僕が君をはじめて意識したのは、2013年、夏の服に着替えた頃でした。


『君の名は希望』で乃木坂にどっぷりはまり、それまでの楽曲やメンバーを調べる過程で、『乃木坂って、ここ!』に出会いました。当時、露出がほとんどなかったアンダーメンバーの貴重な活動の場として、公式サイトで配信されていた番組です。

そのなかで、「乃木坂って、ここ!新企画~第2弾~川後の新しいニックネームを考えよう!」という企画がおこなわれました。2013年、夏のことです。

川後陽菜さんが、当時在籍していたメンバーをひとりひとり呼び出し、ニックネームを付けていく企画なのですが、これがすばらしくおもしろかった。まだメンバー全員を覚えていなかった頃なので、この動画を何回も見て、メンバーの顔や特徴を覚えました。

そして君――中元日芽香さんが付けられたニックネームが、これ。

20171120-01


バカリボン。

このあだ名を付けた“川後P"はさらに畳みかけます。


川後「知ってる? 最近ね、(リボン)汚いってウワサになってる」


リボンが汚いアイドルってなに!?

こんなインパクトある個性を見せつけられたら、嫌でも頭にすりこまれます。中元日芽香は(汚れた)リボンの子!強烈にそうインプットされたのを覚えています。なにより、川後さんにいじられているときのリアクションがかわいかった。「天性のアイドル」は今も昔も変わっていません。


同時にこの頃、『NOGIBINGO!』の放送がはじまりました。体を張った企画目白押しのファーストシーズン。選抜組がクローズアップされる場面が多いなか、我らがひめたん、やってくれました。

「#7 熱唱! もっともっとカラオケチャレンジ」で、岡本真夜さんの『TOMORROW』を熱唱。審査員に評価されないと途中でストップされるルールにおいて、見事に歌いきりました。

20171120-02

この画像を探すのに、当時の2chを漁ったのですが、「だれ?」「知らないけどうまいな」「なんでこんなかわいいのにテレビでれないん?」などの言葉であふれていました。自分自身、動いているひめたんを地上派で見た感動よりも、「乃木坂のアンダーってすごいな」という驚きのほうが大きかったです。それほどアンダーの露出が少ない時代でした。


そして2013年の秋。ひめたんは、7thシングル『バレッタ』にて、衛藤美彩、川後陽菜とともに、はじめて選抜入りを果たします。このとき『乃木坂って、どこ?』で放送された「初の選抜入りメンバーが本音トーク」のコーナーで、ついに自分はひめたんに堕ちることになります。

20180513-01

服装が超好みなんですよ!一発でトキメキました!

こうして、「リボンで歌のうまい子」という印象だけだったのが、ようやくひめたんが自分のツボを突くアイドルだと気づいたのです。遅過ぎ……。


そうそう、ひめたんと言えば、ブログですよね。内容自体も「読ませる」力のあるものですし、なにより質問返しのセンスが抜群でした。この質問返しで一冊の本ができてもおかしくないぐらいのクオリティ。その言葉選びの腕と文章力は、ブログやモバメで存分に生かされていました。この地頭の良さもひめたんの魅力のひとつだと思います。

 

そこからは、『のぎ天』『乃木ののMC』『アンダーライブ』『アンダーセンター』『らじらー!サンデー!』などを経ながら、充実のアイドル人生を送ることになります。

しかし、すべてが順風満帆とはいかなかったことは、皆さんご存知のはずです。ただそれも今さらの話。最後は笑顔だったんですから。アイドルの終着点が笑顔なら、そこまでがどんな道であっても、きっとすべて報われたのだと思います。



そんなひめたんの始発点、旅のはじまりはどうだったのか。

一番最初のブログは2011年11月14日。その記念すべき第一声は、


「若干遅刻気味ではありますが…

祝★ブログ初登場(`・ω・')ゞ
ついに始まりましたー拍手っ!」


自ら拍手を求めにいくスタイルが彼女らしいですよね。すでに「ひめたん」がそこにいました。


「これからも
努力と感謝の気持ちを忘れず
精一杯頑張ります!」


そう綴った彼女は、その気持ちをもってひた走り――

6年後の2017年12月22日。

最後のブログを更新します。


「私はここにいていいんだって
認めてもらいたかった、
その一心で走ってきたような気がします。
 
この世界にいると、
私を必要としてくれる人が沢山いる。
私だけを見てくれている人が沢山いる。
 
それが嬉しくて今日まで続けてきました。」


一番最初のブログで、彼女はこんな自己紹介をしています。

「乃木坂1の甘えん坊で寂しがり屋なひめたんこと中元日芽香です!」

そして最後のブログに書いた「私はここにいていいんだって 認めてもらいたかった」

それは寂しがり屋な彼女の本心なのだと思います。


「振り返ってみて、やっぱり
私のした選択に何一つ後悔はありません!
 
全部正しかったと思いたい。
それを証明するのは自分自身の、
これからの行いですよね。」


全部正しかった――。

それを証明するための旅路はもう、はじまっています。きっとそこでも、あの笑顔で、あの笑い声で、あの相手の心を吸い込む大きな瞳で、がんばっているんでしょうね。その様子が目に浮かぶようです。


ひめたんは最後のブログで、親愛なるメンバーひとりひとりに、こんな言葉を残しました。
 

「あなたは乃木坂に必要な存在だよ。
ここに至るまでに誰か一人でも欠けていれば
今の乃木坂はなかった。本当にありがとう。」


きっとみんな思っています。

あなたも、あなたこそ、あなただって、

あなたが、そこにいてくれてよかった。


ひめたんは確かに乃木坂に必要な存在だった。あなたがいなければ、あなたが欠けていれば、今の乃木坂はなかった。きっとそれは誰もが思う。誰も否定できない。だってあなたがいた乃木坂は事実で、あなたがいた乃木坂はこんなにも輝いていたのですから。


優しいあなたのことです。卒業を悲しむファンを見て、もしかしたらこう思ったかもしれません。

『君は僕と会わないほうがよかったのかな』

もし思ったのなら……、そんなことありません。そんなことあるはずがない。あなたがくれた時間、あなたがくれた記憶、それはすべて、あなたがいてくれたからあるもの。その思い出はいつだって力になります。会わなければなにもはじまらなかった。あなたがいてくれたから、こんなにも幸せな気持ちで振り返ることができます。



この気持ちを届ける術はもうないのかもしれません。

でも、想いは集まり、雲となり、空に広がり、いつかあなたに届くと信じています。

願わくば、その想いがあなたのこれからの糧になりますように。


乃木坂にいてくれてありがとうございます。

心に刻まれた「びーむ」の痕(あと)は、一生の宝物です。

この先の道も、あなたがあなたらしく進めますように。


そして、またどこかで。


210c07b8-s