「斜めに見える青空」様より、 2017年8月30日に幕張メッセで開催された『欅坂46全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」ファイナル』のレポートをいただきました。
独自の目線でアイドルを愛でる筆者が見た、欅坂のパフォーマンス。
<私が幕張で観たものを問われるなら、「平手友梨奈」と答えるでしょう。欅坂46でもけやき坂46でもなく、断じて平手友梨奈、です>
その一文の意味を辿るレポート。
欅坂、そして、平手友梨奈の一端を垣間見る内容をその目でご確認ください。
(以下、斜めに見える青空様レポートです)
2017/08/30 欅坂46全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」ファイナル@幕張メッセ 観覧レポート
欅坂46ツアーの幕張千秋楽を観る機会に恵まれましたので、レポートいたします。
今、私が幕張で観たものを問われるなら、「平手友梨奈」と答えるでしょう。欅坂46でもけやき坂46でもなく、断じて平手友梨奈、です(鈴本今泉長濱推しですが、断言します)。
それくらい、ダブルアンコールの2曲は出色でした。
正直、ツアー前半の出来の悪さとTIFの能面パフォーマンスを伝え聞いて、何が目撃できるのか、どんな質のものが観られるのかという興味第一で参戦しました。
しかし、そんな想いを吹き飛ばすくらいのものを目に焼き付けてくれました。
反面、プロのエンターテイメントとして問題がある(と受け取られた)ステージを観せられたファン達に対して、どうなんだろうか?終わり良ければで済ませて良いのか?という疑問も抑え難く感じました。
その点はまたあとで語りましょう。
セトリに沿って短観を(各所参照しました。まとめてくれた方、ありがとうございます)。
影ナレ(菅井友香、土生瑞穂、原田葵)
みんな声が可愛い(笑)。
00.Overture
あの「オーオーオーオー」はなかなか良い。かなりアガります。
01.エキセントリック
紗の幕に歌詞をプロジェクションマッピング。歌詞の世界観を体現する、平手ちゃんの鋭い視線が素晴らしい。ガニ股ゆらゆらダンスや靴を脱ぐのもライブで観ると、クールでカッコよい。
02.月曜日の朝、スカートを切られた
幕が落ち、場内ペンライト点灯。あちらこちらへ突き飛ばされて、よろめく平手ちゃん。誰にも受け入れられない孤独を演じる様がなかなか魅せます。
「アンタは私の何を知る?」が聴けて満足(笑)。
03.君をもう探さない
04.語るなら未来を…
我々は集団の中の、平手友梨奈の孤独を観ているのか、あるいは消費しているのか…そんな想いが湧いてきました。
カタミラのダンスはやはりカッコよい(笑)。
05.永遠の白線
ひらがなは本当にザ・アイドル(笑)。
緊張感がほぐれるのは不思議。良い曲です。
06.100年待てば
風船で浮かぶねるちゃんが楽しい(笑)。
頭の真上に来て、バッチリレスもらいました(思い込み)。
07.AM1:27
08.バレエと少年
小池ちゃんの少年と、葵ちゃんの少女がすごく可愛らしい(笑)。
09.少女には戻れない
10.ここにない足跡
青空とMARRYの曲はテンションあがりますね(笑)。
11.沈黙した恋人よ
本当に良い曲。ちょっと緊張を感じる歌声でしたが、聴き惚れました。
きょんことかとしの小芝居が微笑ましい(笑)。
12.夏の花は向日葵だけじゃない
待ってました…待ってました!
ずーみんの歌声が聴けるのを。
少し不安定な歌い出しから、徐々に安定した伸びやかな声。
裸足で真摯に歌う姿がとても良かった。
13.東京タワーはどこから見える?
不思議なことに、平手ちゃんは気配を消すんですよね、全員曲の時。
いわゆる尖った曲じゃない時は、アイドル欅坂46に徹しているのか?という印象。
14.誰よりも高く跳べ
いや~盛り上がる盛り上がる(笑)。
アイドルのコンサートってコレだよね!って感じがしました。
15.世界には愛しかない
16.危なっかしい計画
セカアイのポエトリー大好きで(笑)。
危なっかしい計画も面白い曲。
平手ちゃんは抑え気味に感じました。
17.太陽は見上げる人を選ばない
この曲、歌詞が素敵なんですよね。
もっと皆に広まってほしい。
EC
18.サイレントマジョリティー
ずーみんがアップになった時、おおお!と声が出ました(笑)。やはりフルメンバーは良いですね。
19.二人セゾン
念願のてちダンスが生で観られて良かった(笑)。
20.W-KEYAKIZAKAの詩
やっとライブで聴けた踊れた。嬉しかったです。
WEC
21.自分の棺
エレキギターをかき鳴らす音が鳴り響きます。こんな曲あったっけ?誰が弾いている?と疑問渦巻く中、スポットライトに照らされたのは、あおり気味に上を向き、見下すようにこちらを見る平手友梨奈。
全てを視線で射抜こうとするような目つき。気怠げに弾くギター。
曲は『自分の棺』だ!と思った瞬間、イントロが始まりました。
ギターを背負ったまま描かれる圧倒的な絶望。ピックを投げ捨て、鋭い視線を飛ばす平手友梨奈。
こんなパンクなアイドルが存在してただろうかと、鳥肌が立ちました。
22.不協和音
ヨロヨロとメンバー登場。手には何か布を持っています。不協和音を奏でるピアノ。
やがて奪い合いが始まると、それは先ほどまで着ていた、ツアー衣装のブラウスだと判りました。
それを互いに奪い合い、衣装は引き裂かれ、あるいは自ら破り捨てようとしています。既に今着ている『不協和音』の歌衣装も灰のような土ぼこりのようなもので汚されています。
直感的に「アイドル性の否定」と感じました。
最後にフラフラと平手友梨奈登場。
センターに立った途端、銃声とともに胸から噴き出す血(血糊)。押さえた手を真っ赤に染め、バタリとその場に倒れ込むとともに始まるイントロ。
なんとも壮絶かつ不穏な幕開けです。
気迫のこもったパフォーマンスに、ボルテージが上がります。
最初の「僕は嫌だ!」は録音のように聴こえ、正直肩透かしに感じました。
しかし、2番の歌唱に入り、いつになくドスの効いたねるちゃんの「僕は嫌だ!」には思わず声が出ました。
さらに、平手ちゃんが声を振り絞るかの如き2回目の「僕は嫌だ!」には、もう自然に腹から叫んでいました。
ラスト、血糊を右頬に塗りつけ、上目遣いに場内を睥睨(へいげい)する平手友梨奈。ニヤリと笑みを浮かべた瞬間、とんでもないものを観た感激に襲われました。
こんなパンクなパフォーマンスを観せられるとは…。
曲が終わるとともに、全てを断ち切るように終演しました。
全体の印象としては、やはり平手友梨奈は笑わない、なのですが……私の見間違いかもしれませんし、どの曲だったかも覚えてないのですけれども、後ろを向いている時にメンバーに肩を叩かれて、一瞬ニコッとしてた気がしました。
もしかしたら、平手友梨奈は欅坂のパンクな一面を独りで体現しようとしているのかもしれません。
けやき坂46は王道アイドル。
アイドル欅坂46では、平手友梨奈はグループに埋没し、いわゆるアイドルとしてパフォーマンス。
パンク欅坂46では、平手友梨奈が絶対的存在として君臨し、絶望と孤独を歌いあげる。
平穏な日常、愛らしさの中に、先鋭化されて潜む不安や孤独、絶望、狂気。
阿修羅のごとく、3つの顔を持つ欅坂けやき坂。そんなコンセプトなら、実に面白い試みだと思います。
この目で観ていないので、伝聞でしかありませんが、神戸公演などの評価は決して高くなかったように思います。平手ちゃんもフルには出ていなかったとのこと。
勝手な憶測は控えますが、この素晴らしい幕張のパフォーマンスを、全国のファンが観られなかったのなら、実に残念だと思います。
パフォーマンスする意図が伝わらなかったのか、伝えられなかったのか、あるいはそこにも至っていなかったのか。欅坂けやき坂の真の魅力をより広く目撃してもらえるよう、次のツアーには今回のツアーからのフィードバックを活かしてほしいと思います。
決して「終わり良ければ」という、低い到達点で満足するグループではないと信じています。
最後に。
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