探し物はなんですか?(227)
「もしかして・・・そんな毛利に真実を話されたら困ると考えていたのは・・・佐藤、お前じゃないの?」
「なるほど・・・毛利さんから5つのネックレスの事を聞き、そのメンバーも喋らせ、最終的には毛利さんを・・・ってことですか」
「うそっ!佐藤さん、本当なんですか?
ホントにそんな事をしたんですか?!」
既に佐藤は諦めた感じがあった。
自暴自棄というか、自分の未来が崩れ落ちたと言うか・・・そんな心のうちが読み取れたのは、こいつが自虐的に笑ったから。だから俺から何処かの機関にリークするつもりはないことを話すと、暫く天井を見上げてダンマリ・・・
その顔を元に戻したら、「もう全部バレてんだな・・・」と呟いた。
それを聞いて出したのは考三郎のミスショット・・・佐藤と織田秀子が話している写真。
その1枚を手に持つと無表情で眺め、深く溜息を吐きながらテーブルに戻した。
「爺さんが俺を呼んで話したって言う内容は本当だ。
自分が死んだらあのダイヤを花沢家に戻して欲しいってこと・・・理由はただ預かっていただけだと言ったが、それが嘘臭くてずっと気になっていた。
でもその時は俺には花沢家の血が流れてると思ったし、息子は居たけど俺の方が年上だったから・・・上手く動けば俺も経営者サイドの人間になれるかもしれないと思った。
だから絶対にこの会社に入り、役員に近いところで働き、その準備をしようと思ってたんだ」
それから2年前の話に戻り、こいつはまるで他人事のように淡々と話した。
上手く花沢物産の秘書課に入った佐藤は、幸か不幸か俺の第二秘書になった。
もちろん藤本が常に側に居るためそんなに仕事を一緒にすることはなかったが、腹違いの弟だと思っていた佐藤は俺に対して謙るのは面白くなかった。
しかも活動的ではなく、何を考えてるのか判らない(失礼な💢)人間なのに、一人息子だからと若いうちから専務取締役になったことにもムカついていた。
しかも数年間はフランスの社長が日本に戻るという話もなく、焦れったくなった佐藤は成田にいる毛利を訪ねて、ダイヤのネックレスの話を聞くことにした。
その話とは”自分が花沢の血を引いた人間だ”と言うことを確かめる為だったが、ここでも毛利は実父の話を濁した。
それから2人は喧嘩になったが、それ以上怒らせるとダイヤのネックレスも毛利が処分するかもしれない・・・そう思って引き下がることにした。
でもダイヤのネックレスの在処だけは聞いておかないと、いざと言う時に困る・・・そう言うと、毛利は佐藤にネックレスを見せた。
「・・・それは素晴らしい輝きを放つもので、素人の俺でも高価な物だと判った。
でもそれが本当に花沢家の物かどうかが判らない・・・そう言うと、爺さんは自分の携帯を取りだして、1枚の画像を見せてくれた。それがあの5つのネックレスが揃ったヤツだ」
「盗む前に撮ったってこと?」
「それは俺も判らない。ただ、同じネックレスが5つもあるなら、他はどうしたのかと聞くと、あいつらの名前を教えてくれたんだ。
このダイヤ以外のネックレスは徳川、前田、宇喜多、小早川が持ってるって・・・
花沢家にもそいつらの名前を教えていいって言われて、詳しい情報を聞かされた」
「・・・贖罪のつもり?」
「俺はそう思ってなかったから本心は知らない。俺としては爺さんがあんたの婆さんから貰ったのに、それを盗んだのがその4人だと思ってた。
で、爺さんが言ったんだ・・・」
ーーその昔、儂が女中の代わりに大奥様にお茶をお運びしたときに聞いたんだがな。
このネックレスは大奥様が婚礼時に作ったもので、5つ揃うと別の宝物が手に入ると・・・何の事かは知らんが、宝探しの鍵のような物だと言って、楽しそうに眺めておいでだったよーー
「花沢家の内部事情なんて知らないけど、普通はお茶を運ぶのは女性だろ?爺さんがそんな事をするはずがないから、やっぱりその婆さんに特別扱いされてたんだと思った。
そして自分の宝物を俺の爺さんに渡したんだって・・・・・・しかも父親の名前が同じなら、それの推理も外れてないと思った」
「・・・どうして信じなかったんですか?」
「信じられるほどの付き合いがなかったかからだよ」
でも毛利はダイヤを花沢に返すように言い、一緒に罪を犯した「仲間」のことを暴露すると。
せめて生きてるうちに自分ですれば良かったのに、元来臆病な性格だったのか、敢えて死後を選んだ。そうなるともう誰からも咎められない・・・孫を信じて、それを提案したんだろう。
まさか、そのせいで自分が襲われるとも思わずに・・・
佐藤は宝石返還の話を承諾し、毛利がダイヤのネックレスを仕舞った引き出しを確認。
その後で自宅の2階に上がってみたいと申し出て、毛利は不審に思いながらもそれを許可した。でも2階から佐藤が呼び、渋々上がって行った時、上で待ち構えていた佐藤が毛利を突き落とした。
そんな事を想像もしていなかった毛利は悲鳴を上げて階段から転げ落ち、佐藤も同時に叫び声をあげて、駆け付けた近所の主婦をが救急車を手配。
毛利はそれが原因で命こそ助かったが、歩くことと喋ることが出来なくなった。
そのドタバタの最中にダイヤのネックレスと毛利の携帯電話を奪い、画像も入手・・・何食わぬ顔して毛利を病院に搬送した後、甲斐甲斐しく世話をする「良孫」を演じた。
そしてダイヤ以外の宝石の捜索を開始・・・・・・毛利から大体の職業を聞いていたので、「毛利」という名前で接触をしていたらしい。
「・・・佐藤さん・・・自分のお爺さんを突き落としたの?」
「それ、殺意があったと言う事ですか?運良くご近所の人が来てくれたから良かったものの・・・」
「隣の家のおばさんが庭にいたのを2階の窓から確認したからね。寒い時じゃなかったから窓を開けていたし、大声出せば絶対に気が付くと思ったよ」
「わざと大声出したの?!」
「どうしてそんな事を?」
「・・・自分が加害者だと思われないためだよね。自分が取り乱して大慌てすれば、毛利が自分で転げ落ちたと思われるから」
「流石専務・・・その通りだよ。
勿論病院からあれこれ聞かれたけど、俺は本当に胸元を少し押しただけ・・・爺さんの怪我に第三者の跡はなかったと思うよ」
「お前には都合のいい結果だったかもしれないけど、もしも毛利が軽傷だった場合、どうするつもりだった?」
「・・・・・・さぁね。
その時は・・・どうしたかな・・・・・・・・・」
*****************************
類には言わなかったけど、成田の特別養護老人ホームで最後に毛利さんに声をかけた時、あの人は泣いていた。
皺クチャの顔をもっとぐしゃぐしゃにして、出せない声の代わりにすごく涙を溢してた。でもこの人のせいで事件が起きたのだから・・・と、同情しちゃいけないって思いつつも可哀想で仕方なかった。
あれは懺悔の涙だったんだ・・・
勿論罪は罪だけど、娘さんを助けたくて他には考えられなかったのかもしれない。
それなのに、この人は・・・
勘違いした挙句、お宝目当てで自分の身内を・・・💢
そんなの絶対に許せない!!
気が付いたらソファーから立ち上がり、「つくし?!」って叫んだ類を無視して、そこら辺に立ってる藤本さんを突き飛ばし、佐藤さんの顔面にフルスイングビンタ!!
それがあっという間の出来事だったんで彼は避ける事もせず、自分が座ってたソファーの向こう側に転がり落ちた!
「自分のお爺ちゃんに何してんのよ!
あんた、することはもっと他にあったでしょう!?」
「・・・・・・てぇ・・・何するんだ!!」
「五月蠅い!50㎝ぐらいの高さから落ちたんだからケガもしないわよ!
そんなの階段の1番上から落ちる恐怖に比べたらどうってことないわ!!
あんたはお爺ちゃんに自ら返しに行くことを勧めるべきだった・・・警察じゃなくても花沢家に行けば良かったのよ!それなのに自分の欲のために奪い取ろうとして怪我までさせて・・・
言葉に出来ないお爺ちゃんの苦しみがあんたに判るの?!」
「知った風な口をきくな!!
大人に痛めつけられて育った俺の苦しみも痛みも知らないクセに!!」
床に転がってた佐藤さんが立ち上がり、目の前に立ってる私に両手を伸ばしてきた。
顔を真っ赤にさせて、恐ろしい目をして・・・
また殴られる、そう思った時には自分の顔を手で覆い、その場にしゃがみ込んだんだけど・・・・・・
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「うそっ!佐藤さん、本当なんですか?
ホントにそんな事をしたんですか?!」
既に佐藤は諦めた感じがあった。
自暴自棄というか、自分の未来が崩れ落ちたと言うか・・・そんな心のうちが読み取れたのは、こいつが自虐的に笑ったから。だから俺から何処かの機関にリークするつもりはないことを話すと、暫く天井を見上げてダンマリ・・・
その顔を元に戻したら、「もう全部バレてんだな・・・」と呟いた。
それを聞いて出したのは考三郎のミスショット・・・佐藤と織田秀子が話している写真。
その1枚を手に持つと無表情で眺め、深く溜息を吐きながらテーブルに戻した。
「爺さんが俺を呼んで話したって言う内容は本当だ。
自分が死んだらあのダイヤを花沢家に戻して欲しいってこと・・・理由はただ預かっていただけだと言ったが、それが嘘臭くてずっと気になっていた。
でもその時は俺には花沢家の血が流れてると思ったし、息子は居たけど俺の方が年上だったから・・・上手く動けば俺も経営者サイドの人間になれるかもしれないと思った。
だから絶対にこの会社に入り、役員に近いところで働き、その準備をしようと思ってたんだ」
それから2年前の話に戻り、こいつはまるで他人事のように淡々と話した。
上手く花沢物産の秘書課に入った佐藤は、幸か不幸か俺の第二秘書になった。
もちろん藤本が常に側に居るためそんなに仕事を一緒にすることはなかったが、腹違いの弟だと思っていた佐藤は俺に対して謙るのは面白くなかった。
しかも活動的ではなく、何を考えてるのか判らない(失礼な💢)人間なのに、一人息子だからと若いうちから専務取締役になったことにもムカついていた。
しかも数年間はフランスの社長が日本に戻るという話もなく、焦れったくなった佐藤は成田にいる毛利を訪ねて、ダイヤのネックレスの話を聞くことにした。
その話とは”自分が花沢の血を引いた人間だ”と言うことを確かめる為だったが、ここでも毛利は実父の話を濁した。
それから2人は喧嘩になったが、それ以上怒らせるとダイヤのネックレスも毛利が処分するかもしれない・・・そう思って引き下がることにした。
でもダイヤのネックレスの在処だけは聞いておかないと、いざと言う時に困る・・・そう言うと、毛利は佐藤にネックレスを見せた。
「・・・それは素晴らしい輝きを放つもので、素人の俺でも高価な物だと判った。
でもそれが本当に花沢家の物かどうかが判らない・・・そう言うと、爺さんは自分の携帯を取りだして、1枚の画像を見せてくれた。それがあの5つのネックレスが揃ったヤツだ」
「盗む前に撮ったってこと?」
「それは俺も判らない。ただ、同じネックレスが5つもあるなら、他はどうしたのかと聞くと、あいつらの名前を教えてくれたんだ。
このダイヤ以外のネックレスは徳川、前田、宇喜多、小早川が持ってるって・・・
花沢家にもそいつらの名前を教えていいって言われて、詳しい情報を聞かされた」
「・・・贖罪のつもり?」
「俺はそう思ってなかったから本心は知らない。俺としては爺さんがあんたの婆さんから貰ったのに、それを盗んだのがその4人だと思ってた。
で、爺さんが言ったんだ・・・」
ーーその昔、儂が女中の代わりに大奥様にお茶をお運びしたときに聞いたんだがな。
このネックレスは大奥様が婚礼時に作ったもので、5つ揃うと別の宝物が手に入ると・・・何の事かは知らんが、宝探しの鍵のような物だと言って、楽しそうに眺めておいでだったよーー
「花沢家の内部事情なんて知らないけど、普通はお茶を運ぶのは女性だろ?爺さんがそんな事をするはずがないから、やっぱりその婆さんに特別扱いされてたんだと思った。
そして自分の宝物を俺の爺さんに渡したんだって・・・・・・しかも父親の名前が同じなら、それの推理も外れてないと思った」
「・・・どうして信じなかったんですか?」
「信じられるほどの付き合いがなかったかからだよ」
でも毛利はダイヤを花沢に返すように言い、一緒に罪を犯した「仲間」のことを暴露すると。
せめて生きてるうちに自分ですれば良かったのに、元来臆病な性格だったのか、敢えて死後を選んだ。そうなるともう誰からも咎められない・・・孫を信じて、それを提案したんだろう。
まさか、そのせいで自分が襲われるとも思わずに・・・
佐藤は宝石返還の話を承諾し、毛利がダイヤのネックレスを仕舞った引き出しを確認。
その後で自宅の2階に上がってみたいと申し出て、毛利は不審に思いながらもそれを許可した。でも2階から佐藤が呼び、渋々上がって行った時、上で待ち構えていた佐藤が毛利を突き落とした。
そんな事を想像もしていなかった毛利は悲鳴を上げて階段から転げ落ち、佐藤も同時に叫び声をあげて、駆け付けた近所の主婦をが救急車を手配。
毛利はそれが原因で命こそ助かったが、歩くことと喋ることが出来なくなった。
そのドタバタの最中にダイヤのネックレスと毛利の携帯電話を奪い、画像も入手・・・何食わぬ顔して毛利を病院に搬送した後、甲斐甲斐しく世話をする「良孫」を演じた。
そしてダイヤ以外の宝石の捜索を開始・・・・・・毛利から大体の職業を聞いていたので、「毛利」という名前で接触をしていたらしい。
「・・・佐藤さん・・・自分のお爺さんを突き落としたの?」
「それ、殺意があったと言う事ですか?運良くご近所の人が来てくれたから良かったものの・・・」
「隣の家のおばさんが庭にいたのを2階の窓から確認したからね。寒い時じゃなかったから窓を開けていたし、大声出せば絶対に気が付くと思ったよ」
「わざと大声出したの?!」
「どうしてそんな事を?」
「・・・自分が加害者だと思われないためだよね。自分が取り乱して大慌てすれば、毛利が自分で転げ落ちたと思われるから」
「流石専務・・・その通りだよ。
勿論病院からあれこれ聞かれたけど、俺は本当に胸元を少し押しただけ・・・爺さんの怪我に第三者の跡はなかったと思うよ」
「お前には都合のいい結果だったかもしれないけど、もしも毛利が軽傷だった場合、どうするつもりだった?」
「・・・・・・さぁね。
その時は・・・どうしたかな・・・・・・・・・」
*****************************
類には言わなかったけど、成田の特別養護老人ホームで最後に毛利さんに声をかけた時、あの人は泣いていた。
皺クチャの顔をもっとぐしゃぐしゃにして、出せない声の代わりにすごく涙を溢してた。でもこの人のせいで事件が起きたのだから・・・と、同情しちゃいけないって思いつつも可哀想で仕方なかった。
あれは懺悔の涙だったんだ・・・
勿論罪は罪だけど、娘さんを助けたくて他には考えられなかったのかもしれない。
それなのに、この人は・・・
勘違いした挙句、お宝目当てで自分の身内を・・・💢
そんなの絶対に許せない!!
気が付いたらソファーから立ち上がり、「つくし?!」って叫んだ類を無視して、そこら辺に立ってる藤本さんを突き飛ばし、佐藤さんの顔面にフルスイングビンタ!!
それがあっという間の出来事だったんで彼は避ける事もせず、自分が座ってたソファーの向こう側に転がり落ちた!
「自分のお爺ちゃんに何してんのよ!
あんた、することはもっと他にあったでしょう!?」
「・・・・・・てぇ・・・何するんだ!!」
「五月蠅い!50㎝ぐらいの高さから落ちたんだからケガもしないわよ!
そんなの階段の1番上から落ちる恐怖に比べたらどうってことないわ!!
あんたはお爺ちゃんに自ら返しに行くことを勧めるべきだった・・・警察じゃなくても花沢家に行けば良かったのよ!それなのに自分の欲のために奪い取ろうとして怪我までさせて・・・
言葉に出来ないお爺ちゃんの苦しみがあんたに判るの?!」
「知った風な口をきくな!!
大人に痛めつけられて育った俺の苦しみも痛みも知らないクセに!!」
床に転がってた佐藤さんが立ち上がり、目の前に立ってる私に両手を伸ばしてきた。
顔を真っ赤にさせて、恐ろしい目をして・・・
また殴られる、そう思った時には自分の顔を手で覆い、その場にしゃがみ込んだんだけど・・・・・・
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