『逃げ水』は2017年8月9日に発売された乃木坂46の18作目のシングルです。センターは3期生の大園桃子と与田祐希。選抜経験なしの状態からセンターに抜擢されたのは、1期生をのぞき、2期生の堀未央奈『バレッタ』以来となりました(『逃げ水』発売時点)。

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ちょうどこの頃、3期生アレルギーを患っていたわたしは、『逃げ水』にたいしても、良い印象を抱いていませんでした。なんだこの歌詞、「逃げ水」という現象を説明してるだけじゃないか、途中の「月の光」はテンポが崩れて嫌だ、などなど。

はっきり言えば、ただのこじつけです。3期センターが受け付けられなかっただけ。だから、マイナスポイントを探して、曲自体を自分から遠ざけてた。ほんと子どもでした。30半ばのおっさんがなにしてんだって話です。

もうひとつ言うと、いや、この理由が一番大きかったかもしれません。このときのアンダー楽曲が、あの『アンダー』でした。表題曲では華々しく3期生Wセンター、アンダーでは「当たっていないスポットライト」と歌わせる。その対比にイライラしてたことも、『逃げ水』を受け入れられなかった理由かもしれません。ただ、その矛先を3期生に向けたのは間違いでした。向けるなら、秋m(ry



で、今はすっかり3期スキーになっているので、『逃げ水』も大好きな一曲になりました。あの頃、変なこじつけでdisっていた自分が恥ずかしい。この曲、すごく泣けるんですよ。泣ける曲が多い乃木坂楽曲のなかでも、個人的には5本の指に入る泣き曲です。

たぶん時間が経ったというのもあるんでしょうね。そもそも「逃げ水」とは風がなく晴れた暑い日に、アスファルトの道路などで、遠くに水があるように見える現象です。近づいてもその場所に水はなく、さらに遠くに見え、まるで水が逃げていくように見える……。それが、過去の乃木坂とリンクしてしまうんです。

過去には戻れません。どんなに過去へ手を伸ばしても、決して届くことがない。『逃げ水』からはそんな儚さを感じます。



そして、この曲の選抜メンバーがまたすごい。


3列目:伊藤万理華、新内眞衣、生駒里奈、桜井玲香、若月佑美、井上小百合
2列目:星野みなみ、松村沙友理、生田絵梨花、秋元真夏、衛藤美彩、高山一実
1列目:齋藤飛鳥、白石麻衣、大園桃子、与田祐希、西野七瀬、堀未央奈


大園桃子と与田祐希を、白石麻衣、西野七瀬が支え、さらに齋藤飛鳥、堀未央奈がはさむ1列目。2列目の面々も心強いし、3列目には生駒里奈、桜井玲香、若月佑美という並びがあり、2期生最年長の新内眞衣がいて、伊藤万理華と井上小百合がサイドで締める。いま見るとすげー布陣です。

でも、この布陣もまた、「逃げ水」。手を伸ばしても、触れられない。ここに戻ってくることもできない。そう考えると、もしかしたら10年後、一番泣ける曲は、この『逃げ水』なのかもしれません。




最後に、サビ前の「月の光」タイムについて。

ライブではここぞとばかりに叫びたい人や、じっくり聞きたい人で意見のわかれる部分ですが、作曲者は、どのような意図でこの「月の光」をサビ前にもってきたのか。その理由を作曲者の方が語っているので、一部引用させていただきます。

「サビ前にハッとさせる、時間が止まったような演出をしたいと考え、そこで「月の光」の一節を入れようと考えました。」
乃木坂46 18thシングル「逃げ水」について

この言葉を聞いて、どう判断するか。

それを決めるのは、ライブに参加するあなた自身です!(どーん!)