旅館の主人が運転する軽トラックで、薄暗くなった細い道をミチコさんの実家まで連れていってもらった。それは小ぢんまりとしたトタン屋根の家で、小さな窓から灯りが漏れていた。
「みっちゃん!」
主人は軽快に車を降りると、勝手知ったる様子で玄関先に立って、まるで子供が遊びに誘いにきたときのような大きな声で呼んだ。「みっちゃんのお客さん連れてきたわよぉ」
僕も車を降りた。
奥の方でがたがたと音がして、引き戸がさっと開いた。ミチコさんだった。ややあって僕と目が合った。短い沈黙があった。
こたに大将