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2012年04月08日

プロトン(グループ・ロータスのオーナー)とロータスF1チームとの関係

Proton stops Lotus F1 sponsorship and gives £35m loan to team

キミ・ライコネン、ロータスE20ルノー

プロトン、ロータスF1のスポンサーシップを中止するも3,500万ポンドをチームに融資
各種のウェブサイトが、ロータスF1チームが、自動車メーカーのグループ・ロータスとのスポンサーシップ契約を終了したと報じている。スポーツ記者がF1におけるビジネスの動向を報じるときによくあるように、今回の報道も詳細なストーリーを提示していない。"Pitpass" のビジネス編集者クリスチャン・シルトによると、実際にはほとんど何も変わらないと言う。そうは言っても、最近の進展によって、グループ・ロータスのオーナーであるプロトンが、以前考えられていたように、チームの50%ではなくすべてを買収することができる立場になったので、多くのことが変わる可能性もある。

先週、シルトはグループ・ロータスのオーナーであるプロトン(本社:マレーシア)が2ヶ月前に推定3,500万ポンド(45億3,786万円*)をロータスF1チームに貸し付けたことを明らかにした。最新の記事を書いたスポーツ記者は誰も、プロトンからチームへの貸付金の存在を証明する文書を見つけられなかったようだ。ロータスF1を所有しているジェニイ・キャピタルのオーナー、ジェラール・ロペスは「ロータスのスポンサーシップ契約と義務は終了した」と語る。しかし彼は「ロータスはF1にとってよいチーム名であると信じているので、喜んでロータスを使う」と言い添えている。

つまり、こういうことである。チームはロータスF1と呼ばれ続け、2011年開幕時から築き上げていたブランド資産価値を放棄したいと思わない限り、自動車メーカーであるロータスにゆかりのある有名な黒と金のロゴを使い続けるだろう。

要するに、外部からはほとんど違いはないように見えるし、内部では、グループ・ロータスはチームにスポンサーシップ料を支払わないが、同社のオーナーはチームに資金を融資している。この貸付の文書を掘り起こさなかったスポーツ記者について、彼らはF1のビジネスの専門家ではないからと弁護することもできるだろう。しかしロペスのコメントは、名称使用を除くと、チームはグループ・ロータスとのつながりをすべて絶ったような印象を与える。ロペスは実際にそのような発言はしなかったが、記者のひとりがロペスのコメントについて、チームは「グループ・ロータスとの正式な関係に終止符を打った」と書いたことは、強調されるべきだろう。

すべての関係を絶ったという印象を強めるように、ロペスは、グループ・ロータスはチームの50%の株式を買収するオプションを持っていた(9月にシルトが報じた内容)が、今は持っていないことを認めた。彼は「そのオプションは我々が引き継いだ。以前はあったが、今は我々がそれを引き継いだ」と述べた。「ロータスの義務は終了した」ことを考えると、チームはおそらくグループ・ロータスのダニー・バハール社長と、昨年任命されたプロトンのサイド・ザイナル・アビディン・タヒール社長を取締役会から外すだろう。

ロペスのコメントによって明らかにされなかったことがある。それは、融資には、チームがプロトンに「あらゆる工場、機械類、ショーカー、コンピュータ、オフィス、その他設備...および...ホワイトウェイズ技術センター(ロータスF1本部)」に「全面的な所有権の保証」を与えるとする非常に重要な条項が含まれていることである。これが何を意味するかというと、チームがローン返済を怠った場合(そのようなことが起きるという示唆はない)、上記でリストアップされた資産すべて(事実上、チームそのもの)を引き継ぐ資格があるということである。つまり、ロペスはグループ・ロータスはロータスF1の50%を買収するオプションを有していないと熱心に語ったが、グループ・ロータスのオーナーがチームに資金を融資した結果、チームの株式をさらに多く所有するかもしれないことは明らかにしなかった。

チームがローンの返済を怠った場合、プロトンがチームの株式をどのくらい所有するのかは不明である。しかし、プロトンは少なくとも4,490万ポンド(58億2,143万円*)を手にするだろう。その内訳は不動産1,290万ポンド(16億7,252万円*)、工場(ホワイトウェイズ)2,750万ポンド(35億6,546万円*)、HPおよびシスコの大量のコンピュータ設備、レーザー加工機、電子顕微鏡、テスト装置、フライス盤、エアコンプレッサー、風洞、33台のショーカー300万ポンド(3億8,896万円*)、などである。ショーカーには、29台の動かないショーカー(ロータスのスポンサー、トタルに貸し出されているフランスの2台、同じくロータスのスポンサー、TWスチールに貸し出されている1台、ルクセンブルグにあるロペスの個人用ショーカー、レースチーム用のピットストップ・マシンなど)が含まれている。走行可能なショーカーもある。2009年カラーリングの2台と、2010年カラーリングの2台である。チームがローンを返済しなければ、プロトンはかなりの資産を手に入れることになる。

貸付金の存在により、「不足分をスポンサーに埋めてもらう方がよかったが、我々(ジェニイ)が(チームに)資金を調達しなければならないのであれば、そうするつもりだ」というロペスのコメントは全く異なる文脈をもつ。もちろんプロトンの貸付金のおかげで、グループ・ロータスによるスポンサーシップの損失はかなり軽減される。そのため、おそらくロペスは「今タイトル・スポンサーと契約すれば、チームはこれまでなかったほどよいキャッシュ・フロー状態になるだろう」と、つい言ってしまったのだろう。ロータスからのスポンサーシップはないが、プロトンからの貸付金がある。そのため、さらにタイトル・スポンサーが加われば、ロペスの言うように、望ましい状態になるだろう。

彼は、チームは商業面を検討しており、「これまでF1に参戦していなかったブランドだったので大ニュースであるマイクロソフトと契約した」と述べた。この発言もシルトを驚かせた。というのも、マイクロソフトは、F1マシンの電子制御ユニットについてマクラーレンと提携しており、2009年までマイクロソフトはフェラーリのサプライヤーだったからだ。だから、このブランドが「これまでF1に参戦していなかった」というのは誇張のように見えた。これはまるで、ロータスF1が、グループ・ロータスのオーナーから資金を融資されているのに、同グループとの「正式な関係に終止符を打った」と言うようなものである。

ロータスE20ルノー

グループ・ロータスとロータスF1チームの関係がどのように進展するのか興味深い。プロトンの支配的な43%の株式が、マレーシア政府から地元企業の "DRB-Hicom" に売却されたあと、ジェニイがプロトンを買収すると噂されている。ジェニイによるグループ・ロータス買収について質問されると、ロペスは「まだわからない。なぜなら新オーナーがそれをどうしたいのか、我々には全くわからないからだ」と答えた。

しかし、他人の方がロペスよりも事情をよく知っているようだ。ケータハム・カーズの取締役のひとりは、声明のなかで「DRB-Hicom [sic] が、どうしたいのか、売却したいのかどうかを決めた後、少なくともあと数週間は適正評価が続く可能性が高い... ロータスは過去数年間、プロトンにとって深刻な損失源であり、少なくとも2014年までは状況の好転はほとんどない」と述べている。ライバル企業であるケータハムの取締役が先入観を持っていたとしても意外ではない。しかし、彼の予測が単なる当て推量よりましなものに基づいているのなら、グループ・ロータスの前途は多難である。

-Source: Pitpass
-Amazon: F1: DVD Blu-ray

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*日本時間2012年04月07日05:59 の為替レート: 1ポンド=129.653370円


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