【「乃木坂メンバーと○○」を妄想してみた。】シリーズに、「桐生」様から2度目の投稿をいただきました。


 前作「【妄想小説】「乃木坂メンバーと○○」を妄想してみた。【雪中行軍&星野みなみ編】」で、読者に衝撃を与えてから数週間。早くも新作を書き上げていただきました。

 桐生先生の作品が読めるのはノギザカッションだけ!(今のところ……)


 設定は、星野みなみちゃん×喫茶店。

 皆さん、おぼろげながらストーリーを想像できませんか?


 その想像のはるか上をいく展開が、これより先に広がっています。

 乃木坂ネタも満載ですよ。


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乃木坂メンバーと「喫茶店」で出会ったら
星野みなみ 編

作者 桐生


20160628-03


その日は犯行予告の届いた美術館の関係者や警備担当者と夜まで対策会議が続き、警視庁の全体責任者である俺は疲れ果てていた。
果てしなく思えた会議もようやく終わり、丸1日何も食べていない事に気付いた俺は、着替えを取りに帰る合間で馴染みの喫茶店を訪れた。

ドアに取り付けたベルが鳴りカウンターの中の麻衣が振り返る。
「あ!いらっしゃい!ハフ~ン☆」
驚異的な美貌を持ち、人前ではモデル然とした振る舞いを崩さない麻衣。
しかし身内に対しては芸達者で剽軽者の素顔を隠そうともせず、今も凄いスピードで自分の胸を激しく上下に擦っている。
「あまり擦ると小さくなるよ」
「オマエナニイッテンダヨーフザケンナヨー」
今度はモノマネを始める麻衣。
そのレベルは驚く程高いが、疲れて腹も減っている俺はスルーしてカウンター席へと座る。
麻衣がニコニコしながら訊いてきた。
「ぴっといん、オーケー?」
「じゃあマヨネーズパスタで」

落ち着いた雰囲気の良い喫茶店なのだが、開店当初に長女の麻衣が個性を出すため全てのメニューを無理矢理マヨネーズ味に設定してしまい、更に追い討ちをかけるように次女が店内の壁面全体を覆うかのように自作の不気味な絵画の数々を飾ってしまったため、客足は完全に途絶えてしまった。
たまたま俺は麻衣とは違い正真正銘のマヨラー星人であり、他の客に気兼ねすることなくリラックスできるので助かってはいるのだが、どうやって店の経営が成り立っているのか不思議なところではあった。
「お金が全然ないよ~」
麻衣は口癖のように言うのだが、どこか三文芝居の雰囲気が漂っている。

「できまちたよ☆こぼさず食べられまちゅか~?」
麻衣と俺が付き合い始めて1年になる。
「よくできまちた~だいちゅき~☆」
俺の食べる姿を満面の笑みで眺めている麻衣。
「麻衣、あまりベタベタすると町内の噂になっちゃうぞ」
「噂になっても…いいよ、私」
見つめ合う二人。
麻衣はそっと目を閉じマヨネーズまみれの俺の口に顔を近づけてきた。
抗えるはずもなく、俺も目を閉じる…

「ちょっと、オイ!(怒)」
「あ、生ちゃん、お帰り~!ハフ~ン☆」
いつの間にか帰ってきた次女の絵梨花が憤怒の表情で入口に立っていた。
姉妹なので名字は同じはずなのだか、何故か生ちゃんと呼ばれている次女の絵梨花は音楽を専攻する女子大生だった。

「今週は私の番でしょ!」
絵梨花と俺が付き合い始めて半年になる。
そうか、今週は絵梨花の番だったか。俺は素直に謝る。
「生ちゃんごめん、つい…」
「生ちゃん。私たちのガールズルールは…ジャン!『弱肉強食』でしょ?」
「まいやんは黙ってて。ご飯も私が作るから。ホワイトこんにゃくでいい?」
俺は恐ろしくなって全力で遠慮する。
「いくちゃん・・・疲れてるだろうから大丈夫!」
「揚げるだけじゃん」
何故こんにゃくを揚げようとしているのか…
「何かしらの粉をつけてピッと…」

相手にしないでいると絵梨花は不満げにプロレス技を仕掛けてきた。
後ろから両腕をロックされ、両足もガッチリ固められている。
「つながってるつながってる。行ってんのよ」
得意げにグイグイ締め付けてくる絵梨花。
次第に俺の骨が奇妙な音を立て始めた。
「なんか~サクッ、て言うんスよ」
たまらず麻衣に助けを求める。
「まいやん!ちょっと、これどう思う!?」
「ただの変態ですよ☆」
麻衣は楽しそうに眺めるだけだった。
遠のく意識の中で、俺は口から泡を吹き始めたのを感じていた。

しかし締め付ける力がフッと弱まり、気付くと絵梨花の可愛らしい顔が目の前に迫っていた。
俺にしっかりと全身を巻きつけたまま、絵梨花はそっと目を閉じ泡まみれの俺の口に顔を近づけてきた。
抗えるはずもなく、俺も目を閉じる…

「気持ち悪いからやめて!」
「あ、みなみ、お帰り~!ハフ~ン☆」
いつの間にか帰ってきた三女のみなみが嫌悪感丸出しの表情で入口に立っていた。
末っ子のみなみは反抗期まっただ中の女子高生だった。
ちなみにみなみと俺は付き合ってはいない。

「姉妹で同じ男の人と・・・キモイよ!」
「みなみ・・・これには訳があって、昨日夢で武装したゴリラがザッザッザツと・・・」
「生ちゃんの夜のテンションめんどくせーんだよ!」

麻衣がみなみを嗜める。
「みなみ、あんまり言葉使い悪いと・・・お仕置きしちゃうぞ☆」
「ねぇー!みなみはもう限界だよ!」
絶叫するみなみに絵梨花がとどめの一言を放った。
「みなみ、人はね、限界だと思ってからもうちょっといけるよ」
「もうやだー!」

みなみは怒って店を飛び出して行ってしまった。
「みなみちゃん待って!」
俺は二人を残しみなみの後を追った。

「いた!」
みなみは夜の公園でパッションフルーツのように煌めく街を見下ろしていた。
「みなみちゃん・・・探したよ」
みなみはこちらに背を向け泣いているようだった。
「ホントに心配したよ・・・」
「みんなに好きって言ってるから・・・もうあまり受け止めないように・・・」
「なんでー!みなみー!」
俺はたまらず後ろからみなみを抱きしめ、そして純粋な想いを誠心誠意伝えるべく、テレビで見たあの有名なキメ台詞を叫んだ。
「まいやんが好きです!生ちゃんが好きです!でもみなみちゃんのほうがもーっと好きです!!」
「ホントー?」
みなみが満面の笑みで振り返った。

「ごめんね、みなみちゃん」
「まっいっか!忘れちゃった☆」
俺はみなみの目を真っ直ぐ見つめて言った。
「みなみ、俺は刑事でお前は受験生だ・・・でも4ヶ月たったら俺とお前の関係はどうなっている?」
「えっ!?」
「その答えは・・・わかるよな?」
「・・・はい!☆」
「じゃあ今度2人だけで渋谷に買い物にでも行こうか」
「ほんとー?わーいわーい!いっぱい電車乗るぞ☆」
俺はみなみと手をつなぎ、兎の眼という意味の名を持つ喫茶店へと歩き出した。

次の日、疲れ果てた俺は警視総監に連絡し急遽欠勤にしてもらった。
余談になるが、その日、犯行予告のあった美術館では大事件が起こり、一時は警視庁に向け謎の組織からVXガス搭載の巡航ミサイルが発射される事態になったが、様々な人々の色んな活躍によりミサイルは危機一髪のところで回避された。しかし、時価300億円のラッセンの絵画は、予告通り3人組の女盗賊にまんまと盗まれてしまったそうだ。Yahooニュースで読んだ。

次の日もお腹が痛いという理由で欠勤した俺は、朝から喫茶店へと向かった。
「いらっしゃい☆」
「みなみちゃん、今日は独り?」
「うん☆そーなのー」
良かった。今朝は久々にまともなモーニングにありつけそうだ。

「じゃあ、みなみのナンバーワンパンを。」
「はーい☆ Let's Go Bread!」

幸せはこんなに近くにあったのか。
秘密めいた扉がどこかで開いたような気がした。

- Fin - 

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