- 5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 23:48:57.62:+DTFjm530
ハルヒ「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。」
言ってしまいました、こんな恥ずかしい事なんで平気で言えたのでしょう・・・
今思えばこの一言が私の不思議な日々の始まりでした
キョン「そこの少女、異世界人と言ったな。興味があるのか?」
変なのにつかまってしまいました
紺色のマフラーで口を覆って腕組して私の後ろに座っていたんです
ハルヒ「あんた誰よ!ただの人間だったら話しかけないでくれる?」
そう、こういう輩はきっぱりと切り捨てたほうが身のためである
キョン「・・・・異世界人だ。いや、異世界から帰ってきた人間と言ったほうが正しいか・・・」
ハルヒ「え?」
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7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 23:54:02.92:+DTFjm530
人生とは、青春とは、その立った一言で全てを台無しにしてしまう事がある
そんな事を今日学んだような気がします
国木田「ちょっとキョン君!初対面の子を困らせたらだめだよ!」
キョン「ん・・・・そうだな。すまなかったな少女」
助け舟がやってきて、この場は切り抜けられる
しかしそんな甘い幻想なんてとっとと捨てるべきでした
国木田「あ、あのごめんね。キョン君昔誘拐された事があってさ。それ以来こんな感じなんだ」
ハルヒ「は、はぁ・・・」
何を言っているのか・・・ なるほど、PTSDという奴ね
キョン「そうだ、君の名前は涼宮ハルヒと言ったな。今後ともよろしく頼む。」
そう、これが悪夢の始まりでした
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 00:03:30.51:2TKnIB+z0
私は今まで不思議を探してさまざまな事をしてきました
校庭に落書きをしてみたり、教室の机を弄ってみたり、怪しげな雑誌を参考に変な装置を作ってみたり
ですが、そんなものただの子供遊びだったのです
あの、キョンと名乗る少年と出会ってから、何かが崩れ始めたのです
キョン「なあハルヒ、お前部活決めてないらしいな?」
ハルヒ「え、あうん。なんかどの部活もつまらないのよねー」
とりあえずこの少年からはなれるために、いろんな部活を転々としていました・・・が
この少年、私が部活を変えるたびにしつこくついてくるのです
なぜ彼はこんな私にしつこく執着するのでしょうか・・・・
一度説得をもちかけて離れようとしましたが、彼は聴く耳持たず、私にしつこく付きまとっています
キョン「なぁ?好きな部活がないんなら、俺たちで部活を作ってみないか?」
ハルヒ「え?」
キョン「だからさ、俺たちで部活を作るんだよ。不思議な事を探す部活をさ」
何を言っているのかと思いましたが・・・あいにくこの高校にはすでにオカルト研究会があるのです
不思議な事を探すのならオカルト研究会にでも入ってくれればいいじゃないですか?
ハルヒ「ねぇ、キョン、オカルト研究会ってのが」
キョン「でさぁ!部活の名前考えたんだけどSOS団ってのはどうだ?」
ハルヒ「何よそれ」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 00:10:29.96:2TKnIB+z0
SOS団 「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」の略称だと彼は説明しています
しかし、こんな恥ずかしいものが作れるわけないじゃないですか!
第一なんで私の名前が入っているんですか?おかしいですよ!
ハルヒ「嫌よ!何でそんなの作らなきゃ・・・」
キョン「善は急げだ。廃部寸前の文芸部ってのがあるらしい!
そこを占拠して我が団の活動拠点にするぞ!」
ハルヒ「や、ちょっとキョン!引っ張らないでよ」
そう、私は魔界の扉に連行される哀れな一少女
不思議な物語は、あの部室から始まったのです
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 00:18:26.99:2TKnIB+z0
長門「・・・・・誰?」
キョン「俺だ、三年ぶりだな」
長門「侵入者を敵対分子と断定、排除する」
ハルヒ「え?」
彼女が日本語でない何かを唱えると
空間が裂け、そこから槍のようなものが飛び出してきました
キョン「ガード!」
長門「・・・一筋縄ではいかない」
ハルヒ「な、何よ!何でマフラーが盾みたいになってんのよ!」
キョン「随分なご挨拶だな宇宙人!殺す気かよ、俺はお前と話しに来ただけだぜ?」
長門「話す事など・・・無い」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 00:29:31.21:2TKnIB+z0
何がなんだかさっぱりです
少女が目にも留まらぬ速さで槍を投げてきたと思ったら
今度はキョンの付けていたマフラーが盾みたいになって私を守ってくれて・・・
キョン「やっぱりお前とは一度決着を付けないとだめならしいな」
長門「・・・部室を傷つけられては困る 操作空間、展開」
キョン「ハルヒ、ちょっと下がってろ!」
ハルヒ「え?あ、はい」
長門「・・・敵勢分子 弐 一体は無抵抗 好戦的な個体を優先的に排除 排除開始」
キョン「同じ手を二度も三度も食らうかよ!ダッシュ!」
ハルヒ「え?あ、マフラー燃えてるって!え?」
キョン「くらええええええええええええええええええええええ」
長門「・・・・甘い」
キョン「情報操作による防壁の構築か、しかも一瞬で」
長門「私の構築した情報操作空間で勝てるわけがない」
キョン「いや、そんなのやってみなけりゃわかんねーだろ!宇宙人さんよぉ!」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 00:37:34.88:2TKnIB+z0
キョン「ランス!」
長門「そんな槍で、この防壁を貫ける・・・と」
キョン「うおおおおおおおおおお!貫けええええええええええええ」
長門「無駄・・・・なっ!」
キョン「うおおおおおおお!」
長門「くっ・・・・迎撃」
ハルヒ「キョン!後ろ!」
キョン「なっ!グハァ!」
ハルヒ「大丈夫?キョン!ねぇ!しっかりしてよ、キョン!」
長門「侮れない敵 危険 手加減無用」
ハルヒ「や!槍がいっぱい!囲まれてるわよキョン!避けて!」
キョン「ん、ああハルヒ、生きてたのか。・・・・・シェル!」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 00:49:11.25:2TKnIB+z0
一瞬あたりがピカーって光ったんです
そしたら部屋の中が暗くなって、窓も机も椅子も本棚もなくなって・・・
何も無い空間になったんです
長門「・・・・しぶとい」
キョン「そう簡単に負けてやんねーからな、あ、そうだ。俺が勝ったら部室よこせよ!」
長門「・・・・面白い 許可」
それで、キョンが首に巻いてるマフラーがいきなり燃えて
ボルトも速力でショートカットの少女に突進して行ったんです
キョン「ハルヒ、お前の言葉が無かったら危うく致命傷になるところだったぜ。助かったよ」
キョンが殴りかかったら、少女の周りにガラスの壁見たいのなのが現れて
一瞬ピカッと光ったと思ったら、キョンの拳を受け止めてたんです
キョン「おいハルヒ!聞いてるのか!」
で、マフラーが燃えていたと思ったら今度は槍みたいな形に代わって
ガラスの壁に突進して行ったんです
ハルヒ「あ・・・・えっとその、あんたたち何者?」
長門「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」
キョン「ん?前言っただろ?俺は異世界人だって!」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 01:03:12.18:2TKnIB+z0
キョン「さーてと、破損箇所のリカバリーも八割方終わったし、試合再開と行きますか!」
長門「・・・・・防壁展開」
キョン「モード形態ランス 先端部センサー形成 暗号炉と接続 接続完了
解析用アプリインストール インストール完了」
長門「・・・・・・」
キョン「行くぜ宇宙人!その生簀かねぇ壁をぶち貫いてやる!うおおおおおおおお!」
長門「・・・・・・同じ手を何度も何度も、学習していない 迎撃」
キョン「槍が刺さってりゃア!勝機はこっちにある!だりゃりゃりゃりゃ!」
ハルヒ「槍を拳で砕いた!?でも!」
ランス「アンゴウアルゴリズム カイセキカンリョウ」
キョン「だりゃりゃりゃりゃ!しゃぁ!よーし宇宙人!次はこっちの番だ!」
長門「アルゴリズム パターン 変更開始」
キョン「させるかぁ!チェストオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
長門「・・・・間に、合わない」
キョン「貫けえええええええええええええええええええ」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 01:14:02.32:2TKnIB+z0
爆発、白煙が立ち上り目の前の視界がふさがれる
ガラスに突き刺さった槍の柄目掛けてキョンがとび蹴りを食らえると
槍はどんどん突き刺さってガラスの壁にヒビが入っていって・・・
それから・・・
ハルヒ「ねぇキョン!大丈夫!返事してよ・・・」
キョン「痛ってぇ・・・ちょっと派手にやりすぎたか・・・」
長門「生体パーツ破損率70パーセント突破、行動不能」
キョン「へへ、どうやら俺の勝ち、みたいだな!」
長門「・・・・・負けを認める、とどめを・・・」
キョン「嫌だね」
長門「何故?壊して」
キョン「嫌だって言ってるんだ。俺はお前に勝った、お前の生死は俺が自由にしていいはずだ」
長門「・・・・・」
キョン「SOS団の団員になれ、これは勝者からの命令だ」
長門「・・・・・わかった」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 01:33:47.31:2TKnIB+z0
ハルヒ「な、貴方大怪我してるじゃない!きゅ、救急車!」
長門「・・・・待って」
ハルヒ「え、でもそんな怪我じゃ死んじゃう」
長門「問題ない、修復可能」
ハルヒ「だめよ!そんないっぱい血を流して!」
キョン「なぁハルヒ、そいつ見てくれは少女でも立派な宇宙から来た戦闘マシーンだ
そんな異文明の代物をこの世界の医者に見せたところで治療できるか?
そいつの言葉を信じてやれよ」
長門「・・・・・補足、ありがとう 修復を開始する」
これは現実なのだろうか・・・否・・・いや、私は頭がおかしくなってしまったのでしょうか?
頬をつねってみても周りの景色は変わらず、さっきと同じ現実が私の前に存在していて
ああ、なんで不思議を求めてしまったのでしょうか?私はこんな過激な不思議が欲しかったのでしょうか?
私の通う学園、部活塔に存在した魔界への入り口
異世界からの帰還者と名乗る少年と宇宙人と名乗る少女のアニメチックな戦い
私はその鍵を、私が発したあの一言が不思議の扉を開ける鍵になっていただなんて・・・
そう、まだ肌寒い冬の残滓残る春の一日に私達の物語は始まったのです
みくる「ふふふ・・・まだ、終わりじゃないですよ、涼宮さん」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 01:40:58.88:2TKnIB+z0
あの惨劇から早一週間、時が流れるのは早い物で
我がSOS団は傷の癒えた長門有希団員を新たに迎え
文芸部部室を間借りして活動を始めていた
ハルヒ「ねぇキョン、なんで私が団長なのよ!」
キョン「そりゃあお前の為に作った部活だからな」
長門「・・・・・」
ハルヒ「長門は隅で本読んでるし、キョンはキョンで変な機械弄ってるし・・・」
キョン「ああ、そうだった、そういやあお前に話し忘れていた事がある」
ハルヒ「いいわよ、世の中には知らないほうがいいことがたくさんあるってえらい人が言ってたわ」
キョン「え?ハルヒお前不思議な事を探してたんだろ?今から不思議な話を聞かせてやるよ」
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 01:51:19.50:2TKnIB+z0
キョン「あれは俺が中学生だったころ、まだ普通な人間として生きていた頃だ」
ハルヒ「はいはい、聞いてあげますよ、あんたの与太話」
キョン「学校から帰る途中に変な親父に捕まってな。
車に押し込められて誘拐されちまったんだ。」
ハルヒ「国木田が言ってたわね、キョンが誘拐されたって」
キョン「まあ話せば長くなるから少し省かせてもらうが俺は向こうの世界で色んな物を見てきた
空飛ぶ車や立体映像、アンドロイドやサイボーグ、宇宙に浮かぶコロニー」
ハルヒ「ちょーっとまったー!それってなんかの本で読んだことあるわ!
たしか、『僕私達が夢見る21世紀』の姿って感じのタイトルだったような・・・」
キョン「チッ!」
ハルヒ「チッ!って何よチッって!」
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 02:01:50.12:2TKnIB+z0
キョン「まあ、俺の行った異世界はその本に乗ってた未来をちょっと暗くしたような内容だった」
ハルヒ「だった・・・・て!誰がそんな与太話信じるもんですか」
その時、誰かが扉を叩いたんです
ああ、なんで扉を開けてしまったのでしょうか
魔界の外はまた魔界
そんな現実を私に教えてくれる出来事でした
みくる「あ、あのぉ・・・文芸部で部員を募集していると聞いて」
ハルヒ「か、かわ・・・」
みくる「え、な、何でそんな目で見つめるんですか」
ハルヒ「かわいい!決定よ!あなたSOS団に入部しなさい!」
みくる「え、SOS団?何ですかそれ、私文芸部に」
キョン「ようこそ、『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団』へ」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 02:13:02.52:2TKnIB+z0
いやはや、こんなかわいい子が文芸部にやってきて入部してくれるとは・・・・
っと、有希は少々うれしげな顔をしていた
部員が新入生ただ一人の文芸部、そこにやってきた3人の紳士淑女
長門は私達に入部届けを書かせると、スキップを踏むように軽やかな足取りで職員室に向かった
ハルヒ「ふーん、朝比奈みくる、2年生。私たちの先輩ね」
みくる「は、はい」
ハルヒ「しっかし、ずいぶんと立派な胸をお持ちで。モミモミ!」
みくる「・・・・さわんな下種」
ハルヒ「え?今なんか言った?」
みくる「ひ、ひゃ!そんなところ揉まないでください!」
ハルヒ「そう言われると、余計ねぇ・・・」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 02:17:04.25:2TKnIB+z0
ハルヒ「それそれぇー!」
みくる「あ、だめですぅ、やめてください」
長門「・・・・話したい事がある、来て」
キョン「俺か?このネジ、しめてっと。よし」
キョン「ハルヒ、ちょっくら便所行って来るわ」
ハルヒ「ここがええのんかー?」
みくる「そんなー」
キョン「・・・聞いちゃいねぇ・・ま、いいか」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 02:21:54.78:2TKnIB+z0
キョン「で、話って?」
長門「・・・・朝比奈、何かおかしい」
キョン「俺たちと同じ、ハルヒが狙いだと?」
長門「・・・・そう」
キョン「なぁ長門、お前は俺の味方か?」
長門「・・・・味方」
キョン「信じていいんだな?」
長門「・・・・時が来るまでは」
キョン「よし、夕方公園で会おう。俺から朝比奈さんにも話しておく」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 02:30:28.91:2TKnIB+z0
ハルヒ「じゃあ今日はこれで解散ね。みんなお疲れ様!」
キョン「おう、じゃあなハルヒ」
朝比奈「う・・・うぐ・・・・お疲れ様です」
長門「・・・・・お願い」
キョン「ああ、わかってるよ」
彼女の胸を揉みしだくことのよって私達の間に友情が結ばれたそんな放課後
部活動を終了し長門が部室の鍵を閉めて私達も帰路に付く
ハルヒ「じゃあねー皆!私の家こっちだから」
キョン「ああ、またなハルヒ」
長門「・・・・また・・・明日」
そして・・・
キョン「さて、朝比奈みくる。率直な質問だお前、何者だ?」
長門「・・・・教えて」
みくる「な、何の事でしょうか」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 02:37:58.40:2TKnIB+z0
そう言えば聞き忘れていました、あのマフラーの話
全てが与太話であればあのマフラーは存在しないわけで・・・
また明日でもいいかなと思ったけど、ちょっと興味が湧いてきました
ハルヒ「ねぇキョン、ってもう居ないわね」
あいつの家、確かこっちの方角
まだ走って追いかければ間に合うかもしれません
ハルヒ「居た居たー!ん?って、あの三人あそこで何してるのかしら」
みくる「み、み、ミクルビーム!」
ハルヒ「きゃっ!」
キョン「ガード!」
ハルヒ「な、ななな・・・みくる・・・ちゃん?」
長門「・・・・荷電粒子ビーム、危険」
キョン「朝比奈さん、やっぱあんた只者じゃなかったんだな、俺のマフラーに穴あけやがった・・・」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 02:46:12.20:2TKnIB+z0
人々が自由に過ごせる公営の土地、公園
確かに自由に過ごせる場所ではあるけれど
あの三人はあまりにも自由すぎた
キョン「大丈夫か!ハルヒ!」
ハルヒ「な、なんとか。間一髪でしゃがんだら避けられたわ」
長門「・・・・・どういう事、朝比奈みくる。貴方の目的は涼宮ハルヒの確保の筈」
みくる「イレギュラー要素の発生に付き、ターゲットの生死は問わないとの命令ですぅ」
キョン「くっ・・・なんでここに居るんだよハルヒ!」
ハルヒ「あ、えっとその、マフラーの話を聞こうと思って・・・」
長門「・・・・貴方に今死なれては、困る」
キョン「同意見だ。長門、あいつを止めるぞ!」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 02:52:51.40:2TKnIB+z0
みくる「逃がしませんよぉ、ミクルビーム!」
長門「情報操作開始 防壁 展開」
キョン「持つか?」
長門「・・・・長くは・・・持たない」
キョン「わかった、手早く片付ける!ダッシュ!」
みくる「突っ込んでくる?でも!」
キョン「遅い!この弾速なら避けられる!」
みくる「早い・・・なら!拡散レーザー」
キョン「あたるかああああああああああ」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 03:03:28.69:2TKnIB+z0
みくるちゃんの目がピカピカ光ってビームがどんぱち発射されて
燃えるマフラーを首に巻きつけフェラーリもびっくりな速度と
ロータス並な軽快な旋回力で軽々とレーザーを交わして突っ込むキョン
みくる「な、何で当たらないんですかぁ?」
キョン「狙いが甘いんだよおおおおおおおお、うおりゃあああああああああ」
みくる「きゃ!」
キョン「捕まえたぞ!」
みくる「タイム!」
そして・・・・時は止まった
みくる「ふぅ・・・危うく過去の野蛮人達に殺されるところでした。危ない危ない。」
みくる「回数制限あるのであまり使いたくはありませんでしたが、緊急事態ですし」
ハルヒ「・・・・・」
みくる「目標を確保。生存確認。これより回収し・・・」
キョン「ちょっとまったぁ!」
みくる「な、何でこの静止空間で動けるんですか貴方!」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 03:10:45.29:2TKnIB+z0
キョン「おれはぁ、異世界人だからなぁ!」
みくる「なっ、なんなんですかぁ!」
キョン「・・・・接続インストール完了 今度はこっちの番!行くぞ!クロックアップ!」
みくる「き、消えたぁ?」
キョン「ここだぁ!」
みくる「きゃっ!」
キョン「おとなしくぅ、お縄につけぇえええええ」
みくる「ほ、ホーミングレーザー!」
キョン「・・・・」
みくる「や、やりました!」
キョン「残念だったな。あれは残像だ!」
みくる「え、きゃあ!」
キョン「俺の・・・勝ちだ」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 03:18:42.70:2TKnIB+z0
キョン「で・・・なんで亀縛りなんだ?」
長門「・・・・純粋に」
キョン「純粋に・・・・ねぇ」
ハルヒ「み、みくるちゃん、あんた何者!?」
みくる「・・・・禁則事項です」
キョン「そいつは多分未来人だ。俺と同じ道具を使っていた」
みくる「え、えっとそれ禁則事項」
キョン「が、多分パラレルワールドだろうな。俺の居た次元より悪い所・・・かな」
みくる「・・・・涼宮さん貴方のせいなんですよ、貴方が力を暴走させたから」
ハルヒ「な、何のことかしら?」
魔界の外はまた魔界
不思議の国からは出られない
そう、私の前に現れた不思議な存在たち
何故私はこんな者達を、こんな世界を求めてしまったのだろう
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 03:24:23.96:2TKnIB+z0
キョン「ここは・・・・どこだ・・・・」
???「やっとお目覚めか」
キョン「確か下校途中に変なおっさんに捕まって、車に放りこまれて・・・」
思い出したぞ、このおっさんは俺を捕まえた・・・
いや、この顔どこかで見たような気がするぞ
どこだったかな・・・・・うーんと、何故だか思いだせん
???「あ、あまり俺の顔をじろじろ見るな!」
キョン「ここはどこなんだよ!俺を誘拐して何するつもりだ!」
???「まあ落ち着け。外の景色でも見ろ・・・」
車の窓が開く、するとそこには瓦礫と土煙
不自然な形で潰された車や穴の空いた壁・・・・
そう、焼けた土地 映画やテレビで見たような戦争の跡
キョン「ここ、どこなんだよ・・・何で俺こんなところに連れてこられて」
???「ここはお前の居た町だ、ちょっと未来のな。ほれ、あそこ見てみろ」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 19:05:11.64:nvQCoO670
線路・・・改札 そうだ、ここは近所の駅
見覚えの店の看板が転がっている
間違いない
キョン「な、何があったんだよ!俺が寝てる間に何が!」
???「ここはな、涼宮ハルヒが作り出した未来なんだ
そして、俺は未来のお前だ」
キョン「未来・・・・の?」
???「ああ、だからお前に、未来を変えて欲しい」
キョン「未来を帰るって、話がまったく飲み込めんぞ」
???「まあこれでも見て落ち着けよ」
未来の俺と名乗るおっさんが、手の平に球体みたいな物を乗せて俺のほうに向けた
ピカッと光ったかと思うと、さっきまで廃墟だった駅前が綺麗な状態に
・・・・あれ?元の世界に戻ったのか?
???「こっからが本編だ」
キョン「な、なんだあれ?化け物・・・・」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 19:18:07.56:nvQCoO670
巨人がこちらに向かって歩いてくる・・・
邪魔するものは踏みつけて、歯向かうビルはなぎ倒し
人々は慌てふためき逃げ惑い、町は廃墟と変わっていく
キョン「な、何なんだよあれ!町が・・・俺の町が・・・」
???「涼宮ハルヒ、あの女が作り出した幻想の巨人『神人』」
キョン「ふざけんなよ!ふざけんなよあんな化け物!なんとかしろよ!」
???「本来、あいつは現実に存在できるものではなかった。
閉鎖空間から出られる存在ではなかった。」
化け物はただ前進し続けた
俺達の居る駅を目指して前進し続けた
その破壊を尽くす巨歩を食い止められる者はなく、ただただ歩み続けた
いや・・・・居た 人々が逃げ惑う中、たった一人そこに立ち微動だにしない少女が
キョン「何やってんだ!逃げろ!」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 19:38:22.07:nvQCoO670
長門「・・・・・キャノン」
雲が裂け、一筋の雷光が巨人目掛けて打ち放たれた
巨人は歩みを止め、光の筋が直撃した左腕は焼け落ちようとしていた
長門「第弐射 発射」
もう一撃、一筋の青い光が巨人目掛けて降り注ぐ
巨人「ウォォォォオオオオオオオオオオオ」
雷撃に焼かれ怒れ狂う傷つけられた巨人
長門「・・・・再生、確認」
その言葉に釣られるように彼女の方へ視線を向ける巨人
歩みを再開する・・・怒りを増した歩みは突進に変わる
長門「・・・・スラッグ」
少女の上から電柱のような・・・・いや、あれは銃
柱から脚が出て銃身を地面に固定する
右手でトリガーを、左手を銃身上の持ち手に添えて
長門「発射」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 19:50:08.19:nvQCoO670
巨人の猛進にブレーキがかかり、後ろに倒れかける・・・が
すぐに体勢立てなおし、歩みを再開する
体には無数の穴が開いている
長門「弐射」
また歩みを止める巨人、穴は先ほどよりも増えている
長門「三射」
長門「四射目」
長門「五射」
穴はどんどん増えていく、銃弾の雨が壁となり巨人の巨歩を食い止める
一歩、二歩、下がり始める巨人・・・・
巨人は銃弾の痛みに苦痛を覚えているのか しかし、それは怒りへと
長門「・・・・・来る」
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオオオ」
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 20:03:49.95:nvQCoO670
銃弾の壁を押しのけ巨人は猛進を始める
もう奴を食い止められる手段は無いのか
少女の持つ銃からは雨粒のように銃弾が放たれ続ける
長門「・・・・・くっ」
少女の目の前、10メートルほどの距離であろうか
巨人は俺達のすぐ間じかに迫っている
巨大な右手が彼女を掴もうと、彼女の身へと近づいてくる
長門「が・・・・はっ」
彼女を掴み上げる巨人・・・・
握られた手からはみ出した彼女の脚と首
長門「うっ・・・うぐぅ」
やめろ
長門「あ・・・・が・・・」
やめろ
長門「・・・・・・・・・」ボトッ
やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
キョン「・・・・またあの夢、見ちまったか」
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 20:12:23.60:nvQCoO670
彼女を握りつぶし、屠った巨人は町を破壊しつくすため歩み続けた
残ったのは土煙と燃え上がる廃墟、逃げ惑い途方に暮れる人々の姿
???「これが未来の姿だ」
キョン「嘘・・・だろ?」
???「ああ、嘘にできるさ。お前が未来を変えられれば、な」
差し出された長方形の紙箱 そこには紺色の布切れが入っていた
???「そいつで未来を変えてくれ、俺達の未来を」
キョン「・・・・ああ」
あの日、俺の小さな戦いが幕を開けた
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 20:17:02.34:nvQCoO670
ハルヒ「キョン!ねぇキョン起きなさいよ!」
キョン「あ、なんだハルヒか」
ハルヒ「なんだって何よ!人を物みたいに扱ってくれちゃって!」
みくる「お茶、飲みますか?」
長門「・・・・・」
居た、思い出の中、夢の中に現れた少女が無傷で椅子に座って本を読んでいた
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 20:34:59.81:nvQCoO670
キョン「なぁ長門」
長門「・・・・・何?」
キョン「いや、なんでもない」
長門「・・・・・そう」
生きている、彼女はここで生き続けている
そうだ、あれは未来の姿だんだ
まだ生まれていない未来の姿、可能性の一つに過ぎない
みくる「お茶、入りましたよ」
彼女もまた被害者である、あの巨人が暴れ続けた未来の先からやってきた少女
キョン「ありがとうございます」
ハルヒ「たくぅ・・・キョンったら」
オカルト誌を読みふけっている破壊神に、分厚い本を読み続ける宇宙人
メイド姿でお茶汲みをしている未来から来た少女
そう、この文芸部部室は薄いSF設定と誰かの夢見た妄想が作り出した魔界と化していた・・・
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 20:56:57.90:nvQCoO670
俺が首に巻いているマフラーはあのおっさんが未来から持ち帰った兵器
装着者の意思に反応し、形状や強度を自由自在に変化させる形状変化繊維
更に様々なオプションアプリを未来のサーバーから落とし、
局地的な戦闘でのサポートを行える武器に変えることができる
修復機能も搭載し、ある程度の損傷であれば瞬時に修復することも可能であり、
また、装着者の身体能力強化や治癒機能強化も・・・
ハルヒ「何ボケーっとしてんのよ!ったく」
キョン「ん?ああ、ごめんな」
ハルヒ「じゃ、今日はこれで解散よ。皆お疲れ」
みくる「あの、何か嫌な夢でも見てたんですか?」
キョン「ちょっと昔の事思い出しちまってな」
あの事件から一週間、朝比奈みくるは多くを語らず
俺達もあまり追求はしなかった
ハルヒ曰く世の中には知らない方がいいことがあふれているのだ・・・と
彼女は少し困惑していたようだ
朝比奈から敵として扱われたあの日、語られた未来の姿
ハルヒ自身が何者なのかと言う話も
俄かには信じがたい話だろう
そして彼女は悟った
自分がこの不思議な現状を作り出した創造主であると言うことを
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 21:05:47.09:nvQCoO670
翌日、下駄箱を開けると一枚の手紙が入っていた
ハルヒ「やっほーキョン」
キョン「ああ、おはよう」
ハルヒ「何々?その手に持ってるのは?封筒、ラブレター!?」
キョン「下駄箱あけたら入ってた。なんだろうな。」
ハルヒ「ちょっと貸しなさい!えーっと
『お話があります、放課後、教室に来てください』・・・・・フフフ」
キョン「勝手に読むなよ」
ハルヒ「キョン、あんたも捨て置けないのね。一体誰かしら」
キョン「・・・・さあな」
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 21:21:27.90:nvQCoO670
昼休み、キョンは今日は部活に出ないと言ってきました
手紙に釣られて放課後の甘いひと時を夢見ていたのでしょう
茶化すつもりではありませんが、私も今日の部活をサボろうと思います
一体キョンに手紙を出したのは誰なのでしょうか?
気になって気になって仕方がありません
ハルヒ「・・・・ちょっと狭いわね。臭いし」
掃除用具の入ったロッカーに篭る私
キョンと送り主が来るのを今か今かと待ちわびています
ハルヒ「来た来た!」
教室の扉が開いて、学生服を来た一人の少女が・・・あれは
青い瞳に青い髪、すらっとした体系に少し大きめなバスト
我が組の学級委員、朝倉涼子である
朝倉「キョン君はまだかしら・・・」
あの子が手紙の主だったのね
しっかしまあ、キョン見たいな変人に興味を示すとは
物好きも居たものである
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 21:28:42.50:nvQCoO670
教室の扉が開き、もう一人誰かが入ってくる
手紙を受け取った少年、キョンである
朝倉「久しぶりね、キョン君」
キョン「ああ、こうやって二人きりで会うのは三年ぶりだな」
朝倉「あの時は有希ちゃんも一緒にいたでしょ?
二人きりってのは初めてじゃないかしら?」
え?何この二人、お知り合いだったの?
しかも結構親しそうな仲・・・知らなかったわ
キョン「で、何で呼び出したりしたんだ?まさか愛の告白か?」
朝倉「そのまさかよ」
キョン「・・・・・」
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 21:41:03.54:nvQCoO670
朝倉「なーんて・・・ね?今日はお仕事の話」
キョン「ほう、仕事の話か・・・・」
朝倉「貴方最近がんばってるみたいね。
有希ちゃんとの戦いに勝ってみたり、未来人さんを倒して仲間に入れてみたり」
キョン「・・・・」
朝倉「まぁ、その辺は許せるわけだけど、何で涼宮さんに色々と教えちゃうのかなーって」
キョン「成り行きって奴だ。見られた物は仕方が無いし、黙っているってわけにも行かないだろう」
朝倉「成り行き、ねぇ・・・それじゃあ困るのよ。私達急進派としては
涼宮さん、貴方達の話を聞いて以降、力の暴走がほとんど起こっていないの」
キョン「なんだ、いいことじゃないか。苦労が減る」
朝倉「それじゃあ困るのよねぇ・・・ 未知の存在による爆発的な事故進化
上はその観測をしたいが為にこんな偏狭の星にやってきたのよ」
キョン「どうでもいい」
朝倉「私達にとっては死活問題なのよ?」
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 21:52:37.51:nvQCoO670
朝倉「観測ユニットとしてこの星に送られた私達。
もしあの子の力が観測できないとなれば、上は本部に帰還して私達はお払い箱」
キョン「・・・・で?」
朝倉「冷たいわね。でも、私だってそう簡単には死にたくないし、上からも何とかしろって言われてるの
だからね、キョン君、貴方を殺して涼宮ハルヒの出方を見る・・・てね!」
な、何言ってんのよ朝倉さん!
右手にでっかいナイフ持っちゃって!
それに、キョンはキョンで何であんなに冷静で居られるのよ!
朝倉「そう言えば今日はマフラー巻いてないのね」
キョン「先の戦闘で大穴明けられてな。修復中だ。」
朝倉「生身で私に勝てると思ってるの?それとも死にたいの?」
キョン「かもな。だが、俺はまだ死ぬわけには行かない」
朝倉「・・・・・そう、じゃあ。殺してあげる!」
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 22:04:10.78:nvQCoO670
朝倉「てりゃ!」
キョン「あぶねぇあぶねぇ・・・」
キョン目掛けて突進してくる朝倉さん
ナイフの先端を突き出す
それをボクサーのジャブをよける様に軽々とよけるキョン
キョン「キチガイに刃物・・・てね」
朝倉「あらあら、心理攻撃?でもね、そんなものじゃ私は怒らないわよ?」
突き出したナイフを引込め、キョンに笑顔で話しかける朝倉さん
だがその笑顔には確かにさっきのような者を感じられた
目を見開き、ナイフを愛しそうに見つめながら刃先をひと舐めする
キョン「可憐な少女にナイフか・・・美しいな」
朝倉「あらあら、見とれてる場合じゃ・・・・無いですよ!」
突き出した刃先、その刃先が突き出されたと同時に巨大化しキョンに襲い掛かる
先ほどのように回避するも、その不意打ちを完全によけられなかったキョンは顔に小さな傷をつける
キョン「やるな・・・・ 殺す気か」
朝倉「ええ!」
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 22:13:56.31:nvQCoO670
朝倉「死んでぇ・・・」
キョンの首筋から一瞬ナイフを離したかと思うと
ナイフの持ち手に両手を添える
朝倉「頂戴!」
横にスライドしたナイフが再びキョンの首目掛けてリバースしてくる
キョン「はっ!」
下にしゃがんで朝倉のスイングを回避するキョン
朝倉「まだまだよぉ!」
スイングした巨大なナイフを上に構えなおす朝倉さん
朝倉「それーそれー」
上から振り下ろしたり、横から裂こうとしてみたり、
突進してナイフを突き刺そうとしてみたり
キョン「思ったより・・・やりやがる」
それをぎりぎりの所で回避していくキョン
果たしてキョンに勝機はあるのだろうか
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 22:30:45.14:nvQCoO670
朝倉「随分としぶといわね、じゃあこれはどうかしらぁ?」
いつか見た光景と同じ、キョン目掛けて四方八方からナイフが飛んでくる
キョン「くそっ!」
長門「・・・・・防壁」
知らぬ間に飛び込んできた長門が何かを唱えると
キョンの周りに水晶のような円形の壁が展開される
そこに目掛けてナイフが突っ込んでくるが、壁にはじかれ床に落ち転がる
キョン「やっとお出ましか、随分と待たせやがって」
長門「・・・すまない、閉鎖空間の暗号解析に手間取った
それから、部室にあったマフラーを」
キョン「すまない長門、助かったぜ!」
長門からマフラーを受け取り首に巻きつけるキョン
キョン「モード形態アーマー 強度を最優先に設定」
キョンが何かを唱えるとマフラーが体中を包む
西洋甲冑を身に着けたような姿になるキョン
キョン「さーてと、反撃開始!」
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 22:48:53.30:nvQCoO670
朝倉「あらあら、随分と素敵な姿になりましたね、それで?」
甲冑を身に着けたキョンが朝倉の方へ
鉄の擦れる音を奏でながらゆっくりとゆっくりと重々しい足取りで
敵に威圧感を与えるようにただただ進んでいく
朝倉「ふざけているの?なら!」
再びキョン目掛けて十数本のナイフが飛びかかって来る
朝倉「フフフ」
しかし、鎧は刺さろうとしたナイフをはじき返す
そして、キョンは何事も無かったかのように歩み続ける
朝倉「その鎧には飛び道具は効かないみたいね!でも!」
再び巨大なナイフを両手で構え、キョンに突進してくる朝倉
間合いを詰めると再び首目掛けてスイングを仕掛ける
朝倉「・・・・え?」
確かにナイフの刃先はキョンの首筋に当たっている
だが、刃は鎧に傷すら付けられていなかった
首筋に当たった部分の刃が欠けてしまっただけだった
朝倉「随分と硬いのね!素敵!」
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:00:28.03:nvQCoO670
朝倉「硬いのなら削ってあげればいいのよ・・・」
ナイフを裏返して構えなおす
彼女の手が震え出すと、ナイフも一緒に震え出す
長門「・・・・・超振切り 避けて」
朝倉「せいっ!」
ノコギリ上の部分が胴に触れると火花を上げ、甲冑に傷をつける
朝倉「やっぱりねぇ、これには耐えられないみたいね!」
ナイフを振り上げキョンの頭目掛けてナイフを振り下ろす
朝倉「逝っちゃえ!」
兜にナイフが直撃し、チェーンソーの様に装甲を切り進んでいく
キョン「てや!」
振動する刃先を両手で挟み上げるキョン
キョン「マッスル!」
朝倉「なっ!」
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:11:11.06:Hefw4GcLO
ナイフの刃を勢いよく横に投げつけるキョン
その反動で朝倉もナイフと一緒に横に吹っ飛ばされる
キョン「抜かったな」
朝倉「反則・・・・よ」
巨大なナイフが朝倉の胴に深々と突き刺さる・・・
キョン「俺も甘いな・・・止めをさせないなんて」
朝倉「その甘さ、何時か命取りになるわよ」
長門「・・・独断行動 何故」
少し目を赤くしながら涙を流す朝倉
朝倉「うらやましかったのかなぁ、有希ちゃんのことが
何で敵にそんなに優しくできちゃうのかなぁって・・・」
長門「・・・・・命令違反 バックアップとして失格」
朝倉「有希ちゃん・・・ 私、貴方の事が心配で」
長門「情報結合の解除を申請」
朝倉「だからねぇ、キョン君が羨ましかったのよ」
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:25:54.90:nvQCoO670
半笑いで涙を流し、長門に話かけ続ける朝倉
その顔は少し悲しげで、でも満たされているような不思議な顔
長門「申請の許可 確認」
朝倉「これが最後になるのかしら、貴方の事・・・」
長門「情報連結解除 開始」
朝倉「大好きよ 有希ちゃん!」
満面の笑みを浮かべ、最後の言葉を伝える
彼女の体が光の粒子になって消えていく
脚や指先がどんどんと消えていき
残るは彼女の胴と首だけ
朝倉「言い忘れた もし有希ちゃんにひどい事したら化けて出てやるんだからね!
キョン君 さようなら」
彼女は消えた
夕暮れの燃えるような赤が教室に残った二人を照らし続けていた
キョン「・・・・よかったのか?」
長門「・・・・・」
長門は少しうつむくと軽くうなずいた
谷口「WAWAWA 忘れものー ・・・・すまん、ごゆっくりぃ!」
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:30:25.79:nvQCoO670
運転手「あの、お客さん 貴方どんなお仕事をしているんですか?」
古泉「学生です」
運転手「名前は?」
古泉「古泉 一樹」
運転手「部活は?」
古泉「文芸部入部希望です」
運転手「時間割」
古泉「お昼休み 第一目標、涼宮ハルヒに接触 SOS団に興味がある事を伝える
目標との接触成功後、彼女の案内で文芸部室に向かう」
運転手「ミーティング終了 以後の作戦指示は追ってよこす 健闘を祈る」
古泉「それでは行って参ります」
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 19:10:19.82:XQwGN++tP
5月、春の陽気も暖かく、サクラの樹も花を散らし新芽を咲かせる季節となった
少し汗ばむ陽気、そんな中、未だにマフラーを巻いている少年が居た
ハルヒ「ねぇキョン、何時までマフラー巻いてるの?」
キョン「趣味だ・・・」
ハルヒ「あのさ、見てて暑苦しいから巻くのやめない?」
キョン「お断りだ」
国木田「無駄だよ涼宮さん キョンは小夏だろうが梅雨だろうが真夏だろうが・・・
僕が注意したって一年中それ巻いてるんだ」
ハルヒ「い、一年中!嫌よ見てるだけで嫌になってきそう、それよりそれ匂わないの?」
キョン「嗅いで見るか?」
ハルヒ「いやよ・・・てぇ!こっちに近づけるな!うわやめ!」
マフラーの片恥を右手で持つと私の顔にぐいっと押し付けるキョン
うわ!ばか、汚い、やめ・・・って・・・
ハルヒ「臭くない!なんで!」
キョン「毎日寝る前に洗ってるからだよ」
ハルヒ「それにしたって・・・」
キョン「特殊繊維だからな、汚れの元は勝手に分解してくれる」
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 19:50:22.12:L2F8QgAX0
国木田「だめだよキョン君!また涼宮さんに電波なこと言って困らせちゃ!」
キョン「・・・・ああ、すまん」
国木田「そういやキョン、涼宮さんと文芸部に入ったんだろ?どんな事やってんの?」
キョン「実を言うと文芸部員って言うのは仮の姿で本当はSO む、もぐもはなせ」
ハルヒ「え、えーとねぇ!そう、SF系の小説読んでるのよ!ね、キョン!」
そう、SOS団なんてものは存在しない 私は文芸部員なのだ
趣旨はオカルト研となんら変わらない
ただ奇異な人々が集うだけの文芸部
「SOS団」など、キョンが勝手に作った裏の看板でしかないのだ
キョン「世界を大い・・・ うっ」
ハルヒ「あ、キョン!トイレ行きましょう!」
キョン「おい!マフラーひっぱるな、苦しい」
SOS団の存在を知る人間は極わずかだ
文芸部部室が魔界と化している
そんな事実を知るものは一部でいい
国木田「仲いいんだなあの二人、うらやましいや」
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 20:05:21.63:L2F8QgAX0
昼休み、授業で疲れた脳を休めつつ
ランチを取ってリラックスする貴重な時間である
今日は屋上開放デー
日に照らされながらのピクニック気分なランチタイム
ハルヒ「さーって、いただきま」
古泉「涼宮さんですか?」
ハルヒ「え?貴方誰?」
古泉「今日この学校に転校してきました、古泉一樹と申します。」
ハルヒ「で、その転校生君がこの私に何の用事?」
古泉「貴方の事はよく知っていますよ。SOS団の団長でしたよね、前居た学校でも有め」
ハルヒ「・・・・え?」
私のランチは台無しになってしまいました
彼の不意を突く一言によって
左手に持っていたランチボックスは床に転がり、中身が地面に散乱してしまいました
古泉「大丈夫ですか?」
ハルヒ「あ、あな、あなたなんでSOS団のことを知っているのよ!?」
古泉「あれ・・・電話かな、失礼します」
携帯がなって私の方から離れて行く彼 ランチ泥棒
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 20:17:25.27:L2F8QgAX0
新川「すまない、どうやら目標はSOS団の事を周囲の人間に秘密にしていたらしい」
古泉「つまり・・・・」
新川「諜報部のミスだ、策を考えなくてはならん」
古泉「策なんてあるんですか?」
新川「そうだな・・・・確かSOS団と言うのは目標の一人が作ったそうだ」
古泉「・・・・その目標の少年から話された事にしろと」
新川「ああ またおって連絡する オーバー」
古泉「仕方ありませんね」
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 20:26:04.49:L2F8QgAX0
何故あの転校生がSOS団の存在を知っているのか
今日、この学校に初めて来た筈の人間なのに知っている
おかしい、これは嫌な匂いがする
古泉「先程は驚かせてしまったみたいで」
ハルヒ「あら?戻ってきたの?」
よくもまあずけずけと戻ってこれたものだ
古泉「お詫びと言っては何ですが、購買のパンを」
ハルヒ「あ、ありがとう。」
古泉「礼には及びませんよ、僕に非があったのですから」
ああ、なんて好青年なのだろう
しかし、この青年からは何となくだけど嫌な匂いが漂っていた
つまり、不思議な香りである
ハルヒ「ところで、あなたなんでSOS団の事を知っていたの?」
古泉「はい マフラーを巻いた少年から聞きました」
ハルヒ「そ、そのマフラーの色って?」
古泉「紺色です」
成る程、キョンの馬鹿が周りに言いふらしていたのね・・・
なんて事だ・・・・私の青春は・・・・
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 20:34:40.73:L2F8QgAX0
ハルヒ「悪いんだけど、そのSOS団ってのは聞かなかった事にしてくれないかしら?」
古泉「何故です?不思議な事を探しているんでしょう?」
ハルヒ「あ、あのね!そのSOS団ってのはキョンって子が勝手に作った」
古泉「存在するんですね!?面白そうじゃないですか!僕も入りたいんです!」
や、やだ!そんな顔で見つめないでよ!
何か楽しそうな物を見つけた少年のように輝く目
古泉「いいでしょ?ねぇ、いいですよね?」
そんな押されら・・・仕方ないわよね
ハルヒ「わかったわ!そこまで言うのなら、放課後部活棟の入り口で待ってて」
古泉「楽しみにしています、それでは放課後に」
そう告げると彼は私の元を去っていった
今日は厄日だ
あの馬鹿がSOS団なんてものを作ったせいで
いや、開けてはならない扉の鍵を開けたのは私ね
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 20:48:05.40:L2F8QgAX0
キョン「よう長門、元気でやってるか」
長門「・・・・・」
本から目線をずらさずに軽く頷く長門
キャンプ用のポケットコンロにヤカンを載せてお湯を沸かしている朝比奈
みくる「キョン君こんにちは あれ?涼宮さんまだなんですか?」
キョン「ん?ああ、確か『用事があるから先に行って』と言ってたな
後、何か知らんが起こっていたな」
みくる「用事?何でしょうか?」
キョン「さあな」
朝比奈さんとちょっとした雑談をしていると
部室の扉を蹴破る用にハルヒが部室に突入してきた
ハルヒ「皆お待たせ!今日はお客さんを連れてきたわよ」
古泉「初めまして皆さん、今日この学校に転向してまいりました
古泉一樹と申します。以後、お見知りおきを」
長門「・・・・文芸部、入部希望?」
古泉「ええ」
長門「・・・・入って」
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 20:59:43.77:L2F8QgAX0
ハルヒ「ちょっとキョン・・・こっち来て」
彼が部室に入ったところでキョンを呼び出す
何故彼がSOS団の存在を知っていたのか
彼が言っていた事は本当なのか、その真意を確かめるために
キョン「・・・何のようだ」
部室の扉を閉め、廊下で小声で話しかける
ハルヒ「今来たあの子、知ってる?」
キョン「知らん」
ハルヒ「SOS団の話、誰かにした?」
キョン「・・・・・した」
ハルヒ「キョン!この馬鹿キョン!それ本当なの!」
キョン「・・・・ああ」
怒りの余り彼の肩を軽く握った拳でポカポカ叩いてしまった
ハルヒ「馬鹿キョン!あんな恥ずかしいもの他人にぺらぺら話さないでよ馬鹿!」
キョン「何かよくわからんが、すまんかた」
謝ってすめば警察はいらない、しかし彼は罪を犯したわけではない
存在するものを言いふらしただけなので罪には問えず、私はただただ怒るしかなかったのだ
157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 21:11:24.89:L2F8QgAX0
長門「・・・・何か問題でも?」
入部届けを握った長門が部室から出てきた
キョン「いや、問題な」
ハルヒ「問題ありよ!この馬鹿キョンったら、SOS団の存在を言いふらしてたのよ!
・・・・もしかして有希、貴方もやってないでしょうね?」
長門「・・・・・無い」
ハルヒ「本当?」
長門「・・・・入部届け、職員室に提出しなくては」
ハルヒ「ちょ!ちょっとまちなさい!」
長門が嘘をつくとは思えない
多分部員が増えてうれしいのだろう
いつかのスキップを踏みながら職員室の方角へ・・・
ハルヒ「はぁ・・・」
キョンのマフラーを引っ張って部室に戻り扉を閉める
ハルヒ「ようこそ古泉君。文芸部へ・・・」
古泉「SOS団、ですよね」
158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 21:20:24.28:L2F8QgAX0
ハルヒ「あ、うん・・・その事なんだけどね、ここは普通に文芸部で」
キョン「何を言っているんだ、ここはSOS団の活動拠点で不思議を」
ハルヒ「だまりゃっしゃい!関係ない一般人を巻き込むなんて駄目よ!」
みくる「そ、その二人とも落ち着いて・・・・」
古泉「電話ですね、ちょっと失礼します」
キョン「待て・・・SOS団の説明を」
ハルヒ「やめなさーい!」
古泉は部室を離れ、部室の中ではキョンとハルヒの喧嘩が繰り広げられていた
古泉「もしもし」
新川「作戦は順調か?」
古泉「はい、文芸部室への潜入と目標全員との接触」
新川「てっきりうまくいかないかと思ったが、第一目標が単純でよかったな」
古泉「ええ、冷や汗物でしたよ」
新川「では、作戦を続けてくれたまえ オーバー」
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 21:31:29.98:L2F8QgAX0
長門「・・・・何を話している」
古泉「はい、組織の人間と作戦の進行状態について」
長門「・・・・・」
いつの間にか僕の後ろに長門さんが立っていました
少し睨み付けるような目線で僕を凝視していました
古泉「・・・・えっと今のは、軽いジョークですよ、受け流してください!hahaha!」
長門「・・・・やはり、嘘はよくない」
古泉「は、はい嘘はよくないですよね」
長門「・・・・何者?」
古泉「ですから、教転向してきたばかりの」
長門「・・・・違う」
どうやらばれてしまったようです
作戦は失敗、なんと言う失態でしょう
ああ、こんな単純なミスを犯すなんて
でも、この女さえ黙らせてしまえば
古泉「少し、忘れてもらいましょうか」
長門「・・・・・うお!まぶしっ!」
162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 21:33:43.13:MMlFj5DX0
忘れさせたい時間を入力して
ピカッと光らせ記憶を忘れさせる道具
古泉「・・・ふぅ、これで助かりました」
長門「・・・・どこのB級映画?」
古泉「え?」
長門「・・・・人間に見えて人間じゃない、残念ながら効果は無い」
古泉「しまった!忘れていました!」
そう、この子は確か宇宙人のほうの・・・すっかり忘れていました
長門「・・・・話してもらいましょうか、貴方が何者かを」
ハルヒ「おっそいわねー、古泉君も有希も 何してるのかしら」
キョン「ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい」
みくる「あの涼宮さん?ちょっとお灸据え過ぎたんじゃ」
ハルヒ「このぐらいやらないと反省しないでしょ?まだまだ足りないくらいよ」
そこには顔を腫らせたキョンが立っていた・・・
団長による指導を受けていたのだ
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 21:55:00.24:L2F8QgAX0
古泉「隊長・・・・ハァハァ・・・作戦失敗です!」
新川「な、何があった!」
古泉「目標の一人に正体がばれました!」
新川「例の機械は使ったのか!」
古泉「ハァハァ・・・・宇宙人には・・・・ハァ・・・効きません!」
新川「これは由々しき事態だ。今、屋上にヘリを回す急げ!」
古泉「ハァ・・・わかりました!」
宇宙人の追跡から全力で逃げる
ここでつかまったら消される!
早く逃げなくては八つ裂きにされる!
屋上へ!とにかく急いで!
古泉「・・・・ハァ・・・ハァ・・・なんとか巻けたようですね」
迂回路を辿ったり寄り道したりトイレに隠れたり
なんとか宇宙人からの追走から逃げつつ屋上にたどり着きました
長門「・・・・・まっていた・・・古泉一樹」
古泉「え、えええええええええええええええええ」
169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 22:03:17.48:L2F8QgAX0
長門「・・・・貴方を見失った後、正面玄関に向かったのでは中と思った」
何故・・・彼女がここに居るのでしょう
長門「・・・・・だけど貴方はB級チック的な道具を出して私をどうにかしようとした」
・・・・終わりだ
長門「・・・・B級映画的に考えると、やっぱり危険地帯から脱出するのに使う乗り物はヘリ」
すっかり見透かされていたようです、宇宙人には適わない
長門「・・・・となると、屋上が正解」
古泉「どうやら僕の負けのようですね。」
長門「・・・・・皆には黙っている」
古泉「え?」
長門「我が文芸部は廃部の危機に立たされていた」
彼女は何を言っているのだろう
長門「しかし、5人目の進入部員が加入すればその危機は回避される」
古泉「・・・・はい」
長門「すぐ目の前にあるチャンスを見す見す逃すわけには行かない・・・
秘密にしておく条件として、我が文芸部に残って欲しい」
170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 22:12:11.64:/X6A6pyS0
こうして、僕の長い一日は終わりました
とりあえず文芸部に潜入する事ができましたが
それと同時に宇宙人に秘密を握られてしまった
ハルヒ「あら?古泉君に長門、遅かったわね」
長門「・・・・部室に戻る途中にばったりあったので、校内を案内していた」
古泉「え、ええ。おかげさまで学校の中を隅々まで知る事ができました」
キョン「ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい」
長門「・・・・それから、彼は今日から我が文芸部の部員になってもらう」
どこかやつれた古泉君と
少し嬉しげな笑みを浮かべる有希が
ハルヒ「そ、そう!よろしくね!古泉君」
みくる「楽しくやりましょうね、よろしくお願いします」
キョン「ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい」
春の陽気に誘われて、新たな仲間が加わった
彼からはどこか不思議な臭いが漂っていた
だが、それが何なのかはまだわからない、またどこかで語る事になるのだろう
こうして厄日な一日は幕を閉じたのです
172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 22:17:50.53:L2F8QgAX0
テラスにて午後のひと時を楽しんでいる俺
購買で買ったコロッケパンと焼きそばパンにクリームサンド
甘党な自分、販売機でマックスコーヒーを選んで買う
古泉「随分とハイカロリーでバランスの取れていない食事ですね」
キョン「おう、古泉。こんな所でお食事か?」
古泉「いえ、実は貴方に話がありまして」
キョン「はむっ 」
古泉「食べながらでいいので聞いてください」
焼きそばパンに噛り付いていると古泉が何か語りだした
キョン「はむっ!もぐもぐ くちゃくちゃ なんら(なんだ」
古泉「食べながら喋るのはやめてください」
キョン「ほぉ・・・ふはふふはふ(おぉ、すまんすまん」
古泉「・・・・・まあいいです 貴方達の事について少し話させてください」
キョン「ゴクゴクゴク ふぅ・・・・ で、話って」
何時もの営業スマイルをやめ、目を見開いてマジマジとこちらを見つめる古泉
古泉「宇宙人、未来人、異世界人。さて・・・・・足りないのは?」
210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 18:25:42.48:U5mMWs8O0
テーブルの上から畳んである紺色のマフラー
それを右手で引っ張り上げて振り回し、カウボーイよろしくの要領で首に巻きつける
首元に巻きついている布を口元に持ち上げて隠す
キョン「超能力者ってとこか・・・」
古泉「つまりその椅子に座るのは僕だってことです」
口元を軽く持ち上げ、さっきと同じようなスマイルに戻る古泉
キョン「てっきりイケメン一般枠の文芸部員だと思っていたら違ったみたいだな」
古泉「まぁ、ここではただの一般人に過ぎませんがね。ですが閉鎖空間の中では」
キョン「・・・・・閉鎖・・・空間・・・・」
ハルヒの作り出した特殊な空間
彼女の不安定な心理状態を爆発させるために現れる巨神
古泉「彼女の作り出した閉鎖空間。その中で神人の暴走を食い止める能力」
キョン「・・・・できるのか?そんな事が」
古泉「百聞は一見にしかず、放課後校門でお待ちしています」
営業スマイルのまま立ち上がると俺の元を去っていく古泉
あんな奴に一体何が出来るって言うんだ
218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 19:10:20.30:EYHAQ6sa0
自分がどれほどちっぽけな人間だったか
そんなくだらない事を憂いてあの頃
宇宙人に未来人に異世界人
彼らを作り出したのは私の願望、そんな事を朝比奈さんは言っていた
未来は薄暗く、穴に篭っておびえる毎日だったと・・・
鉄の錆びた臭いと機械油と火薬の臭い
暗い暗い闇の中で巨人の進行に怯えながら、
残された地下鉄を、ディーゼル動力の武装列車で逃げ惑う日々
人々の目は暗く、絶望に満ちていたと
立ち向かう力を持っておらず、一瞬の足止めの後に逃げ惑うだけの日々
やがて地下に作られた巨大なシェルターにたどり着いた人々は再びそこで文明を築き上げたと
怒りに満ちた巨人が地上を闊歩する。その足元、地下深くに作られた穴倉に篭って怯えるように暮らす日々
彼女が現代にやってきたとき、この世界は明るすぎると、華やかで希望に満ち溢れていたて眩しかったと
私の願望によって作り出された未来、その未来を変えるためにこの時代にやってきたのだと
そう彼女は私に語ってくれた
219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 19:26:54.60:EYHAQ6sa0
古泉「閉鎖空間が作られる意味、巨人の謎」
合流し、校門前で待ち構えていたタクシーに乗り込む
どこに向かっているのかもわからないが、その道中に古泉が語りだす
古泉「私達機関では彼らの事を神人と呼んでいます」
日が沈みかける夕刻、対向車のライトが眩しく
テールランプが尾を引いて過ぎ去る
古泉「あれは彼女のストレスを解消させるための合理的な方法です」
時々現れる端の繋ぎ目にタイヤが乗り上げると、軽い衝撃を体に感じる
古泉「ですが、それを放って置けば閉鎖空間はどんどん広がって」
カーステレオから流れる流行歌が古泉の言葉を邪魔するノイズのように
古泉「誰かが止めなければ、世界は終わります」
ほとんど聞き流していたが、古泉はそんな感じのことを行っていた
古泉「あれ?起きてます?聞いてます?」
キョン「聞いてるよ・・・あの巨人は破滅を招くだけだ。野放しには出来ない」
古泉「そろそろ・・・ですかね」
220:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 19:44:01.26:EYHAQ6sa0
車が止まって、左側のドアが開く
オフィス街、人行きかう歩道に光が漏れるビルの群れ
古泉「付いてきてください」
タクシーから降りるとゆっくりと歩み始める古泉
俺はその後を追いかける
古泉「・・・・・ここ、ですかね」
信号機の横に立って何かを探し始める
道路を挟んだ向こう岸の信号を見つめると
古泉「失礼、手を握ってもらえますか?」
彼が真面目そうな顔でこちらを見つめ、手を差し出している
その手を掴むと俺を引っ張り、向こう岸の信号目掛けて走り出した
横断歩道を走っていると一瞬、何か冷たい壁のようにぶつかった
キョン「・・・・ここは」
古泉「閉鎖空間の中です」
暗く冷たい町、光を発していたビルの群れは眠りについたように暗く沈黙し
サラリーマンやOLが歩いていた歩道には俺と古泉しか居らず
薄青く、朝焼け前のどんよりとした空が目の前に広がっていた
222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:13:42.04:EYHAQ6sa0
古泉「半径五キロメートルのに形成されるドーム上の空間
日常から隔絶された彼女の願望を叶えるための世界
その願望の世界に潜り込む、それが僕に与えられた能力の一つです」
暗く閉ざされた世界、あいつの心の中はこんなにも冷めていたのか
古泉「何時どこに現れるのか判らないランダムな世界
一日おきに現れることもあれば、数ヶ月音沙汰無しということも
ただ、一つ明らかなのは、彼女の心が不安定になるとこの世界が生まれると言う事だけです」
デパートの屋上にて古泉が語っている
しばらく聞いていると何か物音が聞こえてきた
古泉「お出ましですか」
キョン「神人・・・・」
いつか見た巨人がそこに居た
俺の住んでいた町を廃墟へと代えた巨人
古泉「フラストレーションを解消させるための有効な手段ですよ」
ビルをなぎ倒し、町を踏み潰し、破壊の限りを尽くすそれ
古泉「さてと、それでは僕の本当の力をお見せしましょう」
227:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:24:08.85:EYHAQ6sa0
赤い球体にのような物に包まれる古泉
古泉「さて、行きますか」
軽く地面を蹴り上げ宙に浮く
急上昇を続け高々と空に舞い上がった球体
滞空を続け、獲物を見つけた猛禽類のように目の前の巨人に対し急降下で突っ込む
キョン「速い」
敵の接近に気がついたのか
巨大な腕を伸ばし、平手で球体を止めようとする
古泉「貫く!」
目の前に迫る壁、赤い球体の速度が増し、壁に突進する
球体は壁を貫き、そのまま腕の付け根に猛進する
古泉「でやぁ!」
一瞬輝きが増したかと思うと、肩口から先がすぱっと切り刻まれていた
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオ」
伸ばした片手をばっさりと切り落とされ、痛みに震える臣人
古泉「まだ終わりじゃありません」
一撃を加えた球体は再び空高く舞い上がった
229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:45:21.37:EYHAQ6sa0
赤く光る球体は巨人の頭上をくるくると回り続ける
切られた肩口を残された手で押さえつつ
首を振り回して球体を探す巨人
古泉「チャンス」
隙を見つけたのだろうか
赤い球体は垂直に急降下をはじめる
地面に衝突するぎりぎりの所で高度を上げて膝のあたりに突っ込む
古泉「たぁっ!」
再び強い輝きを放つと膝元がばっさりと切られていた
片足を失った巨人はバランスを崩す
寄りかかって来る巨人の重みに耐えかず
周りの建物はスポンジケーキのように潰されていった
古泉「仕留める!」
地面に倒れた巨人に突っ込む光球
機動を変えて狙いを頭部に合わせ前進する
その時だった・・・巨人の目が光り、ビームのようなものが撃ちだされる
古泉「ぐわぁ!」
キョン「古泉!」
ビームの直撃を諸に喰らった球体は光りを失った
宙に浮いた彼は、力を失ったかのようにうな垂れていた
230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 22:03:25.32:EYHAQ6sa0
古泉「・・・」
翼をもがれた鳥のように、飛ぶ力を失って地面に落ち始める彼
キョン「くそ!ダッシュ!」
マフラーの両端が燃え盛るとキョンは走り出した
巨人によって崩された街の残骸
その残骸をよけながら、跳ねながら、少しずつ高度を上げて古泉の方に走り続けた
キョン「間に合えええええええええええええええ」
人間が落下する速度は案外速い
揚力を発生する堆積など無く、ただただ落下を続けていった
キョン「とどけええええええええええ」
後ろに垂れ下がったマフラーの両端が青い炎を噴出し
キョンの体を宙へと押し上げて古泉の落ちる方角へ飛ばしていく
古泉「・・・・貴方ですか」
キョン「無茶すんなよ」
落ちかけていた古泉の左手をやっとの思いで掴みあげた
古泉「助かり・・・ましたよ」
制服の端が少し焼け焦げ、顔に黒い煤で汚れを作っていた
片手を掴み上げただけの状態で、マフラーの推進力だけで空に滞空し続ける二人
232:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 22:15:56.66:EYHAQ6sa0
キョン「降りるぞ」
巨人の暴走による倒壊を免れたビル、そのビルの屋上に降り立つ
古泉「さて・・・・」
満身創痍の状態ながらも制服の乱れを直す気力は残っていたのか
回復が早いのか無理をしているのか、彼の口が開く
古泉「・・・・どんな手段を使ってでも、あれを倒さなくてはなりません」
キョン「やれるのか?そんな状態で」
古泉「倒さなければ、街が滅びます」
重い手傷を負いながらも、彼の闘志は尽きていなかった
彼もまた一戦士であるのだとその時俺は知った
キョン「手を貸すぞ」
古泉「いいんですか?ですが、僕の出番は取らないでくださいよ」
233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 22:37:20.51:EYHAQ6sa0
キョン「奴の弱点は頭部・・・だな?」
崩れかけたビルに持たれかかる巨人
右手と左足を失い、先ほどの暴走とはうって変わって沈黙を続けている
古泉「はい、ですが先ほどのビームの影響で、止めをさせる体力が残っていません」
キョン「・・・・ああ」
沈黙を続ける巨人
あの頭部を潰せば終わる
しかし、迂闊に近づけばビームの直撃を受ける
となると
古泉「僕があいつを引き付けます、その隙に奴の頭部を潰してください」
キョン「いいのか?俺が美味しいところを貰っても?」
古泉「作戦遂行のためにはやむを得ません」
怪我人をおとりに使うのには気が引けるが、どうやら悩んでいる時間は無いようだ
巨人の切り傷が青く光って再生しようとしていたからだ
キョン「暗号炉接続 巨大な敵に対する武器の検索 確認
武装アプリ『シップチェスター』ダウンロード インストール完了」
236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:02:09.17:EYHAQ6sa0
赤い球体に包まれ、再び空に舞い上がる古泉
巨人の頭部目掛けてゆっくりと近づいていく
彼の接近に反応するとまた閃光を発する巨人
古泉「あたりません」
ビームをギリギリの所で回避し、巨人の視線を引き付ける
キョン「出るぞ!ダッシュ!」
助走をつけてビルの屋上から飛び降りると
マフラーの両端から青い炎が噴出し、キョンを空へと舞い上がらせる
そのまま巨人の頭部目掛けて突っ込み、十数メートルまで距離を積める
赤い球体を落とす事に夢中でキョンの姿には気がついていない
キョン「バスターソード!」
マフラー「モード シップチェスター」
キョンが首からマフラーを取り外し、片端を両手で握る
すると質量保存の法則を無視するかのように
ロボットアニメよろしくなサイズの対艦刀に形を変えた
キョン「切り抜けええええええええええええええ」
巨人の頭に対艦刀がぶつかる
刃の裏側、峰から青い炎が噴出すと巨人の頭部を切り進む
237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:14:18.39:EYHAQ6sa0
キョン「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
ブーストの推進力で巨人を切り裂いていく
キョン「チェエエエエエエエストオオオオオオオオオオオオ」
そして・・・・・
キョン「斬!」
頭部に直撃を受け、そのまま対艦刀で切り進んでいった
結果、頭部どころか胴体まで真っ二つに切り落としていったのである
古泉「・・・・やりましたね」
赤く光る球体が居た落ちかけるキョンをキャッチする
キョン「お前もよく生き残ったな」
古泉「ええ、この程度で死んでいたら命が幾つあっても足りませんからね」
ビームの雨降り注ぐ中、俊敏な機動によって見事に回避し続けた古泉
古泉「面白い物が見れますよ」
巨人が青い粒子のように細かくなって解けて消えていく
それと同時に空に亀裂が入って、明るい日差しが差し込んできた
古泉「閉鎖空間が消えますよ。これで全てが元通り、と言うわけです。」
239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:32:32.24:EYHAQ6sa0
地面に降り立つと、そこには見覚えのある景色が広がっていた
何事も無かったかのように綺麗に立ち揃って光りを発しているビルの群れ
歩道を歩くサラリーマンやOLの姿
道路をライトを照らしながら走り去る車やバイク
キョン「戻ってきたのか?」
古泉「巨人の消滅とともに閉鎖空間は消え、破壊された物は元に戻ります」
ボロボロな制服を着込んだ学生が二人
この場にはかなり不釣合いなものに感じられた
と・・・そんなところにさっきのタクシーがやってきた
新川「おやおや、かなり苦戦を強いられたようですね」
古泉「お恥ずかしい限りです。単独戦闘はまだ無理でした」
新川「そう気を落とすな、無事に帰ってこれたんだから
キョン「え?運転手のおっさん、お仲間だったの?」
古泉「はい、僕の所属する機関、そこでの上司です」
ハルヒの閉鎖空間を食い止める
ハルヒが作り出したブレーキ装置である超能力者
その超能力者達が集って行動していると言う「機関」の存材
古泉はその機関の一戦闘員でありエージェントであった
ハルヒ「クシュンッ!・・・・・誰か私の噂話でもしているのかしら?」
240:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:40:12.23:EYHAQ6sa0
終わりです
投稿間隔が長くなってしまってごめんなさい
マフラーがチート過ぎてごめんなさい
わざわざハルヒでやっていい話なのかわからなくなってしまいました
が、今後もこの調子で書いていくつもりですのでよろしくお願いします
次回は「朝比奈の過去とコンピ研部長編」をお送りします
何度も申しますが、気が向いたら書くのでこのスレは落としちゃってください
読んでくれた皆さん、保守してくれた皆さん、本当にありがとうございました
それではさようなら
243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:05:23.47:RbTqU8pzO
近所の公園、深夜2時も回って皆が眠りについたころ
キョン「久しぶりだなおっさん」
ベンチの近くに設置された街灯の光りが二人の人間を照らす
???「おっさん言うな!自分に言われるとスゲーむかつくんだぞ!」
二人の男、背丈や肩幅が少し違うものの
顔の作りや声質はほとんど同じものだった
キョン「そんな老けた姿を見る羽目になる俺の身にもなってみろ」
一人は少年、まだ若々しさが残る
???「悪かったな、人間年が立てばたつほど老けていくんだよ
お前みたいな成長期を終えて居ない奴と比べてな!」
もう一人はおっさん、伸びた髪を後ろで縛って無精髭の見た目35ぐらいの中年
???「まあいい、今日はお前に渡す物があってきた」
肩にかけられたボストンバックに視線を落とす
???「アレの専用洗剤と予備を4枚、それから新しいアイテムを」
キョン「なんだなんだ?随分と気前よく支給品もって来てくれたな」
???「最近は連戦が続いていたんだろ?あのマフラーも消耗品だ」
275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 19:59:42.77:CP9RNqt00
専用洗剤、洗剤とは言う物の洗浄作用は二の次
この顆粒洗剤を水に溶かし、3時間ほど浸しておけば
マフラーの傷の修復とエネルギーの補給をする事ができる
補給を怠ってエネルギー切れになってしまうと
マフラーはただのマフラーになってしまう
???「ちゃんと毎日洗っているか?」
キョン「命綱みたいなものだからな、あれが無けりゃ生身の人間と変わらんよ」
キョンが戦えるのはマフラーのお陰、非力な人間が異能の力に立ち向かうには
わけのわからない未来の道具を武器にして戦うしかないのである
???「俺がお前の頃は何時もあいつらに頼りっきりだったよ」
キョン「昔話はよせよ、気持ち悪い」
別のベクトルを辿った未来からやって来て未来を変えた中年
ベクトルの分岐点で未来の自分と出会い、世界を変えるための戦いを強いられた少年
二人はまったく同じ人間である
しかしそれはDNA上だけのものであり、辿った時間に起きた出来事に違いがあった
???「俺の仕出かした事、お前に解決させようだなんて悪いおっさんだよな」
キョン「俺は俺だからな、やり直せるんならやり直すしかないだろ」
???「だな、所でおっさんって呼ぶのやめてくれないか?」
キョン「うっせーよおっさん」
276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 20:25:31.24:CP9RNqt00
辿ったベクトルの違いによって三つのパラレルワールドが生まれた
一つ目
涼宮ハルヒの力が暴走し、2分した思念体の急進派に暴走した力を奪われた未来
穏健派の技術提供によりマフラーが大量に生産され、地上の巨人を駆逐する為に戦う世界
二つ目
不思議な連中が集う文芸部で静かな学生生活を望む彼女が居る今の世界
三つ目
最後の一つ、彼女の力の暴走により超能力者も宇宙人も滅ぼされ、
巨人が地上で繁殖して暴れ続ける新たな生態系を生み出し
生き残った人々が地下に潜って、地上に戻れる日が来る事を夢見る未来
朝比奈みくる、彼女が来た未来はその三つ目である
今日は彼女がどんな世界で生き残ってきたのかを語ろうと思う
277:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 20:48:25.09:CP9RNqt00
深度500メートル、海底から更に200メートル下に巨大な空洞が存在した
陸地で暴れ続ける巨人の猛威から逃れるために作られた文明都市
地上に残された7割近くの人々、その彼らが飢餓や紛争で滅び続ける中、
限られた人間達は海底に作られたコロニーに篭って厳しい統制化の中で暮らしていた
夢も希望も無い世界。地上で戦い続けるか、自由の無い地下で暮らし続けるか
教官「おはよう、ナンバー2014」
地上で暴れる巨人共が海底のコロニーに近づけぬよう
絶対防衛ラインを守るために結成された対抗組織
その組織の基地で彼女は生まれた。
みくる「おはようございます」
279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 21:32:08.61:CP9RNqt00
旧文明時に作られた遺産、地下鉄
地下鉄網は全国各地に存在し、地上に無人兵器を運搬する為に活用されてた
整備と地下鉄道網の拡張は現在も行われて居る
各駅は前線兵の補給基地と化しており、民間人が鉄道網を使う事はほとんど無い
彼女の居る基地には新兵の訓練学校と、他基地へ輸送する物資を保管する為の倉庫が存在した
今日の任務は地上基地への物資の輸送である
装甲と戦車砲が備え付けられた第一車両 ディーゼル機関で駆動する第二車両と第三車両
足止め用の多脚無人戦車を10機積んだ第四車両から第十四車両
間に挟まれるように連結された護衛部隊を乗せた第九車両
第十五・十六車両は第二・第三車両と同じ機関車、第十七車両は第一車両と同じ武装車両
計十七車両の編成で輸送部隊は組織される
281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 21:46:59.71:CP9RNqt00
部隊長「積み込み終わったか!」
隊員「後10分ほどです!」
部隊長「急がせろ!護衛部隊は第九車両へ乗り込め!」
各種装備を身につけ、車両に乗り込む朝比奈
しばらくすると物資の積み込みが終わりディーゼル機関が始動する
車両が倉庫から路線に移り線路、前線基地への旅を始めた
隊員「見ない顔だな、新人か?」
みくる「は、はい!」
旅路の途中、一人の隊員と話しかける朝比奈
隊員「随分と若いな、もしかして地上に出るのは初めてか?」
みくる「そうですね、この基地生まれのこの基地育ちです」
見ない顔の隊員、多分他の基地から輸送部隊に配属されてきたのだろう
283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 21:56:12.45:CP9RNqt00
隊員「上は酷いもんだぜ、廃墟と巨人しか居ないからな」
数十数百体の巨人が闊歩する地上、そこで戦う無数の無人戦車
基地で育った彼女にはまったく未知の世界であった
訓練学校で地上の知識に付いては教えられていたが、実際どんなものかを彼女は知らなかった
隊員「まあ、俺達の任務は地上基地に新品の戦車をお届けするだけだからな
あいつらの任務に比べたら楽なもんだぜ」
みくる「そうですか・・・」
隊員「そう緊張すんなって、目的地に着くのは6時間後だぜ?今から気張ってたら後が持たない」
みくる「は、はい」
彼らを乗せた武装列車は時速40キロの速度で目的地目指して進んでいた
薄暗いトンネルの中を延々と進んでいった
285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 22:10:23.48:CP9RNqt00
部隊長「そろそろ目的地に到着する、各員装備品のチェックをしておけ!」
5時間ほど立っただろうか、軽い眠りについていると部隊長の大声で眠りから覚める
武器や予備カートリッジの点検、ヘルメットと防具を身につける
部隊長「到着だ!積荷をエレベーターに乗せるぞ!」
ホームに列車が止まると数十名の隊員が駅に降り立つ
各小隊に分かれると無人戦車の乗った車両に移動する
286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 22:18:49.68:CP9RNqt00
無人戦車にはマニュアル操縦用にコクピットが設けられていた
天井のハッチを開いてコクピットに乗り込む
予備電源のスイッチを入れると各計器が作動する
みくる「計器確認、異常なし、動力炉を機動」
小さな振動と共に戦車に搭載された動力炉が唸りを上げる
みくる「各脚部への供給油圧異常なし、起動完了」
部隊長「各機へ、起動したものから順次エレベーターへ乗り込み地上へ向かえ!」
289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 22:33:19.03:CP9RNqt00
車両から戦車を降ろすとエレベーターへ向かう
一度に乗せられるのは5機、100機の戦車を20回に分けて地上の倉庫に移動させる
みくる「ふぅ・・・」
エレベーターに乗り込むと一息ついた
ゆっくりと地上に向けて上っていくエレベーター
つい三十数年前までは人類は地上で豊かな生活を送っていた
しかしその平和な生活を送っていた都市は巨人の破壊により破壊され、
地上で文明的な生活を行うには最早困難な状況に陥っていた
290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 22:43:09.16:CP9RNqt00
エレベーターが止まり、ゲートが開く
アナウンス「第一ゲート開放」
エレベーターを降りるともう一つのゲートが開く
ゲートの先に上に伸びる通路が現れた
みくる「この先が地上・・・・」
傾斜のついた通路を上るタイヤの音
かかとに付けられたローラーが戦車を走らせる
2分程走っただろうか、目の前にゲートが見えてきた
アナウンス「地上ゲート、開放します」
291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 22:52:56.80:CP9RNqt00
ゲートがゆっくりと開くと同時に、外の日差しが通路の中に差し込んできた
みくる「ここが地上・・・ですね」
青空、はじめて見る世界、ここが地上なのか
草木が生い茂り、土の地面がむき出しの自然
小鳥が木の枝に止まっていた
地下の人工物だらけの空間と比べると、そこはまるで別世界であった
部隊長「倉庫に戦車を移動させろ。新品だ、汚すなよ!」
はじめて見る景色に見とれていると、通信が入って我に戻る
森の中を切り開いて作った土地、そこに巨大な車両基地が作られていた
292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 23:01:41.74:RbTqU8pzO
オペレーター「輸送任務お疲れ様です、ゲートを開放します」
倉庫の入り口に向かうと、ゲートがゆっくりと開かれた
中に入って少し進むと第3車両庫に到着する
みくる「すごーい、戦車がいっぱい!」
ざっと見るに300両。外装が取り外され、内部の機構が剥き出しになっている
整備員が世話しなく動いて車両の調整を続けていた
オペレーター「輸送部隊の皆さん、後ろの空いてるスペースに適当に停めちゃってください」
車両庫は五つあり、一つの倉庫に最大500両の戦車が保管され、戦闘に備えているそうだ
294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 23:16:44.42:CP9RNqt00
全車両の運搬を終え、仕事が終わる
明日は古くなった戦車を列車に乗せて基地へと帰還する
古い戦車に乗せられた貴重な戦闘データを本部に持ち帰って解析するそうだ
今日はここに泊まる事になる、食事を終えると4時間ほどの自由時間が与えられた
建物の外に出て、地上の世界を満喫する
太陽の光りが少し眩しく、地下とは違う命の香りが感じられた
整備員「ようねーちゃん、もしかして地上は初めてか?」
みくる「あ、はいこんにちは」
整備員「こんな僻地にようこそ兵隊さん」
295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 23:26:36.96:CP9RNqt00
5月も中旬暖かく、今日も気持ちのいい陽気の中でランチを食べていた
キョン「ようハルヒ 元気してるか?」
こんな陽気なのにマフラーをきっちり巻きつけた少年
見ているだけで暑苦しい気分を味わえる少年が話しかけてきた
ハルヒ「なによ」
キョン「今日konozamaで注文したパソコンが届く」
ハルヒ「それで?」
キョン「部室にな」
ハルヒ「何よソレ、部費で買ったの?」
キョン「俺の自腹だ、SOS団のホームページを設置しようと思ってな」
ハルヒ「まだそんなものを引きずっていたの?」
キョン「SOS団団長涼宮ハル あがっ」
ハルヒ「やめなさい!恥ずかしい!」
ハルヒの右アッパーがキョンの顎下にヒットする
296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 23:38:05.61:CP9RNqt00
???「ああ、それから、ネットでパソコン注文しておいたから」
キョン「パソコン?何でそんなものを」
???「俺がまだお前だったころ、ハルヒの奴がコンピ研に乗り込んでな
パソコンを強奪する事件が発生したんだ」
キョン「それは酷い」
???「部長が朝比奈さんを襲っているようなアングルの写真を撮ってそれを脅しに・・・」
キョン「本当か?俄かには信じがたい話だけど」
???「この世界のハルヒは随分と人格人らしいな、いや、あれくらいが普通なのか」
キョン「おっさんの居た世界のハルヒはそんなに酷い奴だったのか」
???「そりゃあもう、我侭で奇抜で好き勝手やって回りに迷惑かけっぱなし
まあ、結構楽しくやれてたからな、いい思い出だ。それよりおっさんって呼ぶのやめてくれない?」
キョン「お断りします」
夜の公園、二人の男が明るいベンチの近くで常人には理解しがたい会話をしていた
301:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 00:08:57.40:44QwLZvG0
教務室で電源の使用許可を貰って、文芸部当てに届けられた荷物を受け取る
長門が注文した本も一緒に荷台に載せ、部室塔へ向かう
古泉「随分と重たいですねこのパソコン・・・」
キョン「無駄にハイスペックだからな」
IBMと言うロゴが書かれた大きめな箱に
モニターと大きめな箱が入っていた
キョン「(パソコン注文したからどんなのかとおもたら、よりにもよってブレードサーバーかよ・・・)」
古泉「これ、パソコンじゃなくてサーバーですよね、こんなの買って何するつもりなんですか?」
キョン「ホームページの作成だ」
古泉「レンタルサーバーを借りずにこれを使うんですか?」
キョン「そういうことになるな」
303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 00:24:51.43:44QwLZvG0
部室の隅に机を設置し
その下にキャスター付きの黒い箱を設置した
モニターとキーボードとマウスを接続してコンセントを繋ぐ
キョン「さて・・・・なんだこのOS」
サーバー用のOSなのか使い方がまったくわからない
長門「・・・・見せて」
本を読んでいた文芸部部長が立ち上がり、モニターに近寄る
長門「Windows server 一般的なOSではない」
古泉「回線はどうするんです?」
長門「・・・・構内LANがあそこに 繋いでほしい」
部室の入り口、コンセントの隣にLANと書かれたコネクターがあった
サーバーに繋がったLANケーブルを引っ張って入り口近くのコネクターに差し込む
長門「・・・・・・」
長門がキーボードで操作し、初期設定とネットワークの設定を終える
キョン「これで使えるのか?」
長門「・・・・・使える」
306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 00:38:58.10:44QwLZvG0
翌日、昼食を取り終えて暇だったので部室に遊びに行くと
キョンがパソコンの前でパンに噛り付きながらキーボードを叩いていた
ハルヒ「何やってんのよキョン」
キョン「ああ、ホームページ作ってんだ。SOS団のな。」
ハルヒ「え?」
キョン「だからさ、SOS団のホームページ作ってんだよ」
ハルヒ「あの、キョンさん、ここは文芸部ですよ?」
キョン「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙じ」
ハルヒ「いやああああ!痴漢よー!犯される!助けてー!」
キョン「・・・・・」
ハルヒ「そうよ!SOS団なんて存在しないの!あれは黒歴史なの!」
キョン「にしては変な連中の溜り場と化しているが」
ハルヒ「・・・勝手にしなさいよ!ふんっだ!」
部室の扉をばたんと閉めるとハルヒは部室を去っていった
307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 00:42:20.31:SfHSoWg3O
ブログ形式のフレームに、ネットで拾ったオカルトチックな話や
それ系のサイトのリンクを貼り付けてページを構築していく
横に連絡先とメールアドレスを乗せて一通り完成する
キョン「後は長門に頼むか」
かじっていたパンを食べ終えて牛乳で喉を潤す
予鈴が鳴ったので部室を後にし教室に急ぐ
放課後部室に戻ると椅子に座って本を読んでいる長門がいた
キョン「なぁ長門、ページ作ったんだが、どうやったら外部から見れるようになるのかわからん」
長門「・・・・・任せて」
モニターに向かうとキーボードを操作し始める長門
長門「・・・・・これで」
キョン「出来たのか?
そこにはブラウザで閲覧できるようになったSOS団のホームページが
キョン「さすが長門だな」
長門「・・・・・サポート料3万」
キョン「またまたご冗談を」
長門「・・・・・ボランティアという言葉は嫌い」
309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 00:59:31.20:tCfMmClYO
翌日
午前の授業が終わり、文芸部の部室へ向かう
部室にはつけっぱなしのサーバーが放置されていた
ハルヒ「一体どんなサイト作ったのかしら?」
ブラウザにはSOS団のサイトが
ハルヒ「オカルト系のサイトにしたのね、まあ当然かしら」
スクロールしていてある事に気づく
ハルヒ「背景が殺風景ね、もっと違うものを」
ペイントを立ち上げると何か絵を描き始める
「SOS団」そう書かれた奇抜な絵
ハルヒ「出来た!これを背景に設定してすれば
うーん・・・でも編集用のパスワードが・・・・あれ?」
モニターの縁に付箋が張ってあった
ハルヒ「サイト編集用のパスワードかしら」
ログインページにIDとパスワードを打ち込んでみる
ハルヒ「正解みたいね。これを背景に設定して更新っと!出来た!」
312:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 01:19:00.42:44QwLZvG0
放課後、部室に戻ると長門が本を読んでいた
長門「・・・・ご利用ありがとうございました」
長門に諭吉が三枚入った茶封筒を渡す
まあ、おっさんが作った口座から落とした金だから痛くもかゆくもないが
キョン「さて、一晩たって少しはカウンター回ったかな」
ブラウザを覗くとSOS団のページは文字化けし
ページの背景にサナダムシのような謎の絵が書かれていた
キョン「な、なんじゃこりゃー!」
長門「・・・・問題?」
キョン「お、おい、ページが文字化けして変な風に」
長門「・・・・文字のエンコード・・・正常・・・・?」
キョン「おいどうなってんだこれ?」
長門「・・・・わからない」
ハルヒ「やっほー皆!あ、ねえキョンちょっとサイト弄ってみたんだけどどう?」
キョン「これやったのハルヒか?」
ハルヒ「少しは華やかになったでしょ?」
313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 01:29:31.38:44QwLZvG0
モニターに駆け寄り画面を覗く
ブラウザには文字化けしてカオスなサイトと化したページが
ハルヒ「な、何よこれ!」
キョン「それはこっちの台詞だ。一体どうやったらこんな表示になるんだ?」
ハルヒ「背景作って設定したのは私だけど、その時は問題なかったわ!」
キョン「それ本当かよ、俄かには信じがたい」
ハルヒ「そ、そうだ!このパソコン付けっぱなしだったでしょ?誰かがこっそり弄ったのよ!」
長門「サイト設定の更新履歴を見るに、最後に編集されたのはお昼休みの一回だけ」
ハルヒ「有希、それ本当?」
長門「・・・・機械、嘘付かない」
ハルヒ「でも私が最後に見たときは正常に見れたわ!きっと誰かが不正にアクセスして改ざんしたに」
長門「構内LANを経由している事を考えれば、セキュリティー的に考えると簡単な話ではない」
ハルヒ「じゃ、じゃあA級ハッカーがやったのよ。このサイトのやばさに気がついて改ざんしたんだわきっと!」
キョン「言い訳が見苦しいぞハルヒ」
ハルヒ「そ、そんな。私は悪くないわ!」
長門「・・・・落ち着いてほしい、これは人為的に起こせる文字化けではない」
315:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 01:41:40.60:44QwLZvG0
その後、ページを一度消して保存していたバックアップを上書きして事なきを得た
長門「・・・復帰完了、今回はサービス」
キョン「助かったぜ長門」
ハルヒ「私の書いた背景が悪かったのかしら?」
などと雑談していると朝比奈さんがやってきて
ハルヒ「あらあら、今日は遅かったわね!」
みくる「テストが立て込んじゃいまして」
ハルヒ「あれ?お客さん?」
朝比奈さんの隣には見知らぬ女性とが立っていた
どうやらSOS団の噂を聞いてはるばる文芸部室にやってきたらしい
古泉「すいません、ちょっと用事を済ましていたら遅くなりまして!
あれ?お客さんですか?」
客人を招き入れると、その後を追うかのように古泉が部室に入ってきた
316:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 01:56:42.63:44QwLZvG0
喜緑江美里 2年生
ハルヒ「行方不明の彼氏を見つけて欲しい・・・と」
喜緑「はい」
ハルヒ「でもね、ここは文芸部よ?探偵紛いの事はやってないし」
キョン「お受けいたしましょう、我がSOS団は世界の不思議を求めて」
ハルヒ「・・・あんたは黙ってなさいよ」
キョン「東中出身涼宮ハル」
ハルヒ「あー!わかったわよ!わかりました!やればいいんでしょやれば」
キョン「と、団長がおっしゃっています。話してくれませんか?」
喜緑「え?あ、はい」
二人のやり取りを見て少し困惑した表情を浮かべる依頼人
少し落ち着くと事件の話を語り始めた
喜緑「彼がもう何日も学校に来てないんです」
ハルヒ「電話してみた?」
喜緑「携帯にも家の電話にも出なくて・・・家まで行ってみたけど留守でした」
318:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 02:08:39.50:44QwLZvG0
彼は一人暮らしで両親は仕事で海外に赴任中
喜緑「夜中に尋ねてみてもまっくらで、私心配で・・・・」
うつむくと顔を両手で覆う彼女
キョン「お任せください。我々がこの事件、解決させていただきます」
ハルヒ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
キョン「ただの人間には興味あ」
ハルヒ「はいはいわかりました!私達にお任せください!
ところでなんでSOS団なんかに?」
喜緑「彼がよく、SOS団のことを話題にしていたんです」
キョンはあの後も懲りずにSOS団の存在を回りに言いふらしていたのだろうか?
ハルヒ「そ、それで?誰?彼氏って」
喜緑「山田です」
ハルヒ「誰だっけそれ?」
喜緑「SOS団とは近所付き合いをしていると聞きましたけど」
どこかで聞いた名前だ・・・
喜緑「彼はコンピューター研の部長を勤めていますから」
320:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 02:17:16.39:44QwLZvG0
コンピューター研の部長、確かおっさんが言ってたな
ハルヒが迷惑をかけたって・・・・
キョン「わかりました、我々にお任せください」
ハルヒ「なっ!」
キョン「宇宙じ」
長門「・・・・窓の外にUFOが!」
みくる「ど、どこですか?」
ハルヒ「・・・・わかりました、その依頼お受けします」
これが悪夢の始まりだった
322:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 02:29:27.66:44QwLZvG0
一階が駐車場になっている平凡な三階建てマンション
そこに彼は住んでいるらしい
文芸部もとい、SOS団メンバー全員でお宅訪問に来たというわけだ
ハルヒ「・・・留守かしらね?」
チャイムを鳴らしても反応は無く、玄関の鍵もしまっている
キョン「ちょっとどいてろ キー」
マフラーの端っこを掴んで鍵穴に近づける
形が変形して鍵穴に入り込むとキョンがマフラーをひねる
ガチャンッと鍵が開く音が小さく響いた
キョン「開いたぞ」
ハルヒ「キョン、ピッキングは犯罪よ?」
キョン「問題ない」
長門「・・・・台詞を」
古泉「お邪魔します」
キョンにの行動には驚いたが
イケメンな文芸部員の筈の古泉君の積極的な一面に少し驚かされた
323:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 02:44:08.63:44QwLZvG0
1DKの一般的な室内
寝室にはベッドと勉強机本棚が設置されていた
ハルヒ「居ない、わね。」
部屋には誰も居らず、荒らされた形式も無かった
キョン「長門、どう思う?」
長門「・・・・両親の居ない寂しさ余りどこかに失踪した」
古泉「なるほど。両親の赴任により破綻した家族
これは日本の経済活動が生み出した弊害、暗部ですよ・・・・」
長門「・・・・悲しい事件だった、彼はもう姿を現さない」
キョン「ああ、俺達はこの悲惨な事件を世間に広く伝える義務があるな」
古泉「ええ」
ハルヒ「ちょっとあんた達!真面目にやりなさいよ!」
324:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 02:57:19.91:44QwLZvG0
長門「・・・・特殊な閉鎖空間、目に見えないように擬装が施されている」
古泉「彼が行方不明になったのもそれが原因だと?」
長門「・・・・・そう、擬装を解除させる」
長門が何かを唱える
すると部屋が一瞬明るくなって
みくる「は、ひぁ」
トンネルを抜けるとそこは雪国だった・・・よろしく
閃光が止まると、目の前には砂漠が広がっていた
驚いて抱きついてきた朝比奈さんの胸が腕を優しく包んだのだった
キョン「閉鎖空間・・・少し違うようだが」
長門「・・・・似て非なるもの、パソコンの履歴を調べていたらSOS団のページがあった
あの背景画像には簡易的な閉鎖空間を作るための不正なアプリケーションが組み込まれていた」
ハルヒ「え・・・・私そんな」
長門「・・・・あなたは特A級のハッカー」
325:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 03:09:16.01:44QwLZvG0
古泉「ここに彼が居るのでしょうか?」
長門「・・・この空間に紛れ込んでいる」
と、どうでもいい雑談をしていると
空間が一瞬ゆがんで巨大な虫の様なものがあられた
ハルヒ「か、かま、カマドウマー!デカ!」
古泉「人家を好んで住み着く虫、コオロギの一種ですね」
長門「この空間の創造主。原因は別、でも発端は涼宮さん」
ハルヒ「あ、あたしぃ!?」
キョン「長門、部長氏はどこに?」
長門「あの悪趣味な着ぐるみの中に閉じ込められていると思われる」
キョン「なるほど、なら話は早い。あの着ぐるみの腹を切り裂いて
中から目標を引っ張り出せばいいんだな」
長門「そう・・・さらにあの気持ち悪い着ぐるみを片付ければこの空間も崩壊する」
キョン「善は急げだ、とっとと片付ける。ソード!」
326:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 03:21:29.17:44QwLZvG0
首に巻きつけたマフラーを外して片端を両手で持ち構える
するとマフラーはRPGに出てくるような剣の形に変わっていた
キョン「害虫は手早く駆除だ!」
剣を引きずりながらカマドウマに近づくと
カマドウマは跳躍する為に身を縮める
キョン「ジャンプした!」
カマドウマは空高く舞い上がり
俺の頭上目掛けて落ちてくる
キョン「あぶねっ!」
着地する寸前に走って避ける
カマドウマは砂煙を上げながら地面に着地した
一瞬の事だった。他の四人が突っ立ってる方に向かって突進したのだ
長門「・・・・防壁、展開」
球状のシールドが展開されて突進の衝撃を軽減させる
みくる「やんっ!」
衝撃と共に発せられた衝撃で朝比奈さんのスカートがめくりあがる
縞パンを履いていた
329:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 03:32:53.95:44QwLZvG0
シールドにぶつかった衝撃で少し後ろに吹っ飛ばされるカマドウマ
キョン「今!」
少しずつ地面に近づいてくるカマドウマ
落下地点を予測し、そこを目指して走る
キョン「ふんっ!」
落下地点で立ち止まり剣の刃先を天に向ける
キョン「切り裂く!」
刃先がカマドウマの外殻に突き刺さり
キョン「ぬぉやぁあああああああ!」
前方に走り出すとカマドウマの腹は見事に切り裂かれた
キョン「斬っ!」
カマドウマの下を走りぬけるキョン
衝撃、切り裂かれたカマドウマが地面とぶつかり砂煙を上げる
古泉「やりましたね」
腹が切り裂かれたカマドウマが砂の上に哀れに横たわっていた
キョン「内臓は出ないんだな。安心したよ」
330:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 03:45:14.32:44QwLZvG0
虫が光りの粒子になって消えていく
古泉「おわりですか」
部長「くっ・・・うう!」
長門「・・・・中の人が出てきた」
よかった、生きているみたいね
そらがピカッと光ったと思ったら
彼の部屋に戻っていました
ハルヒ「ど、どうするのよ!救急車呼んだ方が!」
長門「やめた方がいい、彼は多分診断した医者に対し常人に信じがたい事を話すだろう
精神科に連れて行かれ、統合失調症と診断され、長期入院の処置を施される事間違いなし」
古泉「同意です。最近の医者は医療点数を稼ぐためなら何だってしますからね
患者の信じがたい話を聞けば妄想と捉え、様々な薬剤を投与して治療するのでしょうね
キョン「それは危険だな、直ちにこの場を去ろう」
ハルヒ「ちょ、待ちなさいよあんた達!」
長門「・・・・ほっとけば直る、忘れる 心的外傷後ストレス障害なんてしらない」
みくる「ど、どうしましょう涼宮さん」
ハルヒ「仕方ないわね・・・・とんずらしましょう!」
331:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 04:02:23.96:44QwLZvG0
キョン「で、あのマークはなんだったんだ?」
サーバーの前に座って何かをしている長門に話しかける
長門「・・・・情報統合思念体の亜種
8億年前に船団を離れた集団が先にこの星にたどり着き長い冬眠についていた
数億年後、人類の開発したインターネットの爆発的な発展により生み出されたサイバー空間
そのサイバー空間の中に超圧縮した数キロバイトの自身のデータを流し込んでひっそりと生きていた」
古泉「そのスパイウェアまがいのプログラムが部長氏のコンピューターにいつの間にか常駐していて
涼宮さんの作ったブログの背景を見た事によってあんな大変な事になったと。
しかしコンピューターのプロである彼が、そんな不正な常駐プログラムを見逃すでしょうか?」
長門「・・・・常駐昆虫ムシキングという作者不明のフリーソフト
それがあのカマドウマの正体
デスクトップに常駐するフリーのマスコットソフト
オフィスを起動すると出てくるカイル君みたいなもの」
キョン「ちょっとまてよ、じゃあその常駐昆虫ってソフトを使ってる奴があの背景を見ると・・・」
長門「今回の事件と同じ現象が発生する」
キョン&古泉「な、なんだってー!!!」
332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 04:16:39.10:44QwLZvG0
長門「・・・・でも安心して欲しい、
あの画像から不正な要素を取り除いて背景に設定しなおした」
キョン「そ、そうか。でも何でまたあの画像を」
長門「団長がせっかく書いてくれた物、使わなければもったいない」
古泉「そうですね、涼宮さんが貴重なお昼休みを潰して書いたものですし」
長門「デバッグと修正に高度な専門知識を使って処理した」
キョン「ま、まさか」
長門「・・・・・30万 要求する ボランティア、嫌い」
こうして、ハルヒの書いたブログの背景によって齎された事件は
未来の俺が作って言った口座から30万を引き出して幕を閉じた
ハルヒ「ふぅーん、ネッシーみたいな首長竜のUMAって、他の地域にも似たような話が存在するのね」
オカルト系の雑誌を読みながら何か独り言を語るハルヒ
そうそう、コンピ研の部長の件だが、今日数日振りに学校に顔を出したそうだ
その顔は少しやつれていた物の、何時ものような元気な振る舞いをしていたらしい
破壊神ハルヒ、あいつの能力はほんとに恐ろしいものだと今回の事件で改めて思った
338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 08:41:52.12:mqf+YX9+O
異世界からの帰還者
宇宙人謹製のアンドロイド
可愛らしいターミネーター
イケメンな文芸部員
彼らは私の願望が作り出した空想の産物
宇宙人、未来人、異世界人
足りないものといったら超能力者 消去法で考えるとやっぱり彼は超能力者なのかしら
文芸部は異能力者の集う魔境とかしている
どうやら私もその一人らしい
ハルヒ「ねぇ、谷口、私って普通の女子高生よね?」
谷口「なんだよいきなり?・・・まぁ、中学のころよりは丸くなったんじゃないか?」
ハルヒ「そ、そうよねぇ!私は普通の女子高生よ」
谷口「ああ、そう言えばこの間教室で文芸部の部長とキョンが・・・あいつら付き合ってんの?」
ハルヒ「そ、そう。あの二人仲いいのよね!」
谷口「ふーん、で、お前はあいつの事好きじゃないのか?」
好き?あいつの事が好きかですって?
年がら年中マフラー巻いて暑苦しくて、喧嘩っ早くてちょっと強い
中学の時は何時も一人だった 何時も奇抜な事をやって、周りから嫌煙されて
ちょっと変な私にしつこく絡んでくれて、何時も守ってくれてた
最初は嫌いだったのよ?でも、あいつと一緒に過ごしていると不思議な事がいっぱいで楽しくて・・・
357:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:28:04.19:pwWUA6DQ0
ハルヒ「な、何言ってんのよ谷口。あんな変人誰が好き好んで」
谷口「なるほど、じゃあお前は今フリーってわけか・・・・どうだ、俺と付き合ってみないか?」
ハルヒ「は?な、何どさくさに紛れて告白してんのよ!冗談は顔だけにしてよ!もう」
谷口「ハハハ、そうそう。冗談だよ冗談!予鈴なったぞ!教室急ごうぜ!」
予鈴がなって一言ハルヒに告げると谷口は教室に向かって走り出した
少し、寂しい背中をしていたような気がした
ちょっと言い過ぎたかしら、ごめんなさい谷口
キョン「よう、ハルヒ」
後ろの席、何時ものようにあいつが座っていて、私を出迎えてくれる
ハルヒ「相変わらず暑苦しい奴ね!もう6月だってのに何時までマフラー巻きつけてんのよ!」
キョン「これは俺の本体みたいなものだからな」
ハルヒ「はぁ?」
少し気が立っていたのだろうか、キョンに強くあたってしまった
異性に対する感情の高ぶりは恋の予兆であるとどっかの携帯小説のような台詞が頭の中を駆け巡る
ハルヒ「言っても無駄ね、熱中症になっても知らないから」
キョン「俺はそんな病にかかるような軟弱者ではない」
358:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:47:08.55:pwWUA6DQ0
放課後、教室でモニターの前に座るキョン
キョン「惑星のありか、月と太陽が重なる時、黒い星が輝きを見せる」
何を探しているのか・・・映し出された絵は朝比奈みくるのコスプレ画像
部室にのロッカーに放置してあったメイド服、先代の文芸部員の忘れ形見であろうか
ハルヒがそいつを見つけるなり、朝比奈さんに着せるという暴挙に走る
嫌がりながら着せられたメイド服
そのメイド服を気に入ったのか、今では文芸部での朝比奈専用ユニフォームと化していた
何時、誰に取られたのであろうか?彼女がよろめいた際に撮影された数枚の写真
その画像がサーバーの中の擬装されたフォルダーに格納されていた
キョン「見つけたぞ、黒い星」
みくる「何が見つかったんですか?」
お盆にお茶を乗せ、モニターの横に近づいてくる朝比奈
折りたたみ机の上にお茶を置くとモニターを覗き込もうと
キョン「いや、なんでも!」
みくる「あれ?私の名前のフォルダー・・・一体何が入ってるんですか?」
キョン「ほんと、なんでもないんで!あ、胸当たってます」
マウスを掴もうと朝比奈が腕を伸ばし、その拍子に俺の背中に巨大なそれを押し付ける
ああ、何と心地のいい感触であろうか、やはり写真より生の感触が一番である
本の虫である長門がその光景に気づくと顔をあげ、こちらを凝視する そんな人をさげすむような目で見つめないで欲しい
359:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 21:06:42.66:pwWUA6DQ0
いつかの昼休み、まあ数日前の話だが
パンをかじりつつホームページの更新に勤しむ俺の居る文芸部室に一人の来客が
???「お久しぶりです、キョン君」
ナイスバディーなお姉さんが部室の入り口に立っていた
今にもはち切れそうな胸をキツメなワイシャツで包んで谷間を強調させていた
キョン「どなた?」
???「っと・・・まあすぐにはわかりませんか」
彼女は朝比奈みくるの将来の姿だそうで、用件を伝えにやってきたのだそうだ
みくる(大)「この左胸にある黒子が証拠ですよ?」
俺に近づいて胸をチラつかせる彼女、何故こいつはこんなにも積極的なのだろうか?
みくる(大)「うーん、やっぱこの世界のキョン君は私の居た世界のキョン君と少し違うのかしら?」
キョン「まさか、おっさんのお知り合い?」
みくる(大)「おっさん?・・・ああ、あっちの世界のキョン君ね!知り合いというより友達というかその・・・
あ、そうそう!用件なんだけどね!白雪姫って童話知ってるかしら?」
キョン「唐突ですね、不幸な娘が大出世する話・・・その童話が何か?」
みくる(大)「近々また閉鎖空間が発生するわ。でも、何時ものそれとは違う。白雪姫、その時が来たら思い出して」
360:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 21:18:30.52:pwWUA6DQ0
ドンッ!扉が開くと同時にムスッとした顔のハルヒが体操着姿で部室に入ってきた
ああ、何と気まずいところを見られてしまったのか・・・・修羅場
キョン「あ、あのハルヒ・・・・これはだな」
ハルヒ「・・・・出てって」
怒ってる、ああ、怒らせてしまった。どうしよう
ハルヒ「着替えるから出てってって言ってるのよ!」
目に怒りの炎を燃やしながら俺に近づいてくるとマフラーの両端を掴んでひっぱる
キョン「く、くるし!わかった、出てくからひっぱんな!」
マフラーを引っ張って俺の体を廊下まで引きずる
その体系からは重いもつかない馬鹿力であった
ハルヒ「もうしらない!」
廊下に俺を放り出すとムスッとした顔でそっぽを向けて扉をバタンと閉める
キョン「・・・・やっちまったぜ」
古泉「おや?どうかしましたか?」
362:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 21:40:21.33:pwWUA6DQ0
古泉「なるほど、それはまずいですね」
廊下に閉め出された俺は古泉に事の経緯を話す
キョン「ああ、あいつを完全に怒らせちまった」
古泉「本当にまずいですよ・・・前に忠告したじゃありませんか」
キョン「人の心は移ろいやすく、何時何が起こるかなんてわからない」
古泉「詭弁です!単に貴方の注意不足なだけじゃないですか!」
キョン「・・・・起こってしまった事は仕方がない、『もしも』なんてありえない」
古泉「やれやれですね」
キョンの奴、なんでみくるちゃんといちゃついてるのよ!
みくる「あ、あの、涼宮さん?さっきのはその・・・」
ハルヒ「何よ・・・」
みくる「ひゃ、ひゃい!」
朝比奈さんにいちゃついたり長門と仲良く会話したり
本当に節操ない奴ね、キョンって・・・呆れたわ
長門「・・・・一波乱 面倒は嫌い」
364:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 21:59:01.04:pwWUA6DQ0
ハルヒ「ん・・・あれ?ここどこ?」
目覚めるとなぜか私は夜の学校に居た
制服に着替え終わると廊下で深刻な会話をしている二人を読んで部活を再開し
皆別々の本を読んで放課後まで時間を潰した
下校時間を告げるチャイムが鳴ると、後片付けをして解散した
で、シャワー浴びてご飯食べて寝たんだけど
ハルヒ「なんでよ・・・」
何故私はこんな所で目覚めたのだろう
キョン「ん・・・・ふぁあ・・・は、ハルヒ!!」
その隣にはキョンが寝転がって居て、私の存在に気がつくと飛び起きる
何でこいつがこんなところに居るのよ、そして何で私は夜の学校なんかに
ハルヒ「どうなってんのよこれ・・・ここ、どこよ」
キョン「・・・・閉鎖空間、部長氏の部屋で体験したそれ」
ハルヒ「何言ってんのよ!キョン?」
キョン「とりあえず学校を出るぞ、こんなところに居ても仕方がない」
校門に向かって歩き出す
到着して校内から出ようとするとあることに気がつく、ここからは出られないと
目の前にガラスの壁のようなものが現れ、私達の進路をふさぐ
365:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 22:16:48.80:pwWUA6DQ0
裏口を目指して走り出すキョン
校内の外に出ようとしても、見えない壁が私達の行き先を阻む
キョン「やっぱりな、周囲をぐるっと囲まれている」
ハルヒ「出られないの?」
キョン「・・・とりあえず中に入ろう」
夜の学校、昼間の賑やかな音とは打って変わり
誰も居ない学校は暗闇と静寂に包まれていた
下駄箱まで歩くと、ハルヒが俺のマフラーの端をつかん手来る
キョン「怖いのか?あとそれ、引っ張りのやめてくれないか」
ハルヒ「べ、別に!怖くなんか無いわよ」
強く引っ張り返すハルヒ
キョン「あ、あの苦しいんでほんとやめてもらえます?窒息しちゃいます」
外との連絡手段の確保の為職員室に向かう
ハルヒ「鍵、しまってるわね」
キョン「まかせろ キー」
マフラーの片端を持って鍵穴に近づけると先端が鍵の形に変形し
鍵穴に差し込まれ、職員室の扉を開けることに成功した
366:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 22:36:16.13:pwWUA6DQ0
事務机に置かれた電話を握り、外に通じるか確認してみる
ハルヒ「駄目ね・・・」
ピーっというトーン音は聞こえず、どうやら回線が切れているらしい
キョン「やっぱ駄目か」
しばらく職員室で考え込んでいるキョン
外の様子が気になった私は窓辺に向かって外の景色を・・・・
ハルヒ「キョン・・・・見て」
外を見下ろすとビルが立ち並ぶ町並みが目に付く
ビルからは光りが発せられず、停電にでもあったかのように街は眠りについていた
ハルヒ「なんなのよ、これ!気味が悪いわ!」
月の光りでもなく、星の輝きでもなく・・・空は青白く薄い光を発して街を照らす
キョン「お茶、飲むか?」
ハルヒ「遠慮しておくわ」
職員室を後にし、文芸部室に向かった。道中、廊下は外の薄い光に照らされていた
ハルヒ「ここはどこで、なんで私こんなところに居るの?よりにもよってなんであんたなんかと!
探検してくる、あんたはここに居て!」
この学校で何が起こっているのか、それを確かめる為に校内を散策しようと思う
367:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 22:51:01.32:pwWUA6DQ0
行っちまったか 不思議な事に興味がないといいつつ
人一倍不思議を求めて生きてきたあいつ こんな状況ではしゃぐのも無理はない
それにハルヒが自分で作った空間だ ほっといても死ぬ事はないだろう
キョン「ん?」
入れたてのお茶を飲みながら椅子に座ってくつろいでいると
外に赤い光りの玉が現れて、人の形に変わった
キョン「古泉?」
古泉「こんばんは、トラブルメイカーさん」
キョン「もうちょっとまともな姿でこれなかったのか?」
古泉「その事も含め、少し話させていただきます・・・
率直に申し上げましょう。これは異常事態です。」
普通の閉鎖空間なら難なく侵入できるが、今は仲間の力を借りて無理やり中途半端な介入をしている状態
破壊神ハルヒは現実の世界に愛想着かして新しい世界を創造する事を決めたのだそうだ 世界をリセットする
涼宮ハルヒが構築した新しい時空断層、閉鎖空間 もしかすると今までの閉鎖空間は予行演習だったのかもしれない
そう古泉は俺に語った ハルヒの望む世界、そこに閉じ込められたハルヒと俺
古泉「あー、そうそう。朝比奈さんと部長から伝言を預かっています
朝比奈さんは『ごめんなさい!私のせいです』っと
部長からはパソコンの電源を入れてみて欲しい・・・と」
368:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 23:12:49.72:pwWUA6DQ0
そういや、サーバーが見当たらない
サーバーの代わりに机の上にテレビみたいな物と入力インターフェイスが置かれていた
初代iMac これまた懐かしいものを・・・・
電源を入れると 画面の端っが点滅しだす
_
YUKI.N>Hello! My brother.
・・・・Fack you!
YUKI.N>Oh... miss spell. Fuck you!
kyon>Fuck you!
YUKI.N>Fuck you!
kyon>Fuck you!
YUKI.N>Fuck me!
kyon>冗談はさておき、長門か?
YUKI.N>私、日本語わかんないアル
kyon>で、どうすりゃいい?
YUKI.N>どうにもならない。
情報統合思念体は失望している これで進化の可能性は失われたと
涼宮ハルヒは何も無いところから何かを生み出す力を持っていた
これは思念体も持ち合わせていない能力
この情報創造能力の力を解析すれば行き詰る事故進化の糸口がつかめるかもしれないと考えた
どーでもいいけど、乗りの悪さに失望した もう知らない
kyon>ちょ・・・・待てよ
YUKI.N>バーカバーカ
kyon>
YUKI.N>このコンピューターは30秒後に爆発します 至急退避してください
アップル御用達爆弾アイコン、最後の言葉に俺は生命の危機を感じ、文芸部室を脱出した
370:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 23:27:20.60:pwWUA6DQ0
部室を出て廊下を疾走すると鈍い衝撃がが俺の体を揺らし
ドーンッと言う爆発音と閃光によって文芸部室は消失した
キョン「あっぶねー・・・マジで殺す気かよ!」
廊下で立ち止まっているとハルヒがこちらに気がついて、何か叫びだした
ハルヒ「キョン、窓窓!外見てよ!」
キョン「ああ、さっき長門のいたずらで危うく死に掛け・・・あ」
窓越しに外を見つめるとそこには青白く光る巨人の姿が見えた
ハルヒ「何よあれ!怪物!?蜃気楼じゃないわよねぇ!宇宙人かも
それか、古代人が開発した超巨大兵器が現代に蘇ったとかぁ!」
特撮映画の怪獣を見てワクワクするよう子供のような声で俺に語りかけるハルヒ
閉鎖空間にあらわれる巨人、それはセットのようなものだ
キョン「逃げるぞ」
ハルヒ「え?ちょっと何?」
ハルヒの手を引っ張って校舎の外に向けて走る
多分あの巨人は校舎を破壊するつもりだ、急がなくてはならん
ハルヒ「うわぁっと!」
巨人による一撃が校舎を直撃き、揺らす
372:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 23:38:26.29:pwWUA6DQ0
ハルヒ「ねえキョン、あいつ私達を倒す気かしら!邪悪なものには思えないんだけど」
キョン「兎に角ここは危ない、とっとと外に出るぞ!」
どこか嬉しげな顔をしたハルヒの腕を引っ張って校舎の外に走る
キョン「ハルヒ、落ち着いて話を聞いてくれ。ここは願望が作った空間だ」
グラウンドに出るとハルヒが歩みを止めて俯く
ハルヒ「何よ・・・・また私のせい?」
ハルヒは今にも泣き出しそうな顔で語りだす
ハルヒ「何時だってそう、わけのわからない現実を見せられて
文芸部の皆に信じられない話を聞かされて、
私のせいだと言われて・・・・」
キョン「ハルヒ・・・」
ハルヒ「ピンチの時は守ってくれて、ちょっと頼もしいかなって思ったりもするけれど
でも、何時もの時は私を弄って遊んだり、他の女の子といちゃいちゃしたり」
キョン「俺が・・・・悪かった」
ハルヒ「ううん、貴方は何も悪くないわ?それが男の子って奴だもの
それに、こんな世界を作ったのは私なんでしょう?
だからね、キョン、私ここで死のうと思うの」
そういうと、ハルヒは巨人の暴れる方向目指して走り出した
キョン「まて!ハルヒ!」
376:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 23:52:44.56:pwWUA6DQ0
暴れる巨人の足元に近づき、立ち止まるハルヒ
それを見つけた巨人は暴走を止め、ハルヒを見つめおろす
ハルヒ「殺・・・・して・・・・」
先ほどまで暴れていた巨人は沈黙を続ける
ハルヒ「殺しなさいよ!こんなアタシ、生きてたってしょうがないんだから!」
願望をかなえる能力、その能力のせいで誰かを傷つけてしまった
私の力は皆に災厄を振りまくだけ、そんな力を持つ私に生きる意味なんて
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオオオ」
うめき声と共に握りこぶしがハルヒ目掛けて振り落とされる
キョン「ダッシュ!」
巨人の拳が地面に深々と突き刺さる
ハルヒ「・・・・キョ・・・・ン」
拳が振り落とされている中、ハルヒを捕まえて安全圏まで退避した
キョン「馬鹿な真似はよせ!」
ハルヒ「こんな・・・・こんな私なんかを助けても・・・・いい事ないわよ」
パチンッ!キョンの平手がハルヒの頬を叩き、赤いあとを作る
キョン「お前が居なきゃ!お前が居なきゃなぁ!俺は嫌なんだよ!
ハルヒ!俺はお前の事が好きだ!だからお前を守る!今までも、これからも!」
379:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 00:07:01.27:mbrsT7nM0
キョン「ぬぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」
お姫様抱っこで抱えていたハルヒを地面にそっと降ろすと
キョンは目の前の巨人目掛けて走り出す
地に深々と突き刺さった腕を引き抜こうと身悶える巨人目掛けて
キョン「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」
巨人の後ろに回りこむと巨人の脚を端を青く輝やせるマフラーの力を借りて垂直に走って登る
腰を曲げた巨人の背に乗ると首目掛けて走り出し、首のところまでやってくる
キョン「バスターソード!」
マフラー「『シップチェスター』」
マフラーを首から振りほどいて持ち直すと、マフラーは巨大な剣の形に姿を変える
キョン「切り裂けええええええええええええええええ」
対艦刀の裏に備え付けられたブースターの出力で空に飛び上がり
巨人の首筋に狙いを付けて裏返すと刃先を降ろす
キョン「いっけええええええええええええ」
青い炎で峰を燃やしながら首筋にぶつかり、強引な推進力で首を切り進む
キョン「斬ッ!」
380:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 00:17:05.45:mbrsT7nM0
ハルヒ「キョン!避けて!」
巨人の首を切り落とした瞬間、何処からとも無く巨大な拳が現れキョンを吹っ飛ばす
キョン「ぐはぁっ!」
もう一体の巨人が現れ、降下するキョンに殴りかかったのだ
グラウンドの方向に吹っ飛ばされるキョンを追いかける
土煙を上げながら芝の上に倒れ伏すキョンが居た
ハルヒ「キョン、しっかりしてよ!」
キョン「あ、何だハルヒ・・・か」
ハルヒ「しっかりしてよ!私を守る為に死んだなんていったら洒落になんないわよ!」
口から血を流し、今にも死にそうな表情で私を見つめる
キョン「泣くなよ、ハルヒ・・・まだ死んだわけじゃない」
ハルヒ「喋っちゃ駄目よ!」
キョン「それに・・・まだ死ねないらしいからな」
キョンが私を見透かすように校舎の方向に視線を動かすと
すると、そこには青白く光る巨人が数体
私の生み出した世界は、絶望に満ち溢れていた
続く
410:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 19:36:37.37:f++PuOGK0
巨人は暴れ続ける、先ほどよりも数を増して
校舎をなぎ倒して破壊の限りを尽くす
ハルヒ「ど、どうしたら・・・ねえ、キョン!私どうしたら!」
この事態を招いたのは私
私の願望が生み出した巨人の一撃によって・・・・
血を流し、死に掛けているキョンが目の前に横たわっている
キョン「あいつらを・・・・倒す!」
ハルヒ「無理よ!そんな体で!」
キョンが傷だらけの体で立ち上がろうとする
しかし
キョン「ぐ・・・・ぅう」
ハルヒ「キョン!」
満身創痍の彼に最早戦う力など残されていない
今行かせてしまったら彼は死んでしまう
・・・・・着信音?
キョン「・・・俺の携帯がなってる?」
制服のズボンから携帯を取り出すと、一通のメールが
送信者:YUKI.N
411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 19:50:13.70:f++PuOGK0
件名:戦友へ
本文
先程の爆発により閉鎖空間に半径10センチ程の穴が開いた
もしかしたら何かに使えるかもしれない
べ、別にあんたが心配で開けてあげたってわけじゃないんだからね!
爆発の衝撃でたまたま閉鎖空間に穴が出来てしまっただけなんだからね!
・・・死ぬな
メールにはそうかかれていた
穴・・・10センチ程の穴・・・そうだ!
助かったぜ!長門
キョン「ハルヒ、よく聞いて欲しい」
ハルヒ「何?」
キョン「俺はこれからマフラーの機能で急速治癒を行う
この機能を使うと俺はしばらく身動き取れなくなり、マフラーは消滅する」
ハルヒ「そ、それじゃあどうやって戦うの?」
キョン「策がある。今から文芸部部室に予備のマフラーを転送する
巨人を引き付けながらマフラーを確保し、持って来て欲しい」
ハルヒ「・・・・わかった、私、行ってくるわ!」
本当はこんな事ハルヒにさせたくはない
だが、このままここで倒れていても、二人ともここで犬死するだけだ
キョン「これは賭博と変わらんが・・・ ハルヒ、死ぬなよ!」
413:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 20:04:14.07:f++PuOGK0
数体の巨人が暴れる校舎に向かって走る
外から見るに文芸部部室はまだ無事のようだ
ハルヒ「きゃぁ!」
校内に入ると、一撃が校舎に放たれて揺れる
ハルヒ「急がなきゃ!」
先ほどの衝撃で倒れるも立ち上がり部室棟に向けて走り出す
巨人の動く振動で、巨人が壊す衝撃で
揺れる校舎の中を全力疾走で走りぬける
何時も守ってくれたあいつのために
ハルヒ「こんなの、どうってことない!」
途中、校舎が崩れ、廊下が途切れていたが
幅跳びの要領で助走を付けて向こう岸に飛び移る
こんなどうしようもない私の為に戦ってくれる彼を
ハルヒ「まってなさいよ!キョン!」
どうしようもない私を愛してくれるキョンの為に
ハルヒ「文芸部部室、まだ残ってる!」
部室のドアを蹴破って中に入る 壁には穴が空いていた
414:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 20:18:36.08:f++PuOGK0
部屋の爆発の後だろうか、散らかっていた部室内
ハルヒ「・・・・マフラーはどこ?」
瓦礫の中を探すもマフラーは見当たらない
ハルヒ「ん?穴が光ってる?」
壁に開いた穴を覗いていると、白い光りの点滅と共に静電気のような青い火花が飛び散り
ハルヒ「きゃあ!」
穴から紺色の布のような物が飛び出し、私に飛び掛ってくる
ハルヒ「うわ!・・・てぇ、これ。キョンのマフラー?」
紺色の長めなマフラーが4枚
ハルヒ「これを持ってあいつの所に!」
マフラーを畳んで脇に挟むと部室を飛び出して廊下を走る
ハルヒ「間に合って!」
あいつにこのマフラーを届ける
それが今私に出来る唯一彼を救う方法
ハルヒ「何よ・・・これ・・・」
先ほど飛び越えた崩れかけの廊下は更に崩れ、飛び越えられる距離では無かった
416:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 20:30:20.44:f++PuOGK0
現実は非情である・・・全ての努力が報われるとは限らない
ハルヒ「・・・・どうしよう」
何か、何か方法は無いのか、ここを迂回して外に出る方法・・・
ハルヒ「でも、行かなくちゃ!」
そうだ、非常階段があるじゃない!そっちから外に出て
ハルヒ「駄目・・・なの?」
非常階段は巨人の攻撃により破壊され、途中で途切れている
ここを降りるには無理がある
ハルヒ「・・・・そうだ!」
マフラーの端同士を作って一本のロープの様にする
螺旋階段の手すりにマフラーの端を結ぶ
ハルヒ「怖いけど・・・・やるしか!」
マフラーを地面に垂らし、垂らしたマフラーを掴んで下に降りる
ハルヒ「きゃあ!」
巨人の一撃によって校舎が揺れる その拍子にハルヒの手がマフラーから離れ地面に落ちる
ハルヒ「キョン・・・ごめんね。私何にも出来なかった」
417:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 20:41:11.99:f++PuOGK0
キョン「・・・・・ヒーリング」
マフラーがキョンの体中を包み、繭のようなものを形成する
その繭は薄い発光を繰り返し、繭の中では何か行われているようだった
キョン「これで愛着の一品ともおさらばか」
3年の間、毎日首に巻きつけていたマフラーは繭が消滅すると共に
千切れる繊維となって消えていった
キョン「さて・・・・ハルヒの奴大丈夫かな」
繭から現れたキョン、先ほどの死に掛けな姿が嘘のように
どこかの仙豆でも食べたかのような健康的な姿で再び現れる
両手を広げて体を軽く捻ると、部室塔がある方角へ走り出す
キョン「あれは・・・ハルヒ?」
途中、崩れ掛けの非常階段からロープを伝って、下りようとするハルヒの姿が目に止まる
キョン「無茶しやがって」
ハルヒの元に走って駆け寄る
418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 20:50:06.32:f++PuOGK0
ハルヒ「・・・・え?」
地面に落ちる強い衝撃が体を襲うものと信じていた
だが、予想とは裏腹に背中と膝に棒のような2本の感触を感じる
キョン「惜しかったな、後ちょっとで死ねたのに」
ハルヒ「・・・・キョン!あんた大丈夫なの?」
キョン「ああ、お前が巨人をひきつけて時間かせいでくれたおかげでな」
校舎に巨大な一撃を加える敵、その衝撃の影響で落ちてくるハルヒ
下で見ていたキョンはハルヒを手際よくキャッチした
キョン「中々に素晴らしい脱出方法だが、これでは何をしに行ったのかわからんな」
ハルヒ「あ・・・ごめんなさい」
手すりに巻きつけられたマフラー
これでは当初の目的は・・・・
キョン「冗談だ、よくやってくれたよ」
垂れ下がるマフラーに触れると、結ばれたマフラーは解け、地上に落ちてきた
キョン「ありがとよ、ハルヒ」
420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 21:14:41.26:f++PuOGK0
キョン「ここは今から戦場になる。
お前がここに居ると好き勝手暴れられないんでな
ちょっとグラウンドで待っててくれないか?」
ハルヒ「・・・しかたないわね!待ってりゃいいんでしょ!」
ちょっと不機嫌そうな顔で地に足をつけ、グラウンドへ歩き出すハルヒ
キョン「さてと・・・新兵器の効能、ためさせて貰うか」
ズボンの右ポケットに手を突っ込んで何かを取り出す
取り出した腕時計のようなものを左手に巻きつける
キョン「アプリローダー起動 マフラー1から4を制御下に登録 確認」
腕時計の脇に備え付けられた四つのボタンを操作し
モノクロのバックライト付き液晶に表示される文字を見つめ、読み上げる
キョン「1番を鎧に 2番を推進器に 3番をガトリングキャノンに
4番をシップチェスターに ・・・・設定完了」
マフラー1「アーマー」
一枚のマフラーがキョンの体に巻きつき、西洋甲冑のような姿に代わる
マフラー2「ダッシュ」
甲冑の首元にマフラーが巻き付き、後ろになびいた両端が青く燃え上がる
421:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 21:18:05.64:F/hFjbvRO
マフラー3「ガトリング」
左手に握られたマフラーは盾のような物に形を変える
盾の内側には、6門の砲が備え付けられた一本の筒
ジェネレーターとキャパシターが取り付けられ
数本のパイプで各機器を直結させる
マフラー4「シップチェスター」
右手に握られたマフラーが剣のようなものに形を変える
何時もの奴と比べるとサイズは物凄く小さくなっているが
刃の峰に取り付けられた噴射口が何時ものフォルムをかもし出す
キョン「装着完了」
甲冑の姿が威圧感を与え後ろで燃え盛る青い光りが背中を照らす
左手に持たれたシールド モーター音と共に取り付けられたガトリングの砲筒が回りだす
キョン「行くぜ!」
校舎を破壊して暴れつづける巨人
一体の巨人に向けて、回り続ける砲筒を向ける
キョン「ファイヤッ!」
砲等から赤い光弾が放たれ、巨人の頭部に直撃する
423:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 21:49:56.62:f++PuOGK0
巨人「ウォオオオオオオオオオオ」
着弾すると巨人が攻撃を休め振り向き、こちらに向かって歩みだす
キョン「でやああああああああああああああ」
巨人の頭部に光弾の雨が降り注ぐ
キョン「まだまだああああああああああ」
光弾の雨が頭部を削り、巨人の顔にクレーターを作る
キョン「撃ち抜けええええええええええ」
顔に作られたクレーターが深さを増し
一つの光弾が巨人の頭部を打ち抜く
キョン「うおおおおおおおおおおおおおお」
空に無数の光点が打ち上げられる
頭部に穴が開き、巨人の歩みは止まった
キョン「まずは一体!」
目の前で暴れ続ける7体の巨人
全滅させなければ世界は眠りにつく
キョンの孤独な戦いが今始まった
426:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 22:05:55.50:f++PuOGK0
一体目を倒し一息ついていると、東から一本の閃光が飛び込んでくる
それに気がつくと、飛び込んでくる方向に左手を向け盾を構える
キョン「このくらい・・・・何てことないな」
巨人を確実に仕留められるガトリング胞
巨人のビームを難なく弾く強固な盾
キョン「今度はこっちの番!」
ビームが放たれた方向へ走り出すキョン
キョン「囲まれている!?しかし!」
7体の巨人がこちらに振り向きビームを乱射してくる
キョン「そんなもんで今の俺が倒せるか!」
青い閃光を回避しつつ目の前の巨人に進撃を続ける
何発かビームが当たるものの、鎧と盾がそのビームを防ぐ
キョン「飛べえええええええええええええええ」
巨人の目の前にたどり着くと跳躍し
後ろで燃え盛るマフラーの推進力と
右手に握られた対艦刀の推進力で空に高く舞い上がり
キョン「斬っ!」
巨人の頭上まで高度を上げると右手の刀が巨大化し、巨人の首を切り落とす
428:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 22:20:29.84:f++PuOGK0
キョン「残り 六体!」
地に落ち行く中マフラーの青い炎が光を増して再び空に舞い上がる
キョン「後ろが丸明きだ!」
一体の巨人の背中に残っていた高さ数メートル校舎の残骸
残骸に飛び移ると盾を構えなおし、ガトリング砲が光弾を吐き出す
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオ」
振り向く暇も与えず、巨人の頭部が撃ち抜かれる
キョン「残り五!」
キョンは戦い続けた
暴れまわる巨人、ビームの閃光が降り止まぬ廃墟を疾走し
砲筒から放たれる赤い光弾で巨人の顔に穴を開け
巨大な刀で巨人の首を切り落とす
そして
キョン「残すは後二体・・・か・・・」
時計大の上で息を切らすキョン
頭部を失って廃墟に倒れこむ6体の巨人の死体
キョンと交戦を続ける残り2体の巨人
430:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 22:34:41.70:f++PuOGK0
キョン「ジェネレーターのオーバーヒート キャパシター内のエネルギー、残量ゼロ
背部推進器 シップチェスター エネルギー切れ」
何も考えずにバカスカ暴れて、エネルギー配分なんて考えていなかった
これはミスだ・・・マフラーが使えなきゃ俺はただの人間だ
キョン「くそっ・・・どうする!」
時計台の上で立ち竦むキョン
そこに・・・
古泉「僕達の出番、取っておいてくれたんですね」
長門「・・・・応戦に」
みくる「だ、大丈夫ですかぁ?」
いる筈のない連中が俺の後ろに立っていた
キョン「どういうことだ!入ってこれなかったんじゃ!」
長門「・・・・閉鎖空間の強度が低下した」
古泉「文芸部に明けられた穴を僕の能力で広げ、ここまで3人でやってきました
多分、貴方が神人を数体倒した事によって、僕の能力で入れる状態になったのでしょう」
みくる「あたし!戦います!キョン君はここで休んでてください」
ピンチヒッターとしてやってきた文芸部のメンバー
ありがとう皆、後は俺の代わりに楽しく暴れてくれ
431:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 22:45:12.65:F/hFjbvRO
会話を続けていると、一筋の閃光が彼らのいる方向へ飛んでくる
キョン「あぶねぇ!」
長門「防壁」
長門が瞬時に展開した防壁がビームを弾く
みくる「み、み、みくるビーム!」
朝比奈さんの目がピカッと光り、極太の荷電粒子砲が放たれる
頭部に浴びせかけられたビームが、巨人の頭部を蒸発させる
古泉「それでは僕も!」
古泉が赤い光球に包まれると地を蹴り上げ、空高く舞い上がる
古泉「行きますよ!」
残された一体の巨人目掛けて赤い光球が押し寄せる
右足の付け根辺りに飛び込むとピカッと光って足を切り裂いた
古泉「止めを!」
右足を失い倒れ掛かる巨人
ハルヒ「何よこれ・・・・」
433:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 22:58:40.56:f++PuOGK0
倒れ掛かる巨人の頭部に赤い光球があたり、貫いた
古泉「終わりですね」
全ての神人が倒された 校舎の残骸がその戦いの激しさを物語り
8体の巨人の残骸が地面に倒れ伏せていた
「ただの人間には興味がありません。
宇宙人、未来人、異世界人、超能力者が居たら私のところに来なさい。
以上。」
何時の台詞だろうか、あの台詞が不思議の扉を開ける鍵であった
その言葉に導かれるようにしてやってきた4人の異能なる者達
彼らはその証拠を私に見せ付けるかのように、8体の巨人を打ち滅ぼした
彼等が一体何者で、何のためにここに居るのか。ただの人間ではない事は明らかであろう
ハルヒ「不思議すぎてついていけない」
終わり
434:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 23:05:31.06:f++PuOGK0
涼宮ハルヒの作り出した閉鎖空間
神人を倒せば閉鎖空間は消滅するはずだった
しかし・・・・
長門「・・・・・何故、消えない?」
巨人の亡骸は消え去り、破壊された校舎の残骸だけが残る
キョン「・・う・・・ぐはぁっ」
みくる「キョン君?」
甲冑義姿のキョンが血を吐き倒れこむ
みくる「ひぁ!だ、大丈夫ですか!しっかりして」
キョン「・・・・ちと無理をしたか」
幾ら治療したからといって、傷が塞がったのは見た目だけ
損傷した内蔵が完全に修復されたわけではなかった
そんな状態で数体の巨人相手に
身体にかなりの負荷がかかる高機動戦で挑んだのだ
キョン「・・・・長門、すまん」
朝比奈の胸元に倒れこみ目をつぶるキョン
長門「・・・・身体情報解析・・・・・プロテクト?」
463:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 20:43:00.61:AXUwytUg0
古泉「長門さん、彼を助けられないんですか?」
キョンの額に手を当てて、何かをしている長門
長門「・・・・高度な暗号化アルゴリズムでプロクトが施されている
この空間では統合思念体との接続が完全ではなく、支援が受けられない
私一人でも解析は可能だが、それにはかなりの時間がかかり、彼の体が持たない」
みくる「キョン君!しっかりしてください!死んじゃだめ!」
長門の眼鏡に映し出される謎の文字列
横に流れる文字列を眼球が追いかけ、うまく聞き取れない何かを呟きつづける
古泉「何かわかりましたか?」
口の動きが止まると古泉に視線を移す長門
長門「情報統合思念体がよく使用するアルゴリズム
そのアルゴリズムを地球のコンピューターで使えるように改変してある」
そう告げると再び視線をキョンの顔に戻し、解析を開始する
キョンの顔は少し青さを増してきた。多分もう長くは持たないかもしれない
長門「・・・・・致命的な脆弱性を発見
このセキュリティーホールに対し膨大なDos攻撃を仕掛ければ
謎のホストとのパケット送受信を妨害し0.5秒置きに行われる
暗号の更新を停止し、プロテクトを突破できる」
466:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 21:00:47.35:AXUwytUg0
みくる「な、ならはやく!」
長門「・・・・支援が受けられない状態では処理速度が足りない
他の方法を探すしかない」
口元から血を流し、どんどん青ざめていくキョン
その時、時計台の入り口が開き、誰かがそこから飛び出してくる
ハルヒ「キョン!」
どこかで引っ掛けたのか、制服を所々切らせ、煤で顔を汚している
マフラーを枕に床に横に寝かされたキョン、ハルヒが駆け寄る
ハルヒ「キョン!しっかりしなさいよ!あんた私のこと守ってくれるんでしょ!
私のこと、好きなんでしょ!こんな事で、こんな事で死んじゃ駄目よ!」
馬乗りになってキョンの肩を付かんで肩を揺らす
平手で数発・・・キョンの頬に手の形をした赤い痣が出来る
古泉「涼宮さん!駄目です!」
ハルヒ「起きろ馬鹿キョン!起きなさいよ!あんたこんなんで死ぬ弾じゃないでしょ!」
頬を赤らめ、目から涙を流すキョン
ハルヒ「起きなさいよ寝ぼすけ!・・・・起きてよ」
打ち続ける平手を止め、片手をキョンの首元に添えて、頬を撫でる
ハルヒ「・・・・・キョン」
467:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 21:21:50.38:AXUwytUg0
キョンの顔をまじまじと見つめるハルヒ
ハルヒ「こんな事、本当はしたくないけど・・・」
少し目を細め、ハルヒの顔がキョンに近づき、キョンの口元に彼女の唇が触れる
その時、空に穴が開いて黄色い一筋の光りが降り注ぎ、キョンとハルヒを照らす
ハルヒの髪が風になびくかのように揺れる 美しく、神秘的な光景であった
長門「・・・・・これは・・・・・膨大な情報が涼宮ハルヒから彼に対し送信されている
これならあるいわ プロテクトの暗号を解析、突破、生体情報の解読に成功
・・・・治療できる」
長門が何かを唱えると、先ほどまで青ざめていたキョンの顔に血の気が戻り始める
キョン「・・・・・ん、ああ はふひ!(ハルヒ!」
塞がれた口がキョンの滑舌を悪くさせる
ハルヒ「きょ、キョン!あんた生きて・・・」
キョンが起きた事に気づくと、唇を離し、起き上がるハルヒ
腕を組むと右にそっぽを向いてどこか遠くに視線を向ける
ハルヒ「人工呼吸よ!あんたが息してないから仕方なくね!変な勘違いしないでよ!」
頬を赤らめ、どこかつんつんとした声でキョンに台詞を投げ掛けた
キョン「助かったよ・・・・三途の川出会った可愛い船頭の女の子に釣られて危うく黄泉の国に渡るところだった」
バチンッ!ハルヒの特大ビンタがキョンの頬を直撃した
468:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 21:35:58.24:AXUwytUg0
古泉「やれやれですね。まあ、無事に生きているみたいですし一安心です」
何時もの営業スマイルに戻って何時ものような台詞で喋る古泉一樹
みくる「あ、ぁあ、あの、 キョン君と涼宮さんがキスを・・・」
どこか動揺して、右手で二人を指差して、左の手のひらを口元によせ
膝をくっつけ少し震えてあわあわしている朝比奈みくる
長門「・・・・・間に合った 延命成功 医療点数発生」
口元に笑みを浮かべ、何かを企んでいる様子の長門
古泉「おや、遂にこの閉鎖空間も消滅するようです」
先ほど開いた穴がどんどん広がっていき、時計台の上に集う文芸部員達を明るく照らしていく
ハルヒ「・・・・・はっ!」
ピピピッピピピッピピピッ 目覚ましの音がハルヒを眠りの淵から救い上げる
ハルヒ「一体どんな夢よ!ったく!」
随分と恥ずかしい夢を見た キョンが戦って、他の文芸部員も戦って・・・
死に掛けのキョンにキスをして死の淵から救う 夢らしい夢であると言えた
469:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 21:49:23.95:AXUwytUg0
キョン「ようハルヒ」
ハルヒ「・・・・・・・」
教室を開けマフラーを巻いたキョンの顔が目に留まる
キョンを無視すると椅子を引き、自分の席に着く
キョン「・・・・なんだハルヒ?今日は何時にも増してよそよそしいな」
ハルヒ「・・・・嫌な夢見たのよ」
キョン「夢?」
キョンに夢の話をする 物語を物凄く省き、最後のシーンを語らずに
キョン「そうか・・・・だがハルヒ、そいつは夢じゃないぜ」
放課後、何時ものように文芸部室に向かう
扉を開いて中を覗くと、有希が椅子に座って何時ものように本を読んでいて
教室の隅にの机には液晶モニターとキーボードとマウスが備え付けられていて・・・・穴?
長門「・・・・あ、忘れてた」
壁に空けられた穴を見つめるハルヒ その視線を追いかけるように穴を見つめて有希が呟く
ハルヒ「夢じゃ・・・なかったの?」
そう、昨日の事は本当にあったのだ 宇宙人も未来人も異世界人も超能力者も居た
この文芸部で一緒に部活をして、不思議な自称に出くわして 彼らは私の近くに。確かに存在したのである
────ハルヒ「不思議すぎてついていけない」 完
470:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 21:57:01.77:AXUwytUg0
UGV(Unmanned Ground Vehicle) 無人陸上車両
その歴史は古く、第二次世界大戦時には既にそのようなプランが計画されていた
フランスの工業デザイナー、アドルフ・ケグレスによって設計・試作され、川に沈められ隠匿されていた
フランス占領後にこれを引き上げ調査したドイツ兵器局はその設計図を元にし、最低50キロの爆薬を搭載できる兵器を開発した
12.5馬力を発生させる700ccクラスのガソリンエンジンを搭載し有線による遠隔操作を可能にした無人戦車
第二次世界大戦以後、冷戦による代理戦争が各地で勃発し
冷戦が終わりソ連が開放された後も、民主主義の旗の元に領地を広め続けたアメリカ
植民地の独立開放活動、独立国家の設立
第二次世界大戦後の世界、その世界では前大戦で傷を負った人々と利権を求める人々が戦争を続けていた
しかし、そんな戦争も長くは続かなかった。21世紀初頭に起こったある事件が、人類を絶滅の危機に追いやったのであった
神人、涼宮ハルヒと言う少女が生み出した巨大な生物が世界各地に現れ、文明を破壊し始めたのであった
たった一年、第二次世界大戦であれ程の威力を見せ、戦乱の間進化し続けた兵器郡はこの巨人を殲滅する事はできず
彼等の進行を食い止めるのが精一杯であった 例外として唯一つの兵器が存在したが、この世界の人々にそれを使う勇気など残されていなかった
終わりのない戦いと、数を増す巨人に、前線で戦う兵も、疎開を繰り返す民間人も疲弊し切っていた
閉塞感漂う中でとある計画が立案された 各国、海底にコロニーを作り、そこに移住するという計画
海の底であれば、巨人はやってこれず、疎開を繰り返す必要がなくなるという
もし地上から出ようとする個体が現れたら無人兵器軍で迎撃し、進行を食い止める
その計画の下、各国は海底に巨大な空洞を作って都市を作り、地上に無数の無人戦闘機や無人戦車を配備したのであった
あの大戦終了から100年は経とうとしていたときの出来事である
480:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 23:36:16.54:AXUwytUg0
対巨人進行妨害システム
一つの部隊は6機の無人偵察爆撃機と49機の多脚無人戦車
それを取りまとめる情報集積と解析に特化した1機の有人多脚指揮車で編成されていた
偵察機が防衛ラインに接近する巨人を発見し、先制攻撃を行う
先制攻撃で足止めをしている間に情報を受け取った戦車部隊が巨人の元に向かう
30機の戦車で敵を足止めし、その間に巨大な落とし穴を作って誘導し、穴に落とす
穴に落ちた巨人に一斉放射を行って殲滅する
たった一人の人間になぜそれだけの火力を預けたのか・・・
答えは簡単である、そうでもしないと増え続ける巨人共を押さえ続けられないからだ
一つの部隊に割り当てられる人員の数は整備クルーが5人に指揮官兼パイロットが1人である
481:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 23:53:47.83:AXUwytUg0
・・・・とまあ、前置きはこの辺にして彼女の話に戻ろうと思う 彼女の初陣の話に
管制官「東部方面第十七小隊との連絡、途絶えました!」
基地に設けられた一室、無数のモニターやマイク、
中央に大型モニターが設置され、そこに小隊から先ほどまで送信されていた
戦闘データが細かく表示されていく
室長「・・・・・何が起こった」
夜中に鳴り響いたブザー音に叩き起こされて不機嫌そうにやってきた管制室室長
この整備基地に所属する機体と部隊の管理を行う責任者である
管制官「はい、沿岸部に接近中の巨人にを十七小隊が発見
迎撃に取り掛かるも途中で連絡が途絶え現在に至ります」
室長「向こうとは連絡が取れんのか?」
ヘッドホンをつけてチューナーのダイヤルを回し無線の周波帯域を行ったりきたり
応答を求めるように連絡を求めるも反応はない
管制官「駄目です、短波無線による応答はありません
先ほどまで衛星によるリンクシステムで通信を行っていましたが
悲鳴と共に通信が途絶えました・・・・部隊の生存は絶望的かと・・・・」
室長「さーて・・・どうしたもんかな」
482:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:13:56.67:WSkfc4TO0
部隊長「作戦の概要を説明する」
東の沿岸部で警戒をしていた部隊との連絡が取れず、生死不明なこと
彼らの安否を確認し、戦闘データを記録した指揮車のデータを回収しなくてはならない事
まだ暴れ続けているであろう巨人を発見し次第殲滅しなければならなこと
そして、今この基地には作戦に割ける人員が居らず、殆どの機体が整備中で使える無人機が無い事
部隊長「つまりだ。今回の作戦に我が輸送部隊の諸君が割り当てられる事になった。
今すぐ出せる機体は我々の持ってきた新型無人多脚戦車100機
悪い事に、無人戦闘用の戦闘プログラムがまだインストールされておらず
有人でしか動かせない状態である
我が隊の人員計65名、全員多脚戦車に乗って作戦にあたる事になる
なあに、たいした任務ではない、新型弾頭の使用許可も下りている
各員の検討を祈る!以上、解散!」
モーニングコールのように部隊長に呼び出された輸送部隊の各員と朝比奈みくる
隊員「やれやれ、こんな事になってしまうとはな」
ここに来る道中、車両の中で雑談していた隊員がため息をついた
朝比奈「・・・・私、できるでしょうか?」
隊員「作戦道理やってりゃ死ぬ事はないだろ、ま、やばくなったらとんずらすりゃいいさ」
484:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:37:01.67:WSkfc4TO0
部隊長「全員乗り込んだか!?よし、出るぞ」
日の出前、鋼鉄の野獣の群れが山道を進む
前時代に舗装された道路は、整備される事も無く
アスファルトに出来た隙間から草が生え、道路脇の斜面に草木が生い茂る
痛めつけられたアスファルトの上を4つの足を生やした奇妙な戦車が
長い車列を作って細い山道を駆け下りていく
部隊長「少し狭いがナビのデータどおりに走れば問題ない
それに、こんな所で落ちる馬鹿は居ないだろう?」
左脇、ガードレールのすぐ下は、深い崖となっており、
そこから落ちればたちまち戦車はただの鉄の塊と化すだろう
対向車線、2車線同道と占領して走る多脚戦車
まぁ、こんな時代に山中をドライブしに現れる車両など居ないだろう
みくる「あれ、なんだろう・・・」
2時間程走らせただろうか、平均時速60キロ前後の速度で走り続けた
山道を抜け、廃墟となった市街地を抜け、海岸線目指し進んだ
そして、はじめて見る朝焼けと共にたどり着いた海岸線
みくる「これが・・・・海?」
目の前に広がっていたのは朝焼けが照らす海の姿
朝比奈にとって海を見る事は初めてであり、
その大海原の広さにどこか感動と懐かしさを覚えた
485:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:53:20.41:WSkfc4TO0
部隊「もうすぐ部隊が消滅したポイントに到着する
周辺に敵さんがまだうろついてるかもしれんから、各員気を引き締めて作戦にあたるように」
指揮車から一本の通信が全機に向け送信された
テトラポットや防波堤が囲う海岸線を戦車の車列が進む
新品のボディーを、まだ迷彩塗装を施されていない
防錆塗装されただけの白いボディーを朝焼けが照らす
高繊細マイク越しに聞こえてくる波の押し返す音と風の音
海鳥が車列の頭上を飛んでいく ボトッ・・・
みくる「やぁ!」
左側のカメラに白い液体が降り注ぎ、左側のモニターが真っ白になる
隊員「はっはー!フン喰らったかーwww!」
みくる「わ、笑い事じゃないですよぉ!」
バックカメラで見ていた1人の隊員に笑われる
隊員「そいつは縁起物だぜ?鳥のウン○がかかってウンが付く。迷信だけどな」
みくる「なんですかその迷信、親父ギャグですか?」
隊員「ま、珍しい事じゃない、ただ新品の車両を汚されたのは痛かったかもな」
ウォッシャーをかけてワイパーでカメラにこびり付いた白い液体を落とす
487:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:47:56.28:WSkfc4TO0
部隊長「目的地に到着した、対象の捜索活動を開始する」
脚部の油圧を失って無残な姿で残骸に横たわる無人戦車
ジェネレータを巨人のビーム攻撃で破壊されたのか
しかし、センサーはまだ生きているのか、
こちらの姿を捉えるために楕円形のカメラボックスを回転させてフォーカスを調節しているのが見える
部隊長「どうやら・・・・・ほんのさっきまで戦闘をしていた様だな、
回収班!制御システムが生きている機体からレコーダを回収して状況を解析しろ!」
ビームを喰らって動けなくなっても、唯では爆発しない
制御システムが積まれたコクピットには強固な装甲と
対ビームコーティングが施され、ビーム2発程度ならなんとか耐えられる設計になっている
貴重な実戦データと経験を積んだAIを保守するための堅牢で利口な設計である
何故機体各所にこの装甲を施さないのか、理由は重くなる事とコストが上がる事の2点だけだが・・・・
部隊長「何かわかったか!」
隊員「はい、どうやら近くのビルに隠れて無人機に支持を出していたようです
少なくともパイロットは無事と思われます!」
部隊長「よし!目標が居ると思われるビルに向かう!各員、警戒を怠るな!」
489:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:06:20.01:WSkfc4TO0
一筋の閃光が戦車の群れに向かって飛んでくる
朝比奈「きゃっ!」
車列の真ん中にど真ん中に直撃したビーム
部隊長「各員、機体の状況を報告せよ!」
ビームの直撃を受けた機体が足をばたつかせ、地面に横たわる
損傷したのは一機だけ、どうやらパイロットは無事のようだ
隊員「23番機、敵のビームを回避するも右後ろ足を損傷!
スペアとの交換に3分ほど時間がかかります!」
部隊長「よし!15号機から26号機、23番機の脚部換装作業の支援と警護を行え!
他の機体は俺について来い!2号機から14号機は俺について来い!
27号機から47号機は左翼から回り込め!48号機から65号機は右翼から回り込み
俺達が奴をひきつけている間に一斉掃射をしかけろ!各員、続けー!」
4つに分かれた戦車の群れが、巨人を取り囲むように展開していく
廃墟と化した市街地を4脚の多脚戦車がローラーを回転させながら進み
途中道をふさぐ残骸を脚で上って突き進む
491:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:24:31.36:WSkfc4TO0
部隊長「15号機から26号機!巨人に向けて撃ち込め!
牽制射撃だ、照準は適当でかまわん、撃てー!」
巨人の向かって前進しながら弾丸を発射する
10発の砲弾のうち4発が胴体に命中、
前進してくる戦車に気づいた巨人が戦車を追い詰めるために向かってくる
隊員「左翼展開完了!」
部隊長「よーし!27号機から47号機、掃射開始!ナパーム弾打ち込め!」
20発の内13発程が巨人に直撃すると、巨人の体がジェル状の液体に包まれ燃え始める
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
燃え盛る炎の暑さに体を捩って暴れる巨人
隊員「右翼、精密狙撃体勢にて全機展開完了!」
ビルの谷間から見える17機の戦車
足元にパイルバンカーを撃ちこみ機体を地面に固定する
部隊長「新型弾争点!照準、目標頭部!撃てー!」
巨人の頭部目掛けて新型弾が打ち放たれる
全弾命中、巨人の頭部に巨大なクレーターを作る
部隊長「第弐射、撃てー!」
弐射目が命中するとクレーターは貫通する
493:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:34:45.98:WSkfc4TO0
頭部に致命傷を作った巨人はその場に立ち竦み沈黙する
巨人の体に付着したジェル状の発火剤は未だに燃え盛り、巨人の体を焼く
みくる「や、やりました!」
部隊長「敵巨人の沈黙を確認 戦闘終了 目標の安否確認と回収任務に戻る」
炎と煙を上げて燃え盛る巨人を背にパイロットの居るビルへ向かう
パイロット「・・・・あれは?救助部隊か!お前ら救助部隊が来たぞ!」
整備クルー「やった!やったぞ!これで帰れる!」
ビルの屋上で喜びに浸るパイロットと整備クルー一同
隊員「目標の生存を確認しました!」
部隊長「お前らよくやったぞ!全員生きているそうだ!」
通信による報告で、一同歓声を上げる
みくる「よかった!作戦成功ですね」
隊員「な、運が付いただろ?」
先ほど前方を走っていた戦車のパイロットから通信が入った
海鳥にかけられたフンは勝利を呼び込む幸運の汚れとなった
おわり
494:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:36:15.46:WSkfc4TO0
人生とは、青春とは、その立った一言で全てを台無しにしてしまう事がある
そんな事を今日学んだような気がします
国木田「ちょっとキョン君!初対面の子を困らせたらだめだよ!」
キョン「ん・・・・そうだな。すまなかったな少女」
助け舟がやってきて、この場は切り抜けられる
しかしそんな甘い幻想なんてとっとと捨てるべきでした
国木田「あ、あのごめんね。キョン君昔誘拐された事があってさ。それ以来こんな感じなんだ」
ハルヒ「は、はぁ・・・」
何を言っているのか・・・ なるほど、PTSDという奴ね
キョン「そうだ、君の名前は涼宮ハルヒと言ったな。今後ともよろしく頼む。」
そう、これが悪夢の始まりでした
私は今まで不思議を探してさまざまな事をしてきました
校庭に落書きをしてみたり、教室の机を弄ってみたり、怪しげな雑誌を参考に変な装置を作ってみたり
ですが、そんなものただの子供遊びだったのです
あの、キョンと名乗る少年と出会ってから、何かが崩れ始めたのです
キョン「なあハルヒ、お前部活決めてないらしいな?」
ハルヒ「え、あうん。なんかどの部活もつまらないのよねー」
とりあえずこの少年からはなれるために、いろんな部活を転々としていました・・・が
この少年、私が部活を変えるたびにしつこくついてくるのです
なぜ彼はこんな私にしつこく執着するのでしょうか・・・・
一度説得をもちかけて離れようとしましたが、彼は聴く耳持たず、私にしつこく付きまとっています
キョン「なぁ?好きな部活がないんなら、俺たちで部活を作ってみないか?」
ハルヒ「え?」
キョン「だからさ、俺たちで部活を作るんだよ。不思議な事を探す部活をさ」
何を言っているのかと思いましたが・・・あいにくこの高校にはすでにオカルト研究会があるのです
不思議な事を探すのならオカルト研究会にでも入ってくれればいいじゃないですか?
ハルヒ「ねぇ、キョン、オカルト研究会ってのが」
キョン「でさぁ!部活の名前考えたんだけどSOS団ってのはどうだ?」
ハルヒ「何よそれ」
SOS団 「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」の略称だと彼は説明しています
しかし、こんな恥ずかしいものが作れるわけないじゃないですか!
第一なんで私の名前が入っているんですか?おかしいですよ!
ハルヒ「嫌よ!何でそんなの作らなきゃ・・・」
キョン「善は急げだ。廃部寸前の文芸部ってのがあるらしい!
そこを占拠して我が団の活動拠点にするぞ!」
ハルヒ「や、ちょっとキョン!引っ張らないでよ」
そう、私は魔界の扉に連行される哀れな一少女
不思議な物語は、あの部室から始まったのです
長門「・・・・・誰?」
キョン「俺だ、三年ぶりだな」
長門「侵入者を敵対分子と断定、排除する」
ハルヒ「え?」
彼女が日本語でない何かを唱えると
空間が裂け、そこから槍のようなものが飛び出してきました
キョン「ガード!」
長門「・・・一筋縄ではいかない」
ハルヒ「な、何よ!何でマフラーが盾みたいになってんのよ!」
キョン「随分なご挨拶だな宇宙人!殺す気かよ、俺はお前と話しに来ただけだぜ?」
長門「話す事など・・・無い」
何がなんだかさっぱりです
少女が目にも留まらぬ速さで槍を投げてきたと思ったら
今度はキョンの付けていたマフラーが盾みたいになって私を守ってくれて・・・
キョン「やっぱりお前とは一度決着を付けないとだめならしいな」
長門「・・・部室を傷つけられては困る 操作空間、展開」
キョン「ハルヒ、ちょっと下がってろ!」
ハルヒ「え?あ、はい」
長門「・・・敵勢分子 弐 一体は無抵抗 好戦的な個体を優先的に排除 排除開始」
キョン「同じ手を二度も三度も食らうかよ!ダッシュ!」
ハルヒ「え?あ、マフラー燃えてるって!え?」
キョン「くらええええええええええええええええええええええ」
長門「・・・・甘い」
キョン「情報操作による防壁の構築か、しかも一瞬で」
長門「私の構築した情報操作空間で勝てるわけがない」
キョン「いや、そんなのやってみなけりゃわかんねーだろ!宇宙人さんよぉ!」
キョン「ランス!」
長門「そんな槍で、この防壁を貫ける・・・と」
キョン「うおおおおおおおおおお!貫けええええええええええええ」
長門「無駄・・・・なっ!」
キョン「うおおおおおおお!」
長門「くっ・・・・迎撃」
ハルヒ「キョン!後ろ!」
キョン「なっ!グハァ!」
ハルヒ「大丈夫?キョン!ねぇ!しっかりしてよ、キョン!」
長門「侮れない敵 危険 手加減無用」
ハルヒ「や!槍がいっぱい!囲まれてるわよキョン!避けて!」
キョン「ん、ああハルヒ、生きてたのか。・・・・・シェル!」
一瞬あたりがピカーって光ったんです
そしたら部屋の中が暗くなって、窓も机も椅子も本棚もなくなって・・・
何も無い空間になったんです
長門「・・・・しぶとい」
キョン「そう簡単に負けてやんねーからな、あ、そうだ。俺が勝ったら部室よこせよ!」
長門「・・・・面白い 許可」
それで、キョンが首に巻いてるマフラーがいきなり燃えて
ボルトも速力でショートカットの少女に突進して行ったんです
キョン「ハルヒ、お前の言葉が無かったら危うく致命傷になるところだったぜ。助かったよ」
キョンが殴りかかったら、少女の周りにガラスの壁見たいのなのが現れて
一瞬ピカッと光ったと思ったら、キョンの拳を受け止めてたんです
キョン「おいハルヒ!聞いてるのか!」
で、マフラーが燃えていたと思ったら今度は槍みたいな形に代わって
ガラスの壁に突進して行ったんです
ハルヒ「あ・・・・えっとその、あんたたち何者?」
長門「対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」
キョン「ん?前言っただろ?俺は異世界人だって!」
キョン「さーてと、破損箇所のリカバリーも八割方終わったし、試合再開と行きますか!」
長門「・・・・・防壁展開」
キョン「モード形態ランス 先端部センサー形成 暗号炉と接続 接続完了
解析用アプリインストール インストール完了」
長門「・・・・・・」
キョン「行くぜ宇宙人!その生簀かねぇ壁をぶち貫いてやる!うおおおおおおおお!」
長門「・・・・・・同じ手を何度も何度も、学習していない 迎撃」
キョン「槍が刺さってりゃア!勝機はこっちにある!だりゃりゃりゃりゃ!」
ハルヒ「槍を拳で砕いた!?でも!」
ランス「アンゴウアルゴリズム カイセキカンリョウ」
キョン「だりゃりゃりゃりゃ!しゃぁ!よーし宇宙人!次はこっちの番だ!」
長門「アルゴリズム パターン 変更開始」
キョン「させるかぁ!チェストオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
長門「・・・・間に、合わない」
キョン「貫けえええええええええええええええええええ」
爆発、白煙が立ち上り目の前の視界がふさがれる
ガラスに突き刺さった槍の柄目掛けてキョンがとび蹴りを食らえると
槍はどんどん突き刺さってガラスの壁にヒビが入っていって・・・
それから・・・
ハルヒ「ねぇキョン!大丈夫!返事してよ・・・」
キョン「痛ってぇ・・・ちょっと派手にやりすぎたか・・・」
長門「生体パーツ破損率70パーセント突破、行動不能」
キョン「へへ、どうやら俺の勝ち、みたいだな!」
長門「・・・・・負けを認める、とどめを・・・」
キョン「嫌だね」
長門「何故?壊して」
キョン「嫌だって言ってるんだ。俺はお前に勝った、お前の生死は俺が自由にしていいはずだ」
長門「・・・・・」
キョン「SOS団の団員になれ、これは勝者からの命令だ」
長門「・・・・・わかった」
ハルヒ「な、貴方大怪我してるじゃない!きゅ、救急車!」
長門「・・・・待って」
ハルヒ「え、でもそんな怪我じゃ死んじゃう」
長門「問題ない、修復可能」
ハルヒ「だめよ!そんないっぱい血を流して!」
キョン「なぁハルヒ、そいつ見てくれは少女でも立派な宇宙から来た戦闘マシーンだ
そんな異文明の代物をこの世界の医者に見せたところで治療できるか?
そいつの言葉を信じてやれよ」
長門「・・・・・補足、ありがとう 修復を開始する」
これは現実なのだろうか・・・否・・・いや、私は頭がおかしくなってしまったのでしょうか?
頬をつねってみても周りの景色は変わらず、さっきと同じ現実が私の前に存在していて
ああ、なんで不思議を求めてしまったのでしょうか?私はこんな過激な不思議が欲しかったのでしょうか?
私の通う学園、部活塔に存在した魔界への入り口
異世界からの帰還者と名乗る少年と宇宙人と名乗る少女のアニメチックな戦い
私はその鍵を、私が発したあの一言が不思議の扉を開ける鍵になっていただなんて・・・
そう、まだ肌寒い冬の残滓残る春の一日に私達の物語は始まったのです
みくる「ふふふ・・・まだ、終わりじゃないですよ、涼宮さん」
あの惨劇から早一週間、時が流れるのは早い物で
我がSOS団は傷の癒えた長門有希団員を新たに迎え
文芸部部室を間借りして活動を始めていた
ハルヒ「ねぇキョン、なんで私が団長なのよ!」
キョン「そりゃあお前の為に作った部活だからな」
長門「・・・・・」
ハルヒ「長門は隅で本読んでるし、キョンはキョンで変な機械弄ってるし・・・」
キョン「ああ、そうだった、そういやあお前に話し忘れていた事がある」
ハルヒ「いいわよ、世の中には知らないほうがいいことがたくさんあるってえらい人が言ってたわ」
キョン「え?ハルヒお前不思議な事を探してたんだろ?今から不思議な話を聞かせてやるよ」
キョン「あれは俺が中学生だったころ、まだ普通な人間として生きていた頃だ」
ハルヒ「はいはい、聞いてあげますよ、あんたの与太話」
キョン「学校から帰る途中に変な親父に捕まってな。
車に押し込められて誘拐されちまったんだ。」
ハルヒ「国木田が言ってたわね、キョンが誘拐されたって」
キョン「まあ話せば長くなるから少し省かせてもらうが俺は向こうの世界で色んな物を見てきた
空飛ぶ車や立体映像、アンドロイドやサイボーグ、宇宙に浮かぶコロニー」
ハルヒ「ちょーっとまったー!それってなんかの本で読んだことあるわ!
たしか、『僕私達が夢見る21世紀』の姿って感じのタイトルだったような・・・」
キョン「チッ!」
ハルヒ「チッ!って何よチッって!」
キョン「まあ、俺の行った異世界はその本に乗ってた未来をちょっと暗くしたような内容だった」
ハルヒ「だった・・・・て!誰がそんな与太話信じるもんですか」
その時、誰かが扉を叩いたんです
ああ、なんで扉を開けてしまったのでしょうか
魔界の外はまた魔界
そんな現実を私に教えてくれる出来事でした
みくる「あ、あのぉ・・・文芸部で部員を募集していると聞いて」
ハルヒ「か、かわ・・・」
みくる「え、な、何でそんな目で見つめるんですか」
ハルヒ「かわいい!決定よ!あなたSOS団に入部しなさい!」
みくる「え、SOS団?何ですかそれ、私文芸部に」
キョン「ようこそ、『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団』へ」
いやはや、こんなかわいい子が文芸部にやってきて入部してくれるとは・・・・
っと、有希は少々うれしげな顔をしていた
部員が新入生ただ一人の文芸部、そこにやってきた3人の紳士淑女
長門は私達に入部届けを書かせると、スキップを踏むように軽やかな足取りで職員室に向かった
ハルヒ「ふーん、朝比奈みくる、2年生。私たちの先輩ね」
みくる「は、はい」
ハルヒ「しっかし、ずいぶんと立派な胸をお持ちで。モミモミ!」
みくる「・・・・さわんな下種」
ハルヒ「え?今なんか言った?」
みくる「ひ、ひゃ!そんなところ揉まないでください!」
ハルヒ「そう言われると、余計ねぇ・・・」
ハルヒ「それそれぇー!」
みくる「あ、だめですぅ、やめてください」
長門「・・・・話したい事がある、来て」
キョン「俺か?このネジ、しめてっと。よし」
キョン「ハルヒ、ちょっくら便所行って来るわ」
ハルヒ「ここがええのんかー?」
みくる「そんなー」
キョン「・・・聞いちゃいねぇ・・ま、いいか」
キョン「で、話って?」
長門「・・・・朝比奈、何かおかしい」
キョン「俺たちと同じ、ハルヒが狙いだと?」
長門「・・・・そう」
キョン「なぁ長門、お前は俺の味方か?」
長門「・・・・味方」
キョン「信じていいんだな?」
長門「・・・・時が来るまでは」
キョン「よし、夕方公園で会おう。俺から朝比奈さんにも話しておく」
ハルヒ「じゃあ今日はこれで解散ね。みんなお疲れ様!」
キョン「おう、じゃあなハルヒ」
朝比奈「う・・・うぐ・・・・お疲れ様です」
長門「・・・・・お願い」
キョン「ああ、わかってるよ」
彼女の胸を揉みしだくことのよって私達の間に友情が結ばれたそんな放課後
部活動を終了し長門が部室の鍵を閉めて私達も帰路に付く
ハルヒ「じゃあねー皆!私の家こっちだから」
キョン「ああ、またなハルヒ」
長門「・・・・また・・・明日」
そして・・・
キョン「さて、朝比奈みくる。率直な質問だお前、何者だ?」
長門「・・・・教えて」
みくる「な、何の事でしょうか」
そう言えば聞き忘れていました、あのマフラーの話
全てが与太話であればあのマフラーは存在しないわけで・・・
また明日でもいいかなと思ったけど、ちょっと興味が湧いてきました
ハルヒ「ねぇキョン、ってもう居ないわね」
あいつの家、確かこっちの方角
まだ走って追いかければ間に合うかもしれません
ハルヒ「居た居たー!ん?って、あの三人あそこで何してるのかしら」
みくる「み、み、ミクルビーム!」
ハルヒ「きゃっ!」
キョン「ガード!」
ハルヒ「な、ななな・・・みくる・・・ちゃん?」
長門「・・・・荷電粒子ビーム、危険」
キョン「朝比奈さん、やっぱあんた只者じゃなかったんだな、俺のマフラーに穴あけやがった・・・」
人々が自由に過ごせる公営の土地、公園
確かに自由に過ごせる場所ではあるけれど
あの三人はあまりにも自由すぎた
キョン「大丈夫か!ハルヒ!」
ハルヒ「な、なんとか。間一髪でしゃがんだら避けられたわ」
長門「・・・・・どういう事、朝比奈みくる。貴方の目的は涼宮ハルヒの確保の筈」
みくる「イレギュラー要素の発生に付き、ターゲットの生死は問わないとの命令ですぅ」
キョン「くっ・・・なんでここに居るんだよハルヒ!」
ハルヒ「あ、えっとその、マフラーの話を聞こうと思って・・・」
長門「・・・・貴方に今死なれては、困る」
キョン「同意見だ。長門、あいつを止めるぞ!」
みくる「逃がしませんよぉ、ミクルビーム!」
長門「情報操作開始 防壁 展開」
キョン「持つか?」
長門「・・・・長くは・・・持たない」
キョン「わかった、手早く片付ける!ダッシュ!」
みくる「突っ込んでくる?でも!」
キョン「遅い!この弾速なら避けられる!」
みくる「早い・・・なら!拡散レーザー」
キョン「あたるかああああああああああ」
みくるちゃんの目がピカピカ光ってビームがどんぱち発射されて
燃えるマフラーを首に巻きつけフェラーリもびっくりな速度と
ロータス並な軽快な旋回力で軽々とレーザーを交わして突っ込むキョン
みくる「な、何で当たらないんですかぁ?」
キョン「狙いが甘いんだよおおおおおおおお、うおりゃあああああああああ」
みくる「きゃ!」
キョン「捕まえたぞ!」
みくる「タイム!」
そして・・・・時は止まった
みくる「ふぅ・・・危うく過去の野蛮人達に殺されるところでした。危ない危ない。」
みくる「回数制限あるのであまり使いたくはありませんでしたが、緊急事態ですし」
ハルヒ「・・・・・」
みくる「目標を確保。生存確認。これより回収し・・・」
キョン「ちょっとまったぁ!」
みくる「な、何でこの静止空間で動けるんですか貴方!」
キョン「おれはぁ、異世界人だからなぁ!」
みくる「なっ、なんなんですかぁ!」
キョン「・・・・接続インストール完了 今度はこっちの番!行くぞ!クロックアップ!」
みくる「き、消えたぁ?」
キョン「ここだぁ!」
みくる「きゃっ!」
キョン「おとなしくぅ、お縄につけぇえええええ」
みくる「ほ、ホーミングレーザー!」
キョン「・・・・」
みくる「や、やりました!」
キョン「残念だったな。あれは残像だ!」
みくる「え、きゃあ!」
キョン「俺の・・・勝ちだ」
キョン「で・・・なんで亀縛りなんだ?」
長門「・・・・純粋に」
キョン「純粋に・・・・ねぇ」
ハルヒ「み、みくるちゃん、あんた何者!?」
みくる「・・・・禁則事項です」
キョン「そいつは多分未来人だ。俺と同じ道具を使っていた」
みくる「え、えっとそれ禁則事項」
キョン「が、多分パラレルワールドだろうな。俺の居た次元より悪い所・・・かな」
みくる「・・・・涼宮さん貴方のせいなんですよ、貴方が力を暴走させたから」
ハルヒ「な、何のことかしら?」
魔界の外はまた魔界
不思議の国からは出られない
そう、私の前に現れた不思議な存在たち
何故私はこんな者達を、こんな世界を求めてしまったのだろう
終わりです 読んでくれたみなさんありがとうございました
話は続きますが、やる気が限界に達したのでまた気が向いたら書きます
次書く時は朝倉さんとのバトルとマフラーの設定について書きたいと思います
それではみなさんおやすみなさい
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 04:10:07.82:Wi6JheHoO話は続きますが、やる気が限界に達したのでまた気が向いたら書きます
次書く時は朝倉さんとのバトルとマフラーの設定について書きたいと思います
それではみなさんおやすみなさい
>>41
つづけろよおい
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 03:36:07.54:aiROgguuOつづけろよおい
乙。続き期待してる
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 08:29:54.96:ZbNY+5xAOわくてか
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 18:46:44.08:nvQCoO670キョン「ここは・・・・どこだ・・・・」
???「やっとお目覚めか」
キョン「確か下校途中に変なおっさんに捕まって、車に放りこまれて・・・」
思い出したぞ、このおっさんは俺を捕まえた・・・
いや、この顔どこかで見たような気がするぞ
どこだったかな・・・・・うーんと、何故だか思いだせん
???「あ、あまり俺の顔をじろじろ見るな!」
キョン「ここはどこなんだよ!俺を誘拐して何するつもりだ!」
???「まあ落ち着け。外の景色でも見ろ・・・」
車の窓が開く、するとそこには瓦礫と土煙
不自然な形で潰された車や穴の空いた壁・・・・
そう、焼けた土地 映画やテレビで見たような戦争の跡
キョン「ここ、どこなんだよ・・・何で俺こんなところに連れてこられて」
???「ここはお前の居た町だ、ちょっと未来のな。ほれ、あそこ見てみろ」
線路・・・改札 そうだ、ここは近所の駅
見覚えの店の看板が転がっている
間違いない
キョン「な、何があったんだよ!俺が寝てる間に何が!」
???「ここはな、涼宮ハルヒが作り出した未来なんだ
そして、俺は未来のお前だ」
キョン「未来・・・・の?」
???「ああ、だからお前に、未来を変えて欲しい」
キョン「未来を帰るって、話がまったく飲み込めんぞ」
???「まあこれでも見て落ち着けよ」
未来の俺と名乗るおっさんが、手の平に球体みたいな物を乗せて俺のほうに向けた
ピカッと光ったかと思うと、さっきまで廃墟だった駅前が綺麗な状態に
・・・・あれ?元の世界に戻ったのか?
???「こっからが本編だ」
キョン「な、なんだあれ?化け物・・・・」
巨人がこちらに向かって歩いてくる・・・
邪魔するものは踏みつけて、歯向かうビルはなぎ倒し
人々は慌てふためき逃げ惑い、町は廃墟と変わっていく
キョン「な、何なんだよあれ!町が・・・俺の町が・・・」
???「涼宮ハルヒ、あの女が作り出した幻想の巨人『神人』」
キョン「ふざけんなよ!ふざけんなよあんな化け物!なんとかしろよ!」
???「本来、あいつは現実に存在できるものではなかった。
閉鎖空間から出られる存在ではなかった。」
化け物はただ前進し続けた
俺達の居る駅を目指して前進し続けた
その破壊を尽くす巨歩を食い止められる者はなく、ただただ歩み続けた
いや・・・・居た 人々が逃げ惑う中、たった一人そこに立ち微動だにしない少女が
キョン「何やってんだ!逃げろ!」
長門「・・・・・キャノン」
雲が裂け、一筋の雷光が巨人目掛けて打ち放たれた
巨人は歩みを止め、光の筋が直撃した左腕は焼け落ちようとしていた
長門「第弐射 発射」
もう一撃、一筋の青い光が巨人目掛けて降り注ぐ
巨人「ウォォォォオオオオオオオオオオオ」
雷撃に焼かれ怒れ狂う傷つけられた巨人
長門「・・・・再生、確認」
その言葉に釣られるように彼女の方へ視線を向ける巨人
歩みを再開する・・・怒りを増した歩みは突進に変わる
長門「・・・・スラッグ」
少女の上から電柱のような・・・・いや、あれは銃
柱から脚が出て銃身を地面に固定する
右手でトリガーを、左手を銃身上の持ち手に添えて
長門「発射」
巨人の猛進にブレーキがかかり、後ろに倒れかける・・・が
すぐに体勢立てなおし、歩みを再開する
体には無数の穴が開いている
長門「弐射」
また歩みを止める巨人、穴は先ほどよりも増えている
長門「三射」
長門「四射目」
長門「五射」
穴はどんどん増えていく、銃弾の雨が壁となり巨人の巨歩を食い止める
一歩、二歩、下がり始める巨人・・・・
巨人は銃弾の痛みに苦痛を覚えているのか しかし、それは怒りへと
長門「・・・・・来る」
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオオオ」
銃弾の壁を押しのけ巨人は猛進を始める
もう奴を食い止められる手段は無いのか
少女の持つ銃からは雨粒のように銃弾が放たれ続ける
長門「・・・・・くっ」
少女の目の前、10メートルほどの距離であろうか
巨人は俺達のすぐ間じかに迫っている
巨大な右手が彼女を掴もうと、彼女の身へと近づいてくる
長門「が・・・・はっ」
彼女を掴み上げる巨人・・・・
握られた手からはみ出した彼女の脚と首
長門「うっ・・・うぐぅ」
やめろ
長門「あ・・・・が・・・」
やめろ
長門「・・・・・・・・・」ボトッ
やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
キョン「・・・・またあの夢、見ちまったか」
彼女を握りつぶし、屠った巨人は町を破壊しつくすため歩み続けた
残ったのは土煙と燃え上がる廃墟、逃げ惑い途方に暮れる人々の姿
???「これが未来の姿だ」
キョン「嘘・・・だろ?」
???「ああ、嘘にできるさ。お前が未来を変えられれば、な」
差し出された長方形の紙箱 そこには紺色の布切れが入っていた
???「そいつで未来を変えてくれ、俺達の未来を」
キョン「・・・・ああ」
あの日、俺の小さな戦いが幕を開けた
ハルヒ「キョン!ねぇキョン起きなさいよ!」
キョン「あ、なんだハルヒか」
ハルヒ「なんだって何よ!人を物みたいに扱ってくれちゃって!」
みくる「お茶、飲みますか?」
長門「・・・・・」
居た、思い出の中、夢の中に現れた少女が無傷で椅子に座って本を読んでいた
キョン「なぁ長門」
長門「・・・・・何?」
キョン「いや、なんでもない」
長門「・・・・・そう」
生きている、彼女はここで生き続けている
そうだ、あれは未来の姿だんだ
まだ生まれていない未来の姿、可能性の一つに過ぎない
みくる「お茶、入りましたよ」
彼女もまた被害者である、あの巨人が暴れ続けた未来の先からやってきた少女
キョン「ありがとうございます」
ハルヒ「たくぅ・・・キョンったら」
オカルト誌を読みふけっている破壊神に、分厚い本を読み続ける宇宙人
メイド姿でお茶汲みをしている未来から来た少女
そう、この文芸部部室は薄いSF設定と誰かの夢見た妄想が作り出した魔界と化していた・・・
俺が首に巻いているマフラーはあのおっさんが未来から持ち帰った兵器
装着者の意思に反応し、形状や強度を自由自在に変化させる形状変化繊維
更に様々なオプションアプリを未来のサーバーから落とし、
局地的な戦闘でのサポートを行える武器に変えることができる
修復機能も搭載し、ある程度の損傷であれば瞬時に修復することも可能であり、
また、装着者の身体能力強化や治癒機能強化も・・・
ハルヒ「何ボケーっとしてんのよ!ったく」
キョン「ん?ああ、ごめんな」
ハルヒ「じゃ、今日はこれで解散よ。皆お疲れ」
みくる「あの、何か嫌な夢でも見てたんですか?」
キョン「ちょっと昔の事思い出しちまってな」
あの事件から一週間、朝比奈みくるは多くを語らず
俺達もあまり追求はしなかった
ハルヒ曰く世の中には知らない方がいいことがあふれているのだ・・・と
彼女は少し困惑していたようだ
朝比奈から敵として扱われたあの日、語られた未来の姿
ハルヒ自身が何者なのかと言う話も
俄かには信じがたい話だろう
そして彼女は悟った
自分がこの不思議な現状を作り出した創造主であると言うことを
翌日、下駄箱を開けると一枚の手紙が入っていた
ハルヒ「やっほーキョン」
キョン「ああ、おはよう」
ハルヒ「何々?その手に持ってるのは?封筒、ラブレター!?」
キョン「下駄箱あけたら入ってた。なんだろうな。」
ハルヒ「ちょっと貸しなさい!えーっと
『お話があります、放課後、教室に来てください』・・・・・フフフ」
キョン「勝手に読むなよ」
ハルヒ「キョン、あんたも捨て置けないのね。一体誰かしら」
キョン「・・・・さあな」
昼休み、キョンは今日は部活に出ないと言ってきました
手紙に釣られて放課後の甘いひと時を夢見ていたのでしょう
茶化すつもりではありませんが、私も今日の部活をサボろうと思います
一体キョンに手紙を出したのは誰なのでしょうか?
気になって気になって仕方がありません
ハルヒ「・・・・ちょっと狭いわね。臭いし」
掃除用具の入ったロッカーに篭る私
キョンと送り主が来るのを今か今かと待ちわびています
ハルヒ「来た来た!」
教室の扉が開いて、学生服を来た一人の少女が・・・あれは
青い瞳に青い髪、すらっとした体系に少し大きめなバスト
我が組の学級委員、朝倉涼子である
朝倉「キョン君はまだかしら・・・」
あの子が手紙の主だったのね
しっかしまあ、キョン見たいな変人に興味を示すとは
物好きも居たものである
教室の扉が開き、もう一人誰かが入ってくる
手紙を受け取った少年、キョンである
朝倉「久しぶりね、キョン君」
キョン「ああ、こうやって二人きりで会うのは三年ぶりだな」
朝倉「あの時は有希ちゃんも一緒にいたでしょ?
二人きりってのは初めてじゃないかしら?」
え?何この二人、お知り合いだったの?
しかも結構親しそうな仲・・・知らなかったわ
キョン「で、何で呼び出したりしたんだ?まさか愛の告白か?」
朝倉「そのまさかよ」
キョン「・・・・・」
朝倉「なーんて・・・ね?今日はお仕事の話」
キョン「ほう、仕事の話か・・・・」
朝倉「貴方最近がんばってるみたいね。
有希ちゃんとの戦いに勝ってみたり、未来人さんを倒して仲間に入れてみたり」
キョン「・・・・」
朝倉「まぁ、その辺は許せるわけだけど、何で涼宮さんに色々と教えちゃうのかなーって」
キョン「成り行きって奴だ。見られた物は仕方が無いし、黙っているってわけにも行かないだろう」
朝倉「成り行き、ねぇ・・・それじゃあ困るのよ。私達急進派としては
涼宮さん、貴方達の話を聞いて以降、力の暴走がほとんど起こっていないの」
キョン「なんだ、いいことじゃないか。苦労が減る」
朝倉「それじゃあ困るのよねぇ・・・ 未知の存在による爆発的な事故進化
上はその観測をしたいが為にこんな偏狭の星にやってきたのよ」
キョン「どうでもいい」
朝倉「私達にとっては死活問題なのよ?」
朝倉「観測ユニットとしてこの星に送られた私達。
もしあの子の力が観測できないとなれば、上は本部に帰還して私達はお払い箱」
キョン「・・・・で?」
朝倉「冷たいわね。でも、私だってそう簡単には死にたくないし、上からも何とかしろって言われてるの
だからね、キョン君、貴方を殺して涼宮ハルヒの出方を見る・・・てね!」
な、何言ってんのよ朝倉さん!
右手にでっかいナイフ持っちゃって!
それに、キョンはキョンで何であんなに冷静で居られるのよ!
朝倉「そう言えば今日はマフラー巻いてないのね」
キョン「先の戦闘で大穴明けられてな。修復中だ。」
朝倉「生身で私に勝てると思ってるの?それとも死にたいの?」
キョン「かもな。だが、俺はまだ死ぬわけには行かない」
朝倉「・・・・・そう、じゃあ。殺してあげる!」
朝倉「てりゃ!」
キョン「あぶねぇあぶねぇ・・・」
キョン目掛けて突進してくる朝倉さん
ナイフの先端を突き出す
それをボクサーのジャブをよける様に軽々とよけるキョン
キョン「キチガイに刃物・・・てね」
朝倉「あらあら、心理攻撃?でもね、そんなものじゃ私は怒らないわよ?」
突き出したナイフを引込め、キョンに笑顔で話しかける朝倉さん
だがその笑顔には確かにさっきのような者を感じられた
目を見開き、ナイフを愛しそうに見つめながら刃先をひと舐めする
キョン「可憐な少女にナイフか・・・美しいな」
朝倉「あらあら、見とれてる場合じゃ・・・・無いですよ!」
突き出した刃先、その刃先が突き出されたと同時に巨大化しキョンに襲い掛かる
先ほどのように回避するも、その不意打ちを完全によけられなかったキョンは顔に小さな傷をつける
キョン「やるな・・・・ 殺す気か」
朝倉「ええ!」
朝倉「死んでぇ・・・」
キョンの首筋から一瞬ナイフを離したかと思うと
ナイフの持ち手に両手を添える
朝倉「頂戴!」
横にスライドしたナイフが再びキョンの首目掛けてリバースしてくる
キョン「はっ!」
下にしゃがんで朝倉のスイングを回避するキョン
朝倉「まだまだよぉ!」
スイングした巨大なナイフを上に構えなおす朝倉さん
朝倉「それーそれー」
上から振り下ろしたり、横から裂こうとしてみたり、
突進してナイフを突き刺そうとしてみたり
キョン「思ったより・・・やりやがる」
それをぎりぎりの所で回避していくキョン
果たしてキョンに勝機はあるのだろうか
朝倉「随分としぶといわね、じゃあこれはどうかしらぁ?」
いつか見た光景と同じ、キョン目掛けて四方八方からナイフが飛んでくる
キョン「くそっ!」
長門「・・・・・防壁」
知らぬ間に飛び込んできた長門が何かを唱えると
キョンの周りに水晶のような円形の壁が展開される
そこに目掛けてナイフが突っ込んでくるが、壁にはじかれ床に落ち転がる
キョン「やっとお出ましか、随分と待たせやがって」
長門「・・・すまない、閉鎖空間の暗号解析に手間取った
それから、部室にあったマフラーを」
キョン「すまない長門、助かったぜ!」
長門からマフラーを受け取り首に巻きつけるキョン
キョン「モード形態アーマー 強度を最優先に設定」
キョンが何かを唱えるとマフラーが体中を包む
西洋甲冑を身に着けたような姿になるキョン
キョン「さーてと、反撃開始!」
朝倉「あらあら、随分と素敵な姿になりましたね、それで?」
甲冑を身に着けたキョンが朝倉の方へ
鉄の擦れる音を奏でながらゆっくりとゆっくりと重々しい足取りで
敵に威圧感を与えるようにただただ進んでいく
朝倉「ふざけているの?なら!」
再びキョン目掛けて十数本のナイフが飛びかかって来る
朝倉「フフフ」
しかし、鎧は刺さろうとしたナイフをはじき返す
そして、キョンは何事も無かったかのように歩み続ける
朝倉「その鎧には飛び道具は効かないみたいね!でも!」
再び巨大なナイフを両手で構え、キョンに突進してくる朝倉
間合いを詰めると再び首目掛けてスイングを仕掛ける
朝倉「・・・・え?」
確かにナイフの刃先はキョンの首筋に当たっている
だが、刃は鎧に傷すら付けられていなかった
首筋に当たった部分の刃が欠けてしまっただけだった
朝倉「随分と硬いのね!素敵!」
朝倉「硬いのなら削ってあげればいいのよ・・・」
ナイフを裏返して構えなおす
彼女の手が震え出すと、ナイフも一緒に震え出す
長門「・・・・・超振切り 避けて」
朝倉「せいっ!」
ノコギリ上の部分が胴に触れると火花を上げ、甲冑に傷をつける
朝倉「やっぱりねぇ、これには耐えられないみたいね!」
ナイフを振り上げキョンの頭目掛けてナイフを振り下ろす
朝倉「逝っちゃえ!」
兜にナイフが直撃し、チェーンソーの様に装甲を切り進んでいく
キョン「てや!」
振動する刃先を両手で挟み上げるキョン
キョン「マッスル!」
朝倉「なっ!」
マッスルwwせめて筋力強化と言え
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:12:17.66:nvQCoO670ナイフの刃を勢いよく横に投げつけるキョン
その反動で朝倉もナイフと一緒に横に吹っ飛ばされる
キョン「抜かったな」
朝倉「反則・・・・よ」
巨大なナイフが朝倉の胴に深々と突き刺さる・・・
キョン「俺も甘いな・・・止めをさせないなんて」
朝倉「その甘さ、何時か命取りになるわよ」
長門「・・・独断行動 何故」
少し目を赤くしながら涙を流す朝倉
朝倉「うらやましかったのかなぁ、有希ちゃんのことが
何で敵にそんなに優しくできちゃうのかなぁって・・・」
長門「・・・・・命令違反 バックアップとして失格」
朝倉「有希ちゃん・・・ 私、貴方の事が心配で」
長門「情報結合の解除を申請」
朝倉「だからねぇ、キョン君が羨ましかったのよ」
半笑いで涙を流し、長門に話かけ続ける朝倉
その顔は少し悲しげで、でも満たされているような不思議な顔
長門「申請の許可 確認」
朝倉「これが最後になるのかしら、貴方の事・・・」
長門「情報連結解除 開始」
朝倉「大好きよ 有希ちゃん!」
満面の笑みを浮かべ、最後の言葉を伝える
彼女の体が光の粒子になって消えていく
脚や指先がどんどんと消えていき
残るは彼女の胴と首だけ
朝倉「言い忘れた もし有希ちゃんにひどい事したら化けて出てやるんだからね!
キョン君 さようなら」
彼女は消えた
夕暮れの燃えるような赤が教室に残った二人を照らし続けていた
キョン「・・・・よかったのか?」
長門「・・・・・」
長門は少しうつむくと軽くうなずいた
谷口「WAWAWA 忘れものー ・・・・すまん、ごゆっくりぃ!」
朝倉編、終わりです
読んでくれた皆さん、保守をしてくださった皆さんありがとうございました
途中脱線してしまったり、最後の一撃がへぼかったりと少々手抜きになってしまいました
ごめんなさい
今度は古泉編を書こうと思いますが、今日はもう終わりにします
また気が向いたらスレを立てるので、このスレは落としちゃってください
それではみなさんさようなら
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 23:46:00.25:PdPmOdlz0読んでくれた皆さん、保守をしてくださった皆さんありがとうございました
途中脱線してしまったり、最後の一撃がへぼかったりと少々手抜きになってしまいました
ごめんなさい
今度は古泉編を書こうと思いますが、今日はもう終わりにします
また気が向いたらスレを立てるので、このスレは落としちゃってください
それではみなさんさようなら
このスレでやれ
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 18:59:32.82:L2F8QgAX0運転手「あの、お客さん 貴方どんなお仕事をしているんですか?」
古泉「学生です」
運転手「名前は?」
古泉「古泉 一樹」
運転手「部活は?」
古泉「文芸部入部希望です」
運転手「時間割」
古泉「お昼休み 第一目標、涼宮ハルヒに接触 SOS団に興味がある事を伝える
目標との接触成功後、彼女の案内で文芸部室に向かう」
運転手「ミーティング終了 以後の作戦指示は追ってよこす 健闘を祈る」
古泉「それでは行って参ります」
古泉が参加したか
期待
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 19:36:43.71:L2F8QgAX0期待
5月、春の陽気も暖かく、サクラの樹も花を散らし新芽を咲かせる季節となった
少し汗ばむ陽気、そんな中、未だにマフラーを巻いている少年が居た
ハルヒ「ねぇキョン、何時までマフラー巻いてるの?」
キョン「趣味だ・・・」
ハルヒ「あのさ、見てて暑苦しいから巻くのやめない?」
キョン「お断りだ」
国木田「無駄だよ涼宮さん キョンは小夏だろうが梅雨だろうが真夏だろうが・・・
僕が注意したって一年中それ巻いてるんだ」
ハルヒ「い、一年中!嫌よ見てるだけで嫌になってきそう、それよりそれ匂わないの?」
キョン「嗅いで見るか?」
ハルヒ「いやよ・・・てぇ!こっちに近づけるな!うわやめ!」
マフラーの片恥を右手で持つと私の顔にぐいっと押し付けるキョン
うわ!ばか、汚い、やめ・・・って・・・
ハルヒ「臭くない!なんで!」
キョン「毎日寝る前に洗ってるからだよ」
ハルヒ「それにしたって・・・」
キョン「特殊繊維だからな、汚れの元は勝手に分解してくれる」
国木田「だめだよキョン君!また涼宮さんに電波なこと言って困らせちゃ!」
キョン「・・・・ああ、すまん」
国木田「そういやキョン、涼宮さんと文芸部に入ったんだろ?どんな事やってんの?」
キョン「実を言うと文芸部員って言うのは仮の姿で本当はSO む、もぐもはなせ」
ハルヒ「え、えーとねぇ!そう、SF系の小説読んでるのよ!ね、キョン!」
そう、SOS団なんてものは存在しない 私は文芸部員なのだ
趣旨はオカルト研となんら変わらない
ただ奇異な人々が集うだけの文芸部
「SOS団」など、キョンが勝手に作った裏の看板でしかないのだ
キョン「世界を大い・・・ うっ」
ハルヒ「あ、キョン!トイレ行きましょう!」
キョン「おい!マフラーひっぱるな、苦しい」
SOS団の存在を知る人間は極わずかだ
文芸部部室が魔界と化している
そんな事実を知るものは一部でいい
国木田「仲いいんだなあの二人、うらやましいや」
昼休み、授業で疲れた脳を休めつつ
ランチを取ってリラックスする貴重な時間である
今日は屋上開放デー
日に照らされながらのピクニック気分なランチタイム
ハルヒ「さーって、いただきま」
古泉「涼宮さんですか?」
ハルヒ「え?貴方誰?」
古泉「今日この学校に転校してきました、古泉一樹と申します。」
ハルヒ「で、その転校生君がこの私に何の用事?」
古泉「貴方の事はよく知っていますよ。SOS団の団長でしたよね、前居た学校でも有め」
ハルヒ「・・・・え?」
私のランチは台無しになってしまいました
彼の不意を突く一言によって
左手に持っていたランチボックスは床に転がり、中身が地面に散乱してしまいました
古泉「大丈夫ですか?」
ハルヒ「あ、あな、あなたなんでSOS団のことを知っているのよ!?」
古泉「あれ・・・電話かな、失礼します」
携帯がなって私の方から離れて行く彼 ランチ泥棒
新川「すまない、どうやら目標はSOS団の事を周囲の人間に秘密にしていたらしい」
古泉「つまり・・・・」
新川「諜報部のミスだ、策を考えなくてはならん」
古泉「策なんてあるんですか?」
新川「そうだな・・・・確かSOS団と言うのは目標の一人が作ったそうだ」
古泉「・・・・その目標の少年から話された事にしろと」
新川「ああ またおって連絡する オーバー」
古泉「仕方ありませんね」
何故あの転校生がSOS団の存在を知っているのか
今日、この学校に初めて来た筈の人間なのに知っている
おかしい、これは嫌な匂いがする
古泉「先程は驚かせてしまったみたいで」
ハルヒ「あら?戻ってきたの?」
よくもまあずけずけと戻ってこれたものだ
古泉「お詫びと言っては何ですが、購買のパンを」
ハルヒ「あ、ありがとう。」
古泉「礼には及びませんよ、僕に非があったのですから」
ああ、なんて好青年なのだろう
しかし、この青年からは何となくだけど嫌な匂いが漂っていた
つまり、不思議な香りである
ハルヒ「ところで、あなたなんでSOS団の事を知っていたの?」
古泉「はい マフラーを巻いた少年から聞きました」
ハルヒ「そ、そのマフラーの色って?」
古泉「紺色です」
成る程、キョンの馬鹿が周りに言いふらしていたのね・・・
なんて事だ・・・・私の青春は・・・・
ハルヒ「悪いんだけど、そのSOS団ってのは聞かなかった事にしてくれないかしら?」
古泉「何故です?不思議な事を探しているんでしょう?」
ハルヒ「あ、あのね!そのSOS団ってのはキョンって子が勝手に作った」
古泉「存在するんですね!?面白そうじゃないですか!僕も入りたいんです!」
や、やだ!そんな顔で見つめないでよ!
何か楽しそうな物を見つけた少年のように輝く目
古泉「いいでしょ?ねぇ、いいですよね?」
そんな押されら・・・仕方ないわよね
ハルヒ「わかったわ!そこまで言うのなら、放課後部活棟の入り口で待ってて」
古泉「楽しみにしています、それでは放課後に」
そう告げると彼は私の元を去っていった
今日は厄日だ
あの馬鹿がSOS団なんてものを作ったせいで
いや、開けてはならない扉の鍵を開けたのは私ね
キョン「よう長門、元気でやってるか」
長門「・・・・・」
本から目線をずらさずに軽く頷く長門
キャンプ用のポケットコンロにヤカンを載せてお湯を沸かしている朝比奈
みくる「キョン君こんにちは あれ?涼宮さんまだなんですか?」
キョン「ん?ああ、確か『用事があるから先に行って』と言ってたな
後、何か知らんが起こっていたな」
みくる「用事?何でしょうか?」
キョン「さあな」
朝比奈さんとちょっとした雑談をしていると
部室の扉を蹴破る用にハルヒが部室に突入してきた
ハルヒ「皆お待たせ!今日はお客さんを連れてきたわよ」
古泉「初めまして皆さん、今日この学校に転向してまいりました
古泉一樹と申します。以後、お見知りおきを」
長門「・・・・文芸部、入部希望?」
古泉「ええ」
長門「・・・・入って」
ハルヒ「ちょっとキョン・・・こっち来て」
彼が部室に入ったところでキョンを呼び出す
何故彼がSOS団の存在を知っていたのか
彼が言っていた事は本当なのか、その真意を確かめるために
キョン「・・・何のようだ」
部室の扉を閉め、廊下で小声で話しかける
ハルヒ「今来たあの子、知ってる?」
キョン「知らん」
ハルヒ「SOS団の話、誰かにした?」
キョン「・・・・・した」
ハルヒ「キョン!この馬鹿キョン!それ本当なの!」
キョン「・・・・ああ」
怒りの余り彼の肩を軽く握った拳でポカポカ叩いてしまった
ハルヒ「馬鹿キョン!あんな恥ずかしいもの他人にぺらぺら話さないでよ馬鹿!」
キョン「何かよくわからんが、すまんかた」
謝ってすめば警察はいらない、しかし彼は罪を犯したわけではない
存在するものを言いふらしただけなので罪には問えず、私はただただ怒るしかなかったのだ
長門「・・・・何か問題でも?」
入部届けを握った長門が部室から出てきた
キョン「いや、問題な」
ハルヒ「問題ありよ!この馬鹿キョンったら、SOS団の存在を言いふらしてたのよ!
・・・・もしかして有希、貴方もやってないでしょうね?」
長門「・・・・・無い」
ハルヒ「本当?」
長門「・・・・入部届け、職員室に提出しなくては」
ハルヒ「ちょ!ちょっとまちなさい!」
長門が嘘をつくとは思えない
多分部員が増えてうれしいのだろう
いつかのスキップを踏みながら職員室の方角へ・・・
ハルヒ「はぁ・・・」
キョンのマフラーを引っ張って部室に戻り扉を閉める
ハルヒ「ようこそ古泉君。文芸部へ・・・」
古泉「SOS団、ですよね」
ハルヒ「あ、うん・・・その事なんだけどね、ここは普通に文芸部で」
キョン「何を言っているんだ、ここはSOS団の活動拠点で不思議を」
ハルヒ「だまりゃっしゃい!関係ない一般人を巻き込むなんて駄目よ!」
みくる「そ、その二人とも落ち着いて・・・・」
古泉「電話ですね、ちょっと失礼します」
キョン「待て・・・SOS団の説明を」
ハルヒ「やめなさーい!」
古泉は部室を離れ、部室の中ではキョンとハルヒの喧嘩が繰り広げられていた
古泉「もしもし」
新川「作戦は順調か?」
古泉「はい、文芸部室への潜入と目標全員との接触」
新川「てっきりうまくいかないかと思ったが、第一目標が単純でよかったな」
古泉「ええ、冷や汗物でしたよ」
新川「では、作戦を続けてくれたまえ オーバー」
長門「・・・・何を話している」
古泉「はい、組織の人間と作戦の進行状態について」
長門「・・・・・」
いつの間にか僕の後ろに長門さんが立っていました
少し睨み付けるような目線で僕を凝視していました
古泉「・・・・えっと今のは、軽いジョークですよ、受け流してください!hahaha!」
長門「・・・・やはり、嘘はよくない」
古泉「は、はい嘘はよくないですよね」
長門「・・・・何者?」
古泉「ですから、教転向してきたばかりの」
長門「・・・・違う」
どうやらばれてしまったようです
作戦は失敗、なんと言う失態でしょう
ああ、こんな単純なミスを犯すなんて
でも、この女さえ黙らせてしまえば
古泉「少し、忘れてもらいましょうか」
長門「・・・・・うお!まぶしっ!」
>長門「・・・・・うお!まぶしっ!」
俺の長門はそんなこと言わない
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 21:44:47.44:L2F8QgAX0俺の長門はそんなこと言わない
忘れさせたい時間を入力して
ピカッと光らせ記憶を忘れさせる道具
古泉「・・・ふぅ、これで助かりました」
長門「・・・・どこのB級映画?」
古泉「え?」
長門「・・・・人間に見えて人間じゃない、残念ながら効果は無い」
古泉「しまった!忘れていました!」
そう、この子は確か宇宙人のほうの・・・すっかり忘れていました
長門「・・・・話してもらいましょうか、貴方が何者かを」
ハルヒ「おっそいわねー、古泉君も有希も 何してるのかしら」
キョン「ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい」
みくる「あの涼宮さん?ちょっとお灸据え過ぎたんじゃ」
ハルヒ「このぐらいやらないと反省しないでしょ?まだまだ足りないくらいよ」
そこには顔を腫らせたキョンが立っていた・・・
団長による指導を受けていたのだ
古泉「隊長・・・・ハァハァ・・・作戦失敗です!」
新川「な、何があった!」
古泉「目標の一人に正体がばれました!」
新川「例の機械は使ったのか!」
古泉「ハァハァ・・・・宇宙人には・・・・ハァ・・・効きません!」
新川「これは由々しき事態だ。今、屋上にヘリを回す急げ!」
古泉「ハァ・・・わかりました!」
宇宙人の追跡から全力で逃げる
ここでつかまったら消される!
早く逃げなくては八つ裂きにされる!
屋上へ!とにかく急いで!
古泉「・・・・ハァ・・・ハァ・・・なんとか巻けたようですね」
迂回路を辿ったり寄り道したりトイレに隠れたり
なんとか宇宙人からの追走から逃げつつ屋上にたどり着きました
長門「・・・・・まっていた・・・古泉一樹」
古泉「え、えええええええええええええええええ」
長門「・・・・貴方を見失った後、正面玄関に向かったのでは中と思った」
何故・・・彼女がここに居るのでしょう
長門「・・・・・だけど貴方はB級チック的な道具を出して私をどうにかしようとした」
・・・・終わりだ
長門「・・・・B級映画的に考えると、やっぱり危険地帯から脱出するのに使う乗り物はヘリ」
すっかり見透かされていたようです、宇宙人には適わない
長門「・・・・となると、屋上が正解」
古泉「どうやら僕の負けのようですね。」
長門「・・・・・皆には黙っている」
古泉「え?」
長門「我が文芸部は廃部の危機に立たされていた」
彼女は何を言っているのだろう
長門「しかし、5人目の進入部員が加入すればその危機は回避される」
古泉「・・・・はい」
長門「すぐ目の前にあるチャンスを見す見す逃すわけには行かない・・・
秘密にしておく条件として、我が文芸部に残って欲しい」
ながもんも残念な子だったか
171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 22:13:05.20:L2F8QgAX0こうして、僕の長い一日は終わりました
とりあえず文芸部に潜入する事ができましたが
それと同時に宇宙人に秘密を握られてしまった
ハルヒ「あら?古泉君に長門、遅かったわね」
長門「・・・・部室に戻る途中にばったりあったので、校内を案内していた」
古泉「え、ええ。おかげさまで学校の中を隅々まで知る事ができました」
キョン「ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい」
長門「・・・・それから、彼は今日から我が文芸部の部員になってもらう」
どこかやつれた古泉君と
少し嬉しげな笑みを浮かべる有希が
ハルヒ「そ、そう!よろしくね!古泉君」
みくる「楽しくやりましょうね、よろしくお願いします」
キョン「ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい」
春の陽気に誘われて、新たな仲間が加わった
彼からはどこか不思議な臭いが漂っていた
だが、それが何なのかはまだわからない、またどこかで語る事になるのだろう
こうして厄日な一日は幕を閉じたのです
終わりです。ギャグ要素を強めたためかキャラ崩壊が激しくなってしまいました
ごめんない、閉鎖空間以外で古泉君を活躍させるにはこの方法しかなかったんです!
別に彼や長門が嫌いだったからこんな物を作ったってわけじゃないんです!
本当にごめんなさい
3話目も終わりましたし質問があればお答えします
設定もそれほど煮詰まっていませんが
173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 22:20:17.69:97Ohs2DY0ごめんない、閉鎖空間以外で古泉君を活躍させるにはこの方法しかなかったんです!
別に彼や長門が嫌いだったからこんな物を作ったってわけじゃないんです!
本当にごめんなさい
3話目も終わりましたし質問があればお答えします
設定もそれほど煮詰まっていませんが
ハルヒが「有希」じゃなくて「長門」って呼ぶのは設定?
174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 22:23:40.81:L2F8QgAX0単純に間違えました
175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 22:31:35.77:MMlFj5DX0乙 次も頼むぜ
176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 22:31:48.73:fK15fISMO異世界人枠はキョンでいいの?
177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 22:42:48.03:L2F8QgAX0>>176
原作だと異世界人枠は決まってないみたいだし、キョンで決定ですね
主人公なのに活躍出来ないキョン、彼を主人公らしくするのが当初の目的でした
朝比奈さんとは別の次元を辿った未来、そこから帰ってきたのがキョンと言う事でお願いします
因みにキョンも朝比奈さんも目的は大体同じです
質問ももう無いようなのでこの辺で終わりにします
次回は「キョンと古泉の閉鎖空間編」をお送りいたします
読んでくれた皆さん 保守してくださった皆さん 本当にありがとうございました
次は何時になるかわからないのでこのスレは落としてくれて結構です
191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:13:51.92:6wioEsr9O原作だと異世界人枠は決まってないみたいだし、キョンで決定ですね
主人公なのに活躍出来ないキョン、彼を主人公らしくするのが当初の目的でした
朝比奈さんとは別の次元を辿った未来、そこから帰ってきたのがキョンと言う事でお願いします
因みにキョンも朝比奈さんも目的は大体同じです
質問ももう無いようなのでこの辺で終わりにします
次回は「キョンと古泉の閉鎖空間編」をお送りいたします
読んでくれた皆さん 保守してくださった皆さん 本当にありがとうございました
次は何時になるかわからないのでこのスレは落としてくれて結構です
ひねくれる前のラノベっぽくていいな
209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 18:16:18.17:EYHAQ6sa0テラスにて午後のひと時を楽しんでいる俺
購買で買ったコロッケパンと焼きそばパンにクリームサンド
甘党な自分、販売機でマックスコーヒーを選んで買う
古泉「随分とハイカロリーでバランスの取れていない食事ですね」
キョン「おう、古泉。こんな所でお食事か?」
古泉「いえ、実は貴方に話がありまして」
キョン「はむっ 」
古泉「食べながらでいいので聞いてください」
焼きそばパンに噛り付いていると古泉が何か語りだした
キョン「はむっ!もぐもぐ くちゃくちゃ なんら(なんだ」
古泉「食べながら喋るのはやめてください」
キョン「ほぉ・・・ふはふふはふ(おぉ、すまんすまん」
古泉「・・・・・まあいいです 貴方達の事について少し話させてください」
キョン「ゴクゴクゴク ふぅ・・・・ で、話って」
何時もの営業スマイルをやめ、目を見開いてマジマジとこちらを見つめる古泉
古泉「宇宙人、未来人、異世界人。さて・・・・・足りないのは?」
超ロボット兵器!!
211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 18:28:07.55:hxWga7KM0サイボーグだな
212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 18:30:32.58:4sIhBLo+0力士!
213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 18:32:12.28:mW9uf6DU0俺!
214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 18:36:04.71:rof1lsCaOネコ耳!!
215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 18:41:07.49:EYHAQ6sa0テーブルの上から畳んである紺色のマフラー
それを右手で引っ張り上げて振り回し、カウボーイよろしくの要領で首に巻きつける
首元に巻きついている布を口元に持ち上げて隠す
キョン「超能力者ってとこか・・・」
古泉「つまりその椅子に座るのは僕だってことです」
口元を軽く持ち上げ、さっきと同じようなスマイルに戻る古泉
キョン「てっきりイケメン一般枠の文芸部員だと思っていたら違ったみたいだな」
古泉「まぁ、ここではただの一般人に過ぎませんがね。ですが閉鎖空間の中では」
キョン「・・・・・閉鎖・・・空間・・・・」
ハルヒの作り出した特殊な空間
彼女の不安定な心理状態を爆発させるために現れる巨神
古泉「彼女の作り出した閉鎖空間。その中で神人の暴走を食い止める能力」
キョン「・・・・できるのか?そんな事が」
古泉「百聞は一見にしかず、放課後校門でお待ちしています」
営業スマイルのまま立ち上がると俺の元を去っていく古泉
あんな奴に一体何が出来るって言うんだ
自分がどれほどちっぽけな人間だったか
そんなくだらない事を憂いてあの頃
宇宙人に未来人に異世界人
彼らを作り出したのは私の願望、そんな事を朝比奈さんは言っていた
未来は薄暗く、穴に篭っておびえる毎日だったと・・・
鉄の錆びた臭いと機械油と火薬の臭い
暗い暗い闇の中で巨人の進行に怯えながら、
残された地下鉄を、ディーゼル動力の武装列車で逃げ惑う日々
人々の目は暗く、絶望に満ちていたと
立ち向かう力を持っておらず、一瞬の足止めの後に逃げ惑うだけの日々
やがて地下に作られた巨大なシェルターにたどり着いた人々は再びそこで文明を築き上げたと
怒りに満ちた巨人が地上を闊歩する。その足元、地下深くに作られた穴倉に篭って怯えるように暮らす日々
彼女が現代にやってきたとき、この世界は明るすぎると、華やかで希望に満ち溢れていたて眩しかったと
私の願望によって作り出された未来、その未来を変えるためにこの時代にやってきたのだと
そう彼女は私に語ってくれた
古泉「閉鎖空間が作られる意味、巨人の謎」
合流し、校門前で待ち構えていたタクシーに乗り込む
どこに向かっているのかもわからないが、その道中に古泉が語りだす
古泉「私達機関では彼らの事を神人と呼んでいます」
日が沈みかける夕刻、対向車のライトが眩しく
テールランプが尾を引いて過ぎ去る
古泉「あれは彼女のストレスを解消させるための合理的な方法です」
時々現れる端の繋ぎ目にタイヤが乗り上げると、軽い衝撃を体に感じる
古泉「ですが、それを放って置けば閉鎖空間はどんどん広がって」
カーステレオから流れる流行歌が古泉の言葉を邪魔するノイズのように
古泉「誰かが止めなければ、世界は終わります」
ほとんど聞き流していたが、古泉はそんな感じのことを行っていた
古泉「あれ?起きてます?聞いてます?」
キョン「聞いてるよ・・・あの巨人は破滅を招くだけだ。野放しには出来ない」
古泉「そろそろ・・・ですかね」
車が止まって、左側のドアが開く
オフィス街、人行きかう歩道に光が漏れるビルの群れ
古泉「付いてきてください」
タクシーから降りるとゆっくりと歩み始める古泉
俺はその後を追いかける
古泉「・・・・・ここ、ですかね」
信号機の横に立って何かを探し始める
道路を挟んだ向こう岸の信号を見つめると
古泉「失礼、手を握ってもらえますか?」
彼が真面目そうな顔でこちらを見つめ、手を差し出している
その手を掴むと俺を引っ張り、向こう岸の信号目掛けて走り出した
横断歩道を走っていると一瞬、何か冷たい壁のようにぶつかった
キョン「・・・・ここは」
古泉「閉鎖空間の中です」
暗く冷たい町、光を発していたビルの群れは眠りについたように暗く沈黙し
サラリーマンやOLが歩いていた歩道には俺と古泉しか居らず
薄青く、朝焼け前のどんよりとした空が目の前に広がっていた
古泉「半径五キロメートルのに形成されるドーム上の空間
日常から隔絶された彼女の願望を叶えるための世界
その願望の世界に潜り込む、それが僕に与えられた能力の一つです」
暗く閉ざされた世界、あいつの心の中はこんなにも冷めていたのか
古泉「何時どこに現れるのか判らないランダムな世界
一日おきに現れることもあれば、数ヶ月音沙汰無しということも
ただ、一つ明らかなのは、彼女の心が不安定になるとこの世界が生まれると言う事だけです」
デパートの屋上にて古泉が語っている
しばらく聞いていると何か物音が聞こえてきた
古泉「お出ましですか」
キョン「神人・・・・」
いつか見た巨人がそこに居た
俺の住んでいた町を廃墟へと代えた巨人
古泉「フラストレーションを解消させるための有効な手段ですよ」
ビルをなぎ倒し、町を踏み潰し、破壊の限りを尽くすそれ
古泉「さてと、それでは僕の本当の力をお見せしましょう」
赤い球体にのような物に包まれる古泉
古泉「さて、行きますか」
軽く地面を蹴り上げ宙に浮く
急上昇を続け高々と空に舞い上がった球体
滞空を続け、獲物を見つけた猛禽類のように目の前の巨人に対し急降下で突っ込む
キョン「速い」
敵の接近に気がついたのか
巨大な腕を伸ばし、平手で球体を止めようとする
古泉「貫く!」
目の前に迫る壁、赤い球体の速度が増し、壁に突進する
球体は壁を貫き、そのまま腕の付け根に猛進する
古泉「でやぁ!」
一瞬輝きが増したかと思うと、肩口から先がすぱっと切り刻まれていた
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオ」
伸ばした片手をばっさりと切り落とされ、痛みに震える臣人
古泉「まだ終わりじゃありません」
一撃を加えた球体は再び空高く舞い上がった
赤く光る球体は巨人の頭上をくるくると回り続ける
切られた肩口を残された手で押さえつつ
首を振り回して球体を探す巨人
古泉「チャンス」
隙を見つけたのだろうか
赤い球体は垂直に急降下をはじめる
地面に衝突するぎりぎりの所で高度を上げて膝のあたりに突っ込む
古泉「たぁっ!」
再び強い輝きを放つと膝元がばっさりと切られていた
片足を失った巨人はバランスを崩す
寄りかかって来る巨人の重みに耐えかず
周りの建物はスポンジケーキのように潰されていった
古泉「仕留める!」
地面に倒れた巨人に突っ込む光球
機動を変えて狙いを頭部に合わせ前進する
その時だった・・・巨人の目が光り、ビームのようなものが撃ちだされる
古泉「ぐわぁ!」
キョン「古泉!」
ビームの直撃を諸に喰らった球体は光りを失った
宙に浮いた彼は、力を失ったかのようにうな垂れていた
古泉「・・・」
翼をもがれた鳥のように、飛ぶ力を失って地面に落ち始める彼
キョン「くそ!ダッシュ!」
マフラーの両端が燃え盛るとキョンは走り出した
巨人によって崩された街の残骸
その残骸をよけながら、跳ねながら、少しずつ高度を上げて古泉の方に走り続けた
キョン「間に合えええええええええええええええ」
人間が落下する速度は案外速い
揚力を発生する堆積など無く、ただただ落下を続けていった
キョン「とどけええええええええええ」
後ろに垂れ下がったマフラーの両端が青い炎を噴出し
キョンの体を宙へと押し上げて古泉の落ちる方角へ飛ばしていく
古泉「・・・・貴方ですか」
キョン「無茶すんなよ」
落ちかけていた古泉の左手をやっとの思いで掴みあげた
古泉「助かり・・・ましたよ」
制服の端が少し焼け焦げ、顔に黒い煤で汚れを作っていた
片手を掴み上げただけの状態で、マフラーの推進力だけで空に滞空し続ける二人
キョン「降りるぞ」
巨人の暴走による倒壊を免れたビル、そのビルの屋上に降り立つ
古泉「さて・・・・」
満身創痍の状態ながらも制服の乱れを直す気力は残っていたのか
回復が早いのか無理をしているのか、彼の口が開く
古泉「・・・・どんな手段を使ってでも、あれを倒さなくてはなりません」
キョン「やれるのか?そんな状態で」
古泉「倒さなければ、街が滅びます」
重い手傷を負いながらも、彼の闘志は尽きていなかった
彼もまた一戦士であるのだとその時俺は知った
キョン「手を貸すぞ」
古泉「いいんですか?ですが、僕の出番は取らないでくださいよ」
キョン「奴の弱点は頭部・・・だな?」
崩れかけたビルに持たれかかる巨人
右手と左足を失い、先ほどの暴走とはうって変わって沈黙を続けている
古泉「はい、ですが先ほどのビームの影響で、止めをさせる体力が残っていません」
キョン「・・・・ああ」
沈黙を続ける巨人
あの頭部を潰せば終わる
しかし、迂闊に近づけばビームの直撃を受ける
となると
古泉「僕があいつを引き付けます、その隙に奴の頭部を潰してください」
キョン「いいのか?俺が美味しいところを貰っても?」
古泉「作戦遂行のためにはやむを得ません」
怪我人をおとりに使うのには気が引けるが、どうやら悩んでいる時間は無いようだ
巨人の切り傷が青く光って再生しようとしていたからだ
キョン「暗号炉接続 巨大な敵に対する武器の検索 確認
武装アプリ『シップチェスター』ダウンロード インストール完了」
赤い球体に包まれ、再び空に舞い上がる古泉
巨人の頭部目掛けてゆっくりと近づいていく
彼の接近に反応するとまた閃光を発する巨人
古泉「あたりません」
ビームをギリギリの所で回避し、巨人の視線を引き付ける
キョン「出るぞ!ダッシュ!」
助走をつけてビルの屋上から飛び降りると
マフラーの両端から青い炎が噴出し、キョンを空へと舞い上がらせる
そのまま巨人の頭部目掛けて突っ込み、十数メートルまで距離を積める
赤い球体を落とす事に夢中でキョンの姿には気がついていない
キョン「バスターソード!」
マフラー「モード シップチェスター」
キョンが首からマフラーを取り外し、片端を両手で握る
すると質量保存の法則を無視するかのように
ロボットアニメよろしくなサイズの対艦刀に形を変えた
キョン「切り抜けええええええええええええええ」
巨人の頭に対艦刀がぶつかる
刃の裏側、峰から青い炎が噴出すと巨人の頭部を切り進む
キョン「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
ブーストの推進力で巨人を切り裂いていく
キョン「チェエエエエエエエストオオオオオオオオオオオオ」
そして・・・・・
キョン「斬!」
頭部に直撃を受け、そのまま対艦刀で切り進んでいった
結果、頭部どころか胴体まで真っ二つに切り落としていったのである
古泉「・・・・やりましたね」
赤く光る球体が居た落ちかけるキョンをキャッチする
キョン「お前もよく生き残ったな」
古泉「ええ、この程度で死んでいたら命が幾つあっても足りませんからね」
ビームの雨降り注ぐ中、俊敏な機動によって見事に回避し続けた古泉
古泉「面白い物が見れますよ」
巨人が青い粒子のように細かくなって解けて消えていく
それと同時に空に亀裂が入って、明るい日差しが差し込んできた
古泉「閉鎖空間が消えますよ。これで全てが元通り、と言うわけです。」
地面に降り立つと、そこには見覚えのある景色が広がっていた
何事も無かったかのように綺麗に立ち揃って光りを発しているビルの群れ
歩道を歩くサラリーマンやOLの姿
道路をライトを照らしながら走り去る車やバイク
キョン「戻ってきたのか?」
古泉「巨人の消滅とともに閉鎖空間は消え、破壊された物は元に戻ります」
ボロボロな制服を着込んだ学生が二人
この場にはかなり不釣合いなものに感じられた
と・・・そんなところにさっきのタクシーがやってきた
新川「おやおや、かなり苦戦を強いられたようですね」
古泉「お恥ずかしい限りです。単独戦闘はまだ無理でした」
新川「そう気を落とすな、無事に帰ってこれたんだから
キョン「え?運転手のおっさん、お仲間だったの?」
古泉「はい、僕の所属する機関、そこでの上司です」
ハルヒの閉鎖空間を食い止める
ハルヒが作り出したブレーキ装置である超能力者
その超能力者達が集って行動していると言う「機関」の存材
古泉はその機関の一戦闘員でありエージェントであった
ハルヒ「クシュンッ!・・・・・誰か私の噂話でもしているのかしら?」
終わりです
投稿間隔が長くなってしまってごめんなさい
マフラーがチート過ぎてごめんなさい
わざわざハルヒでやっていい話なのかわからなくなってしまいました
が、今後もこの調子で書いていくつもりですのでよろしくお願いします
次回は「朝比奈の過去とコンピ研部長編」をお送りします
何度も申しますが、気が向いたら書くのでこのスレは落としちゃってください
読んでくれた皆さん、保守してくれた皆さん、本当にありがとうございました
それではさようなら
乙、古泉ちょっとインパクト足らずだな
キョンがアレなんだしもっと過激でもよかったな
246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:45:21.81:Rj/V3s14Oキョンがアレなんだしもっと過激でもよかったな
キョンとみくるは現実世界でもそれなりに戦えそうなのに、古泉は原作どおり閉鎖空間以外じゃ普通の人間なのか
248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 01:39:52.43:SOderUJdOまぁ下手に古泉に属性プラスしたらキョンが主役として目立たなくなりそうだし
250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 02:46:13.34:lBKeCpaoOキョンがちょっと皆に協力的なだけでここまで熱血バトル物になるとは
273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 19:30:30.24:CP9RNqt00近所の公園、深夜2時も回って皆が眠りについたころ
キョン「久しぶりだなおっさん」
ベンチの近くに設置された街灯の光りが二人の人間を照らす
???「おっさん言うな!自分に言われるとスゲーむかつくんだぞ!」
二人の男、背丈や肩幅が少し違うものの
顔の作りや声質はほとんど同じものだった
キョン「そんな老けた姿を見る羽目になる俺の身にもなってみろ」
一人は少年、まだ若々しさが残る
???「悪かったな、人間年が立てばたつほど老けていくんだよ
お前みたいな成長期を終えて居ない奴と比べてな!」
もう一人はおっさん、伸びた髪を後ろで縛って無精髭の見た目35ぐらいの中年
???「まあいい、今日はお前に渡す物があってきた」
肩にかけられたボストンバックに視線を落とす
???「アレの専用洗剤と予備を4枚、それから新しいアイテムを」
キョン「なんだなんだ?随分と気前よく支給品もって来てくれたな」
???「最近は連戦が続いていたんだろ?あのマフラーも消耗品だ」
専用洗剤、洗剤とは言う物の洗浄作用は二の次
この顆粒洗剤を水に溶かし、3時間ほど浸しておけば
マフラーの傷の修復とエネルギーの補給をする事ができる
補給を怠ってエネルギー切れになってしまうと
マフラーはただのマフラーになってしまう
???「ちゃんと毎日洗っているか?」
キョン「命綱みたいなものだからな、あれが無けりゃ生身の人間と変わらんよ」
キョンが戦えるのはマフラーのお陰、非力な人間が異能の力に立ち向かうには
わけのわからない未来の道具を武器にして戦うしかないのである
???「俺がお前の頃は何時もあいつらに頼りっきりだったよ」
キョン「昔話はよせよ、気持ち悪い」
別のベクトルを辿った未来からやって来て未来を変えた中年
ベクトルの分岐点で未来の自分と出会い、世界を変えるための戦いを強いられた少年
二人はまったく同じ人間である
しかしそれはDNA上だけのものであり、辿った時間に起きた出来事に違いがあった
???「俺の仕出かした事、お前に解決させようだなんて悪いおっさんだよな」
キョン「俺は俺だからな、やり直せるんならやり直すしかないだろ」
???「だな、所でおっさんって呼ぶのやめてくれないか?」
キョン「うっせーよおっさん」
辿ったベクトルの違いによって三つのパラレルワールドが生まれた
一つ目
涼宮ハルヒの力が暴走し、2分した思念体の急進派に暴走した力を奪われた未来
穏健派の技術提供によりマフラーが大量に生産され、地上の巨人を駆逐する為に戦う世界
二つ目
不思議な連中が集う文芸部で静かな学生生活を望む彼女が居る今の世界
三つ目
最後の一つ、彼女の力の暴走により超能力者も宇宙人も滅ぼされ、
巨人が地上で繁殖して暴れ続ける新たな生態系を生み出し
生き残った人々が地下に潜って、地上に戻れる日が来る事を夢見る未来
朝比奈みくる、彼女が来た未来はその三つ目である
今日は彼女がどんな世界で生き残ってきたのかを語ろうと思う
深度500メートル、海底から更に200メートル下に巨大な空洞が存在した
陸地で暴れ続ける巨人の猛威から逃れるために作られた文明都市
地上に残された7割近くの人々、その彼らが飢餓や紛争で滅び続ける中、
限られた人間達は海底に作られたコロニーに篭って厳しい統制化の中で暮らしていた
夢も希望も無い世界。地上で戦い続けるか、自由の無い地下で暮らし続けるか
教官「おはよう、ナンバー2014」
地上で暴れる巨人共が海底のコロニーに近づけぬよう
絶対防衛ラインを守るために結成された対抗組織
その組織の基地で彼女は生まれた。
みくる「おはようございます」
旧文明時に作られた遺産、地下鉄
地下鉄網は全国各地に存在し、地上に無人兵器を運搬する為に活用されてた
整備と地下鉄道網の拡張は現在も行われて居る
各駅は前線兵の補給基地と化しており、民間人が鉄道網を使う事はほとんど無い
彼女の居る基地には新兵の訓練学校と、他基地へ輸送する物資を保管する為の倉庫が存在した
今日の任務は地上基地への物資の輸送である
装甲と戦車砲が備え付けられた第一車両 ディーゼル機関で駆動する第二車両と第三車両
足止め用の多脚無人戦車を10機積んだ第四車両から第十四車両
間に挟まれるように連結された護衛部隊を乗せた第九車両
第十五・十六車両は第二・第三車両と同じ機関車、第十七車両は第一車両と同じ武装車両
計十七車両の編成で輸送部隊は組織される
部隊長「積み込み終わったか!」
隊員「後10分ほどです!」
部隊長「急がせろ!護衛部隊は第九車両へ乗り込め!」
各種装備を身につけ、車両に乗り込む朝比奈
しばらくすると物資の積み込みが終わりディーゼル機関が始動する
車両が倉庫から路線に移り線路、前線基地への旅を始めた
隊員「見ない顔だな、新人か?」
みくる「は、はい!」
旅路の途中、一人の隊員と話しかける朝比奈
隊員「随分と若いな、もしかして地上に出るのは初めてか?」
みくる「そうですね、この基地生まれのこの基地育ちです」
見ない顔の隊員、多分他の基地から輸送部隊に配属されてきたのだろう
隊員「上は酷いもんだぜ、廃墟と巨人しか居ないからな」
数十数百体の巨人が闊歩する地上、そこで戦う無数の無人戦車
基地で育った彼女にはまったく未知の世界であった
訓練学校で地上の知識に付いては教えられていたが、実際どんなものかを彼女は知らなかった
隊員「まあ、俺達の任務は地上基地に新品の戦車をお届けするだけだからな
あいつらの任務に比べたら楽なもんだぜ」
みくる「そうですか・・・」
隊員「そう緊張すんなって、目的地に着くのは6時間後だぜ?今から気張ってたら後が持たない」
みくる「は、はい」
彼らを乗せた武装列車は時速40キロの速度で目的地目指して進んでいた
薄暗いトンネルの中を延々と進んでいった
部隊長「そろそろ目的地に到着する、各員装備品のチェックをしておけ!」
5時間ほど立っただろうか、軽い眠りについていると部隊長の大声で眠りから覚める
武器や予備カートリッジの点検、ヘルメットと防具を身につける
部隊長「到着だ!積荷をエレベーターに乗せるぞ!」
ホームに列車が止まると数十名の隊員が駅に降り立つ
各小隊に分かれると無人戦車の乗った車両に移動する
無人戦車にはマニュアル操縦用にコクピットが設けられていた
天井のハッチを開いてコクピットに乗り込む
予備電源のスイッチを入れると各計器が作動する
みくる「計器確認、異常なし、動力炉を機動」
小さな振動と共に戦車に搭載された動力炉が唸りを上げる
みくる「各脚部への供給油圧異常なし、起動完了」
部隊長「各機へ、起動したものから順次エレベーターへ乗り込み地上へ向かえ!」
車両から戦車を降ろすとエレベーターへ向かう
一度に乗せられるのは5機、100機の戦車を20回に分けて地上の倉庫に移動させる
みくる「ふぅ・・・」
エレベーターに乗り込むと一息ついた
ゆっくりと地上に向けて上っていくエレベーター
つい三十数年前までは人類は地上で豊かな生活を送っていた
しかしその平和な生活を送っていた都市は巨人の破壊により破壊され、
地上で文明的な生活を行うには最早困難な状況に陥っていた
エレベーターが止まり、ゲートが開く
アナウンス「第一ゲート開放」
エレベーターを降りるともう一つのゲートが開く
ゲートの先に上に伸びる通路が現れた
みくる「この先が地上・・・・」
傾斜のついた通路を上るタイヤの音
かかとに付けられたローラーが戦車を走らせる
2分程走っただろうか、目の前にゲートが見えてきた
アナウンス「地上ゲート、開放します」
ゲートがゆっくりと開くと同時に、外の日差しが通路の中に差し込んできた
みくる「ここが地上・・・ですね」
青空、はじめて見る世界、ここが地上なのか
草木が生い茂り、土の地面がむき出しの自然
小鳥が木の枝に止まっていた
地下の人工物だらけの空間と比べると、そこはまるで別世界であった
部隊長「倉庫に戦車を移動させろ。新品だ、汚すなよ!」
はじめて見る景色に見とれていると、通信が入って我に戻る
森の中を切り開いて作った土地、そこに巨大な車両基地が作られていた
やっぱ人類居ないと自然戻るか
まあ放射能とか機械の怪物じゃないしな敵さん
293:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 23:06:18.12:CP9RNqt00まあ放射能とか機械の怪物じゃないしな敵さん
オペレーター「輸送任務お疲れ様です、ゲートを開放します」
倉庫の入り口に向かうと、ゲートがゆっくりと開かれた
中に入って少し進むと第3車両庫に到着する
みくる「すごーい、戦車がいっぱい!」
ざっと見るに300両。外装が取り外され、内部の機構が剥き出しになっている
整備員が世話しなく動いて車両の調整を続けていた
オペレーター「輸送部隊の皆さん、後ろの空いてるスペースに適当に停めちゃってください」
車両庫は五つあり、一つの倉庫に最大500両の戦車が保管され、戦闘に備えているそうだ
全車両の運搬を終え、仕事が終わる
明日は古くなった戦車を列車に乗せて基地へと帰還する
古い戦車に乗せられた貴重な戦闘データを本部に持ち帰って解析するそうだ
今日はここに泊まる事になる、食事を終えると4時間ほどの自由時間が与えられた
建物の外に出て、地上の世界を満喫する
太陽の光りが少し眩しく、地下とは違う命の香りが感じられた
整備員「ようねーちゃん、もしかして地上は初めてか?」
みくる「あ、はいこんにちは」
整備員「こんな僻地にようこそ兵隊さん」
5月も中旬暖かく、今日も気持ちのいい陽気の中でランチを食べていた
キョン「ようハルヒ 元気してるか?」
こんな陽気なのにマフラーをきっちり巻きつけた少年
見ているだけで暑苦しい気分を味わえる少年が話しかけてきた
ハルヒ「なによ」
キョン「今日konozamaで注文したパソコンが届く」
ハルヒ「それで?」
キョン「部室にな」
ハルヒ「何よソレ、部費で買ったの?」
キョン「俺の自腹だ、SOS団のホームページを設置しようと思ってな」
ハルヒ「まだそんなものを引きずっていたの?」
キョン「SOS団団長涼宮ハル あがっ」
ハルヒ「やめなさい!恥ずかしい!」
ハルヒの右アッパーがキョンの顎下にヒットする
???「ああ、それから、ネットでパソコン注文しておいたから」
キョン「パソコン?何でそんなものを」
???「俺がまだお前だったころ、ハルヒの奴がコンピ研に乗り込んでな
パソコンを強奪する事件が発生したんだ」
キョン「それは酷い」
???「部長が朝比奈さんを襲っているようなアングルの写真を撮ってそれを脅しに・・・」
キョン「本当か?俄かには信じがたい話だけど」
???「この世界のハルヒは随分と人格人らしいな、いや、あれくらいが普通なのか」
キョン「おっさんの居た世界のハルヒはそんなに酷い奴だったのか」
???「そりゃあもう、我侭で奇抜で好き勝手やって回りに迷惑かけっぱなし
まあ、結構楽しくやれてたからな、いい思い出だ。それよりおっさんって呼ぶのやめてくれない?」
キョン「お断りします」
夜の公園、二人の男が明るいベンチの近くで常人には理解しがたい会話をしていた
教務室で電源の使用許可を貰って、文芸部当てに届けられた荷物を受け取る
長門が注文した本も一緒に荷台に載せ、部室塔へ向かう
古泉「随分と重たいですねこのパソコン・・・」
キョン「無駄にハイスペックだからな」
IBMと言うロゴが書かれた大きめな箱に
モニターと大きめな箱が入っていた
キョン「(パソコン注文したからどんなのかとおもたら、よりにもよってブレードサーバーかよ・・・)」
古泉「これ、パソコンじゃなくてサーバーですよね、こんなの買って何するつもりなんですか?」
キョン「ホームページの作成だ」
古泉「レンタルサーバーを借りずにこれを使うんですか?」
キョン「そういうことになるな」
部室の隅に机を設置し
その下にキャスター付きの黒い箱を設置した
モニターとキーボードとマウスを接続してコンセントを繋ぐ
キョン「さて・・・・なんだこのOS」
サーバー用のOSなのか使い方がまったくわからない
長門「・・・・見せて」
本を読んでいた文芸部部長が立ち上がり、モニターに近寄る
長門「Windows server 一般的なOSではない」
古泉「回線はどうするんです?」
長門「・・・・構内LANがあそこに 繋いでほしい」
部室の入り口、コンセントの隣にLANと書かれたコネクターがあった
サーバーに繋がったLANケーブルを引っ張って入り口近くのコネクターに差し込む
長門「・・・・・・」
長門がキーボードで操作し、初期設定とネットワークの設定を終える
キョン「これで使えるのか?」
長門「・・・・・使える」
翌日、昼食を取り終えて暇だったので部室に遊びに行くと
キョンがパソコンの前でパンに噛り付きながらキーボードを叩いていた
ハルヒ「何やってんのよキョン」
キョン「ああ、ホームページ作ってんだ。SOS団のな。」
ハルヒ「え?」
キョン「だからさ、SOS団のホームページ作ってんだよ」
ハルヒ「あの、キョンさん、ここは文芸部ですよ?」
キョン「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙じ」
ハルヒ「いやああああ!痴漢よー!犯される!助けてー!」
キョン「・・・・・」
ハルヒ「そうよ!SOS団なんて存在しないの!あれは黒歴史なの!」
キョン「にしては変な連中の溜り場と化しているが」
ハルヒ「・・・勝手にしなさいよ!ふんっだ!」
部室の扉をばたんと閉めるとハルヒは部室を去っていった
暖房いらずの部室と化すのか
308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 00:52:01.48:44QwLZvG0ブログ形式のフレームに、ネットで拾ったオカルトチックな話や
それ系のサイトのリンクを貼り付けてページを構築していく
横に連絡先とメールアドレスを乗せて一通り完成する
キョン「後は長門に頼むか」
かじっていたパンを食べ終えて牛乳で喉を潤す
予鈴が鳴ったので部室を後にし教室に急ぐ
放課後部室に戻ると椅子に座って本を読んでいる長門がいた
キョン「なぁ長門、ページ作ったんだが、どうやったら外部から見れるようになるのかわからん」
長門「・・・・・任せて」
モニターに向かうとキーボードを操作し始める長門
長門「・・・・・これで」
キョン「出来たのか?
そこにはブラウザで閲覧できるようになったSOS団のホームページが
キョン「さすが長門だな」
長門「・・・・・サポート料3万」
キョン「またまたご冗談を」
長門「・・・・・ボランティアという言葉は嫌い」
なんとがめつい長門www
310:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 01:08:14.78:44QwLZvG0翌日
午前の授業が終わり、文芸部の部室へ向かう
部室にはつけっぱなしのサーバーが放置されていた
ハルヒ「一体どんなサイト作ったのかしら?」
ブラウザにはSOS団のサイトが
ハルヒ「オカルト系のサイトにしたのね、まあ当然かしら」
スクロールしていてある事に気づく
ハルヒ「背景が殺風景ね、もっと違うものを」
ペイントを立ち上げると何か絵を描き始める
「SOS団」そう書かれた奇抜な絵
ハルヒ「出来た!これを背景に設定してすれば
うーん・・・でも編集用のパスワードが・・・・あれ?」
モニターの縁に付箋が張ってあった
ハルヒ「サイト編集用のパスワードかしら」
ログインページにIDとパスワードを打ち込んでみる
ハルヒ「正解みたいね。これを背景に設定して更新っと!出来た!」
放課後、部室に戻ると長門が本を読んでいた
長門「・・・・ご利用ありがとうございました」
長門に諭吉が三枚入った茶封筒を渡す
まあ、おっさんが作った口座から落とした金だから痛くもかゆくもないが
キョン「さて、一晩たって少しはカウンター回ったかな」
ブラウザを覗くとSOS団のページは文字化けし
ページの背景にサナダムシのような謎の絵が書かれていた
キョン「な、なんじゃこりゃー!」
長門「・・・・問題?」
キョン「お、おい、ページが文字化けして変な風に」
長門「・・・・文字のエンコード・・・正常・・・・?」
キョン「おいどうなってんだこれ?」
長門「・・・・わからない」
ハルヒ「やっほー皆!あ、ねえキョンちょっとサイト弄ってみたんだけどどう?」
キョン「これやったのハルヒか?」
ハルヒ「少しは華やかになったでしょ?」
モニターに駆け寄り画面を覗く
ブラウザには文字化けしてカオスなサイトと化したページが
ハルヒ「な、何よこれ!」
キョン「それはこっちの台詞だ。一体どうやったらこんな表示になるんだ?」
ハルヒ「背景作って設定したのは私だけど、その時は問題なかったわ!」
キョン「それ本当かよ、俄かには信じがたい」
ハルヒ「そ、そうだ!このパソコン付けっぱなしだったでしょ?誰かがこっそり弄ったのよ!」
長門「サイト設定の更新履歴を見るに、最後に編集されたのはお昼休みの一回だけ」
ハルヒ「有希、それ本当?」
長門「・・・・機械、嘘付かない」
ハルヒ「でも私が最後に見たときは正常に見れたわ!きっと誰かが不正にアクセスして改ざんしたに」
長門「構内LANを経由している事を考えれば、セキュリティー的に考えると簡単な話ではない」
ハルヒ「じゃ、じゃあA級ハッカーがやったのよ。このサイトのやばさに気がついて改ざんしたんだわきっと!」
キョン「言い訳が見苦しいぞハルヒ」
ハルヒ「そ、そんな。私は悪くないわ!」
長門「・・・・落ち着いてほしい、これは人為的に起こせる文字化けではない」
その後、ページを一度消して保存していたバックアップを上書きして事なきを得た
長門「・・・復帰完了、今回はサービス」
キョン「助かったぜ長門」
ハルヒ「私の書いた背景が悪かったのかしら?」
などと雑談していると朝比奈さんがやってきて
ハルヒ「あらあら、今日は遅かったわね!」
みくる「テストが立て込んじゃいまして」
ハルヒ「あれ?お客さん?」
朝比奈さんの隣には見知らぬ女性とが立っていた
どうやらSOS団の噂を聞いてはるばる文芸部室にやってきたらしい
古泉「すいません、ちょっと用事を済ましていたら遅くなりまして!
あれ?お客さんですか?」
客人を招き入れると、その後を追うかのように古泉が部室に入ってきた
喜緑江美里 2年生
ハルヒ「行方不明の彼氏を見つけて欲しい・・・と」
喜緑「はい」
ハルヒ「でもね、ここは文芸部よ?探偵紛いの事はやってないし」
キョン「お受けいたしましょう、我がSOS団は世界の不思議を求めて」
ハルヒ「・・・あんたは黙ってなさいよ」
キョン「東中出身涼宮ハル」
ハルヒ「あー!わかったわよ!わかりました!やればいいんでしょやれば」
キョン「と、団長がおっしゃっています。話してくれませんか?」
喜緑「え?あ、はい」
二人のやり取りを見て少し困惑した表情を浮かべる依頼人
少し落ち着くと事件の話を語り始めた
喜緑「彼がもう何日も学校に来てないんです」
ハルヒ「電話してみた?」
喜緑「携帯にも家の電話にも出なくて・・・家まで行ってみたけど留守でした」
彼は一人暮らしで両親は仕事で海外に赴任中
喜緑「夜中に尋ねてみてもまっくらで、私心配で・・・・」
うつむくと顔を両手で覆う彼女
キョン「お任せください。我々がこの事件、解決させていただきます」
ハルヒ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
キョン「ただの人間には興味あ」
ハルヒ「はいはいわかりました!私達にお任せください!
ところでなんでSOS団なんかに?」
喜緑「彼がよく、SOS団のことを話題にしていたんです」
キョンはあの後も懲りずにSOS団の存在を回りに言いふらしていたのだろうか?
ハルヒ「そ、それで?誰?彼氏って」
喜緑「山田です」
ハルヒ「誰だっけそれ?」
喜緑「SOS団とは近所付き合いをしていると聞きましたけど」
どこかで聞いた名前だ・・・
喜緑「彼はコンピューター研の部長を勤めていますから」
コンピューター研の部長、確かおっさんが言ってたな
ハルヒが迷惑をかけたって・・・・
キョン「わかりました、我々にお任せください」
ハルヒ「なっ!」
キョン「宇宙じ」
長門「・・・・窓の外にUFOが!」
みくる「ど、どこですか?」
ハルヒ「・・・・わかりました、その依頼お受けします」
これが悪夢の始まりだった
一階が駐車場になっている平凡な三階建てマンション
そこに彼は住んでいるらしい
文芸部もとい、SOS団メンバー全員でお宅訪問に来たというわけだ
ハルヒ「・・・留守かしらね?」
チャイムを鳴らしても反応は無く、玄関の鍵もしまっている
キョン「ちょっとどいてろ キー」
マフラーの端っこを掴んで鍵穴に近づける
形が変形して鍵穴に入り込むとキョンがマフラーをひねる
ガチャンッと鍵が開く音が小さく響いた
キョン「開いたぞ」
ハルヒ「キョン、ピッキングは犯罪よ?」
キョン「問題ない」
長門「・・・・台詞を」
古泉「お邪魔します」
キョンにの行動には驚いたが
イケメンな文芸部員の筈の古泉君の積極的な一面に少し驚かされた
1DKの一般的な室内
寝室にはベッドと勉強机本棚が設置されていた
ハルヒ「居ない、わね。」
部屋には誰も居らず、荒らされた形式も無かった
キョン「長門、どう思う?」
長門「・・・・両親の居ない寂しさ余りどこかに失踪した」
古泉「なるほど。両親の赴任により破綻した家族
これは日本の経済活動が生み出した弊害、暗部ですよ・・・・」
長門「・・・・悲しい事件だった、彼はもう姿を現さない」
キョン「ああ、俺達はこの悲惨な事件を世間に広く伝える義務があるな」
古泉「ええ」
ハルヒ「ちょっとあんた達!真面目にやりなさいよ!」
長門「・・・・特殊な閉鎖空間、目に見えないように擬装が施されている」
古泉「彼が行方不明になったのもそれが原因だと?」
長門「・・・・・そう、擬装を解除させる」
長門が何かを唱える
すると部屋が一瞬明るくなって
みくる「は、ひぁ」
トンネルを抜けるとそこは雪国だった・・・よろしく
閃光が止まると、目の前には砂漠が広がっていた
驚いて抱きついてきた朝比奈さんの胸が腕を優しく包んだのだった
キョン「閉鎖空間・・・少し違うようだが」
長門「・・・・似て非なるもの、パソコンの履歴を調べていたらSOS団のページがあった
あの背景画像には簡易的な閉鎖空間を作るための不正なアプリケーションが組み込まれていた」
ハルヒ「え・・・・私そんな」
長門「・・・・あなたは特A級のハッカー」
古泉「ここに彼が居るのでしょうか?」
長門「・・・この空間に紛れ込んでいる」
と、どうでもいい雑談をしていると
空間が一瞬ゆがんで巨大な虫の様なものがあられた
ハルヒ「か、かま、カマドウマー!デカ!」
古泉「人家を好んで住み着く虫、コオロギの一種ですね」
長門「この空間の創造主。原因は別、でも発端は涼宮さん」
ハルヒ「あ、あたしぃ!?」
キョン「長門、部長氏はどこに?」
長門「あの悪趣味な着ぐるみの中に閉じ込められていると思われる」
キョン「なるほど、なら話は早い。あの着ぐるみの腹を切り裂いて
中から目標を引っ張り出せばいいんだな」
長門「そう・・・さらにあの気持ち悪い着ぐるみを片付ければこの空間も崩壊する」
キョン「善は急げだ、とっとと片付ける。ソード!」
首に巻きつけたマフラーを外して片端を両手で持ち構える
するとマフラーはRPGに出てくるような剣の形に変わっていた
キョン「害虫は手早く駆除だ!」
剣を引きずりながらカマドウマに近づくと
カマドウマは跳躍する為に身を縮める
キョン「ジャンプした!」
カマドウマは空高く舞い上がり
俺の頭上目掛けて落ちてくる
キョン「あぶねっ!」
着地する寸前に走って避ける
カマドウマは砂煙を上げながら地面に着地した
一瞬の事だった。他の四人が突っ立ってる方に向かって突進したのだ
長門「・・・・防壁、展開」
球状のシールドが展開されて突進の衝撃を軽減させる
みくる「やんっ!」
衝撃と共に発せられた衝撃で朝比奈さんのスカートがめくりあがる
縞パンを履いていた
シールドにぶつかった衝撃で少し後ろに吹っ飛ばされるカマドウマ
キョン「今!」
少しずつ地面に近づいてくるカマドウマ
落下地点を予測し、そこを目指して走る
キョン「ふんっ!」
落下地点で立ち止まり剣の刃先を天に向ける
キョン「切り裂く!」
刃先がカマドウマの外殻に突き刺さり
キョン「ぬぉやぁあああああああ!」
前方に走り出すとカマドウマの腹は見事に切り裂かれた
キョン「斬っ!」
カマドウマの下を走りぬけるキョン
衝撃、切り裂かれたカマドウマが地面とぶつかり砂煙を上げる
古泉「やりましたね」
腹が切り裂かれたカマドウマが砂の上に哀れに横たわっていた
キョン「内臓は出ないんだな。安心したよ」
虫が光りの粒子になって消えていく
古泉「おわりですか」
部長「くっ・・・うう!」
長門「・・・・中の人が出てきた」
よかった、生きているみたいね
そらがピカッと光ったと思ったら
彼の部屋に戻っていました
ハルヒ「ど、どうするのよ!救急車呼んだ方が!」
長門「やめた方がいい、彼は多分診断した医者に対し常人に信じがたい事を話すだろう
精神科に連れて行かれ、統合失調症と診断され、長期入院の処置を施される事間違いなし」
古泉「同意です。最近の医者は医療点数を稼ぐためなら何だってしますからね
患者の信じがたい話を聞けば妄想と捉え、様々な薬剤を投与して治療するのでしょうね
キョン「それは危険だな、直ちにこの場を去ろう」
ハルヒ「ちょ、待ちなさいよあんた達!」
長門「・・・・ほっとけば直る、忘れる 心的外傷後ストレス障害なんてしらない」
みくる「ど、どうしましょう涼宮さん」
ハルヒ「仕方ないわね・・・・とんずらしましょう!」
キョン「で、あのマークはなんだったんだ?」
サーバーの前に座って何かをしている長門に話しかける
長門「・・・・情報統合思念体の亜種
8億年前に船団を離れた集団が先にこの星にたどり着き長い冬眠についていた
数億年後、人類の開発したインターネットの爆発的な発展により生み出されたサイバー空間
そのサイバー空間の中に超圧縮した数キロバイトの自身のデータを流し込んでひっそりと生きていた」
古泉「そのスパイウェアまがいのプログラムが部長氏のコンピューターにいつの間にか常駐していて
涼宮さんの作ったブログの背景を見た事によってあんな大変な事になったと。
しかしコンピューターのプロである彼が、そんな不正な常駐プログラムを見逃すでしょうか?」
長門「・・・・常駐昆虫ムシキングという作者不明のフリーソフト
それがあのカマドウマの正体
デスクトップに常駐するフリーのマスコットソフト
オフィスを起動すると出てくるカイル君みたいなもの」
キョン「ちょっとまてよ、じゃあその常駐昆虫ってソフトを使ってる奴があの背景を見ると・・・」
長門「今回の事件と同じ現象が発生する」
キョン&古泉「な、なんだってー!!!」
長門「・・・・でも安心して欲しい、
あの画像から不正な要素を取り除いて背景に設定しなおした」
キョン「そ、そうか。でも何でまたあの画像を」
長門「団長がせっかく書いてくれた物、使わなければもったいない」
古泉「そうですね、涼宮さんが貴重なお昼休みを潰して書いたものですし」
長門「デバッグと修正に高度な専門知識を使って処理した」
キョン「ま、まさか」
長門「・・・・・30万 要求する ボランティア、嫌い」
こうして、ハルヒの書いたブログの背景によって齎された事件は
未来の俺が作って言った口座から30万を引き出して幕を閉じた
ハルヒ「ふぅーん、ネッシーみたいな首長竜のUMAって、他の地域にも似たような話が存在するのね」
オカルト系の雑誌を読みながら何か独り言を語るハルヒ
そうそう、コンピ研の部長の件だが、今日数日振りに学校に顔を出したそうだ
その顔は少しやつれていた物の、何時ものような元気な振る舞いをしていたらしい
破壊神ハルヒ、あいつの能力はほんとに恐ろしいものだと今回の事件で改めて思った
>>332
あ、このラスト一行で気付いた
このキョン誰かに似てると思ってたら寺生まれのTさんだ
334:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 04:21:01.99:44QwLZvG0あ、このラスト一行で気付いた
このキョン誰かに似てると思ってたら寺生まれのTさんだ
終わりです
もう4時過ぎちゃいましたね
朝比奈さんの過去編書くのに思った以上に時間を割いてしまいました
更にとっても読みにくい怪文を長々と書いてしまいました
ごめんなさい
読んでくれた皆さん、保守してくれた皆さんありがとうございました
次回は未定ですので安心してスレ落としちゃってください
それではおやすみなさい
356:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 20:15:44.84:pwWUA6DQ0もう4時過ぎちゃいましたね
朝比奈さんの過去編書くのに思った以上に時間を割いてしまいました
更にとっても読みにくい怪文を長々と書いてしまいました
ごめんなさい
読んでくれた皆さん、保守してくれた皆さんありがとうございました
次回は未定ですので安心してスレ落としちゃってください
それではおやすみなさい
異世界からの帰還者
宇宙人謹製のアンドロイド
可愛らしいターミネーター
イケメンな文芸部員
彼らは私の願望が作り出した空想の産物
宇宙人、未来人、異世界人
足りないものといったら超能力者 消去法で考えるとやっぱり彼は超能力者なのかしら
文芸部は異能力者の集う魔境とかしている
どうやら私もその一人らしい
ハルヒ「ねぇ、谷口、私って普通の女子高生よね?」
谷口「なんだよいきなり?・・・まぁ、中学のころよりは丸くなったんじゃないか?」
ハルヒ「そ、そうよねぇ!私は普通の女子高生よ」
谷口「ああ、そう言えばこの間教室で文芸部の部長とキョンが・・・あいつら付き合ってんの?」
ハルヒ「そ、そう。あの二人仲いいのよね!」
谷口「ふーん、で、お前はあいつの事好きじゃないのか?」
好き?あいつの事が好きかですって?
年がら年中マフラー巻いて暑苦しくて、喧嘩っ早くてちょっと強い
中学の時は何時も一人だった 何時も奇抜な事をやって、周りから嫌煙されて
ちょっと変な私にしつこく絡んでくれて、何時も守ってくれてた
最初は嫌いだったのよ?でも、あいつと一緒に過ごしていると不思議な事がいっぱいで楽しくて・・・
ハルヒ「な、何言ってんのよ谷口。あんな変人誰が好き好んで」
谷口「なるほど、じゃあお前は今フリーってわけか・・・・どうだ、俺と付き合ってみないか?」
ハルヒ「は?な、何どさくさに紛れて告白してんのよ!冗談は顔だけにしてよ!もう」
谷口「ハハハ、そうそう。冗談だよ冗談!予鈴なったぞ!教室急ごうぜ!」
予鈴がなって一言ハルヒに告げると谷口は教室に向かって走り出した
少し、寂しい背中をしていたような気がした
ちょっと言い過ぎたかしら、ごめんなさい谷口
キョン「よう、ハルヒ」
後ろの席、何時ものようにあいつが座っていて、私を出迎えてくれる
ハルヒ「相変わらず暑苦しい奴ね!もう6月だってのに何時までマフラー巻きつけてんのよ!」
キョン「これは俺の本体みたいなものだからな」
ハルヒ「はぁ?」
少し気が立っていたのだろうか、キョンに強くあたってしまった
異性に対する感情の高ぶりは恋の予兆であるとどっかの携帯小説のような台詞が頭の中を駆け巡る
ハルヒ「言っても無駄ね、熱中症になっても知らないから」
キョン「俺はそんな病にかかるような軟弱者ではない」
放課後、教室でモニターの前に座るキョン
キョン「惑星のありか、月と太陽が重なる時、黒い星が輝きを見せる」
何を探しているのか・・・映し出された絵は朝比奈みくるのコスプレ画像
部室にのロッカーに放置してあったメイド服、先代の文芸部員の忘れ形見であろうか
ハルヒがそいつを見つけるなり、朝比奈さんに着せるという暴挙に走る
嫌がりながら着せられたメイド服
そのメイド服を気に入ったのか、今では文芸部での朝比奈専用ユニフォームと化していた
何時、誰に取られたのであろうか?彼女がよろめいた際に撮影された数枚の写真
その画像がサーバーの中の擬装されたフォルダーに格納されていた
キョン「見つけたぞ、黒い星」
みくる「何が見つかったんですか?」
お盆にお茶を乗せ、モニターの横に近づいてくる朝比奈
折りたたみ机の上にお茶を置くとモニターを覗き込もうと
キョン「いや、なんでも!」
みくる「あれ?私の名前のフォルダー・・・一体何が入ってるんですか?」
キョン「ほんと、なんでもないんで!あ、胸当たってます」
マウスを掴もうと朝比奈が腕を伸ばし、その拍子に俺の背中に巨大なそれを押し付ける
ああ、何と心地のいい感触であろうか、やはり写真より生の感触が一番である
本の虫である長門がその光景に気づくと顔をあげ、こちらを凝視する そんな人をさげすむような目で見つめないで欲しい
いつかの昼休み、まあ数日前の話だが
パンをかじりつつホームページの更新に勤しむ俺の居る文芸部室に一人の来客が
???「お久しぶりです、キョン君」
ナイスバディーなお姉さんが部室の入り口に立っていた
今にもはち切れそうな胸をキツメなワイシャツで包んで谷間を強調させていた
キョン「どなた?」
???「っと・・・まあすぐにはわかりませんか」
彼女は朝比奈みくるの将来の姿だそうで、用件を伝えにやってきたのだそうだ
みくる(大)「この左胸にある黒子が証拠ですよ?」
俺に近づいて胸をチラつかせる彼女、何故こいつはこんなにも積極的なのだろうか?
みくる(大)「うーん、やっぱこの世界のキョン君は私の居た世界のキョン君と少し違うのかしら?」
キョン「まさか、おっさんのお知り合い?」
みくる(大)「おっさん?・・・ああ、あっちの世界のキョン君ね!知り合いというより友達というかその・・・
あ、そうそう!用件なんだけどね!白雪姫って童話知ってるかしら?」
キョン「唐突ですね、不幸な娘が大出世する話・・・その童話が何か?」
みくる(大)「近々また閉鎖空間が発生するわ。でも、何時ものそれとは違う。白雪姫、その時が来たら思い出して」
ドンッ!扉が開くと同時にムスッとした顔のハルヒが体操着姿で部室に入ってきた
ああ、何と気まずいところを見られてしまったのか・・・・修羅場
キョン「あ、あのハルヒ・・・・これはだな」
ハルヒ「・・・・出てって」
怒ってる、ああ、怒らせてしまった。どうしよう
ハルヒ「着替えるから出てってって言ってるのよ!」
目に怒りの炎を燃やしながら俺に近づいてくるとマフラーの両端を掴んでひっぱる
キョン「く、くるし!わかった、出てくからひっぱんな!」
マフラーを引っ張って俺の体を廊下まで引きずる
その体系からは重いもつかない馬鹿力であった
ハルヒ「もうしらない!」
廊下に俺を放り出すとムスッとした顔でそっぽを向けて扉をバタンと閉める
キョン「・・・・やっちまったぜ」
古泉「おや?どうかしましたか?」
古泉「なるほど、それはまずいですね」
廊下に閉め出された俺は古泉に事の経緯を話す
キョン「ああ、あいつを完全に怒らせちまった」
古泉「本当にまずいですよ・・・前に忠告したじゃありませんか」
キョン「人の心は移ろいやすく、何時何が起こるかなんてわからない」
古泉「詭弁です!単に貴方の注意不足なだけじゃないですか!」
キョン「・・・・起こってしまった事は仕方がない、『もしも』なんてありえない」
古泉「やれやれですね」
キョンの奴、なんでみくるちゃんといちゃついてるのよ!
みくる「あ、あの、涼宮さん?さっきのはその・・・」
ハルヒ「何よ・・・」
みくる「ひゃ、ひゃい!」
朝比奈さんにいちゃついたり長門と仲良く会話したり
本当に節操ない奴ね、キョンって・・・呆れたわ
長門「・・・・一波乱 面倒は嫌い」
ハルヒ「ん・・・あれ?ここどこ?」
目覚めるとなぜか私は夜の学校に居た
制服に着替え終わると廊下で深刻な会話をしている二人を読んで部活を再開し
皆別々の本を読んで放課後まで時間を潰した
下校時間を告げるチャイムが鳴ると、後片付けをして解散した
で、シャワー浴びてご飯食べて寝たんだけど
ハルヒ「なんでよ・・・」
何故私はこんな所で目覚めたのだろう
キョン「ん・・・・ふぁあ・・・は、ハルヒ!!」
その隣にはキョンが寝転がって居て、私の存在に気がつくと飛び起きる
何でこいつがこんなところに居るのよ、そして何で私は夜の学校なんかに
ハルヒ「どうなってんのよこれ・・・ここ、どこよ」
キョン「・・・・閉鎖空間、部長氏の部屋で体験したそれ」
ハルヒ「何言ってんのよ!キョン?」
キョン「とりあえず学校を出るぞ、こんなところに居ても仕方がない」
校門に向かって歩き出す
到着して校内から出ようとするとあることに気がつく、ここからは出られないと
目の前にガラスの壁のようなものが現れ、私達の進路をふさぐ
裏口を目指して走り出すキョン
校内の外に出ようとしても、見えない壁が私達の行き先を阻む
キョン「やっぱりな、周囲をぐるっと囲まれている」
ハルヒ「出られないの?」
キョン「・・・とりあえず中に入ろう」
夜の学校、昼間の賑やかな音とは打って変わり
誰も居ない学校は暗闇と静寂に包まれていた
下駄箱まで歩くと、ハルヒが俺のマフラーの端をつかん手来る
キョン「怖いのか?あとそれ、引っ張りのやめてくれないか」
ハルヒ「べ、別に!怖くなんか無いわよ」
強く引っ張り返すハルヒ
キョン「あ、あの苦しいんでほんとやめてもらえます?窒息しちゃいます」
外との連絡手段の確保の為職員室に向かう
ハルヒ「鍵、しまってるわね」
キョン「まかせろ キー」
マフラーの片端を持って鍵穴に近づけると先端が鍵の形に変形し
鍵穴に差し込まれ、職員室の扉を開けることに成功した
事務机に置かれた電話を握り、外に通じるか確認してみる
ハルヒ「駄目ね・・・」
ピーっというトーン音は聞こえず、どうやら回線が切れているらしい
キョン「やっぱ駄目か」
しばらく職員室で考え込んでいるキョン
外の様子が気になった私は窓辺に向かって外の景色を・・・・
ハルヒ「キョン・・・・見て」
外を見下ろすとビルが立ち並ぶ町並みが目に付く
ビルからは光りが発せられず、停電にでもあったかのように街は眠りについていた
ハルヒ「なんなのよ、これ!気味が悪いわ!」
月の光りでもなく、星の輝きでもなく・・・空は青白く薄い光を発して街を照らす
キョン「お茶、飲むか?」
ハルヒ「遠慮しておくわ」
職員室を後にし、文芸部室に向かった。道中、廊下は外の薄い光に照らされていた
ハルヒ「ここはどこで、なんで私こんなところに居るの?よりにもよってなんであんたなんかと!
探検してくる、あんたはここに居て!」
この学校で何が起こっているのか、それを確かめる為に校内を散策しようと思う
行っちまったか 不思議な事に興味がないといいつつ
人一倍不思議を求めて生きてきたあいつ こんな状況ではしゃぐのも無理はない
それにハルヒが自分で作った空間だ ほっといても死ぬ事はないだろう
キョン「ん?」
入れたてのお茶を飲みながら椅子に座ってくつろいでいると
外に赤い光りの玉が現れて、人の形に変わった
キョン「古泉?」
古泉「こんばんは、トラブルメイカーさん」
キョン「もうちょっとまともな姿でこれなかったのか?」
古泉「その事も含め、少し話させていただきます・・・
率直に申し上げましょう。これは異常事態です。」
普通の閉鎖空間なら難なく侵入できるが、今は仲間の力を借りて無理やり中途半端な介入をしている状態
破壊神ハルヒは現実の世界に愛想着かして新しい世界を創造する事を決めたのだそうだ 世界をリセットする
涼宮ハルヒが構築した新しい時空断層、閉鎖空間 もしかすると今までの閉鎖空間は予行演習だったのかもしれない
そう古泉は俺に語った ハルヒの望む世界、そこに閉じ込められたハルヒと俺
古泉「あー、そうそう。朝比奈さんと部長から伝言を預かっています
朝比奈さんは『ごめんなさい!私のせいです』っと
部長からはパソコンの電源を入れてみて欲しい・・・と」
そういや、サーバーが見当たらない
サーバーの代わりに机の上にテレビみたいな物と入力インターフェイスが置かれていた
初代iMac これまた懐かしいものを・・・・
電源を入れると 画面の端っが点滅しだす
_
YUKI.N>Hello! My brother.
・・・・Fack you!
YUKI.N>Oh... miss spell. Fuck you!
kyon>Fuck you!
YUKI.N>Fuck you!
kyon>Fuck you!
YUKI.N>Fuck me!
kyon>冗談はさておき、長門か?
YUKI.N>私、日本語わかんないアル
kyon>で、どうすりゃいい?
YUKI.N>どうにもならない。
情報統合思念体は失望している これで進化の可能性は失われたと
涼宮ハルヒは何も無いところから何かを生み出す力を持っていた
これは思念体も持ち合わせていない能力
この情報創造能力の力を解析すれば行き詰る事故進化の糸口がつかめるかもしれないと考えた
どーでもいいけど、乗りの悪さに失望した もう知らない
kyon>ちょ・・・・待てよ
YUKI.N>バーカバーカ
kyon>
YUKI.N>このコンピューターは30秒後に爆発します 至急退避してください
アップル御用達爆弾アイコン、最後の言葉に俺は生命の危機を感じ、文芸部室を脱出した
部室を出て廊下を疾走すると鈍い衝撃がが俺の体を揺らし
ドーンッと言う爆発音と閃光によって文芸部室は消失した
キョン「あっぶねー・・・マジで殺す気かよ!」
廊下で立ち止まっているとハルヒがこちらに気がついて、何か叫びだした
ハルヒ「キョン、窓窓!外見てよ!」
キョン「ああ、さっき長門のいたずらで危うく死に掛け・・・あ」
窓越しに外を見つめるとそこには青白く光る巨人の姿が見えた
ハルヒ「何よあれ!怪物!?蜃気楼じゃないわよねぇ!宇宙人かも
それか、古代人が開発した超巨大兵器が現代に蘇ったとかぁ!」
特撮映画の怪獣を見てワクワクするよう子供のような声で俺に語りかけるハルヒ
閉鎖空間にあらわれる巨人、それはセットのようなものだ
キョン「逃げるぞ」
ハルヒ「え?ちょっと何?」
ハルヒの手を引っ張って校舎の外に向けて走る
多分あの巨人は校舎を破壊するつもりだ、急がなくてはならん
ハルヒ「うわぁっと!」
巨人による一撃が校舎を直撃き、揺らす
ハルヒ「ねえキョン、あいつ私達を倒す気かしら!邪悪なものには思えないんだけど」
キョン「兎に角ここは危ない、とっとと外に出るぞ!」
どこか嬉しげな顔をしたハルヒの腕を引っ張って校舎の外に走る
キョン「ハルヒ、落ち着いて話を聞いてくれ。ここは願望が作った空間だ」
グラウンドに出るとハルヒが歩みを止めて俯く
ハルヒ「何よ・・・・また私のせい?」
ハルヒは今にも泣き出しそうな顔で語りだす
ハルヒ「何時だってそう、わけのわからない現実を見せられて
文芸部の皆に信じられない話を聞かされて、
私のせいだと言われて・・・・」
キョン「ハルヒ・・・」
ハルヒ「ピンチの時は守ってくれて、ちょっと頼もしいかなって思ったりもするけれど
でも、何時もの時は私を弄って遊んだり、他の女の子といちゃいちゃしたり」
キョン「俺が・・・・悪かった」
ハルヒ「ううん、貴方は何も悪くないわ?それが男の子って奴だもの
それに、こんな世界を作ったのは私なんでしょう?
だからね、キョン、私ここで死のうと思うの」
そういうと、ハルヒは巨人の暴れる方向目指して走り出した
キョン「まて!ハルヒ!」
暴れる巨人の足元に近づき、立ち止まるハルヒ
それを見つけた巨人は暴走を止め、ハルヒを見つめおろす
ハルヒ「殺・・・・して・・・・」
先ほどまで暴れていた巨人は沈黙を続ける
ハルヒ「殺しなさいよ!こんなアタシ、生きてたってしょうがないんだから!」
願望をかなえる能力、その能力のせいで誰かを傷つけてしまった
私の力は皆に災厄を振りまくだけ、そんな力を持つ私に生きる意味なんて
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオオオ」
うめき声と共に握りこぶしがハルヒ目掛けて振り落とされる
キョン「ダッシュ!」
巨人の拳が地面に深々と突き刺さる
ハルヒ「・・・・キョ・・・・ン」
拳が振り落とされている中、ハルヒを捕まえて安全圏まで退避した
キョン「馬鹿な真似はよせ!」
ハルヒ「こんな・・・・こんな私なんかを助けても・・・・いい事ないわよ」
パチンッ!キョンの平手がハルヒの頬を叩き、赤いあとを作る
キョン「お前が居なきゃ!お前が居なきゃなぁ!俺は嫌なんだよ!
ハルヒ!俺はお前の事が好きだ!だからお前を守る!今までも、これからも!」
キョン「ぬぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」
お姫様抱っこで抱えていたハルヒを地面にそっと降ろすと
キョンは目の前の巨人目掛けて走り出す
地に深々と突き刺さった腕を引き抜こうと身悶える巨人目掛けて
キョン「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」
巨人の後ろに回りこむと巨人の脚を端を青く輝やせるマフラーの力を借りて垂直に走って登る
腰を曲げた巨人の背に乗ると首目掛けて走り出し、首のところまでやってくる
キョン「バスターソード!」
マフラー「『シップチェスター』」
マフラーを首から振りほどいて持ち直すと、マフラーは巨大な剣の形に姿を変える
キョン「切り裂けええええええええええええええええ」
対艦刀の裏に備え付けられたブースターの出力で空に飛び上がり
巨人の首筋に狙いを付けて裏返すと刃先を降ろす
キョン「いっけええええええええええええ」
青い炎で峰を燃やしながら首筋にぶつかり、強引な推進力で首を切り進む
キョン「斬ッ!」
ハルヒ「キョン!避けて!」
巨人の首を切り落とした瞬間、何処からとも無く巨大な拳が現れキョンを吹っ飛ばす
キョン「ぐはぁっ!」
もう一体の巨人が現れ、降下するキョンに殴りかかったのだ
グラウンドの方向に吹っ飛ばされるキョンを追いかける
土煙を上げながら芝の上に倒れ伏すキョンが居た
ハルヒ「キョン、しっかりしてよ!」
キョン「あ、何だハルヒ・・・か」
ハルヒ「しっかりしてよ!私を守る為に死んだなんていったら洒落になんないわよ!」
口から血を流し、今にも死にそうな表情で私を見つめる
キョン「泣くなよ、ハルヒ・・・まだ死んだわけじゃない」
ハルヒ「喋っちゃ駄目よ!」
キョン「それに・・・まだ死ねないらしいからな」
キョンが私を見透かすように校舎の方向に視線を動かすと
すると、そこには青白く光る巨人が数体
私の生み出した世界は、絶望に満ち溢れていた
続く
巨人は暴れ続ける、先ほどよりも数を増して
校舎をなぎ倒して破壊の限りを尽くす
ハルヒ「ど、どうしたら・・・ねえ、キョン!私どうしたら!」
この事態を招いたのは私
私の願望が生み出した巨人の一撃によって・・・・
血を流し、死に掛けているキョンが目の前に横たわっている
キョン「あいつらを・・・・倒す!」
ハルヒ「無理よ!そんな体で!」
キョンが傷だらけの体で立ち上がろうとする
しかし
キョン「ぐ・・・・ぅう」
ハルヒ「キョン!」
満身創痍の彼に最早戦う力など残されていない
今行かせてしまったら彼は死んでしまう
・・・・・着信音?
キョン「・・・俺の携帯がなってる?」
制服のズボンから携帯を取り出すと、一通のメールが
送信者:YUKI.N
件名:戦友へ
本文
先程の爆発により閉鎖空間に半径10センチ程の穴が開いた
もしかしたら何かに使えるかもしれない
べ、別にあんたが心配で開けてあげたってわけじゃないんだからね!
爆発の衝撃でたまたま閉鎖空間に穴が出来てしまっただけなんだからね!
・・・死ぬな
メールにはそうかかれていた
穴・・・10センチ程の穴・・・そうだ!
助かったぜ!長門
キョン「ハルヒ、よく聞いて欲しい」
ハルヒ「何?」
キョン「俺はこれからマフラーの機能で急速治癒を行う
この機能を使うと俺はしばらく身動き取れなくなり、マフラーは消滅する」
ハルヒ「そ、それじゃあどうやって戦うの?」
キョン「策がある。今から文芸部部室に予備のマフラーを転送する
巨人を引き付けながらマフラーを確保し、持って来て欲しい」
ハルヒ「・・・・わかった、私、行ってくるわ!」
本当はこんな事ハルヒにさせたくはない
だが、このままここで倒れていても、二人ともここで犬死するだけだ
キョン「これは賭博と変わらんが・・・ ハルヒ、死ぬなよ!」
数体の巨人が暴れる校舎に向かって走る
外から見るに文芸部部室はまだ無事のようだ
ハルヒ「きゃぁ!」
校内に入ると、一撃が校舎に放たれて揺れる
ハルヒ「急がなきゃ!」
先ほどの衝撃で倒れるも立ち上がり部室棟に向けて走り出す
巨人の動く振動で、巨人が壊す衝撃で
揺れる校舎の中を全力疾走で走りぬける
何時も守ってくれたあいつのために
ハルヒ「こんなの、どうってことない!」
途中、校舎が崩れ、廊下が途切れていたが
幅跳びの要領で助走を付けて向こう岸に飛び移る
こんなどうしようもない私の為に戦ってくれる彼を
ハルヒ「まってなさいよ!キョン!」
どうしようもない私を愛してくれるキョンの為に
ハルヒ「文芸部部室、まだ残ってる!」
部室のドアを蹴破って中に入る 壁には穴が空いていた
部屋の爆発の後だろうか、散らかっていた部室内
ハルヒ「・・・・マフラーはどこ?」
瓦礫の中を探すもマフラーは見当たらない
ハルヒ「ん?穴が光ってる?」
壁に開いた穴を覗いていると、白い光りの点滅と共に静電気のような青い火花が飛び散り
ハルヒ「きゃあ!」
穴から紺色の布のような物が飛び出し、私に飛び掛ってくる
ハルヒ「うわ!・・・てぇ、これ。キョンのマフラー?」
紺色の長めなマフラーが4枚
ハルヒ「これを持ってあいつの所に!」
マフラーを畳んで脇に挟むと部室を飛び出して廊下を走る
ハルヒ「間に合って!」
あいつにこのマフラーを届ける
それが今私に出来る唯一彼を救う方法
ハルヒ「何よ・・・これ・・・」
先ほど飛び越えた崩れかけの廊下は更に崩れ、飛び越えられる距離では無かった
現実は非情である・・・全ての努力が報われるとは限らない
ハルヒ「・・・・どうしよう」
何か、何か方法は無いのか、ここを迂回して外に出る方法・・・
ハルヒ「でも、行かなくちゃ!」
そうだ、非常階段があるじゃない!そっちから外に出て
ハルヒ「駄目・・・なの?」
非常階段は巨人の攻撃により破壊され、途中で途切れている
ここを降りるには無理がある
ハルヒ「・・・・そうだ!」
マフラーの端同士を作って一本のロープの様にする
螺旋階段の手すりにマフラーの端を結ぶ
ハルヒ「怖いけど・・・・やるしか!」
マフラーを地面に垂らし、垂らしたマフラーを掴んで下に降りる
ハルヒ「きゃあ!」
巨人の一撃によって校舎が揺れる その拍子にハルヒの手がマフラーから離れ地面に落ちる
ハルヒ「キョン・・・ごめんね。私何にも出来なかった」
キョン「・・・・・ヒーリング」
マフラーがキョンの体中を包み、繭のようなものを形成する
その繭は薄い発光を繰り返し、繭の中では何か行われているようだった
キョン「これで愛着の一品ともおさらばか」
3年の間、毎日首に巻きつけていたマフラーは繭が消滅すると共に
千切れる繊維となって消えていった
キョン「さて・・・・ハルヒの奴大丈夫かな」
繭から現れたキョン、先ほどの死に掛けな姿が嘘のように
どこかの仙豆でも食べたかのような健康的な姿で再び現れる
両手を広げて体を軽く捻ると、部室塔がある方角へ走り出す
キョン「あれは・・・ハルヒ?」
途中、崩れ掛けの非常階段からロープを伝って、下りようとするハルヒの姿が目に止まる
キョン「無茶しやがって」
ハルヒの元に走って駆け寄る
ハルヒ「・・・・え?」
地面に落ちる強い衝撃が体を襲うものと信じていた
だが、予想とは裏腹に背中と膝に棒のような2本の感触を感じる
キョン「惜しかったな、後ちょっとで死ねたのに」
ハルヒ「・・・・キョン!あんた大丈夫なの?」
キョン「ああ、お前が巨人をひきつけて時間かせいでくれたおかげでな」
校舎に巨大な一撃を加える敵、その衝撃の影響で落ちてくるハルヒ
下で見ていたキョンはハルヒを手際よくキャッチした
キョン「中々に素晴らしい脱出方法だが、これでは何をしに行ったのかわからんな」
ハルヒ「あ・・・ごめんなさい」
手すりに巻きつけられたマフラー
これでは当初の目的は・・・・
キョン「冗談だ、よくやってくれたよ」
垂れ下がるマフラーに触れると、結ばれたマフラーは解け、地上に落ちてきた
キョン「ありがとよ、ハルヒ」
キョン「ここは今から戦場になる。
お前がここに居ると好き勝手暴れられないんでな
ちょっとグラウンドで待っててくれないか?」
ハルヒ「・・・しかたないわね!待ってりゃいいんでしょ!」
ちょっと不機嫌そうな顔で地に足をつけ、グラウンドへ歩き出すハルヒ
キョン「さてと・・・新兵器の効能、ためさせて貰うか」
ズボンの右ポケットに手を突っ込んで何かを取り出す
取り出した腕時計のようなものを左手に巻きつける
キョン「アプリローダー起動 マフラー1から4を制御下に登録 確認」
腕時計の脇に備え付けられた四つのボタンを操作し
モノクロのバックライト付き液晶に表示される文字を見つめ、読み上げる
キョン「1番を鎧に 2番を推進器に 3番をガトリングキャノンに
4番をシップチェスターに ・・・・設定完了」
マフラー1「アーマー」
一枚のマフラーがキョンの体に巻きつき、西洋甲冑のような姿に代わる
マフラー2「ダッシュ」
甲冑の首元にマフラーが巻き付き、後ろになびいた両端が青く燃え上がる
装備四つとは豪勢だな
待機時につけてると完璧不審者だがw
422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 21:37:55.91:f++PuOGK0待機時につけてると完璧不審者だがw
マフラー3「ガトリング」
左手に握られたマフラーは盾のような物に形を変える
盾の内側には、6門の砲が備え付けられた一本の筒
ジェネレーターとキャパシターが取り付けられ
数本のパイプで各機器を直結させる
マフラー4「シップチェスター」
右手に握られたマフラーが剣のようなものに形を変える
何時もの奴と比べるとサイズは物凄く小さくなっているが
刃の峰に取り付けられた噴射口が何時ものフォルムをかもし出す
キョン「装着完了」
甲冑の姿が威圧感を与え後ろで燃え盛る青い光りが背中を照らす
左手に持たれたシールド モーター音と共に取り付けられたガトリングの砲筒が回りだす
キョン「行くぜ!」
校舎を破壊して暴れつづける巨人
一体の巨人に向けて、回り続ける砲筒を向ける
キョン「ファイヤッ!」
砲等から赤い光弾が放たれ、巨人の頭部に直撃する
巨人「ウォオオオオオオオオオオ」
着弾すると巨人が攻撃を休め振り向き、こちらに向かって歩みだす
キョン「でやああああああああああああああ」
巨人の頭部に光弾の雨が降り注ぐ
キョン「まだまだああああああああああ」
光弾の雨が頭部を削り、巨人の顔にクレーターを作る
キョン「撃ち抜けええええええええええ」
顔に作られたクレーターが深さを増し
一つの光弾が巨人の頭部を打ち抜く
キョン「うおおおおおおおおおおおおおお」
空に無数の光点が打ち上げられる
頭部に穴が開き、巨人の歩みは止まった
キョン「まずは一体!」
目の前で暴れ続ける7体の巨人
全滅させなければ世界は眠りにつく
キョンの孤独な戦いが今始まった
一体目を倒し一息ついていると、東から一本の閃光が飛び込んでくる
それに気がつくと、飛び込んでくる方向に左手を向け盾を構える
キョン「このくらい・・・・何てことないな」
巨人を確実に仕留められるガトリング胞
巨人のビームを難なく弾く強固な盾
キョン「今度はこっちの番!」
ビームが放たれた方向へ走り出すキョン
キョン「囲まれている!?しかし!」
7体の巨人がこちらに振り向きビームを乱射してくる
キョン「そんなもんで今の俺が倒せるか!」
青い閃光を回避しつつ目の前の巨人に進撃を続ける
何発かビームが当たるものの、鎧と盾がそのビームを防ぐ
キョン「飛べえええええええええええええええ」
巨人の目の前にたどり着くと跳躍し
後ろで燃え盛るマフラーの推進力と
右手に握られた対艦刀の推進力で空に高く舞い上がり
キョン「斬っ!」
巨人の頭上まで高度を上げると右手の刀が巨大化し、巨人の首を切り落とす
キョン「残り 六体!」
地に落ち行く中マフラーの青い炎が光を増して再び空に舞い上がる
キョン「後ろが丸明きだ!」
一体の巨人の背中に残っていた高さ数メートル校舎の残骸
残骸に飛び移ると盾を構えなおし、ガトリング砲が光弾を吐き出す
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオ」
振り向く暇も与えず、巨人の頭部が撃ち抜かれる
キョン「残り五!」
キョンは戦い続けた
暴れまわる巨人、ビームの閃光が降り止まぬ廃墟を疾走し
砲筒から放たれる赤い光弾で巨人の顔に穴を開け
巨大な刀で巨人の首を切り落とす
そして
キョン「残すは後二体・・・か・・・」
時計大の上で息を切らすキョン
頭部を失って廃墟に倒れこむ6体の巨人の死体
キョンと交戦を続ける残り2体の巨人
キョン「ジェネレーターのオーバーヒート キャパシター内のエネルギー、残量ゼロ
背部推進器 シップチェスター エネルギー切れ」
何も考えずにバカスカ暴れて、エネルギー配分なんて考えていなかった
これはミスだ・・・マフラーが使えなきゃ俺はただの人間だ
キョン「くそっ・・・どうする!」
時計台の上で立ち竦むキョン
そこに・・・
古泉「僕達の出番、取っておいてくれたんですね」
長門「・・・・応戦に」
みくる「だ、大丈夫ですかぁ?」
いる筈のない連中が俺の後ろに立っていた
キョン「どういうことだ!入ってこれなかったんじゃ!」
長門「・・・・閉鎖空間の強度が低下した」
古泉「文芸部に明けられた穴を僕の能力で広げ、ここまで3人でやってきました
多分、貴方が神人を数体倒した事によって、僕の能力で入れる状態になったのでしょう」
みくる「あたし!戦います!キョン君はここで休んでてください」
ピンチヒッターとしてやってきた文芸部のメンバー
ありがとう皆、後は俺の代わりに楽しく暴れてくれ
おお人外魔境の仲間達と共闘熱いな
432:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 22:48:00.62:f++PuOGK0会話を続けていると、一筋の閃光が彼らのいる方向へ飛んでくる
キョン「あぶねぇ!」
長門「防壁」
長門が瞬時に展開した防壁がビームを弾く
みくる「み、み、みくるビーム!」
朝比奈さんの目がピカッと光り、極太の荷電粒子砲が放たれる
頭部に浴びせかけられたビームが、巨人の頭部を蒸発させる
古泉「それでは僕も!」
古泉が赤い光球に包まれると地を蹴り上げ、空高く舞い上がる
古泉「行きますよ!」
残された一体の巨人目掛けて赤い光球が押し寄せる
右足の付け根辺りに飛び込むとピカッと光って足を切り裂いた
古泉「止めを!」
右足を失い倒れ掛かる巨人
ハルヒ「何よこれ・・・・」
倒れ掛かる巨人の頭部に赤い光球があたり、貫いた
古泉「終わりですね」
全ての神人が倒された 校舎の残骸がその戦いの激しさを物語り
8体の巨人の残骸が地面に倒れ伏せていた
「ただの人間には興味がありません。
宇宙人、未来人、異世界人、超能力者が居たら私のところに来なさい。
以上。」
何時の台詞だろうか、あの台詞が不思議の扉を開ける鍵であった
その言葉に導かれるようにしてやってきた4人の異能なる者達
彼らはその証拠を私に見せ付けるかのように、8体の巨人を打ち滅ぼした
彼等が一体何者で、何のためにここに居るのか。ただの人間ではない事は明らかであろう
ハルヒ「不思議すぎてついていけない」
終わり
読んでくれた皆さん 6日間もスレを保守してくれた皆さん 本当にありがとうございました
これにて熱いキョンの戦いと暑苦しい原作レイプは終了いたしました
極力キャラを立たせようとがんばってみたのですが、度が過ぎたようでごめんなさい
今読み返してみると誤字脱字、読みにくい文章だらけで本当に酷いですね
こんな駄作を延々と読ませてしまった皆さんに謝罪します
最後まで読んでくれて、本当にありがとうございました
もし明日スレが残っていたら「朝比奈みくる居た世界の続きとエピローグ編」をお送りします
それでは皆さんお休みなさい
435:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 23:07:24.70:DTrZnsx00これにて熱いキョンの戦いと暑苦しい原作レイプは終了いたしました
極力キャラを立たせようとがんばってみたのですが、度が過ぎたようでごめんなさい
今読み返してみると誤字脱字、読みにくい文章だらけで本当に酷いですね
こんな駄作を延々と読ませてしまった皆さんに謝罪します
最後まで読んでくれて、本当にありがとうございました
もし明日スレが残っていたら「朝比奈みくる居た世界の続きとエピローグ編」をお送りします
それでは皆さんお休みなさい
非常に乙!!!
おもしろかったよ~
462:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 20:17:58.74:AXUwytUg0おもしろかったよ~
涼宮ハルヒの作り出した閉鎖空間
神人を倒せば閉鎖空間は消滅するはずだった
しかし・・・・
長門「・・・・・何故、消えない?」
巨人の亡骸は消え去り、破壊された校舎の残骸だけが残る
キョン「・・う・・・ぐはぁっ」
みくる「キョン君?」
甲冑義姿のキョンが血を吐き倒れこむ
みくる「ひぁ!だ、大丈夫ですか!しっかりして」
キョン「・・・・ちと無理をしたか」
幾ら治療したからといって、傷が塞がったのは見た目だけ
損傷した内蔵が完全に修復されたわけではなかった
そんな状態で数体の巨人相手に
身体にかなりの負荷がかかる高機動戦で挑んだのだ
キョン「・・・・長門、すまん」
朝比奈の胸元に倒れこみ目をつぶるキョン
長門「・・・・身体情報解析・・・・・プロテクト?」
古泉「長門さん、彼を助けられないんですか?」
キョンの額に手を当てて、何かをしている長門
長門「・・・・高度な暗号化アルゴリズムでプロクトが施されている
この空間では統合思念体との接続が完全ではなく、支援が受けられない
私一人でも解析は可能だが、それにはかなりの時間がかかり、彼の体が持たない」
みくる「キョン君!しっかりしてください!死んじゃだめ!」
長門の眼鏡に映し出される謎の文字列
横に流れる文字列を眼球が追いかけ、うまく聞き取れない何かを呟きつづける
古泉「何かわかりましたか?」
口の動きが止まると古泉に視線を移す長門
長門「情報統合思念体がよく使用するアルゴリズム
そのアルゴリズムを地球のコンピューターで使えるように改変してある」
そう告げると再び視線をキョンの顔に戻し、解析を開始する
キョンの顔は少し青さを増してきた。多分もう長くは持たないかもしれない
長門「・・・・・致命的な脆弱性を発見
このセキュリティーホールに対し膨大なDos攻撃を仕掛ければ
謎のホストとのパケット送受信を妨害し0.5秒置きに行われる
暗号の更新を停止し、プロテクトを突破できる」
みくる「な、ならはやく!」
長門「・・・・支援が受けられない状態では処理速度が足りない
他の方法を探すしかない」
口元から血を流し、どんどん青ざめていくキョン
その時、時計台の入り口が開き、誰かがそこから飛び出してくる
ハルヒ「キョン!」
どこかで引っ掛けたのか、制服を所々切らせ、煤で顔を汚している
マフラーを枕に床に横に寝かされたキョン、ハルヒが駆け寄る
ハルヒ「キョン!しっかりしなさいよ!あんた私のこと守ってくれるんでしょ!
私のこと、好きなんでしょ!こんな事で、こんな事で死んじゃ駄目よ!」
馬乗りになってキョンの肩を付かんで肩を揺らす
平手で数発・・・キョンの頬に手の形をした赤い痣が出来る
古泉「涼宮さん!駄目です!」
ハルヒ「起きろ馬鹿キョン!起きなさいよ!あんたこんなんで死ぬ弾じゃないでしょ!」
頬を赤らめ、目から涙を流すキョン
ハルヒ「起きなさいよ寝ぼすけ!・・・・起きてよ」
打ち続ける平手を止め、片手をキョンの首元に添えて、頬を撫でる
ハルヒ「・・・・・キョン」
キョンの顔をまじまじと見つめるハルヒ
ハルヒ「こんな事、本当はしたくないけど・・・」
少し目を細め、ハルヒの顔がキョンに近づき、キョンの口元に彼女の唇が触れる
その時、空に穴が開いて黄色い一筋の光りが降り注ぎ、キョンとハルヒを照らす
ハルヒの髪が風になびくかのように揺れる 美しく、神秘的な光景であった
長門「・・・・・これは・・・・・膨大な情報が涼宮ハルヒから彼に対し送信されている
これならあるいわ プロテクトの暗号を解析、突破、生体情報の解読に成功
・・・・治療できる」
長門が何かを唱えると、先ほどまで青ざめていたキョンの顔に血の気が戻り始める
キョン「・・・・・ん、ああ はふひ!(ハルヒ!」
塞がれた口がキョンの滑舌を悪くさせる
ハルヒ「きょ、キョン!あんた生きて・・・」
キョンが起きた事に気づくと、唇を離し、起き上がるハルヒ
腕を組むと右にそっぽを向いてどこか遠くに視線を向ける
ハルヒ「人工呼吸よ!あんたが息してないから仕方なくね!変な勘違いしないでよ!」
頬を赤らめ、どこかつんつんとした声でキョンに台詞を投げ掛けた
キョン「助かったよ・・・・三途の川出会った可愛い船頭の女の子に釣られて危うく黄泉の国に渡るところだった」
バチンッ!ハルヒの特大ビンタがキョンの頬を直撃した
古泉「やれやれですね。まあ、無事に生きているみたいですし一安心です」
何時もの営業スマイルに戻って何時ものような台詞で喋る古泉一樹
みくる「あ、ぁあ、あの、 キョン君と涼宮さんがキスを・・・」
どこか動揺して、右手で二人を指差して、左の手のひらを口元によせ
膝をくっつけ少し震えてあわあわしている朝比奈みくる
長門「・・・・・間に合った 延命成功 医療点数発生」
口元に笑みを浮かべ、何かを企んでいる様子の長門
古泉「おや、遂にこの閉鎖空間も消滅するようです」
先ほど開いた穴がどんどん広がっていき、時計台の上に集う文芸部員達を明るく照らしていく
ハルヒ「・・・・・はっ!」
ピピピッピピピッピピピッ 目覚ましの音がハルヒを眠りの淵から救い上げる
ハルヒ「一体どんな夢よ!ったく!」
随分と恥ずかしい夢を見た キョンが戦って、他の文芸部員も戦って・・・
死に掛けのキョンにキスをして死の淵から救う 夢らしい夢であると言えた
キョン「ようハルヒ」
ハルヒ「・・・・・・・」
教室を開けマフラーを巻いたキョンの顔が目に留まる
キョンを無視すると椅子を引き、自分の席に着く
キョン「・・・・なんだハルヒ?今日は何時にも増してよそよそしいな」
ハルヒ「・・・・嫌な夢見たのよ」
キョン「夢?」
キョンに夢の話をする 物語を物凄く省き、最後のシーンを語らずに
キョン「そうか・・・・だがハルヒ、そいつは夢じゃないぜ」
放課後、何時ものように文芸部室に向かう
扉を開いて中を覗くと、有希が椅子に座って何時ものように本を読んでいて
教室の隅にの机には液晶モニターとキーボードとマウスが備え付けられていて・・・・穴?
長門「・・・・あ、忘れてた」
壁に空けられた穴を見つめるハルヒ その視線を追いかけるように穴を見つめて有希が呟く
ハルヒ「夢じゃ・・・なかったの?」
そう、昨日の事は本当にあったのだ 宇宙人も未来人も異世界人も超能力者も居た
この文芸部で一緒に部活をして、不思議な自称に出くわして 彼らは私の近くに。確かに存在したのである
────ハルヒ「不思議すぎてついていけない」 完
今度こそ本当に終わりです
読んでくれた皆さん 一週間もスレを維持してくれた皆さん 本当にありがとうございました
少し休んで10時30分ごろより番外編「朝比奈みくるの居た世界 続編」を書きます
この話は本編とはほとんど接点ないので完全にオリジナルになってしまいます
自己満足の為に書くだけですので、無理して読まなくてもいいです
兎に角、これにて ハルヒ「不思議すぎてついていけない」 は終わりです
皆さん今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました
474:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 22:33:52.03:/E3poWuSO読んでくれた皆さん 一週間もスレを維持してくれた皆さん 本当にありがとうございました
少し休んで10時30分ごろより番外編「朝比奈みくるの居た世界 続編」を書きます
この話は本編とはほとんど接点ないので完全にオリジナルになってしまいます
自己満足の為に書くだけですので、無理して読まなくてもいいです
兎に角、これにて ハルヒ「不思議すぎてついていけない」 は終わりです
皆さん今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました
乙!
478:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/24(水) 23:11:18.87:AXUwytUg0UGV(Unmanned Ground Vehicle) 無人陸上車両
その歴史は古く、第二次世界大戦時には既にそのようなプランが計画されていた
フランスの工業デザイナー、アドルフ・ケグレスによって設計・試作され、川に沈められ隠匿されていた
フランス占領後にこれを引き上げ調査したドイツ兵器局はその設計図を元にし、最低50キロの爆薬を搭載できる兵器を開発した
12.5馬力を発生させる700ccクラスのガソリンエンジンを搭載し有線による遠隔操作を可能にした無人戦車
第二次世界大戦以後、冷戦による代理戦争が各地で勃発し
冷戦が終わりソ連が開放された後も、民主主義の旗の元に領地を広め続けたアメリカ
植民地の独立開放活動、独立国家の設立
第二次世界大戦後の世界、その世界では前大戦で傷を負った人々と利権を求める人々が戦争を続けていた
しかし、そんな戦争も長くは続かなかった。21世紀初頭に起こったある事件が、人類を絶滅の危機に追いやったのであった
神人、涼宮ハルヒと言う少女が生み出した巨大な生物が世界各地に現れ、文明を破壊し始めたのであった
たった一年、第二次世界大戦であれ程の威力を見せ、戦乱の間進化し続けた兵器郡はこの巨人を殲滅する事はできず
彼等の進行を食い止めるのが精一杯であった 例外として唯一つの兵器が存在したが、この世界の人々にそれを使う勇気など残されていなかった
終わりのない戦いと、数を増す巨人に、前線で戦う兵も、疎開を繰り返す民間人も疲弊し切っていた
閉塞感漂う中でとある計画が立案された 各国、海底にコロニーを作り、そこに移住するという計画
海の底であれば、巨人はやってこれず、疎開を繰り返す必要がなくなるという
もし地上から出ようとする個体が現れたら無人兵器軍で迎撃し、進行を食い止める
その計画の下、各国は海底に巨大な空洞を作って都市を作り、地上に無数の無人戦闘機や無人戦車を配備したのであった
あの大戦終了から100年は経とうとしていたときの出来事である
対巨人進行妨害システム
一つの部隊は6機の無人偵察爆撃機と49機の多脚無人戦車
それを取りまとめる情報集積と解析に特化した1機の有人多脚指揮車で編成されていた
偵察機が防衛ラインに接近する巨人を発見し、先制攻撃を行う
先制攻撃で足止めをしている間に情報を受け取った戦車部隊が巨人の元に向かう
30機の戦車で敵を足止めし、その間に巨大な落とし穴を作って誘導し、穴に落とす
穴に落ちた巨人に一斉放射を行って殲滅する
たった一人の人間になぜそれだけの火力を預けたのか・・・
答えは簡単である、そうでもしないと増え続ける巨人共を押さえ続けられないからだ
一つの部隊に割り当てられる人員の数は整備クルーが5人に指揮官兼パイロットが1人である
・・・・とまあ、前置きはこの辺にして彼女の話に戻ろうと思う 彼女の初陣の話に
管制官「東部方面第十七小隊との連絡、途絶えました!」
基地に設けられた一室、無数のモニターやマイク、
中央に大型モニターが設置され、そこに小隊から先ほどまで送信されていた
戦闘データが細かく表示されていく
室長「・・・・・何が起こった」
夜中に鳴り響いたブザー音に叩き起こされて不機嫌そうにやってきた管制室室長
この整備基地に所属する機体と部隊の管理を行う責任者である
管制官「はい、沿岸部に接近中の巨人にを十七小隊が発見
迎撃に取り掛かるも途中で連絡が途絶え現在に至ります」
室長「向こうとは連絡が取れんのか?」
ヘッドホンをつけてチューナーのダイヤルを回し無線の周波帯域を行ったりきたり
応答を求めるように連絡を求めるも反応はない
管制官「駄目です、短波無線による応答はありません
先ほどまで衛星によるリンクシステムで通信を行っていましたが
悲鳴と共に通信が途絶えました・・・・部隊の生存は絶望的かと・・・・」
室長「さーて・・・どうしたもんかな」
部隊長「作戦の概要を説明する」
東の沿岸部で警戒をしていた部隊との連絡が取れず、生死不明なこと
彼らの安否を確認し、戦闘データを記録した指揮車のデータを回収しなくてはならない事
まだ暴れ続けているであろう巨人を発見し次第殲滅しなければならなこと
そして、今この基地には作戦に割ける人員が居らず、殆どの機体が整備中で使える無人機が無い事
部隊長「つまりだ。今回の作戦に我が輸送部隊の諸君が割り当てられる事になった。
今すぐ出せる機体は我々の持ってきた新型無人多脚戦車100機
悪い事に、無人戦闘用の戦闘プログラムがまだインストールされておらず
有人でしか動かせない状態である
我が隊の人員計65名、全員多脚戦車に乗って作戦にあたる事になる
なあに、たいした任務ではない、新型弾頭の使用許可も下りている
各員の検討を祈る!以上、解散!」
モーニングコールのように部隊長に呼び出された輸送部隊の各員と朝比奈みくる
隊員「やれやれ、こんな事になってしまうとはな」
ここに来る道中、車両の中で雑談していた隊員がため息をついた
朝比奈「・・・・私、できるでしょうか?」
隊員「作戦道理やってりゃ死ぬ事はないだろ、ま、やばくなったらとんずらすりゃいいさ」
部隊長「全員乗り込んだか!?よし、出るぞ」
日の出前、鋼鉄の野獣の群れが山道を進む
前時代に舗装された道路は、整備される事も無く
アスファルトに出来た隙間から草が生え、道路脇の斜面に草木が生い茂る
痛めつけられたアスファルトの上を4つの足を生やした奇妙な戦車が
長い車列を作って細い山道を駆け下りていく
部隊長「少し狭いがナビのデータどおりに走れば問題ない
それに、こんな所で落ちる馬鹿は居ないだろう?」
左脇、ガードレールのすぐ下は、深い崖となっており、
そこから落ちればたちまち戦車はただの鉄の塊と化すだろう
対向車線、2車線同道と占領して走る多脚戦車
まぁ、こんな時代に山中をドライブしに現れる車両など居ないだろう
みくる「あれ、なんだろう・・・」
2時間程走らせただろうか、平均時速60キロ前後の速度で走り続けた
山道を抜け、廃墟となった市街地を抜け、海岸線目指し進んだ
そして、はじめて見る朝焼けと共にたどり着いた海岸線
みくる「これが・・・・海?」
目の前に広がっていたのは朝焼けが照らす海の姿
朝比奈にとって海を見る事は初めてであり、
その大海原の広さにどこか感動と懐かしさを覚えた
部隊「もうすぐ部隊が消滅したポイントに到着する
周辺に敵さんがまだうろついてるかもしれんから、各員気を引き締めて作戦にあたるように」
指揮車から一本の通信が全機に向け送信された
テトラポットや防波堤が囲う海岸線を戦車の車列が進む
新品のボディーを、まだ迷彩塗装を施されていない
防錆塗装されただけの白いボディーを朝焼けが照らす
高繊細マイク越しに聞こえてくる波の押し返す音と風の音
海鳥が車列の頭上を飛んでいく ボトッ・・・
みくる「やぁ!」
左側のカメラに白い液体が降り注ぎ、左側のモニターが真っ白になる
隊員「はっはー!フン喰らったかーwww!」
みくる「わ、笑い事じゃないですよぉ!」
バックカメラで見ていた1人の隊員に笑われる
隊員「そいつは縁起物だぜ?鳥のウン○がかかってウンが付く。迷信だけどな」
みくる「なんですかその迷信、親父ギャグですか?」
隊員「ま、珍しい事じゃない、ただ新品の車両を汚されたのは痛かったかもな」
ウォッシャーをかけてワイパーでカメラにこびり付いた白い液体を落とす
部隊長「目的地に到着した、対象の捜索活動を開始する」
脚部の油圧を失って無残な姿で残骸に横たわる無人戦車
ジェネレータを巨人のビーム攻撃で破壊されたのか
しかし、センサーはまだ生きているのか、
こちらの姿を捉えるために楕円形のカメラボックスを回転させてフォーカスを調節しているのが見える
部隊長「どうやら・・・・・ほんのさっきまで戦闘をしていた様だな、
回収班!制御システムが生きている機体からレコーダを回収して状況を解析しろ!」
ビームを喰らって動けなくなっても、唯では爆発しない
制御システムが積まれたコクピットには強固な装甲と
対ビームコーティングが施され、ビーム2発程度ならなんとか耐えられる設計になっている
貴重な実戦データと経験を積んだAIを保守するための堅牢で利口な設計である
何故機体各所にこの装甲を施さないのか、理由は重くなる事とコストが上がる事の2点だけだが・・・・
部隊長「何かわかったか!」
隊員「はい、どうやら近くのビルに隠れて無人機に支持を出していたようです
少なくともパイロットは無事と思われます!」
部隊長「よし!目標が居ると思われるビルに向かう!各員、警戒を怠るな!」
一筋の閃光が戦車の群れに向かって飛んでくる
朝比奈「きゃっ!」
車列の真ん中にど真ん中に直撃したビーム
部隊長「各員、機体の状況を報告せよ!」
ビームの直撃を受けた機体が足をばたつかせ、地面に横たわる
損傷したのは一機だけ、どうやらパイロットは無事のようだ
隊員「23番機、敵のビームを回避するも右後ろ足を損傷!
スペアとの交換に3分ほど時間がかかります!」
部隊長「よし!15号機から26号機、23番機の脚部換装作業の支援と警護を行え!
他の機体は俺について来い!2号機から14号機は俺について来い!
27号機から47号機は左翼から回り込め!48号機から65号機は右翼から回り込み
俺達が奴をひきつけている間に一斉掃射をしかけろ!各員、続けー!」
4つに分かれた戦車の群れが、巨人を取り囲むように展開していく
廃墟と化した市街地を4脚の多脚戦車がローラーを回転させながら進み
途中道をふさぐ残骸を脚で上って突き進む
部隊長「15号機から26号機!巨人に向けて撃ち込め!
牽制射撃だ、照準は適当でかまわん、撃てー!」
巨人の向かって前進しながら弾丸を発射する
10発の砲弾のうち4発が胴体に命中、
前進してくる戦車に気づいた巨人が戦車を追い詰めるために向かってくる
隊員「左翼展開完了!」
部隊長「よーし!27号機から47号機、掃射開始!ナパーム弾打ち込め!」
20発の内13発程が巨人に直撃すると、巨人の体がジェル状の液体に包まれ燃え始める
巨人「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
燃え盛る炎の暑さに体を捩って暴れる巨人
隊員「右翼、精密狙撃体勢にて全機展開完了!」
ビルの谷間から見える17機の戦車
足元にパイルバンカーを撃ちこみ機体を地面に固定する
部隊長「新型弾争点!照準、目標頭部!撃てー!」
巨人の頭部目掛けて新型弾が打ち放たれる
全弾命中、巨人の頭部に巨大なクレーターを作る
部隊長「第弐射、撃てー!」
弐射目が命中するとクレーターは貫通する
頭部に致命傷を作った巨人はその場に立ち竦み沈黙する
巨人の体に付着したジェル状の発火剤は未だに燃え盛り、巨人の体を焼く
みくる「や、やりました!」
部隊長「敵巨人の沈黙を確認 戦闘終了 目標の安否確認と回収任務に戻る」
炎と煙を上げて燃え盛る巨人を背にパイロットの居るビルへ向かう
パイロット「・・・・あれは?救助部隊か!お前ら救助部隊が来たぞ!」
整備クルー「やった!やったぞ!これで帰れる!」
ビルの屋上で喜びに浸るパイロットと整備クルー一同
隊員「目標の生存を確認しました!」
部隊長「お前らよくやったぞ!全員生きているそうだ!」
通信による報告で、一同歓声を上げる
みくる「よかった!作戦成功ですね」
隊員「な、運が付いただろ?」
先ほど前方を走っていた戦車のパイロットから通信が入った
海鳥にかけられたフンは勝利を呼び込む幸運の汚れとなった
おわり
朝比奈みくるの過去編、終わりです
読んでくれた皆さん、ありがとうございました
それではおやすみなさい
495:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:43:53.97:Gg/f1MAG0読んでくれた皆さん、ありがとうございました
それではおやすみなさい
>>1お疲れさま
ゆっくり休め
496:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:45:37.15:JXP3b3Y/Oゆっくり休め
乙、楽しませてもらいましたわ
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