もう昔の話。
学生時代に韩國を貧乏旅行した事がある。
フェリーで釜山に渡り、各地をバスや電車で回ったんだけど、そのうちのひとつに安東という町があった。
駅の近くの旅館にチェックインし、街中を色々と見て歩き、再び旅館に帰ったのはもう暗い頃だった。
鍵を受け取ろうとすると、その旅館の息子だと思われる若者に、受付の裏に来いと手招きされ、よく分からんけどとりあえず裏の部屋に入ってみた。
そこには大学生の姉と高校生の弟がおり、日本人を見るのは初めてだから話がしたいという。
まあ、断る理由もないし付き合った。
なぜ韩國に、なぜこの町に来たのか。
韩國はどうだ？料理は美味しいか？
色々と質問された。

30分くらい話をしたところだったか、あ！そうだ！って顔をして弟の方が隣の部屋から地図を持ってきた。
その地図のある場所を指差し、あんたはこの島の事をどう考えているか？と質問をしてきた。
もちろん竹島の事である。
しかし恥ずかしながら当時の俺は竹島問題の存在を知らなかったので、どういう事か聞くと、日本と韩國の間で領有権問題になっている島だという。
ニュースでも聞いた事がなかった時代だったし、それは日本では小さな問題だと言うと、弟は韩國にとっては大きな問題なんだ！と力が入っている。
よく分からんから、わかった！その島は韩國にやる！と言うとすごく嬉しそうだった。

今思い出すと胸がチクリと痛む。