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市販「粉チーズ」の安全性を検証~輸入チーズは命にかかわる"リステリア菌汚染"の危険も


パスタ料理によく使う粉チーズですが、種類や成分もさまざまです。今回は市販されている代表的な粉チーズを検証してみました。

●森永乳業「クラフト 100%パルメザンチーズ」

 米国クラフト社と業務提携している森永乳業が販売。チーズ製品のパッケージに「KRAFT」のロゴが入っています。「パルメザン」は本場イタリアのチーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」の英訳です。前日搾った生乳を翌日に脂肪分を抜き、そこへ当日の朝絞った生乳を混ぜて作るのが特徴のナチュラルチーズで、「1日1回のみ作ること」というイタリアの決まりがあります。熟成期間も18~36カ月と長期です。

 表皮は茶褐色で厚く「パルミジャーノ・レッジャーノ」の名が刻印されています。しかし「パルメザン」に、この刻印はありません。「パルミジャーノ・レッジャーノ風のチーズ」というのが、粉チーズの「パルメザン」だからです。

 風味は本物にかないませんが、料理用などには十分利用できます。産地は米国。原料は「生乳と食塩」のみです。チーズの種類別はナチュラルチーズになります。また、カルシウムが豊富なことが特徴で、クラフト社のチーズの中では最もカルシウム含有量が多くなっています。

●雪印メグミルク「粉チーズマイルド」

 国産プロセスチーズをすりおろした粉チーズです。プロセスチーズは、複数のナチュラルチーズを細かく砕き、加熱して溶かし、混じり合わせ、成型包装したものです。加熱処理で乳酸菌は死滅しているので、保存性が高いチーズです。

 プロセスチーズでは、それぞれのチーズの成分がよく混ざるように乳化剤が使われます。乳化剤で混じり合わせると、商品の均一化が容易になります。乳化剤には通常、リン酸塩が使われます。乳化剤にリン酸塩が使われるのは乳化作用だけではなく、チーズの風味、色調の向上、老化防止にも効果があるからです。

 しかし、リン酸塩には健康リスクがあることを忘れてはいけません。リン酸塩はラーメンに使う「かんすい」の原材料にもなっていますが、「リン酸塩を過量に投与した場合、もっとも大きな有害作用と考えられるのは、軟組織に石灰が沈着することで、胃、腎、大動脈にとくに現れることである」(郡司篤孝・著「食品添加物読本」)ことが知られています。
輸入チーズにはリステリア菌汚染の危険も

●成城石井「ガルバーニ パルミジャーノ・レッジャーノ」

 「ガルバーニ」は、130年以上の伝統を持つイタリアのチーズブランドです。マスカルポーネ、リコッタ、モッツアレラが、イタリアの4大チーズブランドです。「パルミジャーノ・レッジャーノ」は16カ月以上熟成したチーズのみに認められるDOP(原産地保護)マークが付くチーズです。

 DOPマークが付いているイタリアチーズは、他にタレッジなど40種ほどあります。この商品は「パルミジャーノ・レッジャーノ」を100%原料とした純粋な粉チーズです。


 薄茶に近いクリーム色をしたナチュラルチーズで、中身には白い粒々が点在しています。この粒は旨味の結晶です。長期間熟成したチーズにのみできる現象です。豊かな香りとコクがあり、噛めばかむほどに旨味を感じるのが「パルミジャーノ・レッジャーノ」です。

 それをすりおろし粉チーズにしているのですから、贅沢な粉チーズと言えます。「リステリア菌検査は定期的に行っている」とメーカーの成城石井では言っています。チーズ最大の恐怖はリステリア菌汚染です。2013年11月、デンマークから輸入したナチュラルチーズからリステリア菌が検出され。自主回収措置になりました。すでに市場に流通した後、業者の自主検査でリステリア菌に汚染されていることが分かったのです。

 成城石井だけでなく、輸入チーズを販売している日本の乳業メーカーは、リステリア菌を非常に警戒し、定期検査を行っています。リステリア菌は土壌中にいるバクテリア菌の仲間で、中毒を起こす食品は、ほとんどがチーズです。

 低温や高い塩分濃度でも増殖する特異な食中毒菌で、感染するとリステリア症に罹り、高熱や頭痛、けいれんなどの症状が出ます。高齢者や乳幼児の場合は生命にかかわることもあります。1999年に欧州でチーズから相次いで検出され、食卓からチーズが消える寸前までになりました。輸入チーズには危険な菌も輸入していることを肝に銘じるべきです。

郡司和夫(ぐんじ・かずお)
フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。
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