ヴィンランド・サガ　27巻　【私達は君達ノウド人と仲良くしたいと思っているよ】

トルフィン達のヴィンランド開拓は進み、原住民のウーヌゥ族との交流も始まる。そこに至る姿を見てきたヒルドはトルフィンへの憎しみを解放し、彼を赦すことを決意した。小麦の収穫も順調で戦争のない国づくりはいい方向に向かっているように見えたが争いの影もチラつき始める。さらにウーヌゥ人の長老は儀式で破滅の未来を視たことでトルフィン達との交流を危惧していて･･･

前巻でヒルドから赦しを得たトルフィン、これで終わりではなくてむしろここからが始まりです。しかし、エイナルと供に平和の慰霊碑を建てますが不穏な動きも見せ始めます。前巻は全体的にほのぼのだったからかキャラ全体が丸くなっていましたけど今回はシリアスな状況が多いせいか幼少期のようなタッチになっていましたね。

ヴァルガルの定期便が訪れた時、マルクランドの住人が忽然と姿を消してしまった事件が発生します。大量の矢が放たれていた状況から原住民から襲撃を受けたのではないかとアルネイズの村でも疑心暗鬼が生まれます。小麦の収穫が順調でトルフィンの計画に乗りつつも非武装に関しては懐疑的だったイーヴァル達も不承不承大人しくしていたんですが･･･ただ、イーヴァルは良くも悪くもノルド人の男の考え方ですがトルケルのように自ら火をつけて戦を誘発するという根っからの戦争バカとは違いましたね。相手の真意がもっと早く理解できていれば無用な争いは生まなかったかもしれません。むしろ弟のストルクの方が多少頭が回る分イーヴァルをリーダーにしようと村人たちに戦争を意識させて武装化に誘導してます。それと何かと不安を煽ってくるウッゲも混乱を呼んでますよね。何でこいつはついてきたんだ･･･

ウーヌゥ人の長老も破滅の未来を予知してからは他のウーヌゥ人にノルド人の危険性を説きますが大半はノルド人のいい部分を学ぶために交流を続けたいという意見です。一部の者以外はお互いに友好的な関係を維持しようと思っているのですが長老の策略とイーヴァルの蛮行で両者の関係に亀裂が入る事態に･･･本当の戦争を経験しているヒルドは今の自分ならそれを止められると戦争の火種となる原因を排除しようと動き出します。

せっかく復讐の連鎖から抜け出せたのに今度はヒルド自身がそこに入り込もうとしているのが心配ですね。さらにマルクランドの住人失踪は疫病が関係してそうです。そういえばグズリーズもネズミを追っかけてました。ウーヌゥ人との対話については自信を見せるトルフィンですが目に見えない疫病に関してはどうしようもありませんね。まだヴィンランドにはその危機は訪れませんがその予兆は感じられます。前巻はこれからの国づくりに希望がわいてくる終わり方ですが一転して不穏な展開となりそうですね。

　　　　

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