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君の風を20

 *R-18指定あり注意

今回のお話は性的表現が含まれる部分がございます。
18歳以上でR指定大丈夫な方のみおすすみ下さい。




 

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君の風を


◆君の風を◆ 




五十島 七瀬(いかじま ななせ)と生駒 瑠衣(いこま るい)は幼馴染で、七瀬は明るく人懐こく、誰からも好かれる性格だった。
しかし中学2年の頃、瑠衣は七瀬に告白される。

「冗談だろ?」

瑠衣は、特に深い意味も傷つけるつもりもなかった。
だけど、その言葉に傷ついた七瀬は、瑠衣を避けるようになってしまった。

そして、瑠衣は謝る機会を逃したまま、高校生となった……





*赤→R指定



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S1.

 

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君の風を19

 その後瑠衣だけでなく七瀬も無事進路が決まり、安心して三年の二学期を終えることができた。本番は年明けだが、担任の教師も大丈夫だと太鼓判を押してくれている。部活でも心置きなくテニスをし倒せた。インターハイもかなりいいところまで行った。七瀬が中学の頃からずっと続けてくれていたら優勝だって手の届くところにいただろうなと思ったりも少しはしたが、高校でのテニス部を七瀬と一緒に引退できただけでも十二分に嬉しいことだ。
 終業式を終え、大胡は他の友人と遊びに行くと言うので瑠衣は七瀬と二人で帰路についていた。大胡には「お前らも一緒に」と誘われたが七瀬が無言のまま大いに首を振って即断っており、大胡も別に気を悪くした様子もなく「そうだと思ったわ」と笑っていた。

「まあ冬休みに俺、五十島の許可なく普通にるいと遊ぶからな。必然的に五十島もついて来るだろ、どうせ」

 ついでにニヤリと言い放ってきた。
 家の近くまで来るとコンビニエンスストアに寄って肉まんと缶のホットコーヒーを買った。そして公園のベンチに座り、飲み食いする。

「つか家近いし、何ならどっちかの家で食えばよかったな。さむ」
「……食べながら公園で二人なの、俺は楽しい」
「そうか? 寒いのに?」
「肉まんもコーヒーも温かい」
「そりゃそうだけど」

 ちょっと公園へ寄ろうか。

 そう言ったのはだが瑠衣だ。ようやく今ならちゃんと話をして謝れる気がしていた。馴れ合うように中途半端な付き合いを春からずっと続けていた気がする。もちろん、避けられていた七瀬が避けるのをやめて瑠衣といてくれるようになっただけでも嬉しいが、根本的なことを無視したまま年を越えられないとずっと思っていた。だがやはりあのことが原因で七瀬は自暴自棄になっただろうし、瑠衣を避けるようになった。それを謝るためとはいえ話題にして万が一また繰り返すことになったらどうしようかとつい思ってしまい、だらだらと言えないまま今に至っている。

「……五十島」
「なに」
「ちゃんと、話が、したい。あの時のことを、俺はどうしても謝りたい」
「……俺、生駒が謝ろうとしていたこと……気づいてたよ」
「え?」

 じっと缶コーヒーを睨みつけるようにして言葉を絞り出していた瑠衣は思わず七瀬を見た。七瀬は少し切なげな、なんとも言えない表情をしている。

「謝るのは俺。……ごめん。まず、好きになって」
「な」

 何を言うんだと言いかけた瑠衣を遮るようにして七瀬は続けてきた。

「ずっと大切だった。なのに嫌な思いをさせてしまった。それなのに生駒はその後謝ろうとしてくれていた。でも俺……改めて謝られると同時に面と向かって振られることが、怖くて……嫌で……情けないだろ。だから、ずっとお前を避けてた。好きだと告げた時に見せたお前の反応に傷ついたんじゃない。だから謝らなくていい」
「……五十島」
「その後お前に彼女ができて……俺、もう立ち直れないかと思った。自暴自棄になったのは俺の弱さだ。そのせいでお前はさらに罪悪感を抱えてたかもしれないのに。だから謝るなら俺だ。その上、お前が好きだという気持ちをなくすこと、今に至るまで少しもできなかった。今も大好きだ……。大好きすぎて、あの風呂場の時以来なし崩し的にずっとお前に触れてきた。罪悪感抱えたお前が拒否できないのをいいことに。俺こそ謝ることしかしてない」
「そっ、れは違う」

 違う。罪悪感で拒否できなかったんじゃない。自分でもいまいちわかっていなくとも、それだけは違うとだけは断言できる。
 慌てて否定すると七瀬は少し嬉しそうに笑みを見せてきた。

「あと、打算的な気持ちもあった。俺、性格悪いから」
「……大胡への態度を見てるとまぁ、性格悪い、は否定してやれないかも、だな。でも打算的って?」
「うん。……打算的なのは、罪悪感だけじゃなくて、もしかしたら俺にも多少、勝算あるんじゃないかなって、思えて」
「勝算?」
「……まあ、今のところ少し見いだせた勝算、全然進歩なさそうだけど」

 勝算?

 瑠衣が戸惑っていると七瀬が続けてきた。

「大好きだよ、お前が。多分これからもずっと。またお前に彼女ができたりして傷ついたりしても、大好きな気持ちはなくならない。だからあえて謝る代わりに言っておく。好きだ。振り向いてくれなくても、俺はお前がこれからもずっと好きだ」

 何でそんなに、と瑠衣は鼻の奥がツンとした。

 こいつ……俺のこと好きすぎじゃないか。

 ただ、ふと今までの自分もひたすら七瀬のことばかり意識していたことを改めて実感した。ずっと無意識ですら、いつも七瀬を目で追っていた。学校の廊下でも部活中でも。謝らなきゃと思っているからだと自分ではずっと思ってきたが、もしかしてまさか、自分にもそういった感情がどこかにあったのだろうか。だからこそ、風呂場でのことがあったその後も触れてくる七瀬を拒否できずにいたのだろうか。女子に告白されても受け入れる気になれなかったのだろうか。

 まさか?
 いや、でも?

 自分の中でそう思うと、おかしなもので「好き」という気持ちを明確に自覚できていないというのに、瑠衣は今すぐ瑠衣を抱きしめたくて仕方がなくなった。

 ぎゅっと抱きしめて、そして、そうだ、キスも、したい。それに今したらなんかわかる気がする。

 感情を理解したり実感するのがピンとこなくても、したいと思うことならすぐに浮かんだ。
 だからそうした。
 顔を離すと少しぽかんとした七瀬が見えた。その鼻先にちらほらと白い柔らかそうなものが見えた。

 雪だ。

 辺りを見ようとした瑠衣に、今度は七瀬からキスをしてきた。











前にもどこかで書いた気がするけど、好きだと自覚するの難しいと思うんですよね。
多分好きかも、とか好意を感じているのはわかってもそれが本当にそういう好きで間違いないのかとか。









2021/08/06



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君の風を18

 七瀬が瑠衣から逃げなくなったのは、あの風呂場での出来事以降、瑠衣の反応を見ていると勝算は少なからずともないわけではないと思えたからだ。自分でも情けないと思うが、仕方がない。それほど好きなので瑠衣が謝ってきた後に改めて振ってくるのではと思うと本当に怖かった。なので逆に多少でも可能性を見いだせるのならグイグイ行く。
 瑠衣は嫌がっているのか単に困惑しているのか少々わかりにくいが、本気で嫌悪するならさすがに七瀬にも伝わる。だから家にもちょくちょく連れ込んだ。そして隙あらばたくさん触れた。今までずっと避けていた分を取り戻すかのように触れた。
 苦しいほど好きなのと瑠衣相手なら勃起するのだという事実の嬉しさに、本当は最後までしたくて仕方がない。だがさすがに瑠衣の気持ちがない状態でそんなことはできない。
 ちなみに勝算が多少なりともあると思ってからは絡んでくる女子を追い払うようになった。

「何で? 今まで大抵なんでも好きにさせてくれてたでしょ。付き合ってくれなくてもそれだけでもよかったのに」
「駄目だ」
「だから何で」
「……片思いの相手に向き合いたいから」

 渋々正直に言えば大抵引いてくれた。それでも文句を言ってくる相手にもそれ以上はもう黙っているとようやく諦めてくれた。絡まれても拒否せず放置し、大抵無視していたのは悪いとは思うが、受け入れたことは全くないので正直そこまで悪いことをしたなとは思わない。それを自分勝手だと言うなら言えばいいと思っていたが、今のところ恨まれたりはしていないようだ。
 瑠衣が誘ってくれたので、中途半端な時期ではあるがテニス部にも入部した。大胡がちょくちょく絡んでくるが基本無視している。あまり無視すると瑠衣が困った顔をするので時折大胡には「敵意しかない」「話しかけるな」などと一応かろうじて言葉は発している。
 大胡に恨みはないし嫌いではない。少々煩いやつだとは思うが性格はいいとも思う。だが昔からずっと瑠衣と一緒にいるし、瑠衣も下手をすれば大胡が一番仲がいいと思っているかもしれない。だから敵意しかない。昔から名前で呼んだことはないし今も「あいつ」か「あれ」としか言ったことがない。ついでに高校から瑠衣と親しくなったらしいテニス部副主将の碧はずっと仲のいい彼女がいるみたいだし特に脅威は感じないので今のところ何とも思っていない。
 その大胡からはこの間「五十島はるいにだけ、最近表情柔らかくなったよな」と言われた。それは当然だし仕方のないことだしそんなことはどうでもよかった。それよりも大胡がずっと昔から「るい」と呼び続けていることがまた気に食わなくて敵意を向けておいた。七瀬も昔は瑠衣と呼んでいたし今もできればそう呼びたい。だが「七瀬」と呼んでくれていた瑠衣が今は「五十島」と呼んでくるせいでやはり怖いというか嫌な顔をされたりしたらなどと思ってしまい、七瀬も「生駒」としか呼べない。
 せめて少しでも昔に戻れるよう、そして受け入れてもらえるよう、七瀬は髪を脱色してから染めるのを止めたし、ピアスも大人しいものをするようにした。授業だって真面目に受けるようになったし勉強もちゃんとするようになった。同じ高校に行くのは余裕だったが同じ大学はもしかしたら余裕ではないかもしれない。そう思うと勉強にも熱が入った。
 これは瑠衣が教えてくれるのもあって棚ぼたでもあった。勉強のために部屋に来てくれる瑠衣に、触れることもできる。
 瑠衣は本当は嫌なのだとしても、少なくとも拒否は全くしてこなかった。むしろまるで受け入れてくれるかのようで、ただでさえたくさん欲望を堪えながら触れている七瀬はますます苦しい。だが触れるどころかずっと避けていたことを思えばほんの少しでも触れられる今は天国かもしれない。おまけに拒否せずとも何とか抗おうとはしている瑠衣にたまらなくそそられる。涙目になられたりするとそれだけで射精したくなった。
 欲望の塊みたいだが、根本は大好きだからだ。好きで好きで仕方がない。どうしようもなく好きだ。小さな頃から気づけば好きだったが、その気持ちは避けるようになってからも衰えることなどない。こうして触れられるようになった今はもっとさらに好きになったかもしれない。
 そんなある日、瑠衣が七瀬を商店街で見かけたと言う。それも、もしかしたら一緒にいた利恵に対してとても気にしてくれているような気もする。
 利恵と商店街には確かにいた。瑠衣にどうしても贈り物がしたくて、利恵に付き合ってもらっていた。瑠衣の話は前からしていたので利恵は「そういうことなら喜んで! 生駒くん、誕生日なの?」と嬉しそうに付き合ってくれていた。

「誕生日じゃないけど、また話せたりできるようになって嬉しいから」
「あんたがそんなクッソ可愛いとこ見せてきたの初めてかも」
「俺は利恵が可愛いとこ今のところまだ見てないな、そういえば」
「付き合ってあげないよ?」
「実はずっと可愛いなって思ってた」
「よし。うーん、女の子にならアクセとかでもいいと思うけど、男の子だし……その子って真面目なんだよね? じゃああまりアクセ付けないだろうねえ」

 そんな感じで結局キーホルダーにした。それを渡せてホクホクしていたら「こういうのは彼女とか好きな相手にしてやれ」と言われた。当然、好きな相手にしているので「うん」と頷いていると利恵のことを聞いてきたのだ。
 昔ナンパされて童貞を奪われたが、それ以降一切そういったことはしていないし今では単に姉のような存在だと伝えた。プレゼントを選ぶのを手伝ってもらったとは言いにくいので、実際進路を決めたことを話してもいたため、自暴自棄気味な七瀬を心配してくれていたので進路を決めたことを報告していたと瑠衣には告げた。すると瑠衣は納得しつつも複雑そうな顔をしてきた。
 それはもしかしたら嫉妬ではないのだろうか。勝手にそう思いたいだけかもしれないが、七瀬は何だか嬉しくなった。











反面ファンタジーの話は一つが長いのでたくさんの話をストックというわけにもいかないです。
ほんといつも長くなる。









2021/07/29



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君の風を17

 久しぶりに部活のない休日、瑠衣は買い物をしに駅前の商店街に来ていた。地元商店街と言っても侮れない。老舗といった風情の日本茶の店や呉服店、昔ながらの精肉店や鮮魚店、青果店以外にもアジア風の雑貨店や手頃な値段ながらに今風のファッションを楽しめるアパレルショップなどもある。瑠衣は興味ないものの、七瀬が好みそうなシルバーアクセサリーを置いている店もあるのでもしかしたら七瀬はいつもそこで買っているのかもしれない。他にも気軽に食べ歩きのできるB級グルメ的なホットスナックを店頭に置いている店や中々に人気のある甘味処もあったりする。そのため休日はそれなりの賑わいを見せている。
 とりあえず買いたいものを買った後、ついでにその辺をぶらついていると少し向こうに七瀬がこちらへ向かって歩いているのを見つけた。離れている時は他の人たちで隠れているのもあって七瀬一人かと思ったが、どうやら瑠衣の知らない女性と一緒のようだと少しして気づいた。
 思わず隠れていた。隠れる必要など全くないというのに、体が勝手に動いていたというのだろうか。
 近づいてきていた七瀬とその女性を「俺は何をしているんだ」と自分に呆れながらもそっと窺う。女性はそれなりに年上の大人だった。綺麗な顔で小柄だがスラリとしている。おまけに驚いたことに七瀬が穏やかそうな表情をしているだけでなく、時折少し笑ったりしていた。
 今は女子と一緒にいることが基本ないものの、少し前までの七瀬は女子といてもいつも無表情だった。昔は明るかったのに、多分瑠衣のせいでそうなったのだと思うと申し訳なさすらあった。それに瑠衣と一緒の時も今の七瀬は基本的にあまり表情に出さない。それもあって余計に、七瀬の部屋であんなことをされていてもろくすっぽ抵抗もできなかったりする。その時の七瀬はほんのり嬉しそうな表情を見せてくれるからだ。
 だというのに、瑠衣の見知らぬ女性と一緒にいる七瀬は穏やかそうだった。ほんの少しではあるものの笑みまで見せていた。
 傷ついている自分を瑠衣は感じた。自分が理不尽でしかないのはわかっている。だが勝手に心が傷ついてくるのをどうすることもできない。
 瑠衣に気づいていない七瀬はそのまま女性とカフェへ入って行った。瑠衣はといえば、沈んだ気持ちのまま家に帰るしかなかった。
 夕方、七瀬から『今会える?』と連絡が来ていた。つい「あの女の人と会ってたくせにこいつ何考えてんだ」などと思ってしまう。別に会うイコール抜き合う、というわけではないが七瀬の部屋に連れ込まれたら大抵いつもされているせいでつい直結してしまう。
 ふざけんなと返そうとして、だがかろうじて思いとどまれた。七瀬は別に「しよう」と言ってきたわけではないし、女性と会っていようがどうしようが瑠衣と会うことに何らおかしいことなどない。だってただの幼馴染だ。
 ため息をつきながら瑠衣は『大丈夫』と返した。すると見張っていたのかと言いたくなるくらい即既読がついて『じゃあ俺の家来て』と返信がある。またつい「抜き合う」ことが直結しそうになり『お前が俺のとこ来い』と打ち返していた。即『わかった』と返信があり、待機でもしていたのかと思うくらい大した時間もかからずに七瀬はやって来た。
「お前、俺の部屋では絶対その、あーゆーこと、するなよ」
「あーゆーこと?」
 惚けている様子もなく、七瀬は本当にわからないといった表情で首を傾げてくる。瑠衣は顔が少し熱くなるのがわかった。言うんじゃなかったと思いつつ引けなくて「ぬ、抜いたりするやつ」と顔を逸らしながら答える。
「ああ……わかった、けど、だったらそういう顔しないで」
「そういうって、どんな顔を言ってるんだよ」
「赤くなってすごく困ったような顔?」
「困ったんだから仕方ないだろ。あと普通に恥ずかしかったんだよ」
 つい正直に答えると「そういうとこも。もっと困らせたくなるし恥ずかしいと思わせたくなる」などと言われた。
「……お前、やっぱり仕返し的な……?」
「え?」
「い、いや、何でもない」
 先ほど女性と一緒だった時に感じたショックがぶり返してきた。
「どうしたんだ生駒」
「何でもないよ」
「……本当に?」
「ああ」
「……ならいいけど……。……あ、そうだ。会いたかったのはこれ、渡したかったから」
 渡したかった、と七瀬は小さな紙袋を差し出してきた。何だろうとつい受け取ると「開けて」と促される。言われた通り開けると中にはシルバーのテニスのラケットの形をしたものと小さなボールが一緒に繋がれたキーホルダーが入っていた。
「な、にこれ」
「やる」
「え、いやだって、何で」
「テニス部、誘ってくれたから?」
「何で疑問形なんだよ」
 呆れた後に瑠衣は思わず少し笑った。傷ついたはずが、今は軽くなっている。なので気持ちも寛大になり、先ほどの女性を浮かべながら「つか、こういうのは彼女とか好きな相手にしてやれよ」などと言っていた。
「うん」
 七瀬はただ頷いてくる。どういう意味で頷いたのかよくわからず、瑠衣は「さっき実は五十島が大人の女性と歩いているの見かけたんだけど」とつい切り出していた。
「ああ、うん」
「あの人にあげたりとか、さ」
「? 何で」
「いやだって」
 彼女だろと言いかけてとどまった。別に彼女だと聞いたわけではない。瑠衣は思い切ってそのまま聞いてみることにした。
「えっと、さっきの人ってどういう人、だろうか?」











この話更新した時点で、現代BLのほうはpixivだけに先に更新した分除いてもすでに二つの話が更新待ち状態で。
どちらも20話の話で気軽なやつですね。









2021/07/27



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