気づけばもう5日。大晦日の喧騒が昔のよう。おもえば無茶をやったものだ……今年はやりませんと今のうちに宣言しておこう。(これがいわゆるフリ)


 さて、 新年のご挨拶をしてから、すっかり更新をさぼってしまいました。今年一発目の記事も、31日の延長戦で書いた感覚なので、2016年、気持ちのうえでの最初の記事が、この記事になります。


 今年は諸事情により、帰省はしませんでした。親とは新年の挨拶で二言三言交わしたぐらいです。母とは電話でよく話すのですが、父とはほとんど会話をしません。どうも昔から父は苦手なのです。母から言わせると、父も自分のことが苦手な模様。でも決して憎しみあっているわけでも嫌っているわけでもありません。何を話していいのか分からないのです。

 とはいえ、さすがに新年。話さないわけにはいきません。

 「久しぶり」という自分に、「帰ってこねぇのか」と父。

「近々帰るよ」「そうか」

「「……」」

 ああ、やっぱり間がもたない。もう切ろうと思ったとき、父がぼそっと言いました。


「後悔しないようにな」


 こちらが何かを答える前に、通話が切れる音。いつもこうです。言いたいことだけ言ってさっさと会話を終わりにしてしまう。だから苦手なんだよ……。

 そう思いながら、ふと思い出したことがありました。

 高校時代、「作家をめざす!」と息巻いていた自分は、自作小説をプリントアウトし、手作りの本を何冊か作りました。紙をホッチキスでとめただけの簡易的なものです。内容は悲惨なものでしたが、当時の自分はまるで本当に作家にでもなったかのように高揚していました。

 当時、自宅によく飲みにくる方がいました。その方は、父の小学生時代の担任だった人です。最終的に校長まで登りつめましたが、わたしが知っているときはすでに定年退職したあとだったように思います。その方は問題児だった父と、父が卒業してからもずっと付き合いを続けていました。

 自分はその日、いつものように飲みにきた元校長に、意気揚々と自作の本を手渡しました。かつての教え子の息子である自分は、その方からはとてもかわいがられていました。今とは違い、書いたものをなかなか見てもらえない時代です。わたしは感想に飢えていました。

 そのときは「すごいなぁ、あとで読むからな」と受け取った元校長から数日後電話がかかってきました。

 一字一句まではっきり覚えているわけではありません。でも言われた言葉の意図することは痛いぐらいに記憶しています。


「きみに才能はない。このままやっていてもお父さんとお母さんに迷惑をかけるだけだ。早く諦めたほうがいい」


 今になって思えば。

 教師生活の中で、数えきれないぐらい、自分のような生徒に出会ってきたのでしょう。叶わぬ夢を追い続け挫折する生徒と自分が重なっても無理はありません。確かにそのときの自分は、「若気の至り」に犯されていたことは事実です。

 でも当時の自分は落ち込みました。自分のすべてを否定されたように思いました。

 がっくりと肩を落とし、夢を見失いかけたときに父に言われた言葉。


「後悔しないようにな」


 気づけばいつもその言葉は近くにあった気がします。上京も、就職も、結婚も、退職も、そして今も。後悔しないように。それが念頭にあります。でも結局後悔することが多いんだよね、と笑いながら父と話す日がこの先あるのか。そのとき父は何を言うのか。きっと何も言わない気がします。ただ黙っているだけだと思います。





 そして、そのことを確認できないことが、きっと一番の後悔になることも分かっています。けど、なかなか踏ん切りがつかないダメな息子。今月帰るからそのときになんとか会話を……。というか、そっちからも話しかけてよ! 待ってるんだから! と牽制しあうダメ親子。

 2016年、その均衡は破られるのか。乞うご期待。





 あと、後悔しないようにで考えるのは、やっぱりこの人。

20160105-01


 乃木坂のファンブログであんまり「由依さん、由依さん」やってても、皆さん白けるだけだと思いますが、こればっかりはしょうがない。横山由依というアイドルは自分の中で別格。この道に連れてきてくれた恩人です。彼女がいなければ乃木坂にも巡りあわなかったかもしれません。

 今まではいろいろと理由をつけて、AKB握手会への参加を拒んできました。由依さんと握手。そんなの想像するだけで倒れそうです。正直、怖くもあります。そのとき自分がどんなテンションになるのか。もしかしたら握手一回で泣き出すかもしれません。むしろ列に並んだ瞬間に泣く自信があります。それどころかきっと並べない……。

 でも、せっかく会えるなら一度は会ってみたい。会いたいと思っても、そのときは遅いかもしれません。チャンスは永遠にはない。今こそ好機。

 それに父も言ってくれたじゃないですか。


「後悔しないようにな」

 
分かったよ! 後悔しない! 今年は由依さんと握手する! 握りに行く!

 父さん、ありがとう!

 握手会を肴にいっぱいやろうぜ!


 皆さんも後悔のない2016年をお送りください!



 ……で、AKBの握手会ってどうやって行くんだろう?