5th



連載小説【乃木坂】-予告編-

※本内容は製作中のものです。本編では変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。
※この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。






 わたしたちは、いつからここにいるのだろう。


「ここって、誰にも見られてないよね?」
「うん。カーテンの中だもん」
「だよね。でも……見られてる気がするの。ずっと」
「どうしたの、いくちゃん。なんか変だよ?」
「わたしたち、誰かに監視されてるのかも」


 わたしたちは、昨日のわたしたちを、わたしたちだといえるのだろうか。
 

「みんな人形なんだ! 心なんてない! 操られてるんだ!」
「生駒ちゃん……」
「くるな! みんな、みんな、いなくなれ!」


 与えられた肉体、与えられた魂、それは本当にわたしたちのもの?


「生駒里奈。貴様に聞こう。貴様は、何と、戦っているつもりだ?」
「なにって……」
「勘違いするなよ。貴様たちはガラクタ。俺は神だ。ガラクタはゴミ箱へ帰れ」


 この世界で、この時間を、わたしたちは誰の意志で動いてるんだろう。


「堀未央奈です」
「北野日奈子です」
「新内眞衣です」
「伊藤かり――」
「ちょ、ちょっと待って!」
「なんでしょう?」
「あなたたちの目的はなに?」
「この世界を、壊しにきました」


 わたしたちは、わたしたちの意志で、これまで生きてきたと思っていた。でも、もし――。


「ずっと、怖かった……」
「うん」
「みんなと一緒にいられなくなるのが、ずっと怖かった……」
「うん」
「でもな。 もっと怖いことがあるって気づいた……」
「うん」
「本当に怖いのはな。みんながいなくなって、ななが、ひとりこの世界に残されること」
「うん」
「だからな、行ってくる。みんなを守るため」
「……七瀬。消えないでね。あなたのいない世界なんて、いやだからね」


 わたしたちは、誰かの意思で、誰かに作られた世界で生きているとしたら。


「いくちゃん! わかってるの! あなたがやろうとしてることは、みんなを消すってことだよ!」
「わかってる」
「だったら、どうして! このままでいいじゃない! なんでこの生活を壊そうとするのよ!」
「偽物だから」
「――っ!?」
「偽物は、本物になれない。真夏……本物のわたしたちに、なろうよ? 偽物のわたしたちを壊してさ」


 わたしたちは、何のために、生きているのだろう。


「もし違う世界で、みんなと出会えたら」


「みんなと一緒に、歌って、踊って、たくさん笑いたいな」



「ああ、なんて素敵な青空なんだろう」


「何度見ても、何度見ても……本当に、素敵な青空」



「みんな」


「今まで、ありがとう」



「一緒に――」



「消えよ」



 これは、わたしたちが、わたしたちを見つける、わたしたちの物語。






小説「乃木坂」。

10部構成。1部あたり6話の全60話+α

登場人物。乃木坂46全メンバー(一部卒業生の登場もあり)+α
 

1部【ぐるぐるカーテン】第1話「乃木坂の詩」
近日公開。

※再度の注意。この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。