2014年01月10日

正月の慣れない食事が続いて急性下痢、人参湯を投与されて胃痛が生じた老夫人

2008年4月20日のボクチン3歳
2008年4月20日のボクチン3歳 posted by (C)ボクチンの母

 医院で投与されたツムラの人参湯の問題である。

 正月の慣れない食事で下痢が止まらなくなり、かかりつけの医院でビオフェルミンなどとともに人参湯の投与を受け、服用を続けても下痢は治らないばかりか、舌がヒリヒリしはじめて胃痛まで生じて来たという。

 即刻、人参湯を中止して胃苓湯製剤に切り替えるようにアドバイスしたが、そもそも急性下痢症状に人参湯が適応するケースはあまり見られない。

 かてて加えて問題は、人参湯エキス製剤そのものの配合生薬の問題も大きい。
 日局カンゾウ3.0g、日局ソウジュツ3.0g、日局ニンジン3.0g、カンキョウ3.0g
 という配合内容では、虚証に対応すべき白朮であるべきところが、蒼朮で代用されていることが大きな問題点の一つ。

参考文献:白朮を蒼朮で代用する杜撰

 さらには本来、乾燥した生姜が使用されるべきところが、飴色になるまで蒸して製造された日本独自というか、日本の漢方業界特有の悪習ともいえる飴色になるまで蒸されたカンキョウなるものが使用されている。

参考文献:生姜と乾姜の錯誤

 飴色になるまで蒸されたがために過度な温熱作用が過剰に強まった、中草薬学的には存在することがあってはならない、似非カンキョウ(乾姜)の仕業により、胃痛を誘発してしまったことはほぼ間違いないだろう。

 蛇足ながら、じゃじゃ馬のトラちゃんの下痢は、胃苓湯製剤3日の連用で基本的に治癒した模様(嬉々。

 後日談:上記の女性は、当方の見立て通り、胃苓湯製剤で即治した。

IMGP7469
生後4ヶ月のトラちゃん posted by (C)ボクチンの母

ZZZZ9655
ときどきボクチンに似た表情をするトラちゃん posted by (C)ボクチンの母 

posted by ヒゲジジイ at 12:45| 山口 ☀| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2011年08月10日

治療院などで手足を触られて冷え症がひどいと診断される不可解

ASC_9999
ASC_9999 posted by (C)ヒゲジジイ

 しばしば各地の治療院(鍼灸や整体など)で、先生に手足を触られて冷え症がひどいと診断され、温める治療を施されたり、温め療法を奨められていたケースに遭遇する。

 それらの治療では治らない「右手の不具合」に対し、当方の漢方薬では清熱舒筋法でスムーズに寛解している。

 そもそも他人に触られて冷たいと感じるから冷え症と断定することに大いなる問題がある。
 このような他人に触れられて感じる相対的な冷えは、真の冷えとは言い難い。

 本人は暑がりだと感じている人なのに、しばしば治療院などで、先生が手足を触って冷たいからといって「冷えが巣食っている」と診断され、逆療法を施されている例にしばしば遭遇するのである。

 昔から鮨は女性には握らせない。女性の手は温かいからである。
 男性は相対的に手が冷たいので鮨職人は主として男性が従事するのは今も昔も変らない。

 それなのに、現実には女性に冷え症が多く、男性には冷え症が女性に比べて少ない。

 これらのヒントでも納得できない連中は、バカである。

 これらのことから昨今、疑っているのはサーモグラフィーである。

 少なくともサーモグラフィーの検査結果に中医学的な寒熱理論を安易に当てはめることは早計に過ぎるのではないかと怪しんでいる。

ASC_9662
ASC_9662 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 00:52| 山口 ☁| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2010年10月21日

清熱補気湯を投与されながら続く舌痛および咳嗽の中医学的な原因分析

DSC_2088
DSC_2088 posted by (C)ヒゲジジイ

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 40歳〜49歳の主婦
簡単なご住所 : 東北地方
お問合せ・ご連絡内容 : はじめまして。●●に住む◎◎と申します。

 去年の12月から舌痛があり、耳鼻科や口くう外科、内科、消化器科で胃カメラ検査をしても異常なしと言われ、それでも辛いので6月から漢方薬を処方してもらい(病院)飲んでいました。

 夏には夏バテで近くの薬局から生脈宝を奨められ飲んだり{病院まで片道2時間かかり、とても運転出来る体力がなかった為)病院からの処方は清熱補気湯を飲んでおりました。(生脈宝を飲んでいた時は中止してました)

 舌痛になる1年半位ニンニク(レ○ピ○)商品も飲んでいました。舌痛になってからは飲んでいませんが、9月半ば頃から風邪を引いた訳でもないのに咳が出はじめ(最初は空咳)今も変わらず出るのです。空腹時や熱い物を食べたり飲んだりした時だけです。(今の咳は痰がでます)これはどうしたら良いのか分からず、漢方薬を出して下さってる先生に聞いても聞き流され、薬剤師さんにも『飲むのを中止して先生に聞いてみて』と言われ、何がなんだかわからず困ってしまいました。

 どこかに熱がある為に肺に影響があるのかな?と思うのですが、誰に相談して良いのかわからず、直接行けないのにメールでお聞きするのは申し訳ないとは思いながらも、どんどん変わっていく自分の身体に、不安と焦りで村田先生にメールしてしまいました。

 この咳は、今飲んでる漢方薬を止めたら出なくなるのでしょうか?お忙しい中本当に申し訳ありませんが、お返事頂けませんでしょうか?

DSC_2166
DSC_2166 posted by (C)ヒゲジジイ

お返事メール:就寝前にメールの点検をして・・・と見るとご質問が入っており、ちょっと通読すれば直ぐにお返事しやすい内容だったので、直感的に判明した部分をお返事します。

 舌痛を生じた原因はおそらくニンニク製剤を長期間服用したために生じたもので、おそらく肺陰と胃陰あるいは脾陰などを損傷されると同時に肺熱や胃熱などが生じた結果であろうと推測されます。

 舌痛を治療するために投与された清熱補気湯の配合は人参・当帰・芍薬・麦門冬、朮・茯苓、升麻・五味子・玄参・甘草であり、その中には人参、当帰、朮、茯苓、五味子、とりわけ人参と当帰が肺熱や胃熱をさらに悪化させている可能性が高いと思われます。

 生脈宝という製品名の内容は、は確か原方は生脈散だったと思いますが、これには人参・五味子・麦門冬の配合ですから、この人参や五味子が肺熱や胃熱などには悪影響しやすいものです。

 少なくとも現在服用中の漢方薬は中止され、中医学に堪能な薬局を見つけられて、適切な方剤を処方してもらう必要があると思います。地元でも同様な症状で五十代の女性を漢方薬で半年以上かかって治したことがありますが、必要な配合方剤は、似ている症状でも微妙に異なるもので、かなり正確な弁証論治が必要です。

 なお、配合生薬中に、たとえ当帰や五味子、あるいは朮や茯苓が配合されていても、適切な肺熱や胃熱、あるいは肺胃陰虚にしっかりフィットした配合がなされていれば、これらの生薬といえども反佐として、つまりゼンザイの甘味を引き立てるために入れる塩味のような役割をして、邪魔にはならないものです。

 清熱補気湯レベルの配合では、肺熱や胃熱に対する配慮が皆無の方剤ゆえ、おそらくやや逆効果になっているものと思われます。

 ところで刻々症状が変化しているようですが、臨機応変にその時点での的確な弁証論治が必要ですので、通える範囲内でしっかり相談に乗ってくれる漢方薬局を見つけるのが最善です。最初空咳だたのが、最近は痰が出るというのは肺陰虚は幾分か緩和されている証拠のようにも思えます。

 いずれにせよ、中医学を熱心に勉強されている先生を早く見つけられることです。
 適切な方剤までアドバイスは不可能ですので、悪しからずご了承下さい。

 以上、取り急ぎお返事まで。

DSC_2477
DSC_2477 posted by (C)ヒゲジジイ

折返し頂いたメール:●●の◎◎です。

 こんなに遅い時間にもかかわらず、暖かいお返事をありがとうごさいました。

 嬉しくて(安心して)お返事を読みながら涙が出てしまいました。

 何が何だかわからなくなって、不安で一杯でしたので 本当に嬉しかったのです。

 きっと私の住んでいる県にも 村田先生までとは無理でも、近い先生が居らっしゃる事を信じて捜してみます。

 本当に本当に、ありがとうごさいました。


【編集後記】
参考文献:警告:無謀な温め療法

DSC_2008
DSC_2008 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 16:27| 山口 ☁| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2010年03月26日

アトピー性皮膚炎の原因は冷え?

オキザリス
オキザリス posted by (C)ボクチンの母

 「アトピーの原因は冷えである」などと、実に馬鹿げた茶の間の幼稚な医学を開業医の先生が主張され、辛甘大熱の桂皮を主成分とする温補剤を過剰投与され、挙句はいかがわしいサプリメントを数種類、自費で購入させられ、ますます悪化の一途を辿るという被害を蒙ったアトピー性皮膚炎の人が来られた。

 昨今の開業医さんの中には、いかがわしい高額なサプリメントや健康食品を自費で購入を強いるところがやけに目立つ。
 「医は算術」を実践される先生が存在するのは今も昔も変らない。

 どうみても陰虚火旺に肝胆の湿熱が併存しているような体質に、小建中湯はどう考えてもありえないだろう。
 弁証論治も行なうことなく、馬鹿の一つ覚えみたいに小建中湯などの温補剤が投与されて悪化する人があとを絶たないのである。

 同業者にしても肝腎陰虚と同時に三焦に熱毒が蔓延しているような体質者に、どうしたことか朝鮮人参入りの生脈散製剤を主体に、高額な数種類の健康食品の併用を勧められ、重度に悪化して来られた人もある。

 これらを中止してもらうだけでも、少し病状が治まるのだから、何をか言わんやっ!

ジョウビタキ(メス)
ジョウビタキ(メス) posted by (C)ボクチンの母

posted by ヒゲジジイ at 00:31| 山口 ☔| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2009年12月17日

ニンニクに続いて昨今は生姜の過剰摂取による弊害が巷で蔓延中っ!

無題
無題 posted by (C)ボクチンの母

 昨今次第に目に余る生姜の過剰摂取による弊害勃発事例の数々っ! 既に姉妹ブログで書いているのでそちらを覗いて欲しい。

昨今ブームの生姜の過剰摂取による弊害が目に余るっ!

 要するに、適量は薬にもなる食品でも過剰摂取は毒性が出て来る、ということですよっ!

 実に馬鹿バカしいブームがまたまた蔓延したもんですねっ。

モズ
モズ posted by (C)ヒゲジジイ

ラベル:副作用 温め療法
posted by ヒゲジジイ at 00:09| 山口 ☀| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2009年09月29日

夏場に胃腸が冷えて不調を来たしやすい本当の原因

トンビ
トンビ posted by (C)ヒゲジジイ

 長年観察したところ、夏場に冷飲を好んで摂り過ぎ、胃腸を壊してしまう体質者の多くは肝胆系に湿熱を蓄えている。

 暑さに負けて冷飲するのは肝胆系統を冷やしたくて冷飲するのである。
 ところが、胃熱傾向にある人達ならそれほど応えないものの、そうではない人達では往々にして脾胃を損傷してトラブルの元ととなる。だから黄膩苔が舌の奥に鎮座しながら、胃腸の不調を訴えるのである。

 不摂生の極み、年がら年中、冷たいアイスクリームや飲み物を好んで摂る人達も、意外にもあの寒い冬には応えないのに、夏場にはしばしば胃腸が冷えて不調となる人達が多いのである。

 外気の温度と冷たいアイスとの落差の大小による影響は意外に大きく、外気温との差が少ない冬場は大丈夫なのに、相対的に温度差の大きい夏場の方が胃腸を冷やして機能低下を招きやすい。

 さまざまな理由から肝胆系統に湿熱を帯びている体質者が多い時代、あらゆる病は冷えが原因などと、幼稚な考えは持たないに限る。(肝胆系統に湿熱を帯びやすい理由は多岐に亘るのでここでは述べない。)

 多くの人達が藿香正気散(カッコウショウキサン)を数服も連用すれば、速効で治るのが現実であるが、多くの人は、性懲りなしにまたこれを繰り返す。

 なかには頑固に慢性化してる人もあり、その場合は、肝胆系統の湿熱に配慮した方剤とともに、脾胃を適切に温める方剤を適量併用しなければならない。
 こういう配慮こそ、バランスの取れた適切な配合の基礎である。

シジュウカラ
シジュウカラ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:33| 山口 ☁| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2009年09月19日

不自然な健康法

ムクドリ
ムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ

 散歩やジョギング、ラジオ体操など常識的に考えてもあまり疑問の余地の少ない健康法はさておき、昨今、ブームとなっている異常に身体を温める「温め療法」や辛温の性質のニンニクや生姜を過剰に摂取する健康法、半身浴などはいかにも不自然だから少しは疑ってみるべきではないだろうか?

 鰯の頭も信心と言っておけばよいようなものの、一部の人ではそれらの不自然な健康法による被害を蒙っているのだから、繰り返し問題点を指摘するのである。

 過ぎたる猶及ばざるが如し、という格言以上に問題が多く
一般の飲食物でさえ、多くのもの(例えば、銀杏、ピーナッツ、アルコール、フグなど)、一品を一時に大量に食すれば急性毒性により、とりわけ銀杏やアルコールなどでは命を奪い兼ねないことに留意すべきです。
漢方薬の安全性の問題について
 あらゆる食品にも共通することであり、一品を大量に食することは、そのものの利点よりも毒に転化する場合もあるということを知っておく必要があろう。

 半身浴にしても血行がよくなり云々と盛んに推奨されているが、日本薬局方の医薬品でもあるアルコールこそ血行促進作用の最たるものであろう。

 ところが酔い覚めの冷え込みによる脳卒中などの弊害も大きく、同様なリバウンドが半身浴でも生じかねないのでは? と疑問を呈する人が一人くらいいてもよさそうなものである。
 ここいらへんの問題こそ、いかにも追究不足で錯覚や錯誤を犯しやすい茶の間の科学の限界ではないだろうか?

 それでなくとも、通常の風呂上りにでさえ湯冷めして風邪を引かないないようにと、昔から注意されているところである。

 いかにも不自然な健康法に疑義を呈する人が少ない日本の現状は、やっぱり日本がカルタゴのように亡びる前兆なのではないかと些か怪訝である(苦笑。

蚊が即死状態
蚊が即死状態 posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 08:06| 山口 ☀| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2009年09月18日

過ぎたるは猶及ばざるが如し⇒昨今の温め療法

ヤマトシジミ
ヤマトシジミ posted by (C)ヒゲジジイ

 昨今のブームは異常である。

 たとえば半身浴であるが、真冬にやると上半身がなかなか温まらないために却って心臓に負担がかかる。
 以前、ヒゲジジイ自身が試みて、自殺行為に近いことを知って直ぐにやめた。

 そもそも人類の歴史始まって以来、それほど身体によいというものなら、医学知識の豊富さでは群を抜く中国医学の精華、黄帝内経などで言及されていてもよいではないかっ!

 風呂に入ったら肩までつかって温まるのが本来の常識。それを覆すのが現代科学の現代科学たる所以であると嘯きたい連中が多いことであろうが、科学はしばしば錯覚や錯誤を犯すもので、これも現代の常識中の常識である。

 血行がよくなり心臓に負担が来ない、とか汗をかいて云々などなど、それほど身体によいものなら、東洋医学の歴代の医家が早くから提唱していてもおかしくないではないか。

 あまりに不自然な半身浴、冬には却って心臓に負担がかかり、風邪を引きかけたので、これは健康法の中でも危険思想の最たるものではないかと怪訝である。

 少なくとも、当方に来られるアトピー患者さんには、半身浴や長風呂は即刻中止してもらうのが通例である。
 長風呂によって痛んだ皮膚がぶよぶよにふやけて、一時的には痒みが軽減してアトピーがやや寛解したように錯覚する人もいるようだが、赤剥けした皮膚から風呂の湯の雑菌による細菌感染を起こしやすくなる。
 それゆえ、

 アトピー性皮膚炎ではカラスの行水を奨励している。

 長風呂や半身浴の30分の更なる問題点は、デリケートな皮膚表面が乖離しやすくなり、赤剥けの皮膚が露呈して細菌感染を誘発するばかりでなく、いつまでも皮膚の正常な再生を遅延させるからである。

 あらゆる病気の原因は冷えにあるとされる現在の健康ブームは、あまりに短絡的で幼稚としか言いようがない。
 このようなブームに肩を押されてか、漢方世界でもアトピー患者さん達が温補剤の長期の連用により、悪化の一途を辿って重症化し、村田漢方堂薬局に辿り着く人が後を断たないのである。
 
 アトピーは冷えが原因なら、戦前こそアトピーだらけの日本であったはずだが、アトピーそのものが戦前には皆無に等しかった。
 この事実を考えただけでも、いかに根拠のない論理であるかが分かろうというものである。


ヤマトシジミ
ヤマトシジミ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 00:25| 山口 ☀| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2009年09月11日

温め療法が流行る昨今、ニンニク過剰摂取による弊害が頻出

トンビのボクチン補遺
トンビのボクチン補遺 posted by (C)ヒゲジジイ

 相変わらず温め療法という短絡的なブームが盛んになる一方のようで、実に嘆かわしい幼稚な日本である。

 サプリメントにおいては、癌予防にもなる?食品として昨今盛んに噂されるニンニクだが、常識的な料理で使用される範囲であるならともかく、過剰摂取による弊害が目立つ。

 たとえば、
2006年12月09日
2年間ニンニク食品を常食した挙句に肺ガンの心配をするまでに・・・


 で紹介した人の後日談である。

 その後、結局は健康診断で大腸癌を発見され、さいわいにも初期のピンポン玉レベルであったので、即刻摘出術により難を免れている。

 当然ながらその後も漢方薬なども用いて再発予防に努めておられるが、心配された肺癌ではなく大腸癌であったというのも、中医学的な臓腑経絡学説を知る専門家にとっては思い半ばに過ぎるであろう。

 この方の場合は、2年間通常の2倍量のニンニク健康食品を摂取し続けたことの影響は無視できないであろう。

 辛温の性質を持つニンニクを過剰に摂取すれば、肺陰を損傷したり、肺熱を増長し兼ねないことは中医学的には常識中の常識である。
 
 さまざまな有用性を謳われるニンニクであるが、過ぎたるは及ばざるよりも遥かに問題が多過ぎるように思われる

 中医学的には辛温の性質を持つ食品を過剰に摂取すれば、もっとも被害を蒙りやすいのは「肺は嬌臓である」と云われる通り、肺系統および、表裏の関係にある大腸系統、つまり肺と大腸にもっとも悪影響が及び易いので、くれぐれも過剰摂取は慎むべきである。

 驚くべきことに、アトピー性皮膚炎を患う多くの医療関係者が、ニンニク療法を積極的に取り入れて、さらに病状を悪化させていることも知らずに、困り果てて村田漢方堂薬局に辿り着くケースは枚挙に暇がない。

 当然のことながら、アトピーで村田漢方堂薬局に救いを求めて来られた人は全員必ず、ニンニク療法を即刻中止してもらっている。

関連ブログ:温め療法や温補過剰により熱邪を伴った瘀血証が蔓延
参考文献:警告:無謀な温め療法!


トンビのボクチン
トンビのボクチン posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 19:23| 山口 ☁| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2009年05月29日

ニンニクがアトピーに良い???

天津感冒片や涼解楽にも配合される金銀花
天津感冒片や涼解楽にも配合される金銀花 posted by (C)ヒゲジジイ

 アトピー性皮膚炎が悪化して、様々な療法を試みて精根尽きて?か、漢方相談に来られる人は多いが、昨今、やや目立つのがニンニクがアトピーによいと信じて、かなり積極的にニンニクを摂取していた人達である。

 即刻中止してもらうのが通例であるが、アトピーは冷えが根本原因などと極めて短絡的な結論を出して宣伝されるところがあるらしく、一部のアトピーの人はその妄説を信じて、なかでもニンニクが代表的な温める食品として積極的に摂取する結果となっているらしい。

 そもそもアトピー性皮膚炎は「冷え」が原因であれば、一昔前、大東亜戦争以前の時代は、暖房設備も貧弱で、温暖化の問題もなかった時代こそ、冷えが原因となる疾患がさぞや多かっただろうと想像に難くない。
 しかしながら、その冷えが原因となる疾患が多かったハズの戦前に、アトピー性皮膚炎が蔓延していたという話は寡聞にして耳にしたこともないし、読んだこともない。

 事実、大東亜戦争以前にアトピー性皮膚炎患者が日本国内にいたのかどうか?
 当時はまだインスタントラーメンもなかったし、スナック菓子類も皆無な時代である。多種多様な皮膚病は存在していても、アトピー性皮膚炎だけは僅少であったはずである。

 このような幼稚な論証を試みただけでも、昨今しばしば耳にする「アトピーは冷えが原因」だと吹聴される妄説を粉砕することが出来るはずである。

 要するに、馬鹿の考え休むに似たりっ

むくむくやっぱりムクドリ
むくむくやっぱりムクドリ posted by (C)ヒゲジジイ
posted by ヒゲジジイ at 20:25| 山口 ☀| 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする

2009年05月09日

病気は冷えからくる?ので、冷えの根本治療で病気が治る?

ブログへの転載の可否 : ブログへ転載を許可します
年齢 : 40歳〜49歳の女性
具体的な御職業 : 事務
お問い合わせ内容 : はじめまして、●●に住む40代の主婦です。

 最近、いろいろと健康に不安がでてきました。緑内障の疑いもあると言われて、漢方薬を飲みたいと思いネットで近くに漢方薬局がないか探していました。
 そこで先生のHPを見つけて読ませて頂き、漢方薬の処方も中医学と日本漢方では違うということが分かりました。

 自分も中医学を基に処方してもらいたいと思い、近くの漢方薬局を探したところ、一軒見つけました。その薬局のHPも丁寧で詳しく中医学について書いてありましたが、一つ引っかかったのがその薬局は、病気は冷えからくるので、冷えの根本治療で病気を治すと書いてあったことです。
 もちろん、冷えと言っても単純なものではない事も詳しく書いてありました。

 たとえば、治療に対しては「中医弁証論治を行い、漢方薬をお出しします。」「東洋医学は、患者の病名ではなく、患者が今現在起こしている病態と体質素因に基づいて、処方がされます。「冷えを考える時は、手足の冷えといった単純な考え方では、根本の冷えは見えてきません。冷えを起こす根本原因は、内面の冷えにあります。人間は、内面である内臓が冷やされると一番困ります。内面が冷えると、その冷えから体を守ろうとして自然治癒力が働き色々な現象を起こします。頭痛(痛み)、発熱、炎症等。これらは、体にとって苦痛になります。しかし、この苦痛のみを取り去ろうとしても、根本の冷えが改善するわけでは無いので、全て対症療法になってしまいます。色々な病気の根本治療には内面の冷えを改善させてあげなければいけません。実際に冷えを認識できる冷え性だけが冷えではなく、「冷え」は、冷たいという冷えのみではありません。ほてりや発熱反応等も冷えが起こした病態と言えます。表熱や上熱に対する相対性の冷えです。」「冷えは非常に多彩な症候を現します。当然、冷え症も含まれますが、逆にほてりや高熱、微熱、湿疹、高血圧、低血圧、ホルモン異常、精神疾患、リウマチ、膠原病、ガン等ありとあらゆる症候が冷えと関連しています。冷え症は自覚的に冷えるので解りやすいのですが、他のほてりや、各種疾患の冷えについては理解しにくいと思います。陰陽は相対性を見なければいけませんので、表向きの症状は内面の冷えに原因がある事になります。夏に熱中症にかかる人がいますが、これは頭部への熱の集中が起こり、相対的に内面の冷えが強く現れて卒倒やけいれん、意識を失う病態です。ですから夏の暑い時期でも体内では冷えが起こるという事になります。つまり、下部よりも上部、あるいは、内部よりも体表面の方に熱を持っている状態が冷えと言えます。冷え性がなくても、ほてりや発熱、のぼせ等があれば、冷えがある可能性が高いと言えるのです。冷えは自覚的冷えを伴わなくても起こる病態である事を理解してください。このように多くの表向きの症状は、冷えが原因で起こる仮の症状です。(陰陽の相対性)特に冷えを感じないほてりや炎症性疾患は、冷えに対する警戒感が少なく、病気を慢性化させやすくなります。多くの難治性疾患はこの冷えを改善させるようにする事で、驚くほど改善されて行きます。この冷えを重視した治療法が、足湯や半身浴、漢方薬、鍼灸療法等です。緑内障に対しては「緑内障の漢方治療ですが、基本的に眼圧の異常があってもなくても眼球の異常を起こしている”結果”があります。この結果に対して治療を行うのが西洋医学ですが、東洋医学では根本原因に対して漢方治療を行います。眼球の中は、ほとんどが水分から出来ています。人体はこの水分量を適度に調節し、視力を調整しています。しかし緑内障のような病気はこの”水”の調節がうまく出来ない体質素因があります。中医学ではこの水を湿あるいは痰飲が原因と見ます。また、この湿や痰飲は陰の邪ですから、内面の冷えがあると作られやすくなります。ですから内面の冷えの改善を第一に利水を行う漢方治療を本治とし、適宜気、血、津液、精、五臓六腑の状態に応じて調整する必要があります」などと書かれていました。

 読ませて頂くとそうなのかなと思いますが、先生は、HPの中で冷えが原因で起こる病気はたくさんあるけれど、病気の原因は冷えが全てではない。と書かれていました。
 本当は、もう少し近かったら絶対に先生に処方をお願いしたいと思っていたので、私は、このことが気になってその薬局にかかるかすごく迷っています。

 同じ中医学を研究されていても、考え方が違うと言うことでしょうか?
 私が、中医学のことがよくわかっていないので、間違った解釈をしているのでしょうか?

 教えて下さい。よろしくお願いします。

まだ嘴が黄色い雀
まだ嘴が黄色い雀 posted by (C)ヒゲジジイ

御返事メール:拝復


>病気は冷えからくるので、冷えの根本治療で病気を治す

という内容、専門家の小生でもやや理解困難でした。

 中国の一般的な教科書にさえ、そのように病気を冷えだけが原因だと決め付けてしまうような○○な理論は皆無です。
 もちろん冷えが原因で生じる疾患は存在しますが、中医病因病機学という類の分厚い書籍が多種類存在するように、中医病因論はとても一言で語れるほど単純ではありません。

 でも立派に仕事が成り立っておられるのは、本当に冷えが原因の人にはよい結果が出る(当然ですが)からだと思われます。
 真に冷えが原因の人にとっては、そのご高説がフィットするのだろうと思われます。

 ところで、新撰組の沖田さんの結核に、皆さんが親切から温性の朝鮮人参を贈ったというのが真実なら、肺結核の多くは肺陰虚を伴っていると言われますので、朝鮮人参によって、ますます肺陰虚による虚熱を増長して死期を早めたことは明らかで、同じ人参を贈るなら涼性の西洋人参(広東人参)を贈るべきであったと思われます。

参考文献:警告:無謀な温め療法!

 ところで、当方の地元で熱心に通われている中年女性の緑内障が、運よく茵?五苓散と猪苓湯と四逆散という三種類の配合で寛解している人がいますが、特別冷えを重視した配合ではなく、むしろ湿熱を除去することに重点を置いた配合です。
 そこで関連することですが、

>湿や痰飲は陰の邪

というのは中医学的にもまったく正しいことです。その後に続く後半部分となると、どうしても小生の頭では理解困難な訳です(苦笑。

 五臓六腑の各経絡系統は、人それぞれの体質と病状によって、それぞれに寒熱虚実が異なるのが一般ですので、冷えばかりに拘ると、熱証を呈している各経絡系統に悪影響が出ますので、その人によりフィットした寒熱のバランスの取れた配合が必須となります。

 熱性炎症が激しい時には、一部の寒証を呈している部分は一時無視して、早く熱性炎症を軽減することが急務となる場合があるなど、様々な配合法則もあるわけですから、中医学を単純化してすべての疾患は冷えが原因であるなどと、極論するにはあまりにも無理があります。

 やはりどう考えても小生の頭では理解困難です。

以上、取り急ぎお返事まで。

追記:専門的に最も重要なことは⇒整体観にもとずく審証求因について

兄弟喧嘩
兄弟喧嘩 posted by (C)ヒゲジジイ


posted by ヒゲジジイ at 21:18| 山口 | 温め療法や温補薬による弊害 | 更新情報をチェックする
  鄙サ隸托シ