ったし満足』? ……そ、それならいいんデスけど」
カレン「『私が次に進みたいのか』、デスか……うーん」
カレン「そうかもしれマセンし、そうじゃないのかもしれマセン。上手く言えないんデス」
カレン「『せーてはことをしそんじる』デシタっけ? そんな言葉もありマスし……」

カレン「……な、何で撫でてるデス? 『今の言い方が可愛かったから』?」
カレン「や、やっぱり、まだ……このペースが気持ちいいデスね」
カレン「ハイ? 『次に行きたいならいつでも』? ……わ、分かりマシタ」 




56 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 16:56:07 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……体育祭、終わりマシタね」
カレン「あなた、足そんなに速くなかったデス? ちょっと意外デシタ」
カレン「ハイ? 『持久力なら自信あるのに』? ……ふふっ」
カレン「あなたでもムキになることあるんデスね」

カレン「……体育祭の帰り道ハ」
カレン「何だか、いつもと違って……落ち着きマセンね」
カレン「汗、かいちゃいマシタし。お風呂、入りたいデス」
カレン「……え?」

カレン「『お家に誰もいないし来る?』……!?」 




57 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 17:01:13 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……お、お邪魔しマス」
カレン「『沸かすから』? わ、分かりマシタ」
カレン「……」
カレン(こ、これはもしかして……「そういうこと」なんデスか?)
カレン(い、いきなり早すぎじゃあ……いくら何でも九月から動きすぎデス!)
カレン「……あ、あなたはどうするデス?」
カレン「『部屋に荷物を置きに』? ……わ、分かりマシタ」

カレン「――あ、上がりマシタ」
カレン「は、入ってきてくだサイ。ありがとうございマス」
カレン「……」
カレン(ここ、彼の匂いでいっぱいデス……) 




58 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 17:01:35 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……」
カレン(部屋、整ってマスね。……やっぱり、きちょー面なんデショウか)
カレン(……アレ? 何かはみ出してマス)

カレン「……!?」
カレン(こ、これハ……!)
カレン(そ、「そういう本」デスよね? よ、読んだことないデスけど)
カレン「……エッチデス」
カレン(ちょっとカチンと来ちゃいマシタけど……ついつい読んでしまいマス)
カレン「……」

カレン「――ワッ!?」
カレン「も、もう上がったデスか? 早いデスね……」
カレン「『何、隠した?』 ……い、言ってもいいんデス?」
カレン「さっきは荷物を置くだけじゃなくて、このお部屋を整理してたんデスね」
カレン「デモ……見つけちゃいマシタ」
カレン「こ、こういう本……やっぱり読むんデスね」
カレン「ちょっと意外デシタ……」
カレン(あっ。彼、顔真っ赤デス。……きっと、人のこと言えマセンけど) 




59 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 17:06:29 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……」
カレン(き、気まずいデス……!)
カレン(ど、どうしたらいいんデスか。何で、こんな本を読んじゃってたんデスカ……!)
カレン(ああ、もう。さっきからベッドの隣で何も言わないのが不気味すぎマス!)

カレン「……え、えっと」
カレン「それじゃ、今日は――」

カレン「……!」
カレン(エ? 押し倒され……?)
カレン「ど、どうかしたデス……?」
カレン(間近で見る彼は、ジッと私を見つめてマシタ)
カレン(顔を真っ赤に染め上げて、デモ落ち着こうと頑張ってるみたいデシタ)

カレン「……珍しい、デスね」
カレン「こ、こんな、強引なことするとは思ってませんデシタ」
カレン「いつも、私に合わせてくれてたノニ……」
カレン「……『私が悪い』、デスカ。そ、そうかもしれマセンね」

カレン「……」
カレン(この後の流れが分かっちゃいマシタ)
カレン(デモ、何も言いマセン。……きっと)

カレン(この人の家に寄る、って時点で……もう、私の心は決まっちゃってたんデスから) 




60 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 17:12:15 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……」
カレン「お風呂、入っちゃいマシタね」
カレン「あなたも汗のにおいがしなくなってマス」
カレン「私も、きっと……」

カレン「……」
カレン「わ、分かりマシタ」
カレン「覚悟、決めマシタ。……す、好きにしてくだサイ」

カレン「――普段の『お返し』、デス」


カレン「……」
カレン(いつもワガママばかりの私なのに、ずっと側にいてクレテ)
カレン(だから、もう……いいんデス。だって)

カレン(どこかで……「こうなりたかった」って思ってたみたいなんデスから) 





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61 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 17:16:26 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……んっ」
カレン(まずはキス……。――ワッ。彼の手が、私のYシャツのボタンを)
カレン(……うう。外されちゃってマス)
カレン(もう、力が抜けちゃいマシタ……)

カレン「……」
カレン(気づいたら、私はすっかり服をはだけさせられちゃってイテ)
カレン(目の前に、真剣そうな彼の顔が見えマシタ。……え、今なんて?)

カレン「――『綺麗』? や、やめてくだサイ……」
カレン「照れすぎて、何も言えなくなりマス……」
カレン(言いながら、彼はゴソゴソと何か付け始めマシタ)
カレン(「ソレ」が何なのかくらい、知ってマス。前から持っていたんデショウか……?)

カレン(――付け終わって、彼は私に向き直ッテ)
カレン「……『優しくする』? ええ、大丈夫デス」

カレン「だって、あなた……いつも優しすぎるくらいなんデスから」
カレン「……『私には負ける』? い、言い過ぎデス」
カレン「もう、準備は大丈夫、だと思いマス。……どうぞ」

カレン「――お願いしマス」 




62 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 17:20:26 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……んっ!」
カレン(や、やっぱり痛い、デス……!)
カレン(ほ、ほぐれてたとはいえ、これハ……)

カレン「……『声、ガマンしなくていい』? あ、ありがと……うっ……ござい、マス」
カレン「……んんっ」
カレン(この感じ、何なんデショウか……?)

カレン(凄く……んっ……痛い、ノニ)
カレン(幸せだって……あっ……思っちゃって、マス)

カレン「……あっ」
カレン(それから少し経ってから……)
カレン「んんっ!」
カレン(初めて感じる「感覚」が、来マシタ……)
カレン(……こんな感じ、なんデスね。久世橋先生、ヨーコ) 




63 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 17:24:05 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……」
カレン「『大丈夫』? ……ハイ、だいじょーぶデス」
カレン「……やっぱり痛かったデスけど」
カレン「『ごめん』って……あ、謝らないでくだサイ」
カレン「優しさは、よく分かりマシタから」

カレン「……ワッ!?」
カレン「い、いきなりギュッてするのは、デスね。その……は、恥ずかしいデス」
カレン「……あ、あの」

カレン「――お風呂、一緒に行きマセンか?」 




64 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 17:31:50 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……」
カレン「もしもし?」
陽子『おー、カレン? どうかしたかー?』
カレン「……その。しちゃい、マシタ」
陽子『……おお』
陽子『ビ、ビックリしちゃったよ。……いや、私も今さっきまで』
カレン「何だ、ヨーコもデスカ」
陽子『で、でも! カレンは初めて、だったんだろ?』
カレン「……痛かったデス」
陽子『ああ。だよなぁ……』

カレン「――デモ」
カレン「ヨーコの気持ちとか、凄くよく分かりマシタ」
カレン「『痛いけど優しい』デシタッけ? あの感想の意味ガ」
陽子『……カレン』
陽子『あ、あんま照れさせんなって。もう』
カレン「ごめんナサイ。言いたくなっちゃったものデ……」 




65 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 17:39:25 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……あっ。お、おはようごじゃいマス」
カレン「……」
カレン「昨日はタイヘンデシタね……お互い」
カレン「眠れマシタ? ……『眠れなかった』デスカ。私もデス」
カレン「はぁ……今日は全授業、居眠りかもデスね」

カレン「……」
カレン「その……私、嬉しかったデス」
カレン「たまには、ああやってワガママ言ってくだサイ。いつも私に合わせてくれるのはホントに嬉しいデスけど」
カレン「あなたに合わせるのも楽しいんデスよ? ……い、言ってて恥ずかしくなったので、ここで終わりデス」
カレン「ハイ? 『それじゃ、セリフ続けてくれ』? い、イジワルになりマシタね……」 




66 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 19:11:28 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……もうすぐクリスマスデスね」
カレン「というわけで! サンタクロースのカッコしてみマシタ!」
カレン「どうデス? ……何でケータイ出してるデス?」
カレン「ハイ? 『動画撮ってる』? ……そ、そう言われると一気に恥ずかしくなりマシタ」

カレン「……クリスマスは、どうしマス?」
カレン「どこかに行きマス? ……あなたが行きたいトコあるなら、どこでも付き合いマスよ?」
カレン「ハイ? 『イギリス』? ……じょ、冗談デスよね。さすがに」

カレン「……『ららぽーと』?」
カレン「ああ。前に久世橋先生が、一人で買い物してたトコデスね」
カレン「……今年は彼と過ごすんデショウね。あっ、いや。今のは聞こえなくて大丈夫デス」
カレン「それじゃ、そこで遊びマショウか!」 




67 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/07(日) 19:11:52 ID:Rm/3Y6J.

カレン「……た、楽しみすぎマシタ」
カレン「ちょっと疲れちゃいマシタね。……ハイ?」
カレン「『今日もご両親がいない』? ……え? え?」

カレン「……んんっ!」
カレン「……」
カレン「た、体育祭の後から何回しマシタっけ?」
カレン「……『いちいち数えてないけどそんなに多くないはず』? そ、そうデショウか」
カレン「ど、どんどんおかしな気分になることが多くなってる気がしマス……」

カレン「……それじゃ、お風呂入りマショウか?」
カレン「ハイ? 『最初からお風呂ですればよかったんじゃ』? ……そ、それは、エット」
カレン「あ、あなたの匂いを感じられる場所の方が……に、ニヤニヤするのダメデス!」 




68 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 14:26:20 ID:0B75bIWk

カレン「――お、お待たせしマシタ」
カレン「『今来た所だから大丈夫』? ……ホントはもっと前から待ってたんじゃないデス?」
カレン「初詣、デスね。ワッ、人がいっぱいデス」

カレン「……晴れ着、大丈夫デス? 崩れてないデスか?」
カレン「……な、何か言ってくだサイ」
カレン「ハイ? 『凄く似合ってるから何も言えなかった』? ……も、もうっ」

カレン「……えっと」
カレン「これ、並ぶとなるとかなり時間かかっちゃいそうデスね。何かしてマス?」
カレン「ハイ? 『私と話してるだけで時間がすぐに過ぎる』? ……わ、私もデス」

カレン「……」
カレン(デモ、やっぱり暇じゃないデショウか……?)
カレン(私は全然ダイジョーブデスけど、彼はホントは暇なのに私に合わせてくれてる可能性ダッテ……)
カレン「……『また何か考えてる?』 あ、あなたはエスパーデスか」
カレン「『ホントに一緒にいるだけでいいから』って……や、やっぱりエスパーだったデスね」 




69 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 14:30:30 ID:0B75bIWk

カレン「――願い事、何にするデス?」
カレン「私、千円札入れるつもりデス。……絶対に叶えたい願いナノで」
カレン「『何?』 ……それはデスね」
カレン「……は、恥ずかしいので、後で言いマス」
カレン「あなたは? ……『ずっと一緒にいられますように』?」
カレン「ど、どうして一字一句同じなんデスか!」

カレン「……絵馬も書くデス」
カレン「そういえば……今年はもう、受験生なんデスね」
カレン「……あの。私、悩んでることありマス」
カレン「その悩みが何とかなりマスように、って書くのってアリデショウか……?」
カレン「……『まず、あなたに話してほしい』? そ、そうデスね」
カレン「後で話しマス」 




70 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 14:34:39 ID:0B75bIWk

カレン「……実ハ」
カレン「私、一応留学生デス。帰らないといけないかもなんデス」
カレン「……イギリスに」
カレン「そうなっちゃったら……あなたとは離れ離れになっちゃうかもデス」
カレン「それが怖いんデス」

カレン「……さすがにショックっぽいデスね」
カレン「今、パパとかママと相談中デス。……こっちの大学に行けたらいいんデスけど」
カレン「向こうに帰らないといけなくなっちゃったら、もう――」

カレン「……ぷはっ!」
カレン「ふ、不意打ちはヒキョーデス!」
カレン「……ギュッてするのも恥ずかしいデス」
カレン「……『離れたくないから』? あ、あなたにしては珍しく一直線デスね」 




71 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 14:39:07 ID:0B75bIWk

カレン「……もしもし?」
アリス『あっ、カレン! どうかしたの?』
カレン「……アリスは卒業したらどうするデス?」
アリス『……』
アリス『や、やっぱりイギリスに帰っちゃうんじゃないかな』
アリス『一応、留学してるわけだし……』
カレン「そう、デスよね……」

アリス『――もしかして、お相手さんのこと?』
カレン「ハイ。……私、こっちに残ることって出来ないんデショウか?」
アリス『……実は私も、ここから離れたくないって思うんだ』
アリス『シノたちと会えなくなっちゃうのは寂しすぎるし……』
アリス『カレンは……尚更、だよね。きっと』

カレン「……彼、イギリスの大学に行くって言ってマス」
アリス『そ、それは……相当、難しいんじゃないかな』
カレン「『それも分かってる』って言ってマシタ。……デモ、私は彼にムリさせたくないデス」
アリス『カレン……』 




72 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 14:45:30 ID:0B75bIWk

――新学期

カレン「……久世橋先生、どう思いマス?」
久世橋「そう、ですね。……たしかに、あなたは留学生です」
久世橋「ただ……彼があなたを追って、という形は」
カレン「難しい、デスよね。やっぱり」
久世橋「……ええ」

烏丸「……カレンさんは、こっちにいたいですか?」
久世橋「あっ。烏丸線sネイ」
カレン「……いたいデス」
カレン「彼とも、シノたちとも離れたくないデス」
烏丸「そうですよね。……ただ、やはり親御さん次第でしょうか」
久世橋「そうなるでしょうね……」 




73 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 14:45:48 ID:0B75bIWk

カレン「――みんな、難しいって言いマス」
カレン「ところで、何してるデス? ……『イギリスの大学への行き方の勉強』?」
カレン「デ、デモ。……あなた、英語あまり出来ないんじゃ」
カレン「あっちの試験、難しいと思いマスよ……」

カレン「……手、繋いでもいいデス?」
カレン「後、ギュッてしてもいいデスか? ……温かいデス」
カレン「……私、ママとパパと、じっくり話してみマス」
カレン「もしかしたら……何とかなるかもしれマセンし」 




74 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 14:49:42 ID:0B75bIWk

カレン母「……そう。やっぱり、そう言うと思ったわ」
カレン「だ、だよね」
カレン母「一応、私もパパも向こうに帰るつもりだっていうのは年末に話した通りよ」
カレン母「お仕事の都合もあるし、ね」
カレン「そ、それ言われると弱いなぁ……」

カレン母「――ねえ、カレン?」
カレン「な、なに?」
カレン母「今度……相手の子を家に連れて来てくれない?」
カレン「えっ……?」
カレン母「挨拶もまだだったし。パパも会いたいって言ってたし、ちょうどいいわ」
カレン母「そこで……じっくりと話しあいましょう。四人で」
カレン「ママ……」 




75 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 14:54:40 ID:0B75bIWk

カレン「――本当に、それでいいんデス?」
カレン「その……私一人が残って、あ、あなたと暮らすナンテ……」
カレン「あなたも困るんじゃ……な、何か凄く嬉しそうデスね」
カレン「『優しい人たちだったから』? ……あ、あなたのことを見たかったんデショウね。きっと」
カレン「その上でママもパパも、それを認めてくれたなら……何とかなる、んデショウか」
カレン「……おかしいデス。どうして不安なんデショウか?」
カレン「あなたと一緒にいられることが決まりそうなノニ……」

カレン「……ギュッてしてもいいデス?」
カレン「……こうしてると、落ち着きマス」
カレン「あなたは大学受験するんデスよね? ……私は、どうするんデショウか」
カレン「まだまだ、日本は難しいデス。私、それも不安デス」
カレン「……『進路のことで不安じゃない人なんていない』? そ、それもそうデスけど」 




76 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 15:08:49 ID:0B75bIWk

カレン「……バレンタインデスね」
カレン「何か期待してるデス? ……ふふっ」
カレン「久世橋先生にてってー的に教わりマシタ! これ、あげマス!」
カレン「……ど、どうかしたデス?」
カレン「『本命チョコもらったことないから感動してた』? ……て、照れマスね」
カレン「それじゃ、その感動分のお返しも期待してマス!」

カレン「ところで、味は……ちょっと甘いくらいで良かったデスよね?」
カレン「ど、どうデス? ……『美味しい』?」
カレン「『お返しも手作りにしてくる』って……そ、そんなムリしなくてもいいんデスよ?」
カレン「ハイ? 『最近、元気なさそうだったから少し安心した』? ……ハイ」

カレン「何だかデスね……あなたと一緒にいられるなら、それでいいかもッテ」
カレン「そう思っちゃってるみたいデス。……ホントは、もっと気合い入れないとダメなんデスけど。受験生トシテ」
カレン「ハイ? 『受験するつもりなのか?』って……わ、私も大学までは行きたいデス」
カレン「な、なんデスか、その何か可哀想なものを見る目ハ!」
カレン「『進級も危なかったのに』って……うう」
カレン「ほ、放課後! 勉強、教えてくだサイ!」 




77 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 15:37:34 ID:0B75bIWk

カレン「……うー」
カレン(ホントに……私、彼と同じ所に行けるんデショウか?)
陽子「カレンもタイヘンそうだなぁ……」
カレン「ヨーコ……も、結構タイヘンそうデスね」
陽子「ま、まぁな。あいつ、国公立だから科目数多いんだよ……はぁ」
カレン「……私たちは私立になりそうデス」
陽子「え? そうなのか? ……アイツから、カレンの相手も国公立目指してるって聞いたけど」
カレン「……ハイ?」

カレン「――ど、どうして言ってくれなかったデス?」
カレン「それじゃ私も国公立に……『科目数多いしキツすぎると思ったから』?」
カレン「……そ、それ言われると弱いデス」
カレン「まだ、1年レベルの見直しも終わってないデスし……」

カレン「……そう、デスね」
カレン「それじゃ私も、国公立目指しマス。……『どうして』?」
カレン「あなたの希望が第一デス! 一緒に叶えマショウ!」
カレン「……ど、どうしてそんな悲しそうな顔するデス?」
カレン「『進級も難しそうだったのに』? ……うう」 




78 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:14:56 ID:0B75bIWk

カレン「どうかしたデス?」
久世橋「あっ、いや、その」
久世橋「私と似たようなことを悩んでるんだな、と思いまして」
カレン「先生……まさか、その年で大学行くつもりデス?」
久世橋「あ、あなたは何を言ってるんですか!」

久世橋「……その。あ、あの子も色々事情がありまして、国公立志望なんです」
久世橋「ですから……理由は違えど、悩む所は同じなんだな、と」
カレン「彼、問題児デスからねー」
久世橋「そ、それをあなたが言うんですか……」

カレン「……今、彼に勉強教えてもらってるデス」
カレン「デモ……邪魔になってないか心配デス」
久世橋「い、いや。あの子なら成績も悪くなかったと思うし、大丈夫では?」
久世橋「ただ……寄っかかりすぎるのは危険かもしれませんね。私と違って、二人とも受験生ですし」
カレン「そうデスね。……ところで最近、お家で二人きりで勉強会してるデス?」
久世橋「……ノ、ノーコメントでっ!」 




79 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:20:21 ID:0B75bIWk

カレン「ハイ? 『英語で稼いで逃げ切る作戦』?」
カレン「た、たしかに、それはアリかもしれないデスけど……それだけじゃダメデスよね?」
カレン「数学とか国語とかの点数、見マス? ……『分かってるからやめとく』? そうデスよね」
カレン「……『今からでも私立一本にするのもアリじゃないか』? うーん」
カレン「デモ、それはあなたの希望じゃないデスよね? だったら、それはダメだと思いマス」
カレン「あなたに申し訳が立ちマセンし……」

カレン「――それじゃ今日もお願いしマス。『先生』」
カレン「やっと、一年の頃に覚えたことを思い出してきマシタ」
カレン「ハイ? 『一年の時から不真面目だったのに』? ……そ、それはデスね」 




80 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:24:34 ID:0B75bIWk

カレン「……あっという間に夏休みデスね」
カレン「受験のてんのーざんデス! ガンバらないとデスね」
カレン「……『模試の結果は?』 え、えっと……言わないとダメデス?」
カレン「『今の状況を見とかないとまずい』、デスカ。……あなた、ホントに先生になった方がいいんじゃないデスか?」

カレン「……あ、あの。たまにはプールとか行くのもいいんじゃないデショウか?」
カレン「気分転換になりマスし。体力勝負デスし」
カレン「……『プール行った後、ちゃんと勉強できるのか』? うっ、そ、それハ……」

カレン「ハイ? 『ここまで解けたら一緒にプールに行こう』?」
カレン「……ありがとうごじゃいマス」
カレン「ただ、その……これ、きっと三日以上かかりマスよね?」
カレン「『それくらいちゃんとやってくれ』? ……わ、わかりマシタ」
カレン「ハァ……早く行きたいデス」 





Drain Mansion




81 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:28:47 ID:0B75bIWk

カレン「――お待たせデス!」
カレン「どうデス? 似合ってマス?」
カレン「……考えてみたら、あなたとプールとか海とか行ったことなかったデスね」
カレン「その……つ、付き合い始めたのが夏休み明けからデシタし」
カレン「ハイ? 『凄く似合っててビックリした』? ……ス、ストレートデスね」
カレン「……ありがとうごじゃいマス」
カレン「『照れちゃってるし早く泳ごう』? ……うう」 




82 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:29:29 ID:0B75bIWk

カレン「……」
カレン(デモ……最近は何だか安心してマス)
カレン(きっと、これからの方針とか決まったからデスね)
カレン(彼も相変わらず優しいデスし……良かったデス)

カレン「……ただ」
カレン「『この模試の結果はどうする?』、デスか……うーん」
カレン「ラーメン食べてから考えマショウ! ……ダメ、デスか。やっぱり」 




83 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:35:27 ID:0B75bIWk

カレン「――ただいま」
カレン母「あ、ああ、カレン……お帰りなさい」
カレン「ママ? どうかしたの?」
カレン母「その……」
カレン「……」

カレン「え?」


カレン「……『どうかしたのか』?」
カレン「い、いえ! なんでもないデス!」
カレン(……昨日の)


カレン母『それがね。……あなたもイギリスに帰らなくちゃいけないかもしれないの』
カレン母『お仕事の都合上、家族で一緒じゃないとダメの可能性もあるんですって』
カレン『そ、そんな! それじゃ、ここに残れないってこと?』
カレン母『……もしかしたら』
カレン『そ、そんなぁ……』
カレン母『今、パパがガンバって話してくれてるわ。……私も、あの子にだったらあなたを任せても安心だと思ったし』
カレン母『なるべくならそうさせてあげたいんだけど、ね……』
カレン『……うう』 




84 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:36:56 ID:0B75bIWk

カレン「……ハイ? 何か言いマシタ?」
カレン「『やっぱり何か考えてる』? そ、そんなことは……エット、その」
カレン(ダ、ダメデス。こういう話をしたら……彼も集中できなくなっちゃいマス)
カレン(それじゃダメデス。……アレ? 彼の顔が近く二?)

カレン「……!」
カレン「い、いきなりギュッてしちゃダメデスよ!」
カレン「……『絶対、何か困ってるから』?」
カレン「『言えないならしょうがないけど出来るなら言ってほしい』? ……うう」
カレン「……いいんデスか? 後悔するかもデスよ?」
カレン「……『話してくれるのに何で後悔するのか』? わ、わかりマシタ」
カレン(ああ……やっぱり私、甘えちゃってマス) 




85 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:42:58 ID:0B75bIWk

カレン「――どう、思いマス?」
カレン「もしかしたら、私……ここから離れないといけないかもデス」
カレン「そう思ったら、全然落ち着かなくなっちゃいマシタ……」
カレン「……ど、どうして撫でてるデス?」
カレン「『話してくれて嬉しかったから』? ……て、照れちゃいマス」
カレン「……」

カレン「あ、あの」
カレン「もし、私が……向こうに帰らなくちゃいけなくなったらどうしマス?」
カレン「……『寂しいけどしょうがない』?」
カレン「『遠距離恋愛になっても好きは好きだから』? ……ホントっぽいデスけど、ちょっと嘘デショウ?」
カレン「……『ホントは寂しくてしょうがない』? ほら、やっぱり」
カレン「だ、大丈夫デス。まだ、決まったわけじゃないデスから」

カレン「……今日は、このままお喋りしてマセンか?」
カレン「そ、そうしないと、私……不安でしょうがナクて」
カレン「……『あなたも同じ』デスか。それじゃ、もっと近づいてもいいデスか?」 




86 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:48:10 ID:0B75bIWk

カレン「……」
カレン(ダメデス。全然、集中できマセン……)
カレン(勉強、しないとダメなノニ……これじゃ、やっぱり彼にも迷惑だったんじゃ)

カレン「……アレ? 着信?」
カレン「もしもし? どうかしたデス?」
カレン「『勉強が手についてないんじゃないかと思って』? ……ハ、ハイ」
カレン「そっちはどうデス? ……『少しずつやってる』?」
カレン「『話しながら勉強しないか』? ……もうっ」
カレン「どうして、いつも……私がそうしてほしいタイミングで、こういうことをデスね……」
カレン「べ、別に泣いてないデス!」 




87 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 20:52:37 ID:0B75bIWk

カレン(――修学旅行が終わってから知らされたのは)
カレン(きっと、パパとママも気を遣ってくれたデスね……)
カレン(ハァ。……ホントに、どうしたらいいんデショウか)
カレン(結局、答えはでないままデス……)

カレン「――お、お邪魔しマス」
カレン「今日も、ご両親は? ……『留守』?」
カレン「そ、そうデスか……」
カレン(結局……私が帰るかもしれないことを伝えてから、彼の家に入り浸りっぱなしデス)
カレン(何をするわけでもなくて、ただ一緒にいるだけデス。……ホントに、これでいいんデショウか?)
カレン(よくない、デスよね。ヤッパリ)
カレン(どうしマショウ……?)

カレン「……『勉強、するか?』」
カレン「で、出来るんデスか? ……え?」
カレン「『膝、乗っかっていいから』って……そ、それじゃ、勉強にならないデショウ!」
カレン「……『そうすれば少しは私の頭にも入るし、あなたの助けにもなる』?」
カレン「う、うう……」 




88 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:11:06 ID:0B75bIWk

カレン「……あ、あの」
カレン「この体勢、凄く恥ずかしいんデスけど……」
カレン「『こうでもしないとお互いちゃんと勉強できそうにないし』? ……しょ、しょうがないデスね」
カレン「……私も手、動かした方がいいんデショウか?」
カレン「ハイ? 『見てるだけでも勉強になるはず』? ……もう。あなたは優しすぎデス」

カレン「……」
カレン(そういえば小さかった頃……パパの膝の上で、こうして絵本を読んでもらったりしたことがありマシタね)
カレン(何だか、その時のことを思い出しマス。……アレ?)
カレン(ってことは、まさか……この人は、私のパパだった!?)

カレン「――なーんて」
カレン「……ど、どうして照れてるデス? 何かあったデスか?」
カレン「『まさか、あなたのお父さんみたいなことをするなんて思わなかったから』? ……ど、どうして、同じタイミングで同じことを考えてるんデスか!」
カレン「は、恥ずかしすぎマス!」 




89 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:16:39 ID:0B75bIWk

カレン「……」
カレン(デモ……こうしてると落ち着きマス)
カレン(どうしてデショウか? ……こんな相手と離れるかもしれないなんて、冗談だと思いたいデス)
カレン(そんなの、絶対イヤデス。……かくなる上ハ)

カレン「――駆け落ち、しマス?」
カレン「……『本気か』? ハイ、本気デス」
カレン「もしも、そういうことになってしまったら……そうしたいデス」
カレン「あなたは、どうデスか?」

カレン「……『自分はともかく』」
カレン「『私に責任を負わせたくない』? ……あ、あなたらしい答えデスね」
カレン「ありがとうございマス。それじゃ、駆け落ちはダメデスね……」
カレン「……アレ? ど、どうして泣いてるんデショウか?」
カレン「まだ決まったわけじゃないノニ……不安でしょうがないんデス」
カレン「……『いつ頃、分かりそう』、デスカ。クリスマスのちょっと前くらいに決まるみたいデス」
カレン「考えてみたら……もうすぐ、デスね」 




90 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:21:14 ID:0B75bIWk

カレン「――あっ! こっちデス!」
カレン「今日は、わざわざすみマセン。……ママとパパが、あなたにも来てほしいって言ってたノデ」
カレン「……い、行きマショウか」

カレン(――決まった、ということは話されてマシタ)
カレン(だから……こうして、彼が呼ばれたんデショウ。不安そうデス……私もデスけど)
カレン(まだ、どうなるかは分からないわけデスし……)


カレン「……」
カレン「その……泣いてもいいデスか?」
カレン「『思い切りどうぞ』? ……そ、それじゃ、あなたの腕の中で、でもいいデスか?」

カレン「……良かった、デス」
カレン「これで――」

カレン「私も、こっちで受験できるんデスね……」 




91 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:25:21 ID:0B75bIWk

カレン「――クリスマスデートデス!」
カレン「今年は、どうしマス? ……『鴨川シーワールドとか』?」
カレン「それいいデスね! 楽しみデス!」
カレン「ハイ? 『一気に元気になった』? ……それは、あなたもデショウ?」
カレン「嬉しくてたまらないデス!」
カレン「……『また勉強に集中出来そう?』 そ、それハ……」
カレン「クリスマス、終わったら助けてくだサイ。お願いしマス」

カレン「――楽しかったデスね」
カレン「やっぱり水族館っていうのは楽しい所デス」
カレン「何かキラキラしてるというか……今の私の気分みたいデ」
カレン「……わ、笑わないでくだサイ」
カレン「ハイ? 『同じこと思ってたからつい』? ……も、もうっ」 




92 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:27:49 ID:0B75bIWk

カレン「……んんっ!」
カレン「……」
カレン「こ、今年もクリスマスにしちゃいマシタね」
カレン「明日からは気合い入れ直さないと、デスね」
カレン「あなたと同じ所に行けるよう二……」

カレン「――デモ」
カレン「ちょっと疲れちゃいマシタ。……ギュッてしながら寝てもいいデスか?」
カレン「……『お風呂に入ってからの方が眠れるんじゃないか』? ふふっ、それもそうデスね」
カレン「それじゃ……一緒に入りマショウか」 




93 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:35:33 ID:0B75bIWk

カレン「……何、お願いしマシタ?」
カレン「私、『一緒の大学に行けますように』デシタ。……あなたハ?」
カレン「……『一緒にいられますように』? ふふっ、同じ感じデスね」
カレン「え? 『ちょっと違う』?」
カレン「『一緒の大学じゃなくても、私とずっと一緒にいたいから』? ……え、エット」
カレン「や、やっぱり照れちゃいマスね……もう」

カレン「……絶対」
カレン「同じ所、行けるようにしマス。イギリス帰りの話が無くなってから私、ずっと集中できるようになりマシタ」
カレン「ですから……あなたのことを想うと、いつまでだって勉強できちゃいマス――」

カレン「……ぷはっ!」
カレン「い、いきなり口塞ぐのは反則デス!」
カレン「『可愛すぎたから』って……そ、そういう所がデスね」
カレン「……お返しデス!」 




94 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:40:05 ID:0B75bIWk

カレン「……センター、デスね」
カレン「避けちゃダメな闘いデス」
カレン「あなたは調子、どうデス? ……私、震えっぱなしデス」
カレン「足腰がガクガクいっちゃって――」

カレン「……!」
カレン「ハ、ハグデスか……『少しは落ち着いたか』?」
カレン「ハ、ハイ。ありがとうございマス」
カレン「……もう」

カレン「落ち着きましたケド……何だか集中できるか分からなくなっちゃいマシタ」
カレン「デモ……ホントにありがとうございマス」 




95 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:42:56 ID:0B75bIWk

カレン「……な、何とか、ボーダーラインデシタ」
カレン「あなたハ? ……って聞くまでもないデスね」
カレン「これで、まず第一ステップクリアデス!」

カレン「……」
カレン「ハイ? 『どうして照れてるのか』? ……エット、デスね」
カレン「そういえば……あなたと越えていくあれこれも『ステップ』って呼んでたなぁ、って」
カレン「思っちゃったもので……あっ!」
カレン「ま、またギュッてして……もう」
カレン「いいデスよ。……もしかしたら、私からしちゃってたかもしれないデスし」 




96 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:47:50 ID:0B75bIWk

カレン「――ついに、この日が来ちゃいマシタね」
カレン「準備はいいデスか? ……『私の足が震えてる』?」
カレン「こ、これは武者震いデス! ……ただ、不安過ぎるだけデス」
カレン「デ、デスから――」

カレン「……ぷはっ!」
カレン「……今の不意打ち、ありがとうございマス」
カレン「おかげで、燃えてきマシタ。……唇、熱いデスし」

カレン「――それじゃ」
カレン「絶対……勝ちマス!」 




97 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:50:45 ID:0B75bIWk

カレン「……」
カレン「すみマセン。……ちょっと胸、貸してくれマセンか?」
カレン「今、あなた以外の誰にも顔を見せたくないデス」
カレン「……これ、夢じゃないんデスよね? ホントなんデスよね?」

カレン「――あの」
カレン「今なら……不意打ち、許してもいいデスよ?」
カレン「『そういうのは不意打ちって言わない』? ……そ、そうデスね」
カレン「それじゃ、こっちから……いい、デスか?」

カレン「――祝勝記念、デス!」 




98 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 21:57:03 ID:0B75bIWk

 ――こうして。

カレン「……そういえば」
カレン「あなたのご両親に、ちゃんと挨拶してマセンでしたね……」
カレン「今度、行ってもいいデス? ……そ、そんなに照れないでくだサイ」

 ――私たちは一緒になれマシタ。
 途中、色々タイヘンな感じになったりもしてしまいマシタけど……これでやっと決着がついた気がしマス。
 あっ、デモ……「決着」というには。

カレン「――だって」
カレン「いつか……私の『ママ』と『パパ』になるかもしれないデスし」
カレン「……い、言ってて恥ずかしくなっちゃいマシタ」
カレン「で、デモ! 挨拶はさせてくだサイね?」 




99 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:00:48 ID:0B75bIWk

 彼とは大学で会う以外に、私の家にも来たりしてもらってマス。
 つくづく、家のママとパパが彼を気に入ってくれて良かったデス。
 そうじゃなかったら……私はイギリスに帰っていた可能性が高いんデスから。


カレン「――奇跡、みたいなものなんデショウか?」
カレン「どう思いマス? ……『私の努力があったから』?」
カレン「え、えっと……そ、それはあなたも同じデショウ?」


 ――時々、私は高校を訪ねマス。
 そして、久世橋先生を照れさせたり、こっちが照れたりしてマス。
 それにしても、久世橋先生は私に感謝しすぎだと思いマス。
 ……「好き」って気持ちに理屈なんて関係ないノニ。 




100 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:07:40 ID:0B75bIWk


 ――私が好き、デスか……


 初めて彼に打ち明けられた時、私にはその感覚がわからなかった気がしマス。
 結局、あの「お試し」を彼が受け入れてくれて、その中で見つかっていった感じデスし……。
 そういう意味で、ホントに彼は優しすぎると思いマス。……さりげない気遣いにしても、それ以外の所にしても。

 ――さて。
 鏡の前で身だしなみのチェックと「内容」を思い出しマス。
 今日は、とても大事な日デス。……彼も、初めてママとパパに会った時、そんな気持ちだったんデショウか。

 外に出ると快晴デシタ。
 まるで私を応援してくれているような……そんな気がしマシタ。

 ――彼の家の前で深呼吸デス。一回、二回……。
 そしてゆっくりとインターホンを押して――

カレン「は、初めましてデス! 九条カレンと申すデス!」

 ――顔を真っ赤に染めながら。
 私は、噛まずに言葉を言えたことに安心して……彼のお家へと上がっていきマシタ。


 おしまい 


bPuPhyX




101 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:09:32 ID:0B75bIWk

カレン編でした。
色々話が飛んでしまった印象もありますが、ここまでです。
カレン編はイベントを作るのが難しかったですね……。

これで一応、「私が好き」もおしまいです。
もし思いついたら何かサイドストーリー的な何かも投下するかもしれません。
ありがとうございました。 




102 :名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/02/08(月) 22:26:58 ID:Pr1Dr3JQ

乙ぅ~
SS複数並行して捌くとはやりますねぇ! 


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きんモザのカレンパーカー再販決定

12月1日は九条カレンさんの誕生日デース!

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もう7回くらい忘れていたので






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