2016年01月21日 11:00

『ライフ・イズ・ビューティフル』


 『ライフ・イズ・ビューティフル』

 監督・主演/ロベルト・ベニーニ/1997/イタリア

 喜劇の名作です。

 舞台は、第二次世界大戦前夜の北イタリア。(以下、映画の内容にかなり踏み込みますので、まだご覧になっていない方はご注意ください。)

 陽気でおしゃべりで頭の回転が速いユダヤ人の男が主人公。駆け落ちして一緒になった妻と幸せな家庭を築いたのも束の間、ナチスの迫害にあい、妻と幼い息子と一緒に収容所に入れられてしまいます。しかし、息子を励ますために、「収容所暮らしは一つの大きなゲームなんだ。がんばって賞品の本物の戦車を獲得しよう」と弁舌と演技の限りを尽くして信じ込ませることに成功。ついに解放の日が近づきます。ところが・・・。

 主人公の息子への愛情や智恵や明るさ、たくましさが伝わってきます。

 前半の、女性になれなれしく近づいて口説く様子などを見ると、なんだかお調子者の詐欺師のような印象さえ受け、私は余りいい感じをもたなかったのですが、その資質が収容所では息子を守るために働き、俄然光ってきます。

 実際にはあり得ない話であることは明らかですが、陰惨な収容所生活をゲームに見立てる発想は実に大胆で、喜劇としての作品世界を築き、そこに視聴者を引き込んで感動させます。虚構の力というものを感じさせる作品です。



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