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ロストワンの独り言

35年閉じ込めてきた気持ちを箱の中から綴ります。

急過ぎた同居


2日後、私を迎えに来た父に

あちらの父親の事について

聞けないまま時間だけが過ぎ

「その日」を迎えた


その日は朝から父と出かけ

「これから仲良くしないかんから」と

4姉妹へ配るプレゼントを選んだ


鉛筆に、匂いつき消しゴムに

メモ帳に、シール


絵が得意だったので絵とメッセージを書き

ラッピングをすると

父と継母の家へ向かった


玄関の戸を開けると継母と4姉妹が

荷物を1ヶ所に纏めて待っていた

到着するなり車に大急ぎで荷物を積んで

皆が父の車に乗り込んだ


私は父から何も聞かされていなかったので

自宅に到着するまでは

皆で旅行にでも行くのだと思ってた


帰宅してそれぞれが荷物を解き

寝具や寝巻きなど身の回りのものを買いに行き

箪笥に衣類などを片付けた


ひと段落ついて皆で晩御飯を食べ

4姉妹がその辺を寝転がったり走り回ったり

当然のようにお風呂に入る様子を見ながら

私は父との暮らしが

他人に侵食されていくような気持ちでいた


今日からこの人たちと暮らすの?

あの男性はどうするの?

父の決定にどうする事もできず

ただただ混乱していた

私の心は置き去りのまま

こうして継母らとの同居が始まった


クリスマスに父が戻ってきてから

たった1月半後の出来事だった

父の帰りが遅くなったのは夏の終わりだったので

出会って再婚するまでたった半年


母や姉達と別れて4年

父との暮らしにも慣れたけど

元の家族の事を忘れたことなど無かった


玄関の扉を開けて母と姉と妹が

「また一緒に暮らしたい」と戻ってくるのを

心のどこかで待ち続けていた

もう叶わないことだと分かっていたけど

それでも心のどこかで待ち続けてた


新しい家族を気遣い

笑いかける父を見ながら

私は 長い間心にしまってきた望みを

静かに手放した








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継母(となる人)の家で


継母と同伴をした後

翌日には県外に出張に行くようで

私はその家に2泊することになった


家は子供だけになり

4人の子供達は大騒ぎで遊び

私は打ち解けられず静かにTVを見ていたら

四姉妹の長女 いくよが近づいてきて

私に妹達の紹介をしてくれた


私の4歳下で長女のいくよ

次女のゆかり

三女のさゆり

四女のまゆみ

四女は当時まだ4歳だった


歳が近いこともあり長女とは徐々に打ち解け

好きな漫画の話などをして過ごし

皆で晩御飯を食べていると

突然、玄関の鍵が開き男性が家に入ってきた


「ただいま」


入ってきた途端場の空気が凍りついた


「あれ?誰?その子…」


自己紹介をしようとしたら止められ

いくよが慌てた様子で説明した


「私の友達、今日は泊まりにきたの!」


他の妹達はみな黙ったまま

部屋の壁際に身を寄せて固まっている

妙な雰囲気の中、この人は誰?と聞くと

いくよは小声で(お父さん…)と言った


4姉妹の父親であるその男性は

冷蔵庫からおつまみを出しお酒を飲み始めた

暫くして追加のお酒を買ってくるように言われ

いくよと2人で外へ出た


『お前の母親になりたいという人がいる』


父の言葉を思い出し

その事について聞こうとしたけど

どう聞いていいのか分からずにやめた


その夜はいくよと同じ布団に入り眠ったが

深夜、突然大きな物音がして目が覚めた


物音がする方に目をやると

先程の男性が継母に馬乗りになり

激しく顔を殴打していた

鼻血を出しているのを見て驚いて

声をかけようと起き上がろうとすると

「寝たふりして!」といくよに止められた

『でも…』

「いいから、寝たふりして!」


大きな物音と怒号の中

布団を頭までかぶって

喧嘩が収まるのを震えながら待った




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