佐藤秀の徒然幻視録

公式サイト。原題：Deliver Us from Evil。スコット・デリクソン監督、エリック・バナ、エドガー・ラミレス、オリヴィア・マン、ショーン・ハリス、ジョエル・マクヘイル、ルル・ウィルソン。一応、実話からインスパイアされた。原題は聖書のマタイ伝から「悪魔から守りたまえ」という祈祷の言葉らしい。これに対して壁に書かれている“INVOCAMUS”というラテン語と中東語の混じり合ったような言葉は英語の“invocation”に近いようで、「悪魔を呼び出す呪文」という意味があるようで、どうも原題と真逆ぽい。

もうひとつ特徴的なのはネコ科動物。ニューヨーク市警捜査官ラルフ・サーキ(エリック・バナ)が動物園でライオンに襲われたり、悪魔が乗り移った男がライオンと会話していたり、はたまた猫みたいに爪を立てて引っ掻く。挙句は猫のように窓から飛び降りたり。
一方で、キリストの磔刑ならぬ猫の磔刑というか、干し猫の開きみたいなものが出て来る。ところが聖書では猫は1回記述があるだけでほとんど無視されている。なかなか奇妙なのだ。一方で古代エジプトではバステトという女神として崇められているというのに。結局、異教徒＝悪魔ってことなのか。
実は「神」と「ネコ」のただならぬ関係は日本においても見出される。(参照)。「ネコと和解せよ」、「ネコへの態度を悔い改めよ」、「ネコの国は近づいた」等々、日本全国にこうした看板があるらしい(ひょっとすると画像だけなのかもしれないが)。まあ、「神」という字から少し「1」と「10」を引けばいいのだけれど。本作はこんなことまで意識しているのかどうか保証の限りではない。
実在の人物ラルフは2001年に原作を出版したそうだが、本作では2010年のイラクの戦場、2013年のニューヨークに舞台が設定されている。もうひとりの元ドラッグ中毒のエクソシスト、メンドーサ神父(エドガー・ラミレス)も実在の人物だそうな。それにしても、悪魔が入るきっかけを与えることを「ドアーズ」と言って、ロックバンドのドアーズを無茶ぶりトリビュートって、「神」と「ネコ」並みじゃないか。
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