社会学者であるブライアン・サイモンによる「スターバックスがターゲットにしたのはビジネスピープル、旅行好きの人々、本を買うのが好きな『まともな稼ぎのある人々』であった」というものだ。すなわち、スタバはある種のアッパーミドル層を対象にしているという。そして、スタバで商品を買うことは、そうしたプチブルの「見せびらかしたい」欲望を適度に叶えるのだ、とやや辛口に論評している。私はスタバに行くたびにこの言葉が頭をよぎる。
現代で、ここまで広く私たちに独特なイメージを持ったまま浸透している店も、なかなかない。しかも、それが世界中にあるのだからなおさらだ。
スターバッカーと呼ばれる人々がいる。何よりもスタバを愛し、世界中のスタバに訪れるような人々のことをそう言うのだ(「スタバ推し」というところか)。ここまで一つのチェーンストアに熱烈なファンがいることもない。「マクドナルド」や「吉野家」だとちょっと想像しづらい。この「集団」としての意識を満たしてくれるのが、やはりスタバの強みであり、それは同時に「選択と集中」の賜物なのだ(教会に足繁く通うキリスト教徒のような)。
だからこそ、スタバは一つの国のようだといえるかもしれない。スタバ国。
パスポートはMacのパソコンであり、公用語は、長いメニュー名。国家インフラは無料のWi-Fiと電源で、国旗は緑のセイレーンのロゴマーク。そして、スタバの商品を買うことは、国への納税行為でもある。スタバでフラペチーノを買ったあなた、あなたはすでにスタバ国へ納税しています。
もしスタバを国家として捉えるならば、スタバの企業としての動きは一種の「国際政治」だともいえるが、その動きに、本当の政治が絡んでくることもある。
パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘を受けて、特に中東を中心とする国家では、「親イスラエル企業」であると目されたスタバの不買運動が始まっている。これはパレスチナに連帯を示すSNS投稿をした同社の労組を、スタバ本社が商標権侵害の疑いで告訴したことに端を発したものだ。
ちなみに、この不買運動による影響が原因かは定かではないが、最近、スタバの業績はあまり振るわない。米スターバックスが発表した今年1~3月期の決算は、2020年以来の減収となった。そういう意味でスタバ国への“納税行為”を行わない選択をした人々がいるのかもしれない。
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編集元: スタバに行く=「見せびらかしたい」? フラペチーノや“Macポチポチ問題”がコーヒーよりも話題になるワケ
しかも無意識ときたもんだ