「この4人に告白されたら誰と付き合う?」というトピックを見た。

 こういう想像は楽しい。本当に楽しい。楽しい。楽しい……楽しいんだから放っておいて! おまえが告白されるわけないじゃん( ´_ゝ`)なんて言わないで! わかってるから!(涙を流して全力でキータッチ)


 さて。


 それじゃその4人を紹介しましょうか。画像を並べただけではつまらないので、ちょっとしたストーリーとともにご紹介していきましょう。すべては勝手な妄想です、あしからず。




エントリーNo1
北野日奈子


 見慣れた空間。そのはずなのに、違和感が拭えない。いつもと同じで、いつもと違う。音がないだけで、世界は別の顔を見せる。

「きてくれて、ありがとう」

 教室の隅に寄りかかり、こちらに笑顔を見せる同級生の声が静寂を破る。このクラスになって半年。それなのに、話したことは思い浮かべる限り、数回しかない。

「こういうのはさ」

 何を話していいか分からず、言葉を捜す僕に、彼女は優しく語りかける。

「女の子から言うもんじゃないけど……」

 胸が高鳴る。いくらなんでもこのシチュエーションにいて、彼女が何を言い出すか、分からないわけがない。僕は答えを探しながら、次の言葉を待つ。

「結婚、しよ?」

 用意していた答えは、心の中で霧散する。感情がどこかへ飛んでいく。魂の抜け殻となった僕は、ただ前を見る。窓から差し込む陽光に照らされた彼女は、いたずらっぽく笑い、顔の横でピースの形をつくった。



 どうしてピースしたの? そう尋ねる僕に、隣にいる彼女は、いたずらっぽく笑う。

 ずっと昔の、あのときのように――。


20141012-05



エントリーNo2
生田絵梨花


「ちゃんと撮れた?」

 彼女の言葉に、携帯電話の画面を見ながら頷く。そこには、桜の木を横に、笑顔を見せる幼なじみの姿があった。保存ボタンを押し、ポケットにしまう。

「大切にしてね」

 ああ、と顔を背ける。彼女の無邪気な態度が、今日はとくに心に刺さる。物心ついたときから、隣にいた女の子。妹のような存在が、まさか自分を越えていくなんて思いも寄らなかった。音楽の学校に行く彼女とは、もう同じ道を進めない。

 ずっと続いていたふたりの線は今、ここで切れる。切れることなんて、ずっとないと思っていたのに。たった今、手に入れたポケットの中の宝物を確認し、泣きそうな自分を押し込める。

「なんで悲しそうな顔してるの?」

 そんなこと聞くなよ、心で呟く。行かないでほしい、傍にいてほしい、それを今さら伝えられるか。「恋人」じゃない、「家族」と思ってるおまえに、気持ちを伝えられるわけがない。

「好きな人が傍にいるんでしょ? そんな顔しないの」

 めっ、と笑いながら叱る彼女の言葉を一瞬理解できなかった。

 好きな、人?

「好きって……知ってたのか?」

「知らないわけないでしょ。ずっと一緒にいるんだから。それに、わたしも好きだし」

 あっさりとした告白。いや、すでにふたりの気持ちはずっと前に交差していたのかもしれない。気付いていなかったのは、自分だけ……。

 そっとポケットの携帯電話を触る。「恋人」になった彼女の笑顔がそこにある。それだけで満ち足りた気分になり、顔がほころぶのを止められない。

「今度は笑ってるし……変な人」

 そういう彼女の表情も、どことなく安心しているように見えたのは、気のせいだろうか――。


20141012-06



エントリーNo3
齋藤飛鳥


 10年前――。

 無謀を勇気と勘違いし、田舎を飛び出したあのときが、数秒前のことのように思える。もう立ち直れないぐらいの挫折を味わい、故郷へと戻った俺に優しい言葉はひとつもない。それ見たことか、と嘲りの視線が突き刺さる。

 そんな環境から逃げ出すように、子どもの頃によく遊んでいた場所へ向かった。そこはもう遊び場としての面影はなく、雑草が伸び放題となっている。

「ばかじゃないの」

 彼女と出会ったのは、朽ち果てたバス停だった。

「辛いことから逃げた人をね、待ち受けるのは楽な道なんかじゃない。結局、辛いことが待ってるの。辛いことを避けることなんてできない」

 背の低い彼女は、バス停の段に立ち、上から見下ろすように言ってくる。いつからここにいるのか、いつまでここにいるのか。まるで風景と混ざり合わない違和感のある存在だった。

「でも安心して。もう、あなたはだいじょうぶ」

 確信をもった言葉を彼女は紡ぐ。

「わたしは、あなたを愛する。だめなあなたを、愛する」

 感情の起伏がない、淡々とした口調だった。

「だから、だいじょうぶ。わたしが好きなあなたは、だいじょうぶ。さあ、手を」

 俺は導かれるように、ゆっくりと手を伸ばす。その手を彼女がつかむ。 


 そのとき、日常が終わる。そして、非日常がはじまる。

 それは、すべてを失った手が、すべてを手に入れる、俺と彼女の、物語。


 
20141012-07


エントリーNo4
桜井玲香


 ため息をつく。それは何度もついたため息。形にならないまま消えていく。胸の中の気持ちも同じ。きっと、なんの進展もなく、このまま消えていくんだ。

「別にいいや」

 自分を納得させるように呟き、わたしは窓の外を見る。向こうの景色にではなく、そこに映る自分の姿に目がいく。彼の好きな女性になれるよう、必死で努力したその痕跡が残る姿。今となっては、すべてが空しいだけ。いっそのこと裸にでもなってやろうか、と自棄になりそうになる。

 振られたわけではない。気持ちを伝えたわけではない。ただ、諦めただけ。彼は手の届かない存在。それを思い知らされた。そこに近づこうと努力しても意味がない。同じ世界にいるのならば可能性はあるが、彼は別世界の人間なのだから。伸ばした手が、届くはずもない。

 ありがとう、さようなら。心の中で一方的に告げた言葉は、決して彼には届かない。わたしの何度目かの恋は、はじまりも、終わりも、相手に伝わることなく消え去った。

「あ、あの」




 ――僕にはずっと気になっている女性がいた。でも、話しかけられない。彼女の美貌はまるで別世界の人間。僕ごときが付き合える女性ではない。

 でも、思いは止められない。どうせだめなら当たって砕けろ、だ。このまま何も伝えられないまま終わるなんてできない。

 僕は意を決し、彼女の背中へと話しかける。

 振り向いた彼女の美しさに目がくらみそうになりながら、がむしゃらに思いを伝える。彼女は寂しそうに微笑み、「あなたって強いね」と呟くように言い、そして――。


20141012-08




☆本気で1位めざします!

乃木坂46 ブログランキングへ