人間という生き物には、「他人と関わりたい」という「コミュニケーション欲」がある。
その欲求は、
脳の奥深くに刻まれた本能的なものだろう。

それぞれの人のコミュニケーション欲が、人々を「関係の網」で結び付けている。
誰もが多くの人々との間に結ばれた「
関係の網」の中で生きている。

誰かと関わりたい
という思いは、決して消滅することはない。
その網を形作る「糸」は結ばれたり、
切れたりしているが、すべての糸が切れ、完全に孤立してしまうことはないだろう。

ただ、
すべての糸が同じ太さではない。
太い糸もあれば、細い糸もある。
他人との関係には濃淡があるのだ。

細い糸で結ばれた人との関係が壊れるのは一瞬だ。
そんな人との関係が壊れても、痛くも痒くもないだろう。

だが

い糸で結ばれた人との関係が切れてしまったら

ケンカをしたわけではない。
相手を傷つけたわけでもないし、
相手に傷つけられたわけでもない。

それでも太い糸が切れてしまい、最も濃密な関係が失われてしまうことがあるのだ。
糸が切れるというよりも、糸の先端が突然、消えてしまう場合があると言ったほうが正確かもしれない。

反対側の先端は、太い糸が突然に緩んでしまったことに驚愕する。

たくさんの糸を握っていたけれど、いちばん大切な糸だけが切れてしまった。
この糸だけは、
死ぬまで決して手放すまいと誓っていたはずなのに、突然、その糸が力を失ってしまった。

そして、
もう一方の糸の先端を握っていた者は、自分だけが残されて、世界が崩壊したことに愕然とするのだ。

たくさんの糸を握っているけれど、いちばん大切な糸だけが無い。
そのとき人は、本当の孤独を味わうことになるのだ。

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