みんなー、ザンビってるかい!!

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あたしゃ最初、ザンビはまったく興味がなかったんですよ。というより、ホラーが大の苦手。深夜に見るなんてムリ。でもせっかく乃木坂がやってるなら見てみるか、と真っ昼間にウィンドウを超小さく、音量も最小でビクビク見てみたわけですよ。

それでビックリ、ドハマりしちまいました。これは傑作ですよ、大傑作。大急ぎで見たほうがいいね。度肝抜かれますよ。こんなおもしろいドラマがあったのかって。


……いや、ここまで言うと嫌味だ、ごめんなさい。

でもハマったのは本当です。正直、粗なんて山ほどあります。1話で、楓(飛鳥)がひとり取り残されたところで、「あ、無理」と見るのを辞めた方も多いのではないでしょうか。そんなThe予定調和だらけのドラマです。

うまい脚本って、その予定調和をいかに自然に描くかだと思うんですよね。それで言うと、ザンビは手抜きとしか思えません。

それでも最終回の、聖(与田)と実乃梨(掘)には感動しちゃいました。とくに掘ちゃん。良かったですね。ずっと陰鬱な場面が続いていたので、最後の屋上のシーンは余計に爽やかに見えました。ザンビになっても美しかった。


で、なんでハマったかというと、物語の大筋というより、魅力的なキャラクターたちなんです。ここの部分、ベマーズと似てるんですよね。

ベマーズも話の筋は、はっきり言って、めちゃつまらないです。選手が覚醒→逆転勝ち、ひたすらその繰り返し。敵チームも、本気だしたら絶対ベマーズが勝てないぐらいの特殊能力をもっているのに、なぜか負けてしまう。

でも、キャラはそれぞれ立っていた。そこにおもしろみを感じていました。


ザンビも同じで、キャラごとに掘り下げれば、おもしろいエピソードを山ほどつくれると思うんですよ。でも、時間の都合かなにかで、うすっぺらい描写しかできていない。それがすごくもったいないです。

一歩間違えば、大傑作になって、日本中にザンビブームが巻き起こり、今年の流行語大賞を「ザンビ」で狙えるぐらいのポテンシャルを持っていたと思います。本気です。本気です。大事なことなので2回。


ただ、終わったものをグチグチ言ってもしかたない。

ないなら作ればいいさ。

ってわけで、妄想で楓と聖の話を書いてみました。


twitter掲載用に書いたので、とても短いですが、少しでもザンビの世界観を再現できていたら嬉しいです。


聖はね、本当につらい目にあいっぱなしだったから、幸せになってほしいんですよ。

その願いを込めて書きました。



乙女神楽でたら、絶対に聖を助けるぞ!(課金準備OK)


では、はじまりはじまりー。

【約束】

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「あの……」

ふたり――、楓と実乃梨は話を中断し、「なに?」という顔を向けてくる。わたしは、できるだけ平然を装って、さりげなく問いかける。

「ひとつだけ、質問いいかな?」

 楓と実乃梨がうなずく。ふたりの綺麗な顔立ちに動悸が早くなる。それを抑えるように胸元に手をあてた。

 わたしは、楓と実乃梨と友だちになりたかった。ふたりはベタベタすることなく、自然な関係で付き合っている。それがすごくうらやましかった。

 人見知りで友だちが少ない、それどころかいじめられているわたしとは大違い。

「もしも、友だちが急に襲ってきたらどうする?」
「なんの話? 心理テスト?」

 実乃梨が真顔で聞いてくる。

 失敗したかな。わたしは内心で焦る。友だちになるきっかけと思い、大好きなオカルト系の話をしてしまった。でも、いきなりこんなこと言われたらビックリするよね……。

「うん。そんな感じ」

 わたしは動揺を表にださないように答える。すると楓は、窓の外に目を向けた。

 嫌われちゃったかな……。

 間がもたず、言葉をはさんでしまう。

「楓だったら逃げる? 倒す?」
「助けるよ」

 自然な言葉に、わたしは一瞬驚いてしまう。

「え?」
「その友だちから逃げないし、倒さない」
「それじゃどうするの? 襲いかかってくるんだよ。逃げないとやられちゃう」
「襲ってくる理由があるんでしょ。それを見つけて、助ける」
「助けて、くれるの?」
「約束する。必ず助ける」

 隣で実乃梨が笑顔でうなずく。

 楓は少しだけ笑って続けた。

「だって、友だちだから。助ける以外に答えはないよ」

 ああ……。

 そのとき、わたしは確信した。ふたりと仲良くなりたいと思った気持ちは間違ってなかった。ふたりといれば、わたしは変われる気がした。

 もっと、もっと仲良くなりたい!

 きっかけなんてなんでもいい。

 宇宙人から逃げるとか?ゾンビに襲われるとか?オバケ……は嫌いだから考えたくない!

 でもふたりと仲良くなれるなら、なんだっていい!

 今のわたしはすごく崩れた顔をしてると思う。それでも、ふたりの手をとって、

「明日からの修学旅行、楽しみだね!」

 そう言うわたしを、楓と実乃梨は柔らかく見つめてくれた。

 それはわたしがずっと欲しかった、優しい場所だった。



 






「聖……あのときの約束、忘れてないよ」

 友だちとの会話を思いだし、空に手をかざす。イラつくぐらいにまぶしい。光はあのときも今も変わらずに降り注ぐ。でも、その大地は様変わりしてしまった。

 人の気も知らないで……

 太陽を睨みつける。

「実乃梨、亜須未、みんな、待ってて」

 だれにともなく、空に向かい宣言する。  

「わたしの犯した罪は、わたしが償う。そして、みんなを助ける」

 空は、やってみろと言わんばかりに、厚い雲を浮かばせる。

 わたしはそれを晴らすように、大きく手を振った。




 これは、
 非日常がはじまる、1日前の話。

 そして。
 日常を取りもどす、1日目の話。


 Next is Otome-Kagura(?)