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ノギザカッション小説コンテスト
エントリーNo1


あの日の夕焼け空


20170508-01

これは僕が大学生1年生の時の話だ。
僕は一目惚れをした。

入学式当日
「はぁ...入学前テストの日は1人としか話せなかったなあ...」
そう、この欅大学には入学式の2日前に学力調査テストがある。
そこで初対面の人たちと話し親交を深めるべきなのだろうが、僕は緊張してしまい隣に座っていた男の子としか話すことができなかったのだ。

♪~一歩目を踏み出してみなけりゃ なにも始まらないよ~♪

これは確か最近人気のアイドルグループの曲だ。
そうだ、0からのスタートなんだ。
自分から積極的にいかなきゃ!友達ができないなんて...「僕は嫌だ!」
僕は男女問わず色んな人に話しかけ、友達もたくさんできた
そして、長い長い入学式が始まった。
学長の話や中国から来日してきた人の話やブラスバンドの発表などもあった。
そして、在校生代表の挨拶が始まった。男女1人ずつだ。
僕は「頭いいんだろうな~すごいな~」くらいに思ってた

アナウンス「在校生代表、文学部・菅井友香」
時が止まった。そんな感覚だった。
「な、なんだあの子、可愛すぎる...」
僕は一目惚れしてしまった。今までにないくらいの感情だった。多分、細胞レベルで恋をするということはこのことなのだろう。

入学式が終わった後も僕はずっと彼女のことを考えていた。
しかし、情報が弱い...今わかっていることは『1年生』『文学部』ということだけだ。
僕はどうしても会いたいという思いから、後日友達伝いでなんとか菅井ちゃんの幼馴染である文学部の冬優花ちゃんの連絡先を手に入れることができた。とりあえず連絡をとってみることに。
「はじめまして。経済学部1年の〇〇です。よろしくお願いします。」
『よろしくー!じゃあ〇〇って呼ぶね!あと敬語はいいよ~同学年なんだしさ!』
「ごめんごめん(笑)ちょっと緊張しちゃって。
それで...菅井ちゃんのことなんだけど...」
『あー、〇〇ちゃんから聞いたよ(笑)一目惚れしちゃったんだって?』
「いや、まあそうなんだけどさ...まず情報が少なすぎるんだ」
『あーそっか。あの子はいいとこの子でね、乗馬とかが趣味だよ』
「じょ、乗馬!?」
『そ、乗馬。なんか小学生のときに同級生に誘われて始めたんだって~』
「いやいやいや、普通そんな同級生いないから!(笑)」
『いいとこの子だからねえ』
「敷居たけぇ...」
『で、どうしたいの?』
「え?」
『お嬢様だから、敷居高いから、諦めるの?』
「いや、そんなことは...」
『はっきりしなよ、好きなんでしょ?』
「・・・好きだよ!どーしようもないくらいに好きだよ!!」
『よろしい(笑)じゃあとりあえず友香と3人でご飯でも行こっか』
「い、いきなり!?」
『いーきーたーくーなーいーのー?』
「い、行きたいです...お願いします...」
『はーい(笑)じゃあ予定決まったら連絡するね~』

ノリで決まってしまった。
菅井ちゃんと対面する日が。
ど、どうしよう...

その日の週末に3人で駅前のカフェに行くことが決まった。

週末
欅駅前に15:00集合という約束だった。
僕は15分前に着き少し緊張しながら2人を待っていた。
集合時間5分前に菅井ちゃん...だけが来た。
「は、はじめまして!〇〇です!」
『初めまして(^^)文学部1年・菅井友香です!』
(うっわ、可愛い。こんなに可愛い女の子が存在するこの地球に感謝)
「あれ?冬優花ちゃんは?」
『あーなんかね、予定入っちゃったらしくて、来れないんだって~』
「え!?あ、そ、そうなんだ」
こんな大事な日に予定だと!?これじゃあ2人きり!?
『ごめんね、私で(^^;』
「いやいやいや!めっそうもございません菅井様!」
『えーなにその呼び方~(笑)おかしな〇〇くん(笑)じゃあカフェ入ろうか(^^)』
「そ、そうだね(笑)」

反射的に菅井様なんて言ってしまった...でも今ので少し距離は縮まった気がした。

そのあとはお互いの趣味とか高校時代の話とかを話して楽しく会話ができた。
カフェを出る頃には最初の緊張はほとんどなくなっていた。

『今日は楽しかったよ!ありがと♪』
「こっちこそ楽しかったよ!もしよかったら連絡先交換しない?」
『いいよ!また今度遊べるといいね(^^)』
「ぜひ遊ぼう!」

俺は菅井ちゃんとの距離を縮められて嬉しかった。
家に帰るときにスマホを覗くと冬優花ちゃんからメールが来ていた
『今日はどーだったー?楽しかったー?(笑)(笑)』
「お前今日絶対わざと来なかったろ!」
『あ、バレた?(笑)んで、どーだったのよ』
「まぁ、なんとか距離は縮められたかな」
『ほ~それはよかった。もう私いなくても大丈夫そうだね!』
「まぁそう突き放さずに相談にのってくださいな(笑)」
『なにそれ~(笑)まぁいいよ!』

【一方その頃、冬優花ちゃんと菅井ちゃんのメールでは】
『友香~今日はどーだった?』
「楽しかったよ!〇〇くん面白いの(笑)最初はなんか緊張してたみたいで、私のこと菅井様なんて呼んだんだよ(笑)」
『なにそれウケる(笑)次に会う予定とか立てたの?』
「立ててないよ~連絡先は交換した!」
『そうなんだ~友香から誘ってみれば?きっと喜ぶよ~』
「え~ちょっと恥ずかしいな(笑)」

そうも言いながら友香は〇〇へとメールを書いていた。
『〇〇くん!今日は楽しかったよ♪ありがとう!
それでね、実は今見たい映画があって、〇〇くんがいいなら2人で見に行けたらな~って(笑)どうかな?』

ピロリン♪
「ん、メールだ...菅井ちゃん!!??
 これってもしかして...デートのお誘い!?」

僕の返事は言うまでもない。もちろんOKだ。
月曜日の放課後、僕は菅井ちゃんと映画を見に行く約束をした。
菅井ちゃんは最近話題の恋愛映画が見に行きたかったらしい。
好きな女の子と2人きりで映画。妄想が膨らまない訳がない。
映画の最中に手を繋いじゃったり、映画を見終わったあとは2人きりで夜の公園に行っちゃったり!!!
待て待て、僕たちは付き合ってもないのにそんなことしていいはずがない。自分の気持ちを抑えろ。欲望のままに行動したら1発レッドカードだ。

僕はひたすら悩んだ末に冬優花ちゃんに電話で相談することにした。

「あ、もしもし?今、時間大丈夫?」
『うん、大丈夫だよ~どした?』
「それが...菅井ちゃんから映画のお誘いが来てね、日程は決まったんだけど、何をしていいか分からないんだ。」
『なるほど、とりあえず...自分が思うようにやってみなよ!そのデートのあとで助言を与えてしんぜよ~』
「なんだよそれ~(笑)まあ...デートはしたことないわけじゃないし、やってみるわ」
『頑張ってね!Good Luck!』
ブチッ
『友香ホントに誘ったんだな~もしかして友香も気になり始めてる...?』

映画デート当日
僕は3限まで授業があり、菅井ちゃんは4限まである。
正直今日受けた授業の内容はほとんど頭に入ってない。もちろん放課後のことばかり考えていたからだ。
菅井ちゃんが4限を受けている間、僕は図書館で時間を潰していた。
一応、今日のデートプランは考えてきた。楽しい時間を2人で過ごせるといいなあ。
好きな人のことを思っている時間は幸せだ。時間なんてあっという間に過ぎていく。
「はぁ、菅井ちゃん...」
『え?なに?(笑)』
「!?!?す、菅井ちゃんいつからそこに!?」
『しーーーーっ!ここ図書館だよ!』
2人の大きな声は静かな図書館に広く響き渡った。周りからの目線が痛い。
「行くよ!菅井ちゃん!」
『えっ!』
僕は菅井ちゃんの手を取り逃げるように図書館から出た。
『さっきはごめんね、いきなり驚かせちゃって。』
「菅井ちゃんは悪くないよ!さっ、今日1の楽しみの映画見に行こっ!
 ずっと楽しみにしてたんだから!」
『え、本当?嬉しい(^^)』
この子の笑顔は本当に可愛い。体の悪いものがすべて浄化されるようだ。
この笑顔を守りたい。この笑顔をずっと見ていたいなあ。

映画の内容はかなりキュンキュンした青春ラブストーリーだった。
僕もあんな風に菅井ちゃんと恋愛できたら。なんて思ってしまった(笑)
特に、主人公の男の子がヒロインの女の子に一目惚れしたのは少し自分と重なり、思うところもあった。
今日は映画デート!映画デートと言えば、鑑賞後の意見交換!さぁご飯でも行こう!と思いたいのだが、生憎、菅井ちゃんはこのあとバイトがあるらしく帰らなくてはいけなかったのだ。
『今日はありがとね!このあと本当はご飯とか行きたかったんだけど...バイトがどうしても外せなくて...』
「バイトならしょうがないよ(笑)まあまた今度ご飯とか行こうよ(^^)」
『うん!ご飯行こうね!絶対!約束だよ?』

僕は菅井ちゃんと普通に会話しながらも心は踊っていた。
最初は一目惚れで全く情報もない高嶺の花のような存在だった。
しかし、今では2人で遊びにいける関係にもなり、菅井ちゃんの方から遊びの約束を結んでくれるようにまでになった。
素直に、僕は嬉しい。このまま菅井ちゃんが僕の彼女になってくれれば・・・

次の日、僕は昼休み冬優花ちゃんと一緒にお昼ご飯を食堂で食べていた。
お昼ご飯という名の、作戦会議だ。
『2人とも結構いい感じに距離縮まってきてるよね!』
「それは僕も実感してる。最初の頃に比べたらよく頑張ったと思うよ(笑)」
『でもまだ友達って感じだよね~こう、何か友達の壁を超える一手が欲しいよね』
「友達を超える一手か...菅井ちゃんは僕と2人で遊びに行くことをどう思ってるんだろうか。」
『男の子と2人きりで出かけてるんだよ?いくら鈍感な友香でもデートとは認識してると思うよ?』
「そうだよな~デートだよな(笑)男らしく引っ張っていかねえとな!」
『そうそう!その調子!あんま引っ張るとか似合わないけど!』
「おい冬優花!それを言っちゃあおしまいだ!(笑)変わるんだよ俺は!」
僕と冬優花は既に親友のようになっていた。
2人の笑い声はうるさいくらいだった。
その声は僕たちのほぼ反対側に座っていた友香の耳にまで入っていた。
『あの2人楽しそうだなぁ...冬優花もしかして〇〇くんのこと好きなのかな...?
 〇〇くんも冬優花って呼んでるし...』
友香の心には少しモヤモヤしたものが生まれた

その日の放課後、友香は所属している馬術部の練習に向かった。
友香の腕前は校内では既に有名で、何度か大会で優勝もしている。
乗馬は人間の心と馬の心を通わせなければならない。心の迷いは馬にまで伝わってしまう。
考え事をしながらなんて言語道断だ。
今日の友香は明らかに集中力が落ちていた。
『・・・あっ!!』
ガシャンっ
友香は集中力が散漫になり、障害に突っ込んで落馬してしまった。
そして、病院に行ったということを冬優花から聞いた。

僕は冬優花からその知らせを聞くなり、真っ先に車で病院に向かった。
病院に着くと、ちょうど友香が出てくる所だった。
「菅井ちゃん!!!」
『え!?〇〇くんどうしたの!?』
「どうしたのって、菅井ちゃんが病院に運ばれたって冬優花から聞いたから、行かなきゃって思って...」
『〇〇くんって本当に優しいね(^^)でも大丈夫だよ!ちょっと腰を痛めただけだから。』
「そっか...家まで車で送って行くよ。」
『本当に?じゃあ今日は〇〇くんに甘えて、家まで送ってもらっちゃおうかな♪』
「それでは!超安全運転でお嬢様をお家までお送りしたいと思いま~す!」
『なにそれ~おかしな〇〇(笑)』
「友香のためなら何でもしましょう!」
『ん~じゃあお水買ってきて。』
「いや、パシリかい。」
『おーみーず!』
「わかったわかった(笑)ちょっと待ってろ!」

僕たちはいつの間にか名前で呼ぶくらい距離が縮まっていた。
そして、友香は自分の気持ちに気づき始めていた。

『〇〇の助手席...なんか新鮮。』
「僕も助手席に女の子乗せるの初めてだから。」
『え!私が〇〇の助手席第1号?なんか嬉しいな(笑)』
「僕は初めて乗せたのが友香だから緊張してるよ(笑)」
『安全運転。』
「イエッサー(笑)」
そしてナビ通りに道路を走り、友香の家に着いた。
「家がでけえ...どっかのアニメの髪の毛ツンツン男子かよ」
『菅井ユカ夫です。』
「いや、誰やねん(笑)」
『(笑)(笑)今日は本当にありがとうね!このお返しはどこかでするから!』
「お返しなんていいよ(笑)お大事にね!」
『ばいばい!』
「ばいばい!」

友香のケガが大きいものではなかったことに一安心だ。
そしてこの日、自分では気づかないうちに、友達の壁を超えていたのだ。

数週間後、友香の腰の調子も良くなったので、僕は友香をドライブデートに誘った。
その日は2人ともバイトを空け、一日中デートすることにした。
そして、僕は冬優花にある宣言をしに行ったのだ。

『へえ~ドライブデートか!いいじゃん、楽しそう!』
「それでさ、そのデートで友香に想いを伝えようと思うんだ。」
『おおっ遂にその時が来たか...』
「そろそろもう一歩踏み出さなきゃと思ってね(笑)うまくできるかは分からないけど、僕は僕らしく想いを伝えてみるよ。」
『応援してるよ。きっと2人なら大丈夫。』
「冬優花もいつもありがとな。俺の相談相手になってくれて。」
『なに急に改まっちゃって(笑)』
「いや~冬優花がいなかったらここまで距離が縮まったか分からないし、もしかしたら話せていないかもしれない。だから本当に感謝してるんだ。」
『これだけ幼馴染のことを想ってくれている男の子がいるんだ。協力しない訳にはいかないでしょ。』
「絶対成功させてみせる!」
『がんばれ!』
僕は冬優花のおかげで、少しは男らしくなれた気がした。

デート当日、待ち合わせは友香の家の前で10:00集合だ。
僕は9:45くらいに友香の家に車で来た。
いままでのデートとは違う。想いを伝えなければいけない。そう思うと僕は少し緊張してしまっていた。
10:00より少し早く友香は家を出てきた。
『お待たせ~!待った?』
「待つもなにも、まだ集合時間前だから大丈夫だよ(笑)」
『今日のドライブデートすごい楽しみだったから、早く出てきちゃった(^^)』
かっ、可愛すぎる...天使だ...
「そ、それは嬉しいな(笑)っしゃ!行こうか!」
『出発進行~!』

ドライブデートに行くのは初めてだったから僕は友香の希望を取り入れつつプランを練った。実はこういう計画を練るのは苦手だ。しかし不思議なもので、好きな人を想いながらの作業はまったく苦行ではなく、至福のひと時だ。

僕たちは初めに少し遠めのフラワーパークに来た。
友香がお花が見たいと言っていたので、ここに決めた。
『わぁ~~!!綺麗!!』
「ホントだ、写真とは比べ物にもならないくらい綺麗だ。」
そこには赤・白・黄・ピンク、春を感じさせてくれる花が一面に広がっていた。
『私、黄色とかオレンジ系の花が好きなんだよね~』
「じゃあ、あっちの方に行ってみようか」
歩道の両端にたくさんの花が咲いていたり、花のアーチがあり、まるで僕らを歓迎してくれているような気がした。
『わぁ~ホントに綺麗だなあ。お家に持って帰りたいくらい(笑)』
「さっきお花屋さんもあったから帰りにそこで何か買って帰ろうか。」
『賛成!!』
友香は色んな花を写真に撮っていた。僕はそんな友香を撮ったりしていた。
花に見とれる友香が可愛すぎて、僕は友香に見とれていた。
『も~なんで〇〇私のことばっか見てるの?(笑)花見て!花!』
「あ、ごめん(笑)ついつい友香に見とれてて(笑)」
『お世辞でもありがとうっ!』
そういうと友香は小走りで向こうの花を見に行ってしまった。照れているのだろうか(笑)
そうして僕らは一通り見終えて、フラワーパーク内のレストランに入った。
「ここのオススメはエビのクリームパスタと気まぐれデザートか...よし、これにしよう。」
『じゃあ私も同じのにする~』
僕は店員さんを呼び注文をした。料理は意外にも早く来た。
「おぉ、美味い!」
『そうだね!(モグモグ)』
なんて美味しそうに食べるのだろうか。僕は美味しそうに食べる子がかなり好きだ。
・・・それにしても口に入れすぎだ。ハムスターか(笑)
今日のデザートはミルフィーユだった。
僕はボロボロ崩れるミルフィーユに悪戦苦闘。その一方、友香は周りの紙をフォークでくるくる巻いたり、ミルフィーユを横に倒し、イチゴを少し切りクリームと合わせ口に運ぶ...ナイフとフォークの扱いに慣れている。さすがお嬢様だ(笑)
「本当に友香は上品だね。」
『そんなことないよ~(笑)まぁ小さい頃から色々教えられてきたけどね(笑)』
そんなお嬢様な友香を見ながら僕たちは食事を終えた。
「ふぅ、食った食った(笑)美味しかったな!」
『うん、美味しかった!でもホントにお金払わなくていいの?』
「気にすんなって!僕から誘ったデートなんだから(笑)」
『ありがと!    かっこいいよ』
「ん?なんか言った?」
『なーーんでもないっ!!』
「変なの(笑)んじゃ、次の目的地に向かおうか。」
『次はどこ行くの?』
「着いてからのお楽しみ~(笑)」

僕たちは帰り際に花屋さんに寄った。友香がさっきのお礼ということとで花を買ってくれた。紫のアネモネだ。花言葉は...あとで知った。

そして僕たちは次の目的地へと向かった。
次は僕が独断で決めた所だ。でも、きっと喜んでくれるだろう。
フラワーパークから車を1時間くらい走らせた所にその店はある。

「着いたよ。」
『ここは、何のお店?」
「入ったらすぐ分かるよ。」
そして僕たちはお店へと入った。
『うわぁ~~!!すごーい!!お馬さんのグッズがいっぱいだ!』
「実はいい感じの馬グッズがたくさんあるお店をネットで見つけてね。どうしても友香を連れてきたいと思ったんだ。」
『本当にありがと!!たくさん買っちゃお!!』
友香はそこから30分ほどショッピングを楽しんでいただろうか。
かなり喜んでくれて本当によかった。
『たくさん買っちゃった!』
「おぉ、結構買ったね(笑)」
『あ...はいこれ!私とお揃いのストラップ!』
「え!いいの?ありがと!!めっちゃうれしい!!」
友香にプレゼントをもらって完全に浮かれていたが、外を見て夕日が指していることに気づく。ラストミッションだ。
「お店の前に海岸があったじゃん?ちょっと付き合ってよ(笑)」
『うん。いいよ。』
僕は海岸で告白をしようと決めていた。告白する場にしてはベタすぎるだろうか(笑)
『綺麗だね。』
「うん、本当に綺麗だ。」
夕日が海に反射してキラキラ輝いていた。
「あのさ友香、僕と初めて会った時の事覚えてる?」
『どうしたの急に(笑)覚えてるよ。』
「まぁ何も考えずに答えて(笑)僕の事どう思った?」
『少し緊張しすぎだなって思ったけど、面白い人だなって思った(笑)』
「そっか。友香といきなり2人って状況に緊張してたんだよ。」
『そうなの?』

「その時は既に、僕は君に恋をしていたんだよ。」

『えっ..?』
「僕は入学式、友香に一目惚れしたんだ。そこから友香の幼馴染である冬優花に相談に乗ってもらったり、毎回のデートに色々策を練ったりしていたよ(笑)ダサいと思われるかもしれないけど、それでも僕は友香が好きだった。そして今日、想いを伝えようと決心したんだ。」
『知らなかった...』

「僕は友香のことが大好きだ。友香の彼氏にしてくれませんか?」
僕は平静を装いながらも心臓がバクバクしていた。
友香は...泣いていた。
「ゆ、友香!?」
『ごめんね、嬉しくて涙が止まらないの。私も〇〇とデートを重ねていくうちに、〇〇のことを大好きになっていることに気が付いたの。冬優花と楽しそうに喋っているのを見てヤキモチを焼いたりした。だからホントに嬉しくて...私も〇〇のことが大好きです。〇〇の彼女にしてください。』
「友香...」
友香は僕の胸に飛び込んできた。僕は友香をいつまでも抱きしめていた。
浜辺に映し出されている影はいつまでも続いていく未来を表しているようだった...。




「はい、おしまい!」
『いやお父さん話長すぎるよ!お母さんとの出会いを教えてって言っただけじゃん!』
「これがお父さんとお母さんの2人の人生のはじまりだったんだよ。」

いつまでも幸せに・・・

20170508-02