January 09, 2016
ドビュッシー "仮面"
華やかなリズム。
しかし喧噪と歓楽の響きには黒い闇がつきまとっている。
小気味良い曲運びは、悲嘆故の物騒がしさか。
フォーレ "月の光" に登場したワトーの
'イタリア喜劇の恋'
のようでもあり、更に深い闇が見えもする。
"月の光" は、遣り切れなさを振り払う様が描かれたが
当曲 "仮面" は自らの痛みを嘲笑うかのような心の暗さを思わせた。
"仮面" に抱いたそんな感想が間違ってはいなかったと知ったのは後になってからだった。
ドビュッシー自身が《これは単なるイタリア喜劇ではない、人間存在の悲劇的側面の象徴なのだ》と語っていると読んだのだった。
怖れを持ちながら怖れから逃れようとしない闇にも思えた。
ギュスターヴ・モローの絵画が装丁の素敵な青柳いづみこ様のご著書 "ドビュッシー 想念のエクトプラズム" にもドビュッシーが語ったという同文がありました。
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