一緒にご飯を食べようということになって、夕方、ミチコさんと新宿のステーキハウスに出かけた。
「もしかして」とミチコさんは熱々の肉にナイフを入れながら切り出した。「こないだうちでマスターと一緒にいたこと、何か誤解してない?」
「いえ、そんなんじゃないです」
「嘘。ぜったい何か誤解してるわ」
僕は肉を噛みながら黙っていた。
「ほんとのこと言うわね」ミチコさんはナイフとフォークを皿に置いた。「マスターとは前にも後にもあれきりなの」
「あれきり?」
「そう。あの日、一度だけ寝たのよ」
こたに大将