行ってまいりました、乃木坂46個別握手会。1部のみ。しかも3名を1枚ずつ。合計で15秒弱の触れあい。そのために仕事を放り投げていくのは、普通の人から言わせれば愚かの極みなのかもしれません。でも秒数で計れない価値がそこにはあります。5秒に至る想い、5秒に賭ける情熱、5秒を終えた感動、それらすべてを含んでの1枚ならば決して高くはありません。


  と、握手会に行ったがために納期を若干遅らせてしまった正当化をしたところでレポートに参ります。ひとりひとり個別に書くよりかは、自分が感じた緊張感、多幸感を追体験してもらうため、ひとつの記事としてまとめました。


 それでは雪崩式ジャーマン式(ややこしい……)レポートのはじまりでございます。

20150525-04




樋口 日奈

20150525-03


 握手するメンバーは3名。順番は、ひなちま→かなりん→堀ちゃんに決めた。たった数秒のやりとりではあるが、何往復かは会話ができる。ノープランで即座にやりとりができる力量がないので、あらかじめ最初にかける言葉は考えていた。 今までは、「かわいいですね」しか言えずに撃沈していたが、今日は違う言葉で、違うリアクションを引き出したかった。 

 ひなちまレーンに行くと、並びは数名。これなら受付を終えてすぐに握手ができそうだ。まず並ぶ前に、会場の隅に行き深呼吸。頭で会話のシュミレーションをする。

 よし、行ける。

(胸のことは考えるな、胸ばかり見るな、胸、胸、胸……)

 心の中で呟きながら受付を済ませて、待機列へ。前にいたのは3名。考える間もなく順番が回ってくる。このとき隣のレーンが相楽伊織さんだったのだが、たまたま彼女のレーンに並びがなく、手持ち無沙汰になっている姿が隙間から見えた。

 やっぱり生で見るアイドルはかわいいなぁ、とぼんやり眺めていたら、伊織さんもこちらに気づいたようで、目と目があい、笑顔を見せてくれた。その姿にこっそりと手を振り、まるで隠れて付き合っているかのような雰囲気を味わう。伊織さん、次いきます(ちょろいヲタク)。


 さて、ひなちま。

 順番になりブースに入ると、いつものあの笑顔で出迎えてくれる。


「はじめまして」
「はじめまして」
「どうしても会いたくてきました」
「そうなんだ! ありがとう!」
「ブログの大好きが大好きです」


 ぐっと手を胸元に引き寄せられる。力は強く、思わず一歩前に出そうになるぐらいだった。当然、顔と顔が近くなる。驚く自分の目をまっすぐに見つめたまま、彼女は静かな声で、でも、はっきりと聞こえる声で言った。




「大好き」




「!!!???あ、あり、ありがとあはははははははは……」


 お礼の言葉がでないぐらいに混乱した。ひなちまを見ることができない。お時間です、と係に言われて剥がされる間も、ずっと意味不明な言葉を発していたと思う。大好き、と言われてからの記憶がない。お別れの挨拶を言ったかも、その後に何を言われたかもぼんやりとしている。

 レーンから出てきても、顔が緩んでしかたない。今までもにやけ顔で出てきたことはあるが、おそらく過去最大のにやけだっただろう。並んでいた人は相当気持ち悪かったに違いない。


 一発だった。一発で腑抜けにされた。ひなちまファミリーに入りたいと本気で思ってしまった。陽だまりの部屋恐るべし。あそこは異空間だ。一歩足を踏み入れたら最後、彼女の魅力から逃れられない。ゆったんのすりすり攻撃も破壊力十分だったが、ひなちまの引き寄せはこれまでの握手会に感じていた常識を覆した。あれはすごい。純真無垢な男の子だったら確実に落とされる。


 正直、これを書いている間も、あのときの大好きを思い出しては、にへらにへらしてしまっている。画像を見ては、大好き、と呟いてしまう。今まで握手してきたメンバーに申し訳ないぐらいに入れ込んでしまっていることが恐ろしい。単純に比較はできないが、もっと釣りのうまいメンバーと握手したらどうなることやら。その場で卒倒するんじゃないかと今から心配でならない。


 ともかく今回のひなちまは最高だった。

 ひなちま。

 大好き。



中田 花奈

20150525-02


 結論から書いてしまうが、非常に残念な初かなりんとなってしまった。ひなちまの剥がしが緩かったからか、かなりんの剥がしが異常なまでに早く感じてしまった。しょせん体感なので実際のところは分からないが、今までで一番短かったように思う。


 受付のあとの並びは10人ぐらいだった。初ぺろ様……あなたに身も心も委ねます、の気持ちで順番を待つ。前も後ろも知り合い同士で並んでいるようで、前後から、今日のらりんかわいい!、なぁちゃんお疲れかな、のような握手会情報が飛び交っている。

 なんとなく疎外感を覚えながら待つこと数分。中田花奈さんとご対面のとき。

 はじめましてー、と言いながら近寄っていく。同じ言葉を返してもらいながら握手。生で見る花奈さんからは、まさにアイドルとしてのオーラが漲っていた。同じアイドルオタクとして親近感を覚えていたが、やはり本物のアイドルは違う。

 臆病者の自分はすっかりそのオーラに圧倒され、かなりん、とニックネームで呼ぶことすらできなくなった。


「初花奈さん、本当にお綺麗です」


 これはあらかじめ用意していた言葉ではない。言葉そのまま、本当に綺麗だったのだ。今までと似たようなことは言うまいと思っていたが、心の声がそのまま口をでた。はじける笑顔とよく言うが、その言葉を聞いて、彼女はまさにそんな表情をしてくれた。

「そうかな。嬉し――」

 お時間です、との声。

 は!? もう!?

 その驚きで、かなりんがその後何を言ったのか聞き逃してしまった。最初の挨拶は除いたとしても、会話一往復もしてないぞ。早過ぎないか。しかし臆病者でチキンな自分はそれに抗うこともできない。「またきてね」と手を振るかなりんに、「今度またきます!」と言うのが精一杯だった。


 レーンから離れたあとも、しばらく腑に落ちなかった。無意識のうちに言葉に間があったのだろうか。かなりんに見とれて数秒意識を失った? いやいや、確かに美しかったが、さすがに時間の感覚を失うほど見とれてはいなかったはずだ。

 それじゃなんで。

 こういうところに経験が出る。おもわぬタイミングで剥がしが入っても、そこで集中力を切らさずに楽しまなくてはいけない。それなのに、早いだろ、という意識ばかりに気をとられ、結果的にかなりんとの握手すべてが、いわゆる「事故」としてインプットされてしまった。

 かなりんは決して悪くない。剥がしも仕事を全うしただけだ。となると悪いのは自分、か……。


 なんとも情けない初かなりんとなってしまった。リベンジ、だな。これじゃまるで彼女の良さを味わえていない、伝えられてもいない。不満はそれを上回る満足で塗り替えるしかない。

 かなりん、また行きます。


堀 未央奈

20150513-01


 メンバーと握手する前はいつも緊張するが、堀ちゃんとの握手はまた別格の緊張感に襲われた。生駒ちゃんと握手する前のときの感じに似ている。用意していた言葉すら、目の前で相対したときに飛んでしまいそうだった。

 かなりんとの握手で剥がしの怖さも味わった。堀ちゃんに伝えたい言葉は山とある。しかしそれを伝えるにはあまりに短い時間。ひとりでべらべら喋って終わりという事態は避けたい。

 知り合いに声をかけながら緊張感を紛らわしていたが、時間は刻一刻と過ぎていく。堀ちゃんレーンは受付後で折り返しの列を作っている。並んでからも考える時間はありそうだ。

 意を決し列に並ぶ。徐々に近づくにつれ緊張感は増していく。生駒ちゃんの場合は、彼女が体調不良でいなくなるというハプニングの結果、考える時間なく握手となったが、今回は違う。列に並んでいる間、ずっと考えてしまう。

 シュミレーションはしてきた。それなのに直前になって自信がなくなる。果たしてうまく会話できるのか。大の大人が18歳の少女を前にして吐きそうなほど緊張している。奥さんに言ったら、情けない、と一蹴されるだろう。

 結局、考えがまとまらずに順番が回ってくる。


「はじめまして」


 いつものように挨拶をする。モニター越しに見ていた彼女が目の前で立っている。


「はじめまして」


 いつも聞いていた声がすぐそばで聞こえる。髪を切った堀ちゃんのかわいさはすでに知っているはずだった。しかし生で見る堀ちゃんはレベルが違う。大きな瞳で見つめられると心臓が止まりそうになる。

 おもわず胸に手をあて、情けない言葉を発していた。


「かわい過ぎて緊張しちゃって」


 堀ちゃんは笑ってくれた。あの独特な笑い方で、そんな、と言いながら、目の前で笑ってくれた。それは「考える力」を奪うには十分な破壊力。おもわず自分でも予期せぬ言葉を言ってしまう。


「で、でも」


 真顔に戻った堀ちゃんは、でも? と小首をかしげ、目で先を促してくる。


 でも……なんだ? その先に自分は何を言うつもりだったんだ?


 言葉が飛ぶ。ただ掘ちゃんと見つめあい――

 時間がやってくる。

 
 堀ちゃんはまた笑顔に戻り、手を離す。

 このまま別れていいのか!? 咄嗟によぎった想い。


「会えて嬉しかったです」


 別れ際、なんとかその言葉を搾り出す。剥がされながらだったので堀ちゃんがどう答えてくれたかは分からない。でも笑顔だったことは覚えている。それだけでじゅうぶんだった。彼女の笑顔が、この数秒を宝物へと変えてくれた。


 でも、これって事故ったってことだよな……。


 かなりんに続き、握手会の洗礼を浴びてしまった。ひなちまで浮かれ過ぎていたようだ。圧倒的経験不足は否めない。楽しい気分よりも悔しい気持ちのほうが強い。


 くそー、次は何枚だ!


 まさにこうやってドツボにはまってくんだろうなぁ……。




振り返って


 1枚じゃやっぱりしんどい!

 それが今回の握手会で痛感したこと。せめてもう1枚あれば、会話にもっと広がりを持たせることができる。はじめまして、かつ1枚では、どうしても会話の幅が狭まり、やりとりも似たようなものになる。最初の挨拶を省略するだけで相当違う。たった1秒、されど1秒。コンマの使い道が明暗をくっきりと分ける。

 次は2枚以上でいくことをここに宣言する。そして次は3枚、4枚……ああ、歯止めが利かなくなりそうだ……。


 そして毎回のことながら、最高の笑顔で出迎えてくれるメンバーに感謝。握手会のもたらず残酷な格差には折々で触れてきたが、その中で戦う彼女たちは美しい。そこに差はない。美しい姿を見せてくれてありがとう。元気、もらいました。



 最後に会場でお会いした皆さん、ありがとうございました。ばたばたとしてしまいましたが、毎回この時間がとても楽しみです。またよろしくお願いします。




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