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年末特別企画第2弾は「慰安婦問題」です。


2020年、韓国では元慰安婦を取り巻く環境に非常に大きな変化がありました。慰安婦支援団体の「正義記憶連帯」とその元代表であり、国会議員(共に民主党)に当選したばかりの尹美香に不正疑惑が発覚し、さらに慰安婦施設「ナヌムの家」でも寄付金流用疑惑が出て韓国社会を揺るがしました。

その発端となったのは、2020年5月、生存する元慰安婦の中で最も有名なイ・ヨンス氏が寄付金の使途をめぐり、正義連と尹美香元代表の不正疑惑を暴露する会見を開いたことで事件が明るみになりました。




これに対してすぐさま反論に出た尹元代表。過去、イ・ヨンス氏に支払ったお金の領収書を公開するも、寄付金に対して渡した金額が少なすぎると逆に不信感を高める結果になりました。




さらに尹元代表は、イ・ヨンス氏が正義連の前身である挺対協に初めて連絡してきた時、「自分ではなく友達の話」と言ったとし、イ・ヨンス氏が偽物慰安婦である可能性を暗に指摘して、事態が泥沼化する様相を示しました。




また、挺対協が日本からの賠償を受け取らないよう元慰安婦たちを説得していたり、それを拒否して賠償を受け取った元慰安婦に対して裏切り者扱いしていたという話まで浮上。




さらに、慰安婦問題の初期、正義連(当時挺対協)と対立して決別した元慰安婦のシム・ミジャ氏を慰安婦被害者名簿から除外して記念碑を建てるなどしていたことが発覚。これは被害者中心主義を真っ向から否定する行為であり、同団体に対する不信感がさらに高まりました。シム・ミジャ氏は日本の裁判で正式に元慰安婦と認められていた女性でした。




参考までに、シム・ミジャ氏は過去の裁判で、挺対協の元慰安婦は中国から輸入された偽物慰安婦だという主張を提起していました。




これに対して、尹元代表の所属政党である共に民主党は「尹元代表に対する疑惑提起は親日派の最後のあがき」とし、政敵による政治的攻撃だと主張しました。




しかし、その後も、団体の不正会計疑惑が次々と発覚します。






元慰安婦のために集めた寄付金を別の極左団体を渡していた事実も確認されました。




尹元代表個人としても、元慰安婦のために購入した施設を一度も使わせず、自分の父親を管理人に置くなどして私物化している疑惑が提起されました。




また、その施設自体も、相場を大きく上回る法外な値段で取り引きされていたことも分かり、裏金疑惑も浮上しました。




慰安婦施設だけでなく、自分の自宅も、ローンなしの現金一括購入を2度も行っていたことが分かり、一市民団体の代表がどうやってそんな大金を持っていたのかと疑いの目が向けられました。




慰安婦問題を公論化し、挺対協創設に携わった市民団体の代表は、尹元代表の取り組みについて「挺対協の代表になってから金儲けに熱中」「慰安婦をパフォーマンス化した」と批判しました。




一連の騒動を受け、韓国検察も捜査に乗り出しました。




事態が泥沼化すると、騒動の発端となったイ・ヨンス氏を批判する声も共に民主党の支持者から徐々に出始めました。




その後も、慰安婦支援団体による不正疑惑は出続けます。正義連とは別の団体で、元慰安婦の居住施設「ナヌムの家」でも寄付金流用疑惑に加えて、虐待疑惑まで浮上しました。




ここまでが、最初に疑惑が提起されからわずか2週間の間に起きた出来事です。この2週間で、これまで正義と認識され国民の支持を受けてきた支援団体が、私腹のため、政治目的のために元慰安婦を利用していたのではないかという疑惑が強まり、30年に渡って積み上げられた慰安婦神話はもろくも崩れ去りました。

その一方で明確になったこともありました。それは慰安婦支援団体が、元慰安婦の生活を支援するための奉仕団体ではなく、元慰安婦の名誉回復のための団体であるということです。慰安婦支援団体に寄付されたお金は、慰安婦の生活費にあてられるのではなく、名誉回復運動に使われるということです。しかし、多くの韓国国民は元慰安婦の生活が楽になればと寄付していた側面があります。支援団体もそういう名目で寄付金が集まっていることを知っていたでしょう。知っていながらそのお金を運動に使用したことは寄付者に対する道理的な過ちがあると言えます。詳しくは私が書いた以下のコラムを参照ください。




寄付金が元慰安婦の生活支援にあてられていなかったので、当然のことながら元慰安婦に実際に支給された金額は少なくなります。その額は寄付金全体のわずか3%に過ぎませんでした。




正義連とは別の団体で、元慰安婦の生活支援が目的なはずのナヌムの家も、その後明らかになることですが、寄付金全体の2%しか元慰安婦に使っていないばかりか「捨ててやる」との暴言を浴びせていたことが発覚して波紋を呼びます。




一連の騒動について、ついに尹元代表が公の場で釈明会見を行いました。すごく長い記事ですので一言で説明すると「私はやっていない」という話です。汗だくでしたが。




韓国内で尹元代表に対する批判が声が高まると、なぜか北朝鮮が尹元代表を擁護する論評を発表しました。このタイミングでの擁護は逆に北朝鮮とのつながりをさらに疑わしくする行為でもありました。




会見後も尹元代表に対する批判は冷めやらず、元慰安婦の遺族からは「元慰安婦たちは尹美香を怖がっていた」というミートゥーさながらの暴露話まで出てきます。




日系米国人で、慰安婦問題など日韓懸案に度々口を挟み韓国の肩を持ってきたマイク・ホンダ議員も尹元代表を批判しました。




そんな中、恐れていた事態が発生します。慰安婦施設の所長が自殺した状態で発見されました。




これに対して尹代表「記者と検察が苦しめたせい」いや普通にお前のせいだろ。




騒動から1ヶ月、沈黙を守っていたこの人が口を開きました。「慰安婦運動の崇高な志が損なわれてはならない」




「おばあさんたちがもう大丈夫と言うまで解決策を探す」とも述べました。




そしてついに尹元代表が寄付金と公金を個人用途で使用したなど6つの嫌疑で在宅起訴されます。




一連の騒動を受けて韓国政府は、今後、慰安婦被害者支援事業は市民団体ではなく国が管理すると宣言。正義連に対する補助も今年いっぱいで打ち切る方向で検討。正義連としては国民にも背を向けられている状態なので、もはや活動資金を得る道はなくなったとも言えます。事実上の死刑宣告。おそらく来年には正義記憶連帯は消滅するでしょう。




さらに追い打ちをかけて、元慰安婦の家族が正義連に寄付したお金を返してくれと訴えます。元慰安婦にも背を向けられた慰安婦支援団体の存在価値とは…




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