521:
本当にあった怖い名無し:2011/07/08(金) 20:19:54.16 ID:dlCL2uZt0
私は親族に、主に妻の家族へ隠し事をしている。
なぜ私だけが知り、なぜあの時お義父さんが私だけに話したのか
それは10年以上経過した今でも、わからない。
それは妻の母親、つまり私のお義母さんが亡くなってから2ヶ月後、
その日は甥の誕生日があり、親族で誕生日パーティーを開いたときの事だった。
私は義兄に頼まれて、そのパーティーの様子を8ミリテープのビデオカメラで撮影していた、
すでに認知症気味だったお義父さんもその席にいた。
お義父さんはには、妻との結婚や娘の誕生の時など、
元気な頃には本当に数え切れないほどお世話になった方だった。
正直、飲んだくれで借金まみれだった私の実父なんかとは、
比べ物にならない立派な人であり、心より尊敬できる「父親」であった。
そんなお義父さんは、ボ~っとしたまま焦点があわない瞳を泳がせるだけになってしまった、
今までのご恩を思うと、そんな姿が本当に痛々しかったのを覚えている。
後日、チェックの為にビデオを見ていると、お義父さんの座っている椅子の後ろに、
ぼんやりと小さな白い影が映っているのを発見した。
その後、義兄の家へ赴きビデオを再生しながらそれを見せると
「これお袋じゃないかな。」
と、言う。
確かに生前のお義母さんの背格好によく似ている気がした。
「親父を思って出てきたんじゃないかな、ほら親父はもうボケ始まってるし、あの世に行っても心配してるんだろうな。」
あまりオカルトな事とはほとんど無縁な私だったが、
その時はなぜか素直にナルホドと思ったのを覚えている。
他の親戚に会うたびに、そのビデオを見せた、不思議と怖がる者は一人もおらず、
みんな納得したかのようにお義父さん夫婦の愛情を喜んでいた。
そして再び妻の家へ出向いた際に、ビデオテープをお義父さんにも見てもらおうと持っていった。
「ほら、お父さん、ここにお母さんがいるよ。 まだお父さんの心配してるんだね。」
妻がTVに映し出された小さな人影を指差して父親の耳元で話をしていた。
そこで私は、お義父さんのボンヤリとした目に涙が浮かんでいたのに気づいた。
妻もそれに気づき共に涙を浮かべた。
522:
本当にあった怖い名無し:2011/07/08(金) 20:21:13.77 ID:dlCL2uZt0
その日から1ヶ月もせず、お義父さんが倒れた、脳内出血だった。
救急車で病院に運ばれたのだという。
それ以降、親戚の間では「お義母さんが、お義父さんを連れて行こうとしているんじゃないか」
と、噂をするようになった。
あのビデオを見せた日の感動が何かバカにされているようで、私たち夫婦は悔しかったが
時期や状況だけに、そうさせてしまうのは仕方のないことだった。
お義父さんのお見舞いに行った時、もうほとんど寝たきり状態になり
言葉も不自由になった姿を見た私は、涙を堪えるのに必死だった。
あんなにも優しく、強かったお義父さん・・・今の姿からその面影も感じることができなかった。
妻が席を離れた時、ふとお義父さんがTVを指差していることに気づいた。
TVが見たいのだろうかと思った私はTVの電源をつけようと立ち上がった、
しかしふと気づく、お義父さんの目は私を見ていた。
何か言いたいことがあるのだろうか?
そこで私は、あのビデオテープに関することじゃないのかと思った
それはある意味直感的なものだったのかもしれない、
お義父さんの呂律の回らないしわがれた声がそれを確信に変えてくれた。
しばらくして、お義父さんが亡くなった。お義母さんが亡くなって1年も経過していなかった。
案の定、親戚の間では「お義母さんが連れて行ったんだ」という話になっていた。
そう、妻の親戚の間ではそういう話にしておいたほうがいいのだ。
これ以上、あのお義父さん夫婦の間を汚してはならないのだ。
だから、あの病室でお義父さんが何故か私だけに言った
あの言葉は私の心の中だけにしまっておこうと誓って、もう10年以上が経過した。
「あれは、ばあさんじゃない」
もうほとんど、あのビデオは話題に上がらない。
その日から1ヶ月もせず、お義父さんが倒れた、脳内出血だった。
救急車で病院に運ばれたのだという。
それ以降、親戚の間では「お義母さんが、お義父さんを連れて行こうとしているんじゃないか」
と、噂をするようになった。
あのビデオを見せた日の感動が何かバカにされているようで、私たち夫婦は悔しかったが
時期や状況だけに、そうさせてしまうのは仕方のないことだった。
お義父さんのお見舞いに行った時、もうほとんど寝たきり状態になり
言葉も不自由になった姿を見た私は、涙を堪えるのに必死だった。
あんなにも優しく、強かったお義父さん・・・今の姿からその面影も感じることができなかった。
妻が席を離れた時、ふとお義父さんがTVを指差していることに気づいた。
TVが見たいのだろうかと思った私はTVの電源をつけようと立ち上がった、
しかしふと気づく、お義父さんの目は私を見ていた。
何か言いたいことがあるのだろうか?
そこで私は、あのビデオテープに関することじゃないのかと思った
それはある意味直感的なものだったのかもしれない、
お義父さんの呂律の回らないしわがれた声がそれを確信に変えてくれた。
しばらくして、お義父さんが亡くなった。お義母さんが亡くなって1年も経過していなかった。
案の定、親戚の間では「お義母さんが連れて行ったんだ」という話になっていた。
そう、妻の親戚の間ではそういう話にしておいたほうがいいのだ。
これ以上、あのお義父さん夫婦の間を汚してはならないのだ。
だから、あの病室でお義父さんが何故か私だけに言った
あの言葉は私の心の中だけにしまっておこうと誓って、もう10年以上が経過した。
「あれは、ばあさんじゃない」
もうほとんど、あのビデオは話題に上がらない。