うさぎの魔法使いが中年男性の所に来ました。
「も。」
「わっ!何だお前!?」
「うさぎの魔法使いでつ。」
「魔法使い? で、その魔法使いが何の用だ?」
「簡単な願いを1つかなえてあげに来まつた。」
「おう、そうか!じゃあ金をくれ。」
「そういうのはだめでつ。」
「じゃあ、家をくれ。」
「もっと簡単なものでないとだめでつ。」
「何だ役に立たないな。」
「も、ならいいでつよ、このまま帰りまつから。」
「分かった、分かった。それじゃ、宝くじでどうだ?」
「宝くじでつか。こちらで決めたものならいいでつよ。」
「そうかならそれにしてくれ。それで何枚くれる?」
「何枚でもいいでつよ。」
「じゃあ、くじ全部くれ。」
「そんなにこの部屋に入らないじゃないでつか。」
「そうか、なら部屋に入るだけくれ。」
「分かりまつた。では『宝くじ、出てくるんでつ!』」
「おお!本当に出てきた。」
「それじゃ、ぼくは帰りまつ。」
「おお、ありがとな。これだけあれば結構当たるだろ。」
「当たらないでつよ。」
「そんなことないだろ。こんなにあって少しも当たらないなんて確率的にないだろ。」
「ありまつよ。」
「何で?」
「だってそれ、もう終わったくじでつから。」
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