2024年01月04日

ハル(217)

 天はこれ以上ないはっきりとした答を返してくれた。苫小牧にいる理由はないということだと僕は解釈した。けれどいざユキヨと別れようとなると、何と言って出ていけばいいのか見当もつかなかった。
 けっきょく僕は昼間ユキヨが水産会社に働きに出ている間に、置き手紙ひとつ残さずアパートを出た。春先のまだ肌寒い頃だった。タクシーを呼び、新千歳空港まで行って、いちばん早い羽田への便に乗った。
 東京に行ったところで僕には行くあてもなく、またしばらくはホテル住まいだった。ただ、もう添い寝は必要なかった。

kotani_plus at 12:00コメント(0)250字  

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