ハル(211)
それから僕はユキヨとともに苫小牧で冬を越した。彼女が夜の仕事で稼いでいた分は僕が補充した。
「お金持ちなんだね」お金を渡すたびにユキヨは言った。「そうでなかったら犯罪者だわ」
思ったことをぜんぶ口に出してしまうのも良し悪しではあるけれど、おかげで彼女は裏表がなくてとてもわかりやすかった。湖畔のホテルに呼んだ女性の中で、こんなあけすけな女性はユキヨひとりだったと思う。
「要するにバカなのよね」とユキヨは折に触れて自嘲した。「バカ正直で損してばっかりしてる」
それが僕には心地よかった。
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