929 :ちわわ 2016/12/31(土) 22:47:07 ID:Nix
嫁母に聞いた嫁とウインナーコーヒーの話
まだ消費税がなかった頃
嫁母は見合いして22で娘(嫁)を産んで、家庭を顧みない、多分アスペルガーか発達障碍の夫の分も女手一つで育児と仕事をしてた
ある年の瀬に法事で夫の実家に帰る道中、夫に「ちょっと待ってて、友達のところに顔出してすぐ戻る」と娘共々、よく知らない地に置いていかれたらしい
田舎だから年末に空いてる店もなく、携帯もない時代
昼時を過ぎ、一時間待っても戻ってこず、娘をおろしてる間に財布の入ったカバンごと走り去られ、ポケットには高速のおつりの300円
寒さだけでも凌げるところをと探していると、あいている喫茶店がひとつだけあったそうだ
喫茶店に入り、メニューを見るも、お腹を空かせてるだろう娘に食べさせてやれる300円で買える食べ物なんてない
せめて何か温かい飲み物をとドリンクを見ていると、コーヒーの下に一つ、ちょうど300円で頼める飲み物が
【ウインナーコーヒー】
母は考えた
「ウインナーコーヒーって、ウインナーがついてるのかな?」
「たぶん」
「じゃあ、お母さんコーヒー飲むから、あなたはウインナー、はんぶこしましょう」
「うん」
そうして届いたコーヒーには、ウインナーではなく生クリームが乗っていた
母は焦った
でもそれを見た娘はニッコリ笑って言ったそうだ
「お母さん、よかったね!お母さんの大好きな生クリームが乗ってるよ!」
コーヒーが飲めない娘は上の生クリームを食べることを辞し、お水を飲んで過ごした
店員にバレないよう、こっそり一欠片の角砂糖を舌の上に転がして
その後夫が迎えに来ることはなく、自力で見つけた交番に助けを求めて難を逃れたそうだ
夫は娘と妻を置いてきたことを 忘 れ て い た
母は20年以上たった今でもその時のことを忘れられないという
嫁に聞いた母とウインナーコーヒーの話
ランドセルを買ってもらった頃だったか
見知らぬ場所に母共々連れてこられ、唐突に父に車を追い出されたそうだ
二人は父に捨てられたと思ったという
寒い仲凍える母と歩きまわり、やっとのことで一緒に見つけた喫茶店に入ったそうだ
いかにもチェーン店という感じで、若い店員は愛想が悪かったが店内はほのかに暖かくてホッとした
母は娘にバレないよう、もう何回目かポケットの中にある小銭を数えたが、娘は母の持ち金の少なさを悟っていた
漢字は読めなかったが、数字の大きさは理解できる
母の手持ちでは娘が読めるコーヒーを頼むのが精一杯なことに気づいていた
娘は安堵した
よかった、お母さんの大好きなコーヒーは頼める
すると母はとても良い提案が浮かんだというように、ニッコリと笑って娘に聞いた
「ウインナーコーヒーって、ウインナーがついてるのかな?」
娘はしばし躊躇があったものの、その「たぶん」と曖昧に返した
そうして注文したコーヒーは、やはりウインナーはなくて、かわりに生クリームが乗っていた
娘は安堵した。よかった、これならお母さんはコーヒーが飲める
だけどお母さんはとても悲しそうな、辛そうな顔をしていることに気づいてしまった
そんな顔をさせてしまったことが辛くて精一杯笑ってみたけど、母は悲しげに微笑みを返すだけだった
そのときとても居たたまれなくて、私は大丈夫だと母がコーヒーに入れない角砂糖を一つ頬張ってみせて誤魔化そうとしたけど
そんな強がりもやっぱり母にはお見通しなような気がして、同時に母のいたたまれないような気持ちも伝わってきて
上手にその場をやり過ごせなかった後悔が今でも鮮明に残っているらしい
二人共、それぞれ「昔、ウインナーコーヒーはウインナーが入ってると思っててね」と笑い話として話してくれたけど
話の本質が切なすぎてどちらの話も涙腺が緩んだ
まだ消費税がなかった頃
嫁母は見合いして22で娘(嫁)を産んで、家庭を顧みない、多分アスペルガーか発達障碍の夫の分も女手一つで育児と仕事をしてた
ある年の瀬に法事で夫の実家に帰る道中、夫に「ちょっと待ってて、友達のところに顔出してすぐ戻る」と娘共々、よく知らない地に置いていかれたらしい
田舎だから年末に空いてる店もなく、携帯もない時代
昼時を過ぎ、一時間待っても戻ってこず、娘をおろしてる間に財布の入ったカバンごと走り去られ、ポケットには高速のおつりの300円
寒さだけでも凌げるところをと探していると、あいている喫茶店がひとつだけあったそうだ
喫茶店に入り、メニューを見るも、お腹を空かせてるだろう娘に食べさせてやれる300円で買える食べ物なんてない
せめて何か温かい飲み物をとドリンクを見ていると、コーヒーの下に一つ、ちょうど300円で頼める飲み物が
【ウインナーコーヒー】
母は考えた
「ウインナーコーヒーって、ウインナーがついてるのかな?」
「たぶん」
「じゃあ、お母さんコーヒー飲むから、あなたはウインナー、はんぶこしましょう」
「うん」
そうして届いたコーヒーには、ウインナーではなく生クリームが乗っていた
母は焦った
でもそれを見た娘はニッコリ笑って言ったそうだ
「お母さん、よかったね!お母さんの大好きな生クリームが乗ってるよ!」
コーヒーが飲めない娘は上の生クリームを食べることを辞し、お水を飲んで過ごした
店員にバレないよう、こっそり一欠片の角砂糖を舌の上に転がして
その後夫が迎えに来ることはなく、自力で見つけた交番に助けを求めて難を逃れたそうだ
夫は娘と妻を置いてきたことを 忘 れ て い た
母は20年以上たった今でもその時のことを忘れられないという
嫁に聞いた母とウインナーコーヒーの話
ランドセルを買ってもらった頃だったか
見知らぬ場所に母共々連れてこられ、唐突に父に車を追い出されたそうだ
二人は父に捨てられたと思ったという
寒い仲凍える母と歩きまわり、やっとのことで一緒に見つけた喫茶店に入ったそうだ
いかにもチェーン店という感じで、若い店員は愛想が悪かったが店内はほのかに暖かくてホッとした
母は娘にバレないよう、もう何回目かポケットの中にある小銭を数えたが、娘は母の持ち金の少なさを悟っていた
漢字は読めなかったが、数字の大きさは理解できる
母の手持ちでは娘が読めるコーヒーを頼むのが精一杯なことに気づいていた
娘は安堵した
よかった、お母さんの大好きなコーヒーは頼める
すると母はとても良い提案が浮かんだというように、ニッコリと笑って娘に聞いた
「ウインナーコーヒーって、ウインナーがついてるのかな?」
娘はしばし躊躇があったものの、その「たぶん」と曖昧に返した
そうして注文したコーヒーは、やはりウインナーはなくて、かわりに生クリームが乗っていた
娘は安堵した。よかった、これならお母さんはコーヒーが飲める
だけどお母さんはとても悲しそうな、辛そうな顔をしていることに気づいてしまった
そんな顔をさせてしまったことが辛くて精一杯笑ってみたけど、母は悲しげに微笑みを返すだけだった
そのときとても居たたまれなくて、私は大丈夫だと母がコーヒーに入れない角砂糖を一つ頬張ってみせて誤魔化そうとしたけど
そんな強がりもやっぱり母にはお見通しなような気がして、同時に母のいたたまれないような気持ちも伝わってきて
上手にその場をやり過ごせなかった後悔が今でも鮮明に残っているらしい
二人共、それぞれ「昔、ウインナーコーヒーはウインナーが入ってると思っててね」と笑い話として話してくれたけど
話の本質が切なすぎてどちらの話も涙腺が緩んだ