今まで生きてきて凄く衝撃的だった体験 その31

872: 名無しさん@おーぷん 22/09/29(木) 17:46:12 ID:gI.so.L1
互いの近況を話し合ったり愚痴り合ったりを一通り済ませると、次第に思い出話に花が咲き始めた。
そして、話題はA先生についてになり、『本当にキャラ濃かったよね』『大学生卒業してから一度会いに行ったけど相変わらずだったよー』
等と話しているうちに、やっぱり
『でも、なんで3年まで持ち上がらなかったんだろう。納得出来ないよねー』という話になった。
すると、ニコニコしながら聞いていたB子という子が、
「今だから言うね。実は私、A先生にさ…」
と言い出した。
私を含め、皆、実はA先生が好きだったとか、告白してたとか、そういう発言が来ると思ってた。
「私、A先生にさ、ずっと嫌がらせされてて、それを学校に訴えたからA先生は担任外されたんだよね」

もう皆驚いて言葉を失った。というよりも、咄嗟に意味が分からなくて硬直してしまったと言うべきかもしれない。

B子は勉強も運動もできる優等生だった。加えて美人。でもそれを鼻にかけることもない、明るく優しい子だったので皆から慕われる人気者だった。

そして、B子も皆と同じくA先生が好きで、昔からA先生の授業を真面目に聞くのは勿論、分からないことは積極的に聞きに行っていたことも知っている。

皆が黙っていると、B子は『2年生の二学期になったばかりのことだけど…』とぽつりぽつりと語り出した。

873: 名無しさん@おーぷん 22/09/29(木) 17:49:08 ID:gI.so.L1
B子は他のクラスメイトと等同じく担任がA先生になったことを喜び、また将来進みたい道がA先生の科目に関連していることもあって、より熱心にその科目を勉強するようになっていた。

そんなある日、A先生の授業を聞いていたB子はA先生が教えた内容に間違いがあるのに気付いてしまった。

本当にそれが間違いが確信が持てなかったB子は、授業後に職員室を訪れてA先生に、そこについて尋ねてみた。

B子の問いにA先生は最初は『ん?そんなはずは…』と言っていたが、『お、本当だ。先生間違えてしまったな。申し訳ない!』と間違えを認めた。
そして、『B子、凄いなー、よく気が付いたなー。気付いたのお前だけじゃないか?』とA先生は笑い、その場は和やかな雰囲気で終わったらしい。
その場は。

そして、翌日からA先生はB子に対して少しずつよそよそしく、冷たくなっていったという。
最初は質問に行ってもすぐに切り上げられる、遠目から挨拶しても返してもらえなかったりと、気のせいかと思える位のものだった。

しかし、ある時からA先生から嫌がらせを受けるようになった。嫌がらせの内容は割愛するけど、何とも幼稚で陰湿なものだった。B子はその事をクラスメイトには隠しており、実際、親しくしてた私達も気付けなかった。
そして、B子が皆に話してる様子が無かったためか、その嫌がらせの内容もどんどん酷くなっていったのだという。

874: 名無しさん@おーぷん 22/09/29(木) 17:50:13 ID:gI.so.L1
だが、別にB子は泣き寝入りするつもりはなかった。

B子はかなり早い段階から両親に相談しており、両親と話し合った結果、しばらくは嫌がらせの記録をつけたり、証拠を集め続けた。そして、言い逃れできないレベルの証拠を集められたタイミングで学校に訴えたのだ。

学校は良心的だったのか、それとも証拠が証拠だったためか、すぐさま話し合いの場を設けた。

学校側は全面的に非を認めて理事長、校長達勢揃いで平謝り状態だったらしい。
A先生も『大変申し訳ございませんでした』と深々と頭を下げた…が、それっきり一切言葉を発しなかったらしい。
B子と両親が何故嫌がらせをしたのかを尋ねてもだんまりを決め込み、校長や他の教師達に厳しく促されても頑なに口を開かない。

B子と両親は
・B子にした嫌がらせは教師として許されることではない。自分達もA先生を許すことはできない
・しかし、事を荒立てるつもりはないから、とりあえずA先生をB子の担任から外し、極力B子と接触させないようにしてほしい、監視してほしい。
という2点を要求。

学校は全面的に受け入れ、担任から外されることが決まったそうだ。
そして、B子の両親は
『A先生が生徒からも、保護者からも評判が良いことは知っています。他の生徒達のためにこれ以上騒ぐつもりはありません。
ただ、B子にしたようなことを、もしかしたら過去にも他の生徒にしたことがあるんじゃないでしょうか?これからもする可能性があるのではないでしょうか?
くれぐれもA先生を監視し続けて下さい』
と伝えたらしい。
B子も
『私はA先生が好きでした。だから嫌がらせされて本当に悲しかったし、辛かった。
授業の間違いを指摘したのは、鼻を明かしたかったり、先生を馬鹿にしたかったからじゃないです。
どうして私に嫌がらせをしたんですか?嫌がらせをして何をしたかったんですか?』
と最後に尋ねたが、やはりA先生は黙ったままだったという。  

その後、A先生は担任を外されただけでなく、学校内の役職?が数ランク降格して、別の先生の補助(副担任)という名目で監視下に置かれた。
新しい私達の担任は、高校3年生の担任としての責務は勿論B子をA先生に接触させないという密命を負っていたようで、すきを見ては私達のクラスに関わろうとするA先生をどうにかして撃退していたらしい。
そして、私達が卒業してからも、A先生はクラスを任されることは無かったという。

875: 名無しさん@おーぷん 22/09/29(木) 17:53:43 ID:gI.so.L1
語り終えるとB子は『今更ごめんね。思い出壊すようなことを』と呟くように言った。
B子は物事を誇張して言うような子ではないとよく知ってる。だから、これは真実だろう。

むしろ今までよく黙って耐えたと思うし、これ以上黙ってるのも辛かったのだろうと思う。

それにしても、この話を聞いて以降、ふとした瞬間に思い出してはA先生のことを考えてしまう。

A先生は良い先生だった。廃部寸前の部活の建て直しや勧誘を手伝ったり、家庭の事情で悩んでる子に寄り添って、色んな支援の制度を調べて助けてあげたりていたのも知ってる。
(助けてもらった子達も私の友人。今でも彼女達はA先生に感謝してる)

でも、A先生はB子には嫌がらせをしていた。

普通に考えて、B子よりよっぽど腹が立つ様な事をする生徒は沢山いたんじゃないかと思う。例えば、悪ノリが過ぎて、堂々としつこくA先生の外見的特徴をからかったり、度が過ぎるイタズラをしたりする子達もいた。情
緒不安定で先生や生徒に当たり散らして困らせる子もいた。進学校の授業に全くついて行けず、教師達の手を焼かせる子だっていた。

A先生はそんな子達も許して受け入れて支えてきた。
でも、B子から、たった一回、授業の間違いを指摘されたことは許せなかったのか。自分よりもその教科の一部を深く理解した少女がそんなに憎らしく思えたのか。

今になって思えば、担任を持ってた教師が副担任になるなんて、分かりやすい降格だけど、高校生だった自分達はそんなこと思いつかなかった。それくらいA先生を信じてたからだけど。

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