★前置き

念のために言っておく。
俺はブラックホールが「あの世」である…なんて言いたいわけじゃない。
ブラックホールが「あの世」への入り口であるとか、ブラックホールの中が「あの世」かもしれない…なんて言いたいわけじゃない。

ただ、どんなに技術が進歩したとしても、決して見えないモノがあるということを示したい。
いずれ科学技術が発達すれば、何でも見えるようになるというわけではない。
技術的にではなく、原理的に見えないモノもあるのだ。

だが、原理的に見えないからと言って、「それ」が無いとは言い切れない。
ブラックホールの中だって、決して見ることはできないが、確かに「中」は存在している。

だとしたら、「あの世」や「死後の世界」だってそうかもしれない。
それは決して見えないが、確かに「それ」は存在しているのかもしれない。

・・・

アインシュタインが「『重力』は、『時空』の歪み(曲がり)が生み出すものに違いない」というアイデアを得たのは、かなり早い時期だったらしい。
しかし、当時のアインシュタインは、そのアイデアを記述するための数学的な道具を持ち合わせていなかった。

そこで、必要な数学的手法を会得するため、アインシュタインは友人のマルセル・グロスマン(ハンガリーの数学者)からリーマン幾何学を教わった。

そして、アインシュタインが「一般相対性理論」を発表したのは1915年から1916年に掛けてだった。
そのとき既に、「特殊相対性理論」の完成から10年が経っていた。

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アイザック・ニュートン(イギリスの自然哲学者)の「万有引力の法則」をご存じの方は多いだろう。
万有引力の法則

この図の右下の式が示すとおり、「万有引力の法則」によれば、
①万有引力(重力)Fの大きさは、黄色い物体の質量Mに比例する、
②万有引力(重力)Fの大きさは、水色の物体の質量mに比例する、
③万有引力(重力)Fの大きさは、物体と物体の距離rの2乗に反比例する、
ということが分かる(なお、式のGは万有引力定数である)。

この式によれば、万有引力(重力)は質量を持った物体と物体との間に働くことになる。逆に言えば、質量を持たないモノには「重力」が働かないことになってしまう。たとえば、「電磁気力」を媒介する素粒子である「光子(フォトン)」には質量が無い。したがって、「光」には「重力」が働かない…と思われるかもしれない。

しかし、アインシュタインはその常識を打ち破った。質量が無いはずの「光」も「重力」の影響を受けるのだ。

どのようにして「重力」が生まれるのか、「重力」によって物体の運動がどのように変化するのか、そして、「重力」によって時間や空間はどのように変化するのか。

それらを記述するのが「一般相対性理論」だった。

・・・

1915年11月、アルベルト・アインシュタインは「一般相対性理論」の論文を発表し、自らの理論を一連の方程式にまとめた。その中で、最も重要なのが「アインシュタイン方程式(重力場の方程式)」である。
3_eqEeq

この方程式は、数学上、「10元連立 非線形 偏微分方程式」と呼ばれるものである。
ものすごく乱暴に言えば、式の右辺は物質が持っているエネルギーであり、左辺は「時空」の歪み(曲がり具合)を表している。

言い換えれば、なんらかの物体の質量(「特殊相対性理論」におけるE = mc^2という方程式により、エネルギーと呼ぶ方が一般的)があれば、その周囲の「時空」がどのくらい曲がっているのかを定量的に示すことができるのだ。

そして、「一般相対性理論」から言えるのは、時間や空間の歪みこそが「重力」の正体であり、質量(エネルギー)によって「時空」が歪み(曲がり)、その歪みが物体や光の運動に影響を及ぼすことが分かるのだ。

さらに「重力場の方程式」は、ブラックホールが宇宙に存在していること、宇宙が膨張していること、重力波が存在していることなど、ニュートンの「万有引力の法則」からは想定できなかった様々な重力現象を予測したのだ。

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上の図の真ん中のある大きな球が「太陽」、その周囲を回っている球が「地球」だと思って見てほしい。

太陽の質量(エネルギー)によって「空間」が歪んでいる(曲がっている)ことが見て取れるだろう。そして、地球は太陽の周囲の「空間」が歪んでいるおかげで、太陽の周りを安定的に公転することができることも分かるだろう。もしも太陽の質量による「空間」の曲がりが無かったら、地球はどこか、あらぬ方向に飛び去ってしまうはずだ。

アインシュタインは、この「空間」の歪みこそが「重力」の正体であることを明らかにしたのだ。

もしも「重力」の正体が「空間」の歪みなのであれば、「質量」を持った物体だけではなく、「質量」のない「光」でさえ「重力」の影響を受けるはずだ。

事実、「重力」は「光」の進路を曲げてしまうのだ。

(続く)

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