落合桜　パリの風:　　パリの風17

　　パリの風17

July 17, 2024

夏のおうちコンサート

好きなカードが溜まって、飾りたいけど場所を決められないことってあるよね。

壁に貼るとがちゃがちゃするし、額に入れるほどでもないかなってカード達・・・

そんなときは本棚やキャビネットにの奥に貼り付けると割といい感じになることがあるんです。

'こちゃっ' (←可愛いごちゃごちゃのこと) としてる所に同じテイストの 'こちゃっ' を合わせると引き立て合うこともあるね。

ブルゴーニュ君のお洋服もハート刺繍でこちゃっとしてます。

ダイニングボードの敷き布を取替えて、夏向けにすっきり目にまとめ

こちらには桔梗を。涼しそうな姿だナ。

今日はブルゴーニュ君の月決めお誕生日・兼・おうちコンサートです。事情で時刻が遅めだから午前はゆっくりおさらいできた。

今日お人前で弾くためにではなく、もうちょっとさらいたい。今日で一旦お別れする曲に名残を惜しんで大切に弾こう。

lasalledeconcert at 11:29｜Permalink│

July 13, 2024

ピアノ曲「小さな羊飼い」の凪

ピアノ室の隅っこコーナーでアイスコーヒーを飲む。

この小さな隅っこが好き。ピアノ中はよくここで休憩に何かしら食べたり飲んだりしてる。

この日はヴィーガンチョコを食べてた。

苦くてカカオ含有率の高いタイプで私はちょっと苦手だったな。ビジュアルは素敵なのにな～

ドビュッシー作曲 '子供の領分' 第5曲 "小さな羊飼い" を弾いた。この曲をとても愛してるんです。

この曲についてよく語られるのは、長い音符・長い休符が多くゆっくりと流れる様を、羊飼いの心に去来する哀愁のように扱う... という形でしょう。

繊細ですくない音には確かにその要素があるでしょう。

でもそれだけではない気がします。

毎日同じ山の景色、昨日も明日も変わらぬ高地の放牧地。

同じように陽が昇り、同じ景色の中で空が暮れて、
羊達は今日も同じ牧草で食事をしてる。

羊飼いもきっと昨日と寸分違わぬ昼食を携えてる。

目の前には山脈が連なる。
本当は遠いけれど、巨大な山の連なり故に距離感が失われて近いように見えている。

変わらない景色。変わらない日常。

付点二分音符後のカンママークにフェルマータがついてる。楽譜の中のこの時間に陽が昇り、陽が高くなるような、「のったりと」した時が流れるみたいで・・・

Cedez... の指示後のカエスーラも同様の存在じゃないかな。

しばしば何かが休止したかに見えるこの '曲の絵' は、「羊飼いの感傷」だけでなく、ただ単に「彼にとっての時間の流れ方」もありそうですね。

デリケートな曲には違いないんだけれど、ドビュッシーは『そこの部分でのセンチメンタルの顕し』は野暮だと認定する側のお人であるってことが自分には重要で。

情感は込めても、おセンチにしないのが好き。

「plat」( '平らかさ' は否定的と限ったわけではなく、中立な表現でも、時に肯定的な表現でも使われます。'凪' と言い換えたらいいかな) かつ「la vie quotidienne sans rien」(何もない日常) の要素があり、しかし何もないからといって「la vie vide」(空虚な生活) とは非なるものである、

というポジションでこの曲を見てます。

lasalledeconcert at 11:41｜Permalink│

July 11, 2024

2つのピアノ曲集

お友達が来てくれる日のために、デザートの練習～

昨日試作したのは中の果物が見えなかった反省点を踏まえて、2度目の今回はレモネードのゼリーにしました。

ブルーは自家製のバタフライピーで色付けしてるよ。

2度目もやはり失敗してる点があって、透明な1層目をもっと多くすべきだったと反省。

低い位置で2層目を入れちゃったから1層目の存在感が無さすぎたナ。

上から見たところは悪くないと思うけど (当社いちごイチジク比) 横からのビジュアルに締まりがなかったな。

お友達が来る本番ではココにレモンピールの甘煮を添える予定です。昨日はワックス&農薬不使用のレモンが売ってなかったので無しなのです。

　　　註：いちごイチジクは家庭内だけの架空のお店だよ。

おうちコンサートプログラムなのですが、せんにドビュッシーの "子供の領分" を入れるなら他曲との組み合わせを迷うワ...って内容を呟きました。

　　*夜のワイン・朝のハーブとアコーデオン

あの時はまだどんな系統のコンサートにするか決めてない段階でしたが、組み合わせるドビュッシー曲は '具象を排した作品' が良いという考えが浮かんでおり、その考えに沿って "ピアノのために" を併せたの。

結果的に良い考えだったように思えます。

"子供の領分" はタイトルも楽曲内容も具象に彩られながら、それに纏わるイマージュを各人が抱ける幅を保った「小さなおはなし」のようであり絵本のような世界でもあり、

またイマージュから派生したものもあり・・・いずれもディテールの存在感を強く感じる曲達ですね。

対して "ピアノのために" は特定の具象を示さないまま、巻き込まれる如くにドビュッシーのピアニスティックな世界に連れて行ってもらえる楽曲で

若々しく (作曲年のまだ若いドビュッシー年齢以上に若々しい) 勢いがあり、大いに明るさが含まれていながら彼特有の頭脳的なものも十分に感じられます。

特にプレリュードはその頭脳性がイマージュに溶け込むタイプの曲ではなく、イマージュを排する側の曲に分類されるように思えます。

lasalledeconcert at 11:56｜Permalink│

July 05, 2024

めまいとドビュッシー

いい朝を過ごせました!

先月訪れた神戸森林植物園の写真をあげながらおしゃべりしますね。

紫陽花の周辺は大人気の混み具合だったから、お人が写らないように撮れる瞬間がなかなか無くて... 私たちも色んな写真に写り込んじゃってるよねと苦笑しながら歩いたのでした。

今日はね朝一で蝶番君にお客様代わりになってもらって、おうちコンサートの予行を済ませたのです。

午前に一仕事終えた感が気持ち良いのと、ピアノのあとは高揚してるために体調も良くなって、久々に嬉しい朝なのです。

すこし特殊な貧血が治らず、長らく目眩に悩まされてきた。

目眩がつらいからと動かないでいると筋力が落ちるせいか尚しんどいところが出てきてしまい、

だから自分を鼓舞してできる限り色んな事をして動くように努めてた。

すると今度は、気分を奮い立たせて動くことで溜まる疲労が取れなくなって・・・

体との付き合い方を変えて、一日の休み時間を長く取るようにしたほうがいいのかな? と迷ったり。

一方にこの悩みを常時抱えながらも、ピアノさえ弾けば元気になるというマジックに日々騙されてもいるのです。

物心つくやつかぬの頃からの現象で、一頻りピアノを弾くとハイになるのが体に影響するからか一時的に具合が良くなるので、休みどきが分からなくなる・・・

加減が悪いから休みましょうかと落ちた気分で考えて　→　休む前にピアノのお稽古だけ済ませておきましょうと相成り　→　弾いてるうちに楽しくなってしんどさを感じなくなったワのマジックに騙されて　→　今日はこの調子で動けそうだから明日休めばいっか

という負のループに嵌って、何一つ改善できないままなのです。

実際今だって、通し稽古が完了した興奮状態と適度な運動に寄る心地良さに騙されて「いい朝を過ごせました! 」とか言っちゃってるんだと思う。

どうしてこう学習できないんだろ・・・

ここ数日、夜の時間はドビュッシーのオケものを聴いてました。

オーケストレーションの素晴らしさを追いながら真剣に聴き、音楽から立ち上がってくる音の映像を心から楽しみました。

「オケでのドビュッシーの音」は「ピアノ曲でのドビュッシーの音」とは異なる要素は多いし、異なる美学と言える部分もあるから、必ずしも「オケでのドビュッシー」をピアノに流用はしないんだけれど、

今朝は耳に残ってた音と・オケの楽器使いと・譜面の構造が、偶然にピアノ曲の中で重なるのを見出しながら演奏できたのも心楽しいことだったのです。

■ピアノの楽しみのこと

*滑り台
*お気に入りの遊び

*今日どこ行ってみる?
　　*とるに足らない事をする日
　　*ピアノと枇杷の冠

*フォロ・ロマーノの時間
*無限を過ごす喜び

　　*幸せなピアノ時間
　　*パンとピアノの楽しみ
　　*ミニカップケーキと音楽ジャカジャカ
　　*音楽なに聞く? ストロベリータルトもね
　　*楽しい熱の日
　　*ピアノと焼き菓子
　　*シューベルトで楽しい迷い
　　*ピアノとネイル
　　*ベリータルトと、幸せな迷い
*今日もピアノ室に居ます

*うさぎダムの小川とピアノ
*ピアノと節約と時間
*ピアノの練習時間。長い? 短い?

■生き直しのこと

*失われた紫陽花

*台風の日にクッキー焼いて思うこと
*生き直しの目標の話

*不運と春の日
*ピアノに乗せる　

*安堵する写真
*ピアノ室のサクランボ
*ダウンした幸せな日

*往きと復り
　　*後悔と楽しみ
　　*10代のお稽古と後悔
*喉の奥の空気
*無目的のピアノ
*時を経たピアノ

*何かのためのピアノ
理想のピアノプログラム

■コンサートのこと

*羨ましい5月3日
*美しき5月3日の豊かさ

*ピアノの後遺症のこと
*ピアノ後遺症が続く
*今日も楽しいピアノ
*クラフトクッキー・ピアノの弾き方が解る瞬間

*斜め者のやすらぎ
*柘榴のポエジー

*膜
*雑味
*入口・出口

*古本とドビュッシー
*大洋の波

*ピアノ終われない話
*おはなしと2人の聴衆

*ピアノ聞きにお客様
*楽しかった! 聞いて聞かせるピアノ
*ラウンジチェアでピアノが聞けるようにした
*ピアノの角度と南天の実
*楽しいミニコンサートでした♪
*おうちコンサートって
　　*ドビュッシーのファンです
*苺タルトと、おうちコンサートのこと
*ミモザ、お花のフィナンシェ、おうちコンサート
*コンサートが楽しみ
*自由なおうちコンサート

■嘘について

*嘘とお庭とホース
　　*お箸とフォーク
*ホームコンサートとか
　　*レッスン記録：ラムネアイス

lasalledeconcert at 11:25｜Permalink│

June 28, 2024

理想のピアノプログラム

今日は久しぶりに病院の日。どうせなら目眩の症状が強いときに行きたかったけれど、前々からの予約日の関係で今日なのです。

雨音で早く目覚めてティールームのお掃除から始動しました。

可愛らしさが昔好きだったショコラティエ CHAPON のパッケージを枝に引っ掛けてある。この先もう買うことはない動物性お菓子だからジャケの一部を記念に取ってある。

鏡やガラスを拭くのがどうも下手らしく、拭き痕が残りがちなの。下手を自覚して、できないなりに工夫を試みる。

鏡ワイパーが見つからないので、水切り用のハンディワイパーのうち比較的クッション性が高いのを選び、そこに鏡拭き用シートを巻いて拭いてみる。

うーん・・・シートが固定しづらいので外れ易いのが難点です。

鏡の足元は長タイルをプラットフォームにして、グラス型のキャラフを置いた。

以前プレゼントしてもらったフランス製品のミニチュア小箱が入ってる。

この春までバスルームに設置してた古物の電灯カヴァーは、懐にコースターを抱えて元気に活躍してる。

病院行きの用意まではまだたっぷり時間があったから、またブルゴーニュ君のオモチャを浸け洗いした。新幹線に入れる前の下洗いね。

来てくれた頃はオモチャの用途が分からなくてキョトンとしてた。赤子をかかえて今日食べる物を探すだけの暮らしだったからオモチャなんて知る由も無かったのです。

そんな彼女もすっかりオモチャマニアに変わったから、山盛りのオモチャをせっせと洗うのです♪

お尻尾が千切れてるライオンちゃんと、お耳が欠けてる青虫さんは特にブルゴーニュ君のお気に入り。

そして今日のピアノ室。

先日は、楽しみなピアノがいつしか何かのためのピアノに変わっていることに愕然とした。

その時々の音を賞味する筈だったのに、おうちコンサートの「プログラム全編を完成させるためのお稽古」にしてしまった自分を、なんてつまらない奴だろうと嫌悪した。

理想はね、

1曲弾いて味わって満足して、次はこんな曲が弾きたいな... と
アラカルトメニューを見て一品ずつ贅沢に注文するようなのがいい。

瞬間瞬間に変わりゆく味の欲求やお腹具合を確かめながら、今もっとも欲する料理は何か、と探る如くに
楽曲も「今もっとも欲する楽曲は何か」を自分に問うて進められたら、この上なく贅沢な音を我が心に届けられるに違いない。

けど残念ながらたくさんの練習と準備が必要だから
予めアラカルトの順を予測して用意するのがプログラムだ、と改めて自己内部と話し合いをした。

プログラムを組むことが内部の感動を薄れさせるものになってはいけないね。一皿を食べ終わって感想を抱く前に気持ちが次の料理のお運びに入るようではいけない。

自己の感覚の中で起こるこれらの事は聞いてくださるお人からは見えない。

でも楽曲が流れる時間と共に奏者の中で移り変わるこのような気持ちの部分は特に大事にしたいところだと思ってる。

■ピアノの楽しみのこと

*滑り台
*お気に入りの遊び

*今日どこ行ってみる?
　　*とるに足らない事をする日
　　*ピアノと枇杷の冠

*フォロ・ロマーノの時間
*無限を過ごす喜び

　　*幸せなピアノ時間
　　*パンとピアノの楽しみ
　　*ミニカップケーキと音楽ジャカジャカ
　　*音楽なに聞く? ストロベリータルトもね
　　*楽しい熱の日
　　*ピアノと焼き菓子
　　*シューベルトで楽しい迷い
　　*ピアノとネイル
　　*ベリータルトと、幸せな迷い
*今日もピアノ室に居ます

*うさぎダムの小川とピアノ
*ピアノと節約と時間
*ピアノの練習時間。長い? 短い?

■生き直しのこと

*失われた紫陽花

*台風の日にクッキー焼いて思うこと
*生き直しの目標の話

*不運と春の日
*ピアノに乗せる　

*安堵する写真
*ピアノ室のサクランボ
*ダウンした幸せな日

*往きと復り
　　*後悔と楽しみ
　　*10代のお稽古と後悔
*喉の奥の空気
*無目的のピアノ
*時を経たピアノ

*何かのためのピアノ

■コンサートのこと

*羨ましい5月3日
*美しき5月3日の豊かさ

*ピアノの後遺症のこと
*ピアノ後遺症が続く
*今日も楽しいピアノ
*クラフトクッキー・ピアノの弾き方が解る瞬間

*斜め者のやすらぎ
*柘榴のポエジー

*膜
*雑味
*入口・出口

*古本とドビュッシー
*大洋の波

*ピアノ終われない話
*おはなしと2人の聴衆

*ピアノ聞きにお客様
*楽しかった! 聞いて聞かせるピアノ
*ラウンジチェアでピアノが聞けるようにした
*ピアノの角度と南天の実
*楽しいミニコンサートでした♪
*おうちコンサートって
　　*ドビュッシーのファンです
*苺タルトと、おうちコンサートのこと
*ミモザ、お花のフィナンシェ、おうちコンサート
*コンサートが楽しみ
*自由なおうちコンサート

■嘘について

*嘘とお庭とホース
　　*お箸とフォーク
*ホームコンサートとか
　　*レッスン記録：ラムネアイス

lasalledeconcert at 10:46｜Permalink│

June 22, 2024

何かのためのピアノ

綺麗・・・!
水と光と葉がなんと素晴らしいアンサンブルを奏でてるのか。

5月の離宮公園の情景です。

22juin24e

まるでシャルル・フランソワ・ドービニーの絵画のようで見惚れた。綺麗な景色が恋しくなって過去写真を見てた・・・

とても情けない事があったんだ。

そろそろおうちコンサートの日時を決めないとねって思ってた。
そのためのプログラムを弾いていてハッと弾く手を止めた。

演奏が「おうちコンサートのための練習ピアノ」になってると気がついた。

その日その時、'弾きたいから弾くピアノ' を願った筈だった。
'目的のための準備' なんてもうたくさんだと強く思った筈だった。

なのに、瞬間瞬間の音の悦びがいつしか餓えて、気づかないうちにまた【何かのためのピアノ】に成り下がってた。気がついて暗澹とした。

何をしてるんだろう。
どうしてこうなるんだ?

厭な方向に自らの手で曲げてしまってた。

リサイタルのためのピアノ、試験のためのピアノ、コンサートのためのピアノ... 【何かのためのピアノ】は今はもう要らないと、

今弾きたい曲を、今の気持ちのままに弾きたいのだと、あれほど願って

だからちいさな 'おうちコンサート' を大切にして
少人数でそっと楽しむ術が分かってきたというのに

どうしてそれをぶち壊すように「おうちコンサートのための準備ピアノ」をお稽古してるんだろう?

自分にうんざりした。
こんな風にするためにおうちコンサートをしてるのじゃない。

'準備' 要素を持った時から音楽は、瞬間瞬間を捉える純なものから外れてゆく。
時間の芸術でなくなってしまう。

と、私個人と自分のピアノとの関係においては、そのように感じることが多かった。時間の芸術でなく、'まだ来ぬ時間を想定した準備活動' のようになるのが厭わしかった。

だから、ピュアな「その瞬間」が幾百幾千と重なって一体の音楽時間を形成することを求めた。

それなのに、またぞろ「瞬間」の味わいを簡単に手放して「準備」となる練習へと向かってた。

自分に心底がっかりした。

行動としての『準備行為』であっても、『準備要素の性質』を持たせないことはできるはずなんだ。惰性で弾くから準備練習に成り下がる。

一曲目からもう一度やり直そう。

■ピアノの楽しみのこと

*滑り台
*お気に入りの遊び

*今日どこ行ってみる?
　　*とるに足らない事をする日
　　*ピアノと枇杷の冠

*フォロ・ロマーノの時間
*無限を過ごす喜び

　　*幸せなピアノ時間
　　*パンとピアノの楽しみ
　　*ミニカップケーキと音楽ジャカジャカ
　　*音楽なに聞く? ストロベリータルトもね
　　*楽しい熱の日
　　*ピアノと焼き菓子
　　*シューベルトで楽しい迷い
　　*ピアノとネイル
　　*ベリータルトと、幸せな迷い
*今日もピアノ室に居ます

*うさぎダムの小川とピアノ
*ピアノと節約と時間
*ピアノの練習時間。長い? 短い?

■生き直しのこと

*失われた紫陽花

*台風の日にクッキー焼いて思うこと
*生き直しの目標の話

*不運と春の日
*ピアノに乗せる　

*安堵する写真
*ピアノ室のサクランボ
*ダウンした幸せな日

*往きと復り
　　*後悔と楽しみ
　　*10代のお稽古と後悔
*喉の奥の空気
*無目的のピアノ
*時を経たピアノ

■コンサートのこと

*羨ましい5月3日
*美しき5月3日の豊かさ

*ピアノの後遺症のこと
*ピアノ後遺症が続く
*今日も楽しいピアノ
*クラフトクッキー・ピアノの弾き方が解る瞬間

*斜め者のやすらぎ
*柘榴のポエジー

*膜
*雑味
*入口・出口

*古本とドビュッシー
*大洋の波

*ピアノ終われない話
*おはなしと2人の聴衆

*ピアノ聞きにお客様
*楽しかった! 聞いて聞かせるピアノ
*ラウンジチェアでピアノが聞けるようにした
*ピアノの角度と南天の実
*楽しいミニコンサートでした♪
*おうちコンサートって
　　*ドビュッシーのファンです
*苺タルトと、おうちコンサートのこと
*ミモザ、お花のフィナンシェ、おうちコンサート
*コンサートが楽しみ
*自由なおうちコンサート

■嘘について

*嘘とお庭とホース
　　*お箸とフォーク
*ホームコンサートとか
　　*レッスン記録：ラムネアイス

lasalledeconcert at 13:32｜Permalink│

June 17, 2024

叱るピアノ

大好きなシャンソン歌手バルバラを題材にした映画を観た。

シネマ作品については後日改めて綴ることにして、今日は心に残った科白のことを書きたいな。

人々との会話で
音楽に関しては '私はソルフェージュを知らないから' と言い、

歌詞に関しては '私は詩人じゃないの。歌って立ち去るだけ' と自分を描写してたバルバラ。

そんな彼女はピアノを眺めて「私の山小屋　テント　私のお鍋　礼拝堂　酔いどれ船　愛する人」と言うのです。

(バルバラ本人の言葉か、バルバラになりきるブリジットの科白か定かではないけれど多分前者)

そうしてピアノに近づき「私の小さなピアノ」(原語はより愛しさと憐みが含まれます) と微笑む。

父がユダヤ系でナチスから逃れるためにドイツ軍による占領下の国内を転々と逃げ暮らし、痛み多い人生を歩まねばならなかった自分とピアノを重ねるのでしょうか。

傷ついた自分と共にあった楽器を愛しむ言葉でもある。

とても心を打たれた。ああバルバラはそうだったんだなと揺さぶられた。同時に、私はピアノをどのように感じてるのか考えたくなった。

バルバラがピアノに抱く感情・・・小さきもの・いたわりを受けるべきもの・けなげなもの・そして友。

私の場合はその感情を抱く対象はブルゴーニュ君2世ちゃん。ピアノではない。

私にとってピアノという楽器は、【手の内にある小さなもの】じゃなく、常に【手の届かない大きなもの】である気がする。

作詞作曲をする人と、敬愛する作曲家の世界を伝えたいと願う私たちとの違いもあるのかな。

私が 'ピアノに手が届かない' と思う時、それはイコール 'フォーレに手が届かない' であり 'ラヴェルに手が届かない' の意になる。

しかしドビュッシーは彼らよりもグンと近い。近く感じてきた。

身近とは違う。近しい関係とも違う。クロード・ドビュッシーその人の感受性までの物理的距離が近いような感覚。

だからドビュッシーを弾く時、ピアノとも親密になれる。

ドビュッシーを弾くとピアノが私の声を聞いてくれるかのように、楽曲と私の精神との間に齟齬が生まれない。

ピアノはそんな風に、優しいところもあれば厳しい日もある。

彼は気分が変わりやすく、こちらが根気良く何時間でも何日でも何ヶ月でも休まず弛まずアクションを続けなければ振り向かない。

私のピアノは「私の山小屋」や「テント」や「お鍋」にはならないんだ。

　　ピアノは私の味方ではない。
　　私が良く出来た時だけ味方になる。

　　それでいいんだ。それが私の望みなんだと思う。
　　出来ない私に味方してくれる者を私は愛せないだろうから

　　いつも私を叱るピアノが好き。

lasalledeconcert at 12:48｜Permalink│

June 13, 2024

お菓子からワーグナーの話

ピンクとイエローの大輪の百合にはしゃいでいたら、レモンカナリアちゃんがバーガンディーの百合を届けてくれた。

嬉しくてダイニングに飾る。

大輪百合はお玄関に移動した。また置き換えながら楽しませてもらおう。

ところで先日焼いたミニ・マルグリットのお菓子と同じ生地で、一口サイズのフィナンシェを作ってたの。upし忘れてました。

お菓子作りの敷紙として、いつものテンプラ用紙を消費したのでした。

今回はワーグナー。先月もワーグナーのテンプラ用紙があったね。

　　*初ムース作った。水栽培とワーグナー
　　*チューリップのケーキとパルシファル

ワーグナー著書のうち "芸術と革命" 辺りはまだ良いけれど、今回は完全にヤバイ範疇のエッセイ "国家と宗教" が題材だった。

テンプラ用紙に寄ると、タイトル '国家' も「王が宗教(＝キリスト) であり、最も聖なる肉欲のないものであり、その王により国家が統一されなければならない」という考えの元に冠されてるのですね。

テンプラ用紙で引用されてるのは強烈な【ベートーヴェン礼讃】の箇所。反ユダヤに繋がるところでもあります。

《彼特有の神々しいまでの素朴さをもって、われらの巨匠ベエトオヴェンは、勝利をかちえたゆたかな意識の印判を、その勝利のうえにじっさい捺してもいるのであった。》

　　(プリントの写しのため訳者様を載せられずごめんなさい)

ワーグナー曰く「ベートーヴェンはキリスト教を最も伝えたもので、聖なるもので、キリスト教精神を最ももっており、あらゆる流行から超越している」だそうで、意見を持つのはご自由にどうぞ、ではありますが、

「ベートーヴェン＝ドイツであり、ユダヤ人によって穢されていない」との主張の辺りからヤバさ炸裂するのよね。

《ベエトオヴェンの生誕とおなじくドイツ国民の再生をも、たぐいないほどふさわしく祝うわけである。諸君にとって意味されるベエトオヴェンを、おなじく諸君にとって意味されるドイツ軍の勝利によって補うがいい、またドイツ的行為の力を、ベエトオヴェンの音楽でみたされた心の精力をもって感受するがいい、そうすれば諸君はベエトオヴェンの音楽ならびに勝利的行為の意義を理解するであろう。》

ベートーヴェンはワーグナーの最大の推しだからねぇ... だけでは済まないものがある事をどうしたって感じさせます。

「キリスト教＝ドイツ軍の勝利 → 反ユダヤ教」の主張が顕れるところです。

《ベエトオヴェンの音楽にも行為があれば、勝利的行為にも作品がある。わが勝利の行為をして、正真正銘のドイツ国という作品を創設させるがいい、そうすれば、偉大なベエトオヴェンのかの作品も、また諸君をドイツ精神の最も高貴な行為へと導くことになるのである。
かくてわれわれはいかにしてベエトオヴェンを祝おうとする者であろうか。》

「ドイツ精神はキリスト精神を最も受け継いだものだ」という思想と同時にワーグナーはキリストがユダヤ人であったかどうかで苦しむのです。

考えの始まりのところがそもそも... なので、そもそもからの暴走の体に関しては、彼はあくまで音楽家なので政治の論理は緻密ではないからと擁護も多いですね。

ナチズムの僅かな気配も嫌悪する私は其うは思ってないけれど。

それでもワーグナー作品は作品として愛することにしよう、と迷いの末に決めた大学一年生の初夏をよく憶えてる。

それまでのティーンエイジャー時代はワーグナーの人となりに無知だったところ、彼の思想を知って自宅マンションの一室でCDデッキを前に悩んだのです。

目覚まし音楽をワーグナーにしてたけれど今後どうしようかしら? ってね。スマホが無い時代でCDデッキで目覚まし音楽ONにしてました。

確かに目が覚める・覚醒する音楽なのよね。
奮起の力は大きく、それ自体は感嘆を呼ぶもので、けれど大きさ・強さを求めるのが音楽なのか? っていう幼い逡巡があったな。

今もワーグナー曲は一定数を愛してる。

でもドビュッシーのように、美意識や思想も引っくるめて愛せることが作曲家を愛する者の幸福だとすれば、私個人はワーグナーで幸福にはなれない。

■テンプラ用紙関連リンク

フランス系
*パリ1900とナタリーレテのお人形

ドイツ系
*秋のテーブルクロスとか、ロプロプとかベルクとか
*ピアノの音とシェーンベルクの絵
*マルグリット型でレモンケーキ

数字系
*新作クッキーは歪つ、バルトークは黄金律
*イースターうさぎとリズムの数え方と黄金分割

*コーンパン焼いて、バッハの数学
*マフィン3種類♪そしてバッハの3
*ミニカヌレ焼いたよ。バッハ27,14
*可愛い紫陽花 'ひな祭り' とバッハ27,14の帰結
*香ばしいクリスピーポテトとマタイ受難曲
*楽譜読まずに11数えるバッハの話
*お花ケーキとマタイの続きでダヴィンチ
*スイカの致死量・バッハと不安

*ふんわりクリームタルトとヘンデルNo.11
*海。楽譜読まなくても数えればいい話
　　*甘いリキュールの季節です

映画・オペラ
*シネマ記録(100)リラの門
*初ムース作った。水栽培とワーグナー
*チューリップのケーキとパルシファル

バロック
*2023年8月のお素麺とテンプラ用紙
*台風の日にクッキー焼いて思うこと
*ハートクッキーとトリルと前打音
　　*ワイパー派であるぞ!
*トマトソース・パイとテンプラ用紙

バロックダンス
*古典舞踏のテンプラ用紙
*ピアノが終わった後
*これ何の実? 持って帰った山の恵
*キャンドルとガラスのピアノ♪ほうれん草のパン
*クッキー缶進行中／シャルトリューズ・イヴ
*バレンタインクッキー

落書き
*秋の味覚と尖った時代
*クッキーの失敗と、先生の似顔絵

メロディ
*マドレーヌとモンポウのピアノ曲
*ブラックベリータルトにクランブル♪
*パン・キッチン・ミモザ。道を失う
*2024年3月の庭

lasalledeconcert at 11:16｜Permalink│

May 06, 2024

蛾を弾き、語る。身なりが整えられない病気の話

今日のYouTubeはラヴェルの続きです♪

病的なレベルが疑われるほどのズボラさのせいで、演奏動画にずっとボロトレーナーやらすり切れたヨガパンツやらで写ってました。

演奏する手だけ撮りたいのであってファッションは写したくないがために腕まくりで弾いた。ところがぐちゃっと折った袖がうっかり写り込んでました... という惨状が続いた。

病気である。
お部屋を毎日綺麗にお掃除して、毎日しっかりお料理した食器はすぐに洗って拭き上げてきちんと揃えて片すのに、その作業をしてる自分の格好は見られたものじゃない。

頭おかしいのかと思えるほど、自分の格好に構うのを拒否してしまう。

ファッション&メイクだけに特化した病気なんだろうか? ブルゴーニュ君2世ちゃんのお手入れは毎日毎晩欠かさないのにね。

「お洋服を買う」というハードルもどうしても超えることができず (やはり病気の疑い? ) 出かける日も何年も前のお洋服。そんな動画で始まります。

後ろ向いて見せてる髪留めは100均 (多分キャンドゥ) 商品。

　ヘアサロンに行くのが億劫で伸びっ放しになり、
　　まとめたいけど髪留め買いに行くのが億劫で放置し、
　　　キャンドゥの前を通ったので適当に留め具を買った。
　　　　という事情。

病気だねぇ。
不潔にしてるのじゃないから誰にも迷惑かけないけどね。単に見目を整える作業ができないだけ。

それはまあいい。おいておきましょう。今に始まった事じゃないからね。

～ * ～ * ～ * ～

さて曲内容ですが、今日のシーンは夕蛾の動きが緩慢になるところでしょうか。

静けさと暗みと、少しの湿度を含んだ空気。
羽を震わせる蛾。

何かを決めたかの動きでスッと飛び移る。
移って、また止まる。
どうして場所を移ったかわからない。
身を潜めるでもない。隠れるでもない。

思索に暮れるように動かなくなり
不意にひらりと跳ぶ。
羽でなく脚で跳躍したように。

そんなシーンに5拍子と3拍子が組み合わさって
fa の音が続く。

はじめは中音のユニソンで、内声と中音 fa がかぶる箇所では単音に鍵盤位置を避 (よ) けることで混濁した響きを生まないようになっており、音が弱まってゆくと低音の fa に変わる。

このような連続音はデュパルクならば限りなく同音色を保って、同じ音・同じ物が現れ続けて精神を傷つける様を描写するのが素敵かもしれない。

でも今この音が彩るのは生きた夕蛾だ。

僅かだが私はユニソンの上下の音量を時々変化させてる。
完全に均一なバランスを保つより、生き物の息吹が出るように感じる。

正解はないから、それぞれのイメージで工夫してみてね。

■ラヴェル関連リンク

*ラヴェルの俯瞰
*凋落とロブスター

*卓上のリセット、ポオとラヴェル
*アイスカフェオレ、青い薊、夜の羽
*コンサートが楽しみ

夕蛾
2024
　　♪ラヴェル "夕蛾" 再録しました

2022
　　♪明るめの蛾、やってみた
　　♪「夕蛾」中間部
　　♪夕蛾の世界は
*夜蛾と夕蛾と

水の戯れ
　　♪10ヶ月ぶりのラヴェル
　　♪水筋と水の音
　　♪水玉の曲
　　♪疲れた日記とプールムービー
　　♪アーティキュレーション
　　♪伸びやかな流れ
　　♪長いフレーズ

亡き王女のためのパヴァーヌ
　　♪亡き王女のためのパヴァーヌ動画
　　♪森感? のパヴァーヌ動画
*パヴァーヌの研究

洋上の小舟
　　♪小舟のムービー (+ラヴェル)
　　♪水浴とムービー
　　♪水と、緑の水滴のムービー
　　♪一滴とムービー
　　♪ムービー。音楽と遊びの時間
　　♪ムービー。生生流転
　　♪ムービー。混沌とリモコン
　　♪ドライヤーのムービー
*大洋の波
*水の再生

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April 27, 2024

ラヴェル "夕蛾" 再録しました

ヨガパンツ&パーカーのすごい格好で "夕蛾" を再録しました♪

昨夏の夜、ごく小さな可愛らい蛾がうさぎ小屋に紛れ込んできた日に、ラヴェル "夕蛾" が弾きたくなった。

確か録音やupはしなかったから録ってみましょうと思って...

ようやくしもやけが完治し、皮膚の色はまだ紫っぽいけれど痕の皮向けも見苦しくない程度に治ってきた今朝、演奏動画が撮れました。

upしようとして初めて以前の録音があるって気づいた。忘れてたワ...

もちろん演奏は変わってゆくから何度でもやりたいな。改めてムービーにしました。

■ラヴェル関連リンク

*ラヴェルの俯瞰
*凋落とロブスター

*卓上のリセット、ポオとラヴェル
*アイスカフェオレ、青い薊、夜の羽
*コンサートが楽しみ

夕蛾
　　♪明るめの蛾、やってみた
　　♪「夕蛾」中間部
　　♪夕蛾の世界は
*夜蛾と夕蛾と

水の戯れ
　　♪10ヶ月ぶりのラヴェル
　　♪水筋と水の音
　　♪水玉の曲
　　♪疲れた日記とプールムービー
　　♪アーティキュレーション
　　♪伸びやかな流れ
　　♪長いフレーズ

亡き王女のためのパヴァーヌ
　　♪亡き王女のためのパヴァーヌ動画
　　♪森感? のパヴァーヌ動画
*パヴァーヌの研究

洋上の小舟
　　♪小舟のムービー (+ラヴェル)
　　♪水浴とムービー
　　♪水と、緑の水滴のムービー
　　♪一滴とムービー
　　♪ムービー。音楽と遊びの時間
　　♪ムービー。生生流転
　　♪ムービー。混沌とリモコン
　　♪ドライヤーのムービー
*大洋の波
*水の再生

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January 24, 2024

ベルガマスクの美しさ

寒い寒い日。お庭も何もかもが凍りついた。
神戸でもマイナス世界だから、もっともっと寒い地域はさぞかし... と案じられる。

今ベルガマスク組曲を見直してる。

おうちコンサートのお友達のリクエストとして取り組んでるうちに、この曲の新しい形に気づくことになった。

組曲の内どの曲が一番というのは決めづらいが、2曲目メヌエットが特に好きで、漂う不可思議なムードや、【ロココの暗み】
( --- と言えるものであると自分が考えてるもの --- )

に繋がる空気を愛してる。

ロココの暗みとは、他に良い言葉が見つからないのが残念だが、優美で繊細である筈のロココが、優美さを追求するが故に頽廃に陥るようなこと。

言ってみれば、人が生きる上で優美さを追求するなんてことは健全さから多少離れたところにあり、その '健全さから離れてでも進める美の嗜好' が煮詰まってくると、美は返って崩壊していく。

基、あくまでも【『健全な美であれば』崩壊し始める】という意味だ。健全な美が崩れて、残る頽廃の空気。

絵に詳しくないけれど、そうした意味の【暗みを秘めた美】が一定のロココには見えるところがあると思う。
官能的で刹那的な美の見地、つまり何かしら不健全なプライオリティが踏みつけたものがあることを感じさせるような。

それこそが自分にとってはロココ美術を好きなポイントでもあり、同様の 'あべこべの' または 'さかしまの' 美が、ベルガマスクのメヌエットからもうっすらと薫るところに惹かれてしまう。

'うっすら' と言ってしまうが、それはまだまだ歳若いドビュッシー (当曲の初稿は1890年ごろだからして) の潔癖さや健やかさのようなものも十分に漂っているため、たとえばジャン・オノレ・フラゴナールのような熟れすぎた世界とは異なるという意味だ。

lasalledeconcert at 14:37｜Permalink│

January 09, 2024

ジャンボーの子守唄はじめ

今朝はドビュッシー作曲 "ジャンボーの子守唄" をupします。

この曲は寛いでのんびりしたイメージをお持ちの方が多いかもしれませんね。しかしぬいぐるみをジャンボーと呼ぶ背景に、私は胸が痛くなるんです。

アフリカのスーダンから連れて来られてしまった象のジャンボーは、人間や政治の犠牲者と言えるでしょう。

それを見て喜ぶ人間家族に対し、私個人は寒々とした気持ちになる。ジャンボーは結束の固い家族から引き離されて、見せ物にされるために見知らぬ国まで望まぬ長旅をさせられ、人はそれを家族揃って単純な興味で笑って眺める・・・

ジャンボーと聞くとどうしても人間社会のエゴイズムの哀しい犠牲者という想いを持たずにいられないのです。

lasalledeconcert at 11:14｜Permalink│

January 08, 2024

ちぎりパン焼いて、今日もドビュッシー

スクエア型を使って、ちぎりパンを焼きました。

ぼんやりしてて、室温が低いのに冷水を使ってしまったの。それで一次発酵は良くなかったのですが二次発酵で何とか盛り返すことができたみたい。

胡椒を効かせた熱い野菜スープと頂きました。

それから熱々のソイミルクティーと。

まるで間違え探しみたいに増えたり減ったり色々変化するお茶コーナーから

オーガニックのアッサムを選んで濃く出し、ふぅふぅ飲んで体もホカホカになりました。

～ * ～ * ～ * ～

何回かおしゃべりしてきたドビュッシー "雪が踊ってる" に一旦区切りをつけましょうか。対象曲について考えるのを終えてしまうことは一生無いから、中締めに過ぎないけどネ。

　　*白いソーダと雪とドビュッシー
　　*雪降ると電気代。雪を見せてくれたドビュッシー
　　　　♪ドビュッシー雪が踊ってる
　　　　♪ドビュッシー雪の後半
　　*雪の始まりの美しさ
　　*舞う雪・落ちる雪・軋んだ音

写真は昨年のご飯の振り返り画像にしますね。

個人的な意見なのですがこの曲でこだわりたい注意点を一つだけ挙げよと言われたら、後半58小節目のいわゆる再現部...

　--- この言葉は誠に相応しくないですね。雪が再現されることはないのだし・・・またワードを作ってしまうなら「雪の再来部」であれば、まあアリかな ---

雪が再来する直前 (57小節) に rit. をかけないことでしょうか。

rit. したくなる気持ちはよく分かる。こういうところで rit. をするように習慣づけられてる向きもあり、歌い納めに一旦感情を安定させたい欲求を持つものだとも頷ける。

言い換えれば『rit. すれば満足できる』箇所なのです。

しかし、【ピアニシモから piuピアニシモへ音は減少するのに、速さが緩まない】というこの独自の音の絵の意味や、此処に当たり前のように【cedez と書いてない】ことの意味を考えたいし、これこそドビュッシーらしさだと思えるからです。

ジャンケレヴィチは以下のように述べます。

　《ドビュッシーは、感情の盛り上がりや表現の誇張には見向きもしない...。ところが音楽的思想が妙なるものになり、それに固執しようとする誘惑が抗しがたくなればなるほど、それを奪われたときの禁欲状態はより残酷なものとなる。》

さすがはジャンケレヴィチで既に十分な説明になってしまってるけれども、もう少し引用します。

　《ト短調のヴァイオリンとピアノのための "ソナタ" の人を陶然とさせるテーマは、展開への限りない可能性を含んでいるからこそ魅惑的であるのだが、ドビュッシーは、意識的にそれを利用しようとはしない。

彼の表現の簡素さには類がないだろう。自己満足をはねつけることがいかに辛いかは、提供と拒否が容易に交代するタンタロスの拷問を見ればわかる。ドビュッシーは、厳格主義や、とくにマゾヒズムから、このような断食や節制をしたわけではない!

ドビュッシーの禁欲は、まず婉曲法の精神的な表われであるが、弁論癖やソナタの思弁的な時間への反動でもある。》

　　　　　　　　　　　　　(船山隆様・松橋麻利様訳)

景色の終わりがあって、もったいぶりながら rit. をかけて其れが去り、「再現部」(←どうにも憎らしい言葉なのだ) として、さあ始まりますよと雪が降り始めるのではないのだ。

このグレーの景色は終わらない。始まりも終わりもない。

終わらない景色に重なり合うように粉雪が再来する。
尖ったような冷たさ寒さを携えて一瞬間再来する。

lasalledeconcert at 12:32｜Permalink│

January 02, 2024

舞う雪・落ちる雪・軋んだ音

昨日は大変な地震がありましたね。熱が下がらず寝てる最中に不穏な音と揺れで起きました。

震源地とは比べものにならないながら震度4の神戸でも長い揺れでした。

地震を感じると真っ先にブルゴーニュ君にリードをつけて、彼女の避難クレートを準備する。昨日も揺れの中を階下へ降りたら、下でも電灯が不気味に揺れてた。

普段つながってる方々のSNSは災害に触れておられず、寝込んでたせいもあって夜遅くなるまで大きな被害のことを知らなくて・・・

　　胸の痛い事がたくさんあるね。
　　だから尚更、世界の美しい瞬間を大事にしたい。

ドビュッシー作曲 "雪が踊ってる" のお話を何回かしてきました。(ソファにブルゴーニュ君♪)

　　*白いソーダと雪とドビュッシー
　　*雪降ると電気代。雪を見せてくれたドビュッシー
　　　　♪ドビュッシー雪が踊ってる
　　　　♪ドビュッシー雪の後半
　　*雪の始まりの美しさ

23小節の doux et triste のところが難しいと生徒ちゃんに質問されたことがあるので、取り出してみますね。

直前22小節まで粉雪が小さく舞います。回転するように円を描くように sol♭-- la♭-- mi♭-- si♭-- sol♭-- la♭-- mi♭-- si♭と舞っている。

このときの若干くぐもった響きよりも23小節では右小指の sol♭が、音が立ちやすいよね。小指が捉えやすい黒鍵をテヌートの2分音符で鍵盤の底まで押すと響きやすくなる。

それなのに譜面では前小節 mPより弱音のPを求められる。

しかもsol♭-- re -- mi は、上下のユニソンだから尚のこと響きは勝ちますね。このコントロールが難しいとのこと・・・

私は音が飛び出してしまわない限り、ある程度の響きは構わないと考えてます。小さくすることに捕われて抑えすぎてしまうとフレーズも途切れてしまうしね。

ここでの doux は、音量的なことより情景や色合いでの doux et triste と考えてます。直前の雪の小さな舞いは、スノードームで噴き上がり回転する雪のように小規模ながらも能動的なシーンでした。

それに対して23小節からは言ってみれば雪の受動性というところでしょうか。

メロディがどう変わろうと、ただただ do -- sol♭-- re -- la♭-- do -- sol♭-- re -- la♭と繰り返すのです。降ってただ落ちる雪。ぽつりと落下する雪。幾つ重なってもぽつり、またぽつりと感情を見せない雪の落下。

その受動性が la tristesse の形であり顕れであるように感じます。

だとすると doux は優しく柔らかく弾きましょうと捉えなければならないものでもなく、この灰色の雪世界に意志もなくただ落ちてゆく雪粒がある景色の、悲しさが連れてくる穏やかさとしての doux であっても構わないと思います。

私の場合は、落下する内声を上下両側の音で挟む形をまず綺麗だと感じ、そこに歪みがあるところに一層の美を感じるんです。

ユニソンといっても完全に同じではなく、高音が2分音符で伸びるところも低音はぷつっと音を途切れさせています。25小節など高音が音をリピートしても低音は息も絶え絶えに (そして両手ともテヌートは外れて) ぽつりぽつり力なく音を落下させる。それを弾く私たちは鍵盤にぽつりぽつり指を落下させる。

そんな何かが軋むようなシーンに非常な悦びを感じ、sol♭-- re -- mi の一連のメロディにも軋んだ音を感じます。

lasalledeconcert at 14:12｜Permalink│

December 24, 2023

雪の始まりの美しさ

空を見上げる。
雪...?
と、戸惑う一瞬の空白。

寸刻のちには注ぐように落ちてくる、落ちてくる雪。
初めの一粒が次の雪を引き連れて来た。後から後から続く雪粒。

こんなとき不思議な思いになる。

空を見上げた瞬間が偶然降り始めだったのか?
それとも雪の気配を無意識に感知して見上げたんだろうか?

どなたも、このような「雪の降り始めに出逢った」ことがあるのじゃないかしら?

ドビュッシー "雪が踊ってる" の冒頭は、まさにこの「降り始めの空の景色」を彷彿させる。一瞬間の、時の美しさを描いて曲が始まる。

　　♪雪が踊ってる

doux et estompe の1小節はグレーがかった雲のそのまた上空が、雲の色より少し明るいように見える空と、そこから落とされた最初の雪。8粒 (8分音符8つ) の雪。

8粒の雪はそれぞれ別の雪を引き連れて降り、次小節で16の粒になる。

lasalledeconcert at 11:43｜Permalink│

December 22, 2023

ドビュッシー雪の後半

ドビュッシー作曲 "雪が踊ってる" の後半をムービーにしました。

前半はこちらです→　*ドビュッシー雪が踊ってる

lasalledeconcert at 10:51｜Permalink│

December 11, 2023

ドビュッシー雪が踊ってる

lasalledeconcert at 11:20｜Permalink│

November 16, 2023

今日もイベール弾いたよ

今日のピアノはイベールの "イストワール" から。

先日来、水売りのことを呟いてた件の曲です。

　　*米粉のいちじくタルト・水を売る
　　*プラチーナの葉が綺麗・女と水

あらゆる空想ができる、本当に楽しい曲。
今日は前半だけムービーにしました。

■イベール関連リンク

イストワール

Ⅰ 金の亀を遣う女

　　♪金の亀
　　♪あなたのメランコリックは?
*葉っぱのクッキーとピアノの悩みと幸せ

Ⅱ 小さな白いロバ

　　♪今日のピアノ。気持ちが動く速度
*イベール、ロバの脚と蛙の指

Ⅲ 老いたる物乞い

　　♪物乞い。気持ちを動かしたくない
　　♪YouTube 物乞いの曲後半
*物乞いと、ピアノ弾きの背景
*モネ、ドビュッシー、シャガール、イベール
*ピアノ曲タイトルに何思うか
*ピアノ弾きと、物乞いの背景
*ピアノ曲の絵にこだわる
*イベール曲中の街と人物

Ⅳ おてんば娘

　　♪イベール作曲 "おてんば娘"
*リラと若い恋をする娘

Ⅴ 悲しい家の中で

*悲しみの家の中
*アンティーククロモとピアノ室と曲のこと
*ポテサラとソステヌートペダル
　　♪今日のピアノムービーは悲しい家
*負の感情によるめまい

Ⅵ うち棄てられた宮殿

*美女と宮殿
　　♪今日のピアノは宮殿
*引退した鉄道車両。鳥のクッキーも
*お魚マフィンとクリアランスのテーゼ
*慰めコンソレーション
*エアリーにふわっと浮遊した流体

Ⅶ テーブルの下

　　♪今日のピアノ「机の下で」
*小さな王様とイベールのこと
*風邪の朝にジャガ芋スープ
　　♪テーブルの下で何が起こった? 今日のピアノ
*コルジリネ好きー。ピアノのワンポイントも

Ⅷ クリスタルの牢

*ラウンジチェアでピアノが聞けるようにした
*レーズンココア・マフィンと老いるお姫様
　　♪クリスタルの牢

Ⅸ 水売り女

*米粉のいちじくタルト・水を売る
*プラチーナの葉が綺麗・女と水

15のイマージュによる小組曲

別れ

*大人の別れ・ベリータルト
　　♪別れ。しっとりと

気楽な騎手

　　♪この曲好き! ガシャポンガシャポン
*日本語タイトルの話

水の上のセレナード
　　♪セレナードはレコード針風
*水の上を舟がいく

ロマンス

*ピアノと詩。鳥とロマンス
　　♪今日のピアノ "ロマンス"

そりに乗って

　　♪イベール "そりに乗って"

ミセス・ハッポウに向けて

*イベールの顔
*イベールにとっての物語
*たまゆらの
*少年の本当と嘘

lasalledeconcert at 11:06｜Permalink│

November 09, 2023

クリスタルの牢

今日のピアノムービーです。

イベール作曲 "クリスタルの牢"。

タイトルに関して呟きを加えますね。自分の感覚なのですが『水晶の』って聞くと、このような

le9nov23a

六角の柱状のクオーツをイメージしちゃったり、はたまた占い師の球 (見た事ないけど) みたいな商品の状態で思い浮かべちゃったりするんです。

なぜか「水晶性の○○」「水晶でできた○○」って連想になりにくいみたい... どうしてでしょうね。

片や『クリスタルの』と聞けば、六角柱の鉱物や水晶球じゃなく「クリスタルでできた何か」を想像する。

私の場合はこんな感じなのですが、同じ感覚のお方もいらっしゃるのじゃあないかな?

同じ意味の言葉なのに、日常ワードとしての使い方が異なるために起こるちょっとした齟齬なのでしょうね。

こうした齟齬を楽曲タイトルではできるだけ少なくしたいという思いから、この曲を "クリスタルの牢" と呼ぶことにしました。

■イベール関連リンク

イストワール

Ⅰ 金の亀を遣う女

　　♪金の亀
　　♪あなたのメランコリックは?
*葉っぱのクッキーとピアノの悩みと幸せ

Ⅱ 小さな白いロバ

　　♪今日のピアノ。気持ちが動く速度
*イベール、ロバの脚と蛙の指

Ⅲ 老いたる物乞い

　　♪物乞い。気持ちを動かしたくない
　　♪YouTube 物乞いの曲後半
*物乞いと、ピアノ弾きの背景
*モネ、ドビュッシー、シャガール、イベール
*ピアノ曲タイトルに何思うか
*ピアノ弾きと、物乞いの背景
*ピアノ曲の絵にこだわる
*イベール曲中の街と人物

Ⅳ おてんば娘

　　♪イベール作曲 "おてんば娘"
*リラと若い恋をする娘

Ⅴ 悲しい家の中で

*悲しみの家の中
*アンティーククロモとピアノ室と曲のこと
*ポテサラとソステヌートペダル
　　♪今日のピアノムービーは悲しい家
*負の感情によるめまい

Ⅵ うち棄てられた宮殿

*美女と宮殿
　　♪今日のピアノは宮殿
*引退した鉄道車両。鳥のクッキーも
*お魚マフィンとクリアランスのテーゼ
*慰めコンソレーション
*エアリーにふわっと浮遊した流体

Ⅶ テーブルの下

　　♪今日のピアノ「机の下で」
*小さな王様とイベールのこと
*風邪の朝にジャガ芋スープ
　　♪テーブルの下で何が起こった? 今日のピアノ
*コルジリネ好きー。ピアノのワンポイントも

Ⅷ クリスタルの牢

*ラウンジチェアでピアノが聞けるようにした
*レーズンココア・マフィンと老いるお姫様

15のイマージュによる小組曲

別れ

*大人の別れ・ベリータルト
　　♪別れ。しっとりと

気楽な騎手

　　♪この曲好き! ガシャポンガシャポン
*日本語タイトルの話

水の上のセレナード
　　♪セレナードはレコード針風
*水の上を舟がいく

ロマンス

*ピアノと詩。鳥とロマンス
　　♪今日のピアノ "ロマンス"

そりに乗って

　　♪イベール "そりに乗って"

ミセス・ハッポウに向けて

*イベールの顔
*イベールにとっての物語
*たまゆらの
*少年の本当と嘘

lasalledeconcert at 11:32｜Permalink│

October 31, 2023

テーブルの下で何が起こった? 今日のピアノ

昨日より一歩で回復したような、してないような... な今日です。完治までにはまだかかりそう。

イベール作曲 "テーブルの下" 後半をムービーにしました♪ イストワールはどれを弾いてもとても楽しい。

先回は一般によく知られた題名の "机の下で" を記事タイトルにして、本文のほうに "テーブル下で" と記してます。

楽曲が [机・デスク・ビュロ] じゃなくて [卓・テーブル・ターブル] を表してるとする説明引用を載せた記事でした。

その後もね、洗い物しながら草取りしながらタイトルのことをグルグル考えてたのですよ。

"テーブル下「で」" の格助詞は不要かもしれないと思い直し、代わってテーブル下で何が起こった? っていう状況強調として「の」を挿入して "テーブルの下" としました。

今のところ自分的にはこれが最もふさわしいのかなと思ってます。

■イベール関連リンク

イストワール

Ⅰ 金の亀を遣う女

　　♪金の亀
　　♪あなたのメランコリックは?
*葉っぱのクッキーとピアノの悩みと幸せ

Ⅱ 小さな白いロバ

　　♪今日のピアノ。気持ちが動く速度
*イベール、ロバの脚と蛙の指

Ⅲ 老いたる物乞い

　　♪物乞い。気持ちを動かしたくない
　　♪YouTube 物乞いの曲後半
*物乞いと、ピアノ弾きの背景
*モネ、ドビュッシー、シャガール、イベール
*ピアノ曲タイトルに何思うか
*ピアノ弾きと、物乞いの背景
*ピアノ曲の絵にこだわる
*イベール曲中の街と人物

Ⅳ おてんば娘

　　♪イベール作曲 "おてんば娘"
*リラと若い恋をする娘

Ⅴ 悲しい家の中で

*悲しみの家の中
*アンティーククロモとピアノ室と曲のこと
*ポテサラとソステヌートペダル
　　♪今日のピアノムービーは悲しい家
*負の感情によるめまい

Ⅵ うち棄てられた宮殿

*美女と宮殿
　　♪今日のピアノは宮殿
*引退した鉄道車両。鳥のクッキーも
*お魚マフィンとクリアランスのテーゼ
*慰めコンソレーション
*エアリーにふわっと浮遊した流体

Ⅶ テーブルの下

　　♪今日のピアノ「机の下で」
*小さな王様とイベールのこと
　　*風邪の朝にジャガ芋スープ

Ⅷ 水晶の牢

*ラウンジチェアでピアノが聞けるようにした

15のイマージュによる小組曲

別れ

*大人の別れ・ベリータルト
　　♪別れ。しっとりと

気楽な騎手

　　♪この曲好き! ガシャポンガシャポン
*日本語タイトルの話

水の上のセレナード
　　♪セレナードはレコード針風
*水の上を舟がいく

ロマンス

*ピアノと詩。鳥とロマンス
　　♪今日のピアノ "ロマンス"

そりに乗って

　　♪イベール "そりに乗って"

ミセス・ハッポウに向けて

*イベールの顔
*イベールにとっての物語
*たまゆらの
*少年の本当と嘘

lasalledeconcert at 11:20｜Permalink│

October 11, 2023

今日のピアノは宮殿

今日はイベール "うち棄てられた宮殿" をムービーにしました。

この曲も大好きだな～! イベールが名付けた通り '物語' が湧き出して溢れそうな曲。

本曲のタイトルが 'シャトー (城) ' じゃなくて 'パレ (宮) ' が選ばれているところもイマジネーションを掻き立てられる。

Palais パレのほうが公の機関のニュアンスが強いですが (ルーブル宮はパレ。ベルサイユ城はシャトー、という例がしばしば用いられるように)

それはイコール、私的な建造物でないからこそ打ちやられ放棄された時の喪失感が大きいと感じるのです。

個人の感傷だけじゃない大きな大きな波・・・政権交代だったり王朝から共和制への交代だったり、数百人の力なんかでは抗えない、どうにもならない時の波に押し流され押し潰され、そして見限られた哀しさが、使われなくなったパレにはあるように思います。

主がその場所から居なくなった殿堂である前に、主もまた要らない者となった殿堂かもしれない。そんな風に無数のお話に満ち満ちているこの曲が大好き。

曲タイトルは "うち棄てられた宮殿" と訳しました。廃墟という訳が多いのですが【棄てられたからといって廃墟とは限らない】というところに自分なりの物語を見出しているので、abandonne をそのままに訳しました。

曲のおしゃべりは多分後日改めてすると思います。

■イベール関連リンク

イストワール

金の亀を遣う女

　　♪金の亀
　　♪あなたのメランコリックは?
*葉っぱのクッキーとピアノの悩みと幸せ

小さな白いロバ

　　♪今日のピアノ。気持ちが動く速度
*イベール、ロバの脚と蛙の指

老いたる物乞い

　　♪物乞い。気持ちを動かしたくない
　　♪YouTube 物乞いの曲後半
*物乞いと、ピアノ弾きの背景
*モネ、ドビュッシー、シャガール、イベール
*ピアノ曲タイトルに何思うか
*ピアノ弾きと、物乞いの背景
*ピアノ曲の絵にこだわる
*イベール曲中の街と人物

おてんば娘

　　♪イベール作曲 "おてんば娘"
*リラと若い恋をする娘

悲しい家の中で

*悲しみの家の中
*アンティーククロモとピアノ室と曲のこと
*ポテサラとソステヌートペダル
　　♪今日のピアノムービーは悲しい家
*負の感情によるめまい

15のイマージュによる小組曲

別れ

*大人の別れ・ベリータルト
　　♪別れ。しっとりと

気楽な騎手

　　♪この曲好き! ガシャポンガシャポン
*日本語タイトルの話

水の上のセレナード
　　♪セレナードはレコード針風
*水の上を舟がいく

ロマンス

*ピアノと詩。鳥とロマンス
　　♪今日のピアノ "ロマンス"

そりに乗って

　　♪イベール "そりに乗って"

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October 10, 2023

ピアノを弾いて挿絵を思う

バニューに4つほど置いてる水栽培のお水を取り替えた。

昨日の外出の疲れを残してるのでゆっくり始動した日でした。

体は疲れても、たまに無目的に街の空気に触れに行くのは楽しく、丁度いい刺激でした。

近日中にムービーを作りましょうと音源を選ぶ。
毎回のように最後に2つか3つの候補が残る。

僅かな間合いの違いでも科白 (音) の意味が変化し、変化に従いお話の外囲が変わってくる。

「これらのうち、どちらのお話として伝えたいだろう?」という自問と、「伝えなかったほうのお話は手放していいのか?」という葛藤とで悩み、

伝えなかったほうのお話も含む形にできないだろうか? と考え始め、そのパターンのも録音する。

候補を絞るどころか候補を増やしてしまう。
馬鹿みたいに見えるだろうが、これがピアノを弾く上で最も旨味を感じるところなのです。

たくさんのパターンの候補がある楽曲の豊かさを撫で回す時間なのですから。

3つだった候補が2つ追加された今朝は5つになり、絞る条件も見えなくなってきた。

それはまるで同じ文が書き付けられ、しかし挿絵の異なる物語のようで、随分と心躍る比較なのだった。

しげしげと眺めるように聴き、また別の挿絵に挿げ替えるように弾き、終わりのない探索が楽しかった。

このように、お人から見れば無益極まりない事を愛していて、否、この実りなき行為こそを心底から愛している自分にとってユイスマンス "さかしま" に激しく共感し、非常に慕わしい気持ちを抱いたのはごく自然なことだった。

可笑しく感じたのは、本書が 'デカダンスのバイブル' とも呼ばれているほどには私はこれをデカダンと感じず、とても普通に読み進めていた事だった。

受け付けない・丸っきりつまらないとお考えの方も多い一方で熱狂的な愛好者も多い、評価が大きく分かれる本書の不健全性を耳にはしていたので、
自分は大きな共感を抱いてるデ・ゼッサントを、一体どうして頽唐の権化のように言うのかしらん? と思ってしまった。

それからハッと我に返って、これをデカダンではなく普通と感じるほど、自分が退廃的で不道徳的思考なのだということを、
反省はできなくても把握はしなくてはならないと自己への戒めを持った。

美味しい飴を大切に舐めるように、ゆっくりと読んでいたが読み終わってしまったので、特に心踊った箇所などをメモしますね。

　《ゴンクウルにおいては、それは前世紀への追慕と、永遠に消え去った優雅な社会への復帰であった。防波堤を打つ怒濤や、酷熱の空の下に果てしなく広がる沙漠などの大規模な背景は、彼の作品中には存在しなかった。

彼のノスタルジックな作品は、もっぱら王宮の苑生のほとり、疲れた微笑を泛かべ、みだりがわしく顔をしかめ、諦めら切れぬ物思わしげな瞳をした女の、逸楽的な香りにぬくもった閨房に捧げられた。

彼がその作中人物に与えた魂は、フロオベエルが作中人物に吹きこんだ魂、すなわち、どんな新たな幸福もあり得ないという頑なな確信によって、あらかじめ反抗的になっている魂とは別のものであった。》

　　　　　　　　　　　　　(澁澤龍彦様訳)

くふふと笑みが溢れるのを抑えられぬこのような文が続く14章以降はたっぷり2度読んだ。

そしてこんなに楽しんだ本のお代わりはないのかと見回すも、美味しかったお皿が空っぽなことに哀しみを覚えつつ、残りのお掃除を済ませなければならない午後。

■ユイスマンス関連リンク

*パンとクッキーとポテトと上げ底　　　
*美しい時間に沈む
　　*自分だけのジャンクジャーナル
　　*ワイパー派であるぞ!

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October 03, 2023

ドビュッシー愛～

"子供の領分" の 'ドクター・グラドス・アド・パルナッスム' の後半のムービーです。

先回upしたところの続きです♪

ドビュッシー愛が溢れてしまった。
曲の詳細は後日おしゃべりするかもと思います。

ドビュッシー曲ってね、他の作曲家に比べて弾き方に迷いが少なくて済むんです。何故なら譜面に (または行間に) かなり詳細にご自分の意向をとても詳しく著す作曲家だから・・・

　　　「ドビュッシー曲は行間を読みなさい」が
　　　　音楽学の恩師、金子篤夫先生の口癖でした。

でも最後4小節はすこし考え込んだので、そのときの思考を書いておきますね。

最終2つの和音をクレメンティの練習曲っぽく、ズンッ! ドンッ! ってパロってもいいけれど、ここはドビュッシー臭くサッと身を躱すようにサラリと終えるのが俺流 (先日からうるさく重ねてるドビュッシー流の意) に思えました。

このようにした根拠の1つとして、最後のユニゾンには手前3つの和音で書かれてるテヌートが無いんですね... これを私はテヌートがプリント上で落ちた可能性よりは俺流にテヌートを無くした可能性のほうを取りたいと考えました。

(ミスプリントと考えられてテヌートを足してある出版があるかもしれませんが)

アクセント記号はあるのですが、それは Tres anime に入ってから頻発してる他のアクセントと変わらない記号に留めてるんですよね。

まだフォルテ段階で付けられてたアクセントと同じ記号のみであり、つまりそのアクセントの性質は Tres anime からの4小節で行われるのと同様に '音を立てる' 性質のアクセント ( '重み' を加えるアクセントじゃなくてね) であることが見て取れるので、最終のユニゾンもこれを '音の立ち上がりを加える' という風に受け取ることが可能です。

重さやウエットな押さえつけの無い、乾いたアクソンという選択です。

lasalledeconcert at 13:11｜Permalink│

September 25, 2023

ツェルニーとクレメンティと俺の練習曲

ドビュッシー ""ドクター・グラドス・アド・パルナッスム" を録ってみました。

コンセプトはね、「'俺以外' =クレメンティっぽさ」を減らして「'俺' = ドビュッシーっぽさ」を出すこと。考えるのもすごく面白かった。

　　*俺か,俺以外か。クロードという生き方

ドビュッシーは俺なんて仰いませんけれどちょっとした俺気質はお持ちで、それは興味深い要素でもあるので、今はこの表現をとりますね。

多くのかたが練習曲に思い出がおありでしょう。
奮闘したり戸惑ったり。クレメンティもその中の1冊かもしれません。

ツェルニー100番、30番、40番、50番の他、クラーマー・ビューローやグラドス・アド・パルナッスムなどピアノを習う上で切り離せなかったのが練習曲ですね。

昔私は練習曲ってものがちっとも嫌いじゃなかったんです。ツェルニー50番曲集なんか特にカッコいい曲も多いよね。

練習曲のお稽古はミスなく進めるゲームみたいに楽しんでました。
マリオみたいに (やったことないけど大体わかります～) 落ちないように難関を躱して素早くゴールする楽しみ方をして、練習曲で遊んでた。

そんな練習曲の多くは、細かい音が一杯並んでる中をスタートダッシュするのよね。始まるとすぐにクリアすべきものが迫ってくるから走るのです。

16分音符が並びまくる練習曲によくあるのがモーター音のような始まりで・・・それはつまりドビュッシー的には '俺以外' のやり方なわけです。

だから、速いんだけどホワッと始まる。
ガーっと推進していかない。
速度は速くてもゲーム指数の高い速さじゃなくて
前へ進んでいてもサッと翻ってニヒルに振り返り
ドビュッシー特有の混濁した空気も匂わせる。

それが俺風。

...って感じで弾いてみたくって楽しみながら「どのようにしてクレメンティっぽさから遠くなるように作れるかな? 」をテーマにやってみました。

lasalledeconcert at 12:52｜Permalink│

September 19, 2023

俺か,俺以外か。クロードという生き方

さもないコーナーシェルフ。
乾拭きして、小瓶に挿すリーフを取り替えた。

給湯スイッチがあったり (給湯スイッチというシロモノはどうしようもなく格好がつかないので、Arts et Metiers の冊子で隠してます) バスケット置いてたりするくらいの奥まったコーナーです。

小スペースだけに簡単に楽しめる。

ちょこっと可愛いモノを置くだけで、味気なくならずに済む。

とは言え、ぶら下げすぎ...。上下1枚ずつ減らそうか?

お掃除しながら水牛が鳴らしてるのはダニエル・コラン様 x ドミニク・クラヴィック様の演奏です♪ はぁ～好き好き。

水牛を連れて次はピアノ室へ移動。

シェルフを拭いたダスターの裏で譜面棚も拭いちゃいましょう。

しばらく譜面台に掛けてたチュールがお洗濯して乾いたから、センター棚に敷いてみる。

何回でも繰り返し繰り返し観てるプーシキン美術展図録は手に取りやすいところへいつも出してる。
ベンチ布はフランスのティッキングリネンに換えた。

此処ピアノ室で昨日は "子供の領分" 1曲目 'ドクター・グラドゥス・アド・パルナッスム' を楽しく弾きました。

シュゥシュゥに捧げられましたが子供さんが弾くための曲という意味ではなく、ピアノのお稽古に奮闘する子供の世界を描いたと考えられてますね。

そこには大きく分けて2つの選択肢があるでしょう。
練習曲風音形をサーッと端正に弾くか、
ドビュッシー化を意識するか、です。
本当にザックリ分けた乱暴な括り方だけど
心を決めねばならないところ。

【俺か,俺以外か】の部分ですもの。
ローランドじゃなくてクロードだけどね。

敢えて「ドクター」と呼んでみせるグラドゥス・アド・パルナッスム氏＝ムツィオ・クレメンティをディスる感じ... すごく微妙で面白い。

1)
"ゴリウォーグのケイクウォーク" でパロディ風にキメてるワック (ほぼラップの Wack くらいの詰(なじ)り方なので、このブログ内ではこう呼んでおきましょう。) とは違うし、

2)
かと言って "ハイドンを讃えて" のライム (またラップの例です。「Sur le nom d’Haydn」( ← 出版社が Hommage a Haydn に変更する前にドビュッシーが希望したタイトル。そもそもオマージュという意識ではないものが曲内に溢れているのも納得のエピソードですね) のシ・ラ・レ・レ・ソの音がラップの rhyme の役割と言えるかと) ほどには、ハイドンの音楽を殆ど無視してる状態でドビュッシー節が進んでいく感でもなく、

3)番目だと思うんです。1) 2)どちらでもない新しい形。

lasalledeconcert at 14:10｜Permalink│

August 30, 2023

ピアノ曲のはなし。視界は広がる? 狭まる?

昨日クロスを替えたルマレを早速微修正。

小テーブルのセルヴィエットは2枚を重ねるように敷き直しました。

割れて使えなくなってるアンティークのカフェボウルを持ってきて、小さいぬいぐるみさんをIN。

出窓もドイリーを外しお揃いの布に替えた。

そしてとっても気に入ってる1904年出版の家庭本を飾った。

犬友さんが手作りしてくださったブルゴーニュ君人形などコチャコチャと。あとで並べ替えを試みましょう。

デスクの引出し把手にぶら下がってるバスケットには、ブルゴーニュ君のお手入れ用具が入ってるの。

ルマレでケアすることが多いお爪やすりとか、ブルゴーニュ君の歯ブラシとか、ノンアルコールのウエットティッシュとかね。

読みかけの本の籠にはヴァレリーとサルトル。

エリュアールを片付けた代わりにネルヴァルの文庫が入った。ネルヴァルは難しすぎてあまり解らないの。

さて数小節ずつしかお話が進まない "水に映る影" の曲をそろそろ終わってゆかなくちゃですね。

　　*水が流れの速さを変える時
　　*「持っていき方」というもの
　　*ドビュッシー監督

60小節目からで合ってるかしら。

右手5本の指で5つの音を押さえますが、58,59小節の si♭ -- ut -- mi♭ -- re♭ -- ut を受けて々旋律が中音部 (右手親指寄り) に出てきてますね。

こういうとき少し右手を内側に傾けるようにして親指寄りに重心を置くとこの旋律の響きが生きるので試してみてね。

私はこのメロディが si♭ -- ut -- mi♭ -- re♭ -- ut -- 「ut♭」というふうに、ut♭に帰結するところが大好き! 水の動きに終わりがなく、常時不安定な性質を備えた感覚を呼び覚ましてくれる ut♭への進行はドビュッシーらしいと思うのです。

このパラグラフの最後では5小節間をかけて水の流れが緩み、徐々に動き止んでゆく先に、2つのパターンの絵が考えられると思うのです。65小節のトコロね。

1つは講座を受けた先生が仰ったイメージで、「広々とした景色」として弾くこと。

せんに書いたように先生のお名前を失念してしまったのだけど、「広々とした」ということは Molto rit. を暈した音にすることで視界が開けた図にするということだと思います。

緩んできた水がふわっと広がって嵩を失い、目を上げて景色を眺めるようなイメージかな。芯を作らない柔らかな音でぼやけるように弾くのでしょう。

lasalledeconcert at 13:41｜Permalink│

August 27, 2023

負の感情によるめまい

今日は月に1度のヘアカットに行くのです。

その前に先日動画upした "悲しい家の中で" の曲のこと、おしゃべりしようかな。

この曲は7拍子で書かれてる。
4拍+3拍の譜割りになってますが、7つを刻む中にはタイも3連符も多いため、耳で聴くだけだと「7」というカウントは浮かび難いかもですね。

私は浮遊感を出して演奏してます。といっても気持ちのいい浮遊やファンタジー要素ではなくてネ。

'思考の纏まりの無さ' またはショックを受けた時などにあるような、'思考が止まってしまって冷静に順を追えなくなる状態' に結びつくような、「負の感情によるめまい」のイメージをもって弾きました。

そんな中でずっと響いてくる低音の do♯。

この曲はシャープ系の調性なので、たとえば do♮が響く暗さに比べると、バスも他声部も艶を帯びているのですが、その、仄かな艶の明るみがヒステリックな怖さに繋がってるような気がします。

泣いてる人よりも、不思議に艶を帯びた顔でぼんやりと思考を止めてる人のほうが怖い、みたいな種類の、ちいさな異常が感じられる音が好き!

そんな理由もあってこの曲ではソステヌートペダルに拘ってみたいのです。切れ目なく続く do♯ の異様さは、サスペンス劇場みたいじゃない?

ご自宅のピアノにソステヌートペダルがついてる方は是非試してみてネ。

思い出の回想のように感じられる、Doux et berceur と記載された温かな和音の2小節の場面には、「当曲における不吉な do♯」は鳴っていない。

こんなところも、とても物語的だと思いません?

とすると、低い do♯ は家族が崩壊した現在を感じさせるわけですが、'やさしい子守唄風の'、つまり思い出の2小節のあとに、すこしずつ do♯ が混ざっていく。9 & 10小節目ネ。

冒頭のように連続して切れ目なく聞こえる形ではなく、波状的に do♯ が響いてくる。気がつけば鳴っている。

あくまで berceur のリズムで。
7～10までが温かな回想と考えられるような形を取って、それはやってきている。piu P で気づかないうちに。

最終4小節の途切れる電子音のようなものは何でしょうね?
神経症的にフツンッと、焦点が合わなくなるような。

途切れてゆくのは健全な精神かもしれない。

そこへ、mi -- re と来て、徐々に迫りくる do♯
最終音はまるでダメ押しのように do♯ がポワンドーグ (point d’orgue) で響くのです。

これらは私個人の曲イメージです。どうぞ沢山沢山の想像力と発想力でもって、それぞれの "悲しい家の中で" を演奏してください。

■イベール関連リンク

イストワール

金の亀を遣う女

　　♪金の亀
　　♪あなたのメランコリックは?
*葉っぱのクッキーとピアノの悩みと幸せ

小さな白いロバ

　　♪今日のピアノ。気持ちが動く速度
*イベール、ロバの脚と蛙の指

老いたる物乞い

　　♪物乞い。気持ちを動かしたくない
　　♪YouTube 物乞いの曲後半
*物乞いと、ピアノ弾きの背景
*モネ、ドビュッシー、シャガール、イベール
*ピアノ曲タイトルに何思うか
*ピアノ弾きと、物乞いの背景
*ピアノ曲の絵にこだわる
*イベール曲中の街と人物

おてんば娘

　　♪イベール作曲 "おてんば娘"
*リラと若い恋をする娘

悲しい家の中で
*悲しみの家の中
*アンティーククロモとピアノ室と曲のこと
*ポテサラとソステヌートペダル
　　♪今日のピアノムービーは悲しい家

15のイマージュによる小組曲

別れ

*大人の別れ・ベリータルト
　　♪別れ。しっとりと

気楽な騎手

　　♪この曲好き! ガシャポンガシャポン
*日本語タイトルの話

水の上のセレナード
　　♪セレナードはレコード針風
*水の上を舟がいく

ロマンス

*ピアノと詩。鳥とロマンス
　　♪今日のピアノ "ロマンス"

そりに乗って

　　♪イベール "そりに乗って"

lasalledeconcert at 12:23｜Permalink│

July 22, 2023

イベール作曲 "おてんば娘"

イベール作曲 "おてんば娘" をupしました。

皆さんはタイトルイメージをどのように持ってらっしゃいますか?giddy って言葉も御転婆って言葉も様々な要素に絡んで幅のある単語ですね。

元気な女性に使われることもあれば、尻軽で軽率な女性を指す場合もある。

私たちは '元気な活発さ' と '考えの浅はかさ' に別人格ほど異なるイメージを持ってしまいがちだけれど、本来合致する部分があるってことに考えを巡らせれば、このおかしなタイトルが解明できる気がするのです。

この曲での御転婆のニュアンスは、'行動が活発である' よりは、'思いつきに対してストレートに行動してしまう心理' のほうに重きを置いて考えるのがふさわしいかと思っています。

"イストワール" という宝石箱のように詩的な物語集の中に、「単に溌剌として元気の勢いがいい女の子」だなんてつまんない像をイベールが入れはしないでしょうっていう個人的考えがあり、登場人物の心の姿を考えてゆきたくなる。

思いつきで動いてしまう素直な子。その分思い込みは強く、精査しないうちに信じやすい性質とも言える。思い込むと夢中になる可愛らしさの反面で視野が狭くなりがちな要素などなど・・・

ちょっと深めてゆくだけで、おてんば娘の「苦み」が薫ってくる気がしちゃうんですよね。a giddy girl を多面的に見れば見るほど面白くてならないのです。

また続きをおしゃべりするかも。( ←そう言ったまま次の曲にいって忘れちゃう嘘つきも重ねておりますー)

■イベール関連リンク

イストワール

金の亀を遣う女

　　♪金の亀
　　♪あなたのメランコリックは?
*葉っぱのクッキーとピアノの悩みと幸せ

小さな白いロバ

　　♪今日のピアノ。気持ちが動く速度
*イベール、ロバの脚と蛙の指

老いたる物乞い

　　♪物乞い。気持ちを動かしたくない
　　♪YouTube 物乞いの曲後半
*物乞いと、ピアノ弾きの背景
*モネ、ドビュッシー、シャガール、イベール
*ピアノ曲タイトルに何思うか
*ピアノ弾きと、物乞いの背景
*ピアノ曲の絵にこだわる
*イベール曲中の街と人物

15のイマージュによる小組曲

別れ

*大人の別れ・ベリータルト
　　♪別れ。しっとりと

気楽な騎手

　　♪この曲好き! ガシャポンガシャポン
*日本語タイトルの話

水の上のセレナード
　　♪セレナードはレコード針風
*水の上を舟がいく

ロマンス

*ピアノと詩。鳥とロマンス
　　♪今日のピアノ "ロマンス"

そりに乗って

　　♪イベール "そりに乗って"

lasalledeconcert at 12:37｜Permalink│

July 09, 2023

YouTube 物乞いの曲後半

イベール作曲 "老いたる物乞い" 後半です。

危険なほど遅く弾いてます。
危険というのは、演奏会だと音が吸収されて後ろのお席に保留音が届かなくなるラインかなと思います。

それでもできれば私は生でもこの速度で弾きたい。

どうしてこれほど物乞いと物乞いの曲に思い入れるのか自分で疑問だった。それはパリの風景への思い入れなのかもしれません。

重い足取りで歩いていくかのような曲の最後。
そこには物理的な歩みと、残り時間を生きていく歩みが重なる気がします。

絵画にも物乞いを描いた作品は数あり、イタリアのジャコモ・チェルティやスペインのバルトロメ・ムリーリョらの絵も有名ですね。

2人とも惹かれる画家だけれど、この曲の物乞いの姿はブリューゲル絵画のような雰囲気なのです。私の脳内でね。

ブリューゲルの物語チックな雰囲気と北方ルネサンスの不思議なタッチが、イベールの感覚と合わさるところがある気がしませんか?

■イベール関連リンク

イストワール

金の亀を遣う女

　　♪金の亀
　　♪あなたのメランコリックは?
*葉っぱのクッキーとピアノの悩みと幸せ

小さな白いロバ

　　♪今日のピアノ。気持ちが動く速度
*イベール、ロバの脚と蛙の指

老いたる物乞い

　　♪物乞い。気持ちを動かしたくない
*物乞いと、ピアノ弾きの背景
*モネ、ドビュッシー、シャガール、イベール
*ピアノ曲タイトルに何思うか
*ピアノ弾きと、物乞いの背景
*ピアノ曲の絵にこだわる

15のイマージュによる小組曲

別れ

*大人の別れ・ベリータルト
　　♪別れ。しっとりと

気楽な騎手

　　♪この曲好き! ガシャポンガシャポン
*日本語タイトルの話

ロマンス

*ピアノと詩。鳥とロマンス
　　♪今日のピアノ "ロマンス"

そりに乗って

　　♪イベール "そりに乗って"

lasalledeconcert at 14:25｜Permalink│

June 25, 2023

物乞い。気持ちを動かしたくない

イベール "老いたる物乞い" の前半をupしました。この曲大好きなんです。イストワールの中でも思い入れの強い曲です。

"小さな白いロバ" と対照的な、重い足取りを感じさせる速度と、暗みのある空気感を目指しました。

重い和音は汚れた足を引き摺るようでもあり、ときに鐘の響きのようでもあり。
足音が鐘の音に重なってゆくような様がとても好き。

希望の無い現実。消耗した気力。諦めと不調と憂鬱。
気持ちが動かない。否、気持ちを動かしたくない。

教会の鐘は時を刻み、無料の食事が提供される時刻を彼に報じているかもしれない一方で、彼の耳には彼の人生最後に行き着く場所への誘ないにも聞こえるのかもしれない。

現実は雨風を除けられる場所で教会から配られる食事に列を作りに行くのだとしても、最後に安置される場所とも感じてる・・・

そんなイマジネーションで弾きました。

■イベール関連リンク

イストワール

金の亀を遣う女
　　♪金の亀
　　♪あなたのメランコリックは?

*葉っぱのクッキーとピアノの悩みと幸せ

小さな白いロバ
　　♪今日のピアノ。気持ちが動く速度
*イベール、ロバの脚と蛙の指

15のイマージュによる小組曲

別れ
*大人の別れ・ベリータルト
　　♪別れ。しっとりと

気楽な騎手
　　♪この曲好き! ガシャポンガシャポン
*日本語タイトルの話

ロマンス
*ピアノと詩。鳥とロマンス
　　♪今日のピアノ "ロマンス"

そりに乗って
　　♪イベール "そりに乗って"

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YouTube 物乞いの曲後半

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物乞い。気持ちを動かしたくない

　落合桜　パリの風

　　パリの風17

ドビュッシー雪の後半

ドビュッシー雪が踊ってる