387: 名無しさん@HOME 2008/10/24(金) 21:29:39

トメさんを施設に入れてきた。 
「妻を施設に入れるなんて!俺も施設に入れる気か鬼嫁!」とわめくウトに 
「安心してください、ウトさんのために施設手配なんてしません。介護もしないけど」 
と、にこやかに言って帰ってきた。 
良トメさんが病に倒れ不自由な体になった時、空気だったウトは「妻の面倒は俺が見る」と定年前退職。 
そりゃ感動したさ。だから、慣れるまでの手伝いに隔日で通ったんだ。 
ウトはトメの身のまわりは献身的にやってた。食事介助も着替えも私にはさせなかった。 
ただそれだけ。料理も掃除も洗濯も丸投げしてきた。 
毎日来られるわけじゃないからと教えようとしても、トメさんを見るからと逃げる。 
それはまだいいが、介護自体が優しいぎゃくたいの見本だった。 
左手が動くトメさんが自力で食事しようとしても「無理するな」とスプーン取り上げて口に運ぶ。 
汁物をトメさんが持ちやすいカップにしても「不自由な体で不憫だ」と持たせない。 
歩行介助があれば自力トイレできるトメさんが、夜中にウトを起こすのが気の毒と這ってトイレ行こうとして粗そう。 
それから、ウトは昼間でもトメさんにオムツあてるようになった。 
発音不明瞭なトメさんの会話補助に作った文字版は、トメさんの手の届かないところにしまわれ、ウトが会話したい時しか登場しない。 
夫に疑問を呈しても「まだ慣れないから、様子見ながらアドバイスしよう」と。 
ウトメ、夫、私、夫弟でウトメ結婚記念の食事をした時、トメさんも団欒参加したいだろうと何気無く文字版を置いた。 
「りはびりしたい、ろうじんほーむにいきたい、あたままでぼけたくない、わたしはまだうごける」 
トメさんの綴る文章に全員絶句した。 
ウトは「妻は俺に気を使ってるんだ、世話させるのが悪いと思ってるだけだ、本心は家にいたいに決まっている」と主張。 
苦労を否定されたようなものだから無理もないと言葉を選びながら説得しているうちにウトから出た言葉は 
「介護するためと会社辞めてきたのに結局施設なんて、みっともなくてできるか!絶対認めん!」 
聞いた瞬間、トメさんの瞳から生気が消えた。 
結局、見栄でやろうとしていただけか。トメに直接拝まれる身の周りの世話に熱心で、観客のいない家事やらないのはそれか。 
当分、ウトの顏も見たくない。