ハル(217)
天はこれ以上ないはっきりとした答を返してくれた。苫小牧にいる理由はないということだと僕は解釈した。けれどいざユキヨと別れようとなると、何と言って出ていけばいいのか見当もつかなかった。
けっきょく僕は昼間ユキヨが水産会社に働きに出ている間に、置き手紙ひとつ残さずアパートを出た。春先のまだ肌寒い頃だった。タクシーを呼び、新千歳空港まで行って、いちばん早い羽田への便に乗った。
東京に行ったところで僕には行くあてもなく、またしばらくはホテル住まいだった。ただ、もう添い寝は必要なかった。
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