同業者で発達障害者(?)である旭川のA氏とは昨年11月に
発達障害支援センターの紹介で出会った。
私は彼の誠実な人となりに感心し、彼もまた私の悩みに
同調してくれてたちまち意気投合した。
A氏は私より10歳ほど年上の男性。
11月に知り合って以降、毎月開催される発達障害支援センター
当事者会終了後は2人で居残り雑談なんかをした。
そして2度ほど、当事者会の帰りに、勧められて
彼の自宅に立ち寄ったが、
彼の奥さんもとても頭が良く優しい人柄。
私の話を傾聴して聞いてくれたし、とても話が分かる人たちだ。
たちまちA氏夫妻のことが好きになった。
この人たちは信頼できる。
GW、
A氏夫妻は私の住む北見市に遊びに来たついでに
私の自宅に立ち寄った。
他愛ない雑談なんかをしていたが・・
思いがけぬことに宗教の話になった。
A氏曰く、
人生には宗教や哲学が必要だ。
それがないのは羅針盤を持たずに
海を航海するようなものだ。
という。
なるほどなーと思い彼らの話を聞く。
彼らは創◯学会の信者だという。
大白蓮華という冊子を手渡され、
そしてA氏夫妻を見送った。
さて、GW終盤の5/6日、唐突に
A氏から電話がかかってきた。
なんでも5/11日に創◯学会の衛星中継をやるので
旭川に来ないか?
ということで誘われた。
うーん
私は創◯学会の会員になるつもりもないし
よくわからん衛星中継などまったく興味はないが・・
A氏と会っていろいろと話がしたい。
その気持ちが募り、誘いをOKした。
しかし・・
5/10に帯広にあるM病院へ通院し、夜は
発達障害ミーティング。
ホテルに一泊したが、相当疲れた。
5/10は朝からいつも以上に疲労感があり、
通院だけでも150Kmの道のりだ。
車の運転にも疲れた。
ミーティングが終わった後温泉に浸かり、あとは
ホテルでバタンキュー。
そのまま朝を迎えた。
朝になってもやっぱり疲労感が残っているので、
旭川には行かないことにした。
帯広から旭川までは160Kmもある。
そこから北見に帰るとなるとまた160Km。
かなり辛い。
A氏に誘いを断ろうと電話したが・・
A氏の中ではもう私が旭川に行くというのが
決定していた。
「会えるのを楽しみにしています!」
と。
仕方がない。約束だし行くことにしよう。
狩勝峠を上り、高所にある南富良野町を
経て、さらに山を下る。
目の前に芦別岳が見えてきた。
(あー富良野だなぁ・・)
せめて大好きな富良野の景色を
楽しみながら北上する。
やっと旭川についたー!
場所は創◯学会の会館。
A氏夫妻が出迎えてくれた。
会館に入場すると、受付(?)の人たちが
私に向かって
「おめでとうございます!」
と声をかけてきた。
(いったい何がおめでたいのか・・?)
疑問に思いながら、夫妻とともに会場へ。
たくさんのイスには大勢の会員が着席している。
正面には巨大な仏壇と巨大スクリーンが。
いったいなんの衛星中継なのか・・?
夫妻とともに空いている席に座る。
もう中継は始まっているようだ。
スクリーンには、笑顔で溌溂と合唱する
子どもたちが。
その合唱に合わせて、肩を揺らしてリズムをとる
会場の人たち。
ドルビーサウンドなのかものすごく
音量が大きい。
なんか・・
度肝を抜かれる光景だ。
私の両隣を見ると、A氏夫妻もリズムを
とっている。
というかリズムとってないの会場で私だけだ。
唖然としながら中継を観る。
合唱が20分ほど続いたところで、次は
BOROという歌手(?)がヒットソングの
「大阪で生まれた女」
を熱唱し始めた。
歌い終わった後は、BOROのトークタイム。
私が芸能界で成功したのも創◯学会のおかげで、
信心はいかに素晴らしいものかを熱心に語る。
ときおりジョークを交えるので、会場にドッと
笑いの渦が沸き起こる。
笑っていないのは、たぶん私だけだ。
BOROのトークタイムの次は、創◯学会のボス(?)
のトークタイム。
スクリーン内の若者に対して何かを説いている
ようだ。
「はい!」
「はい!」
と、ボスの教えに対してハキハキと笑顔で
返事をする若者。
あー・・
なんか将軍様の世界かも・・?
と考えていたら、疲労もありウトウトと
20分ほど寝てしまった。
目が覚め、どうやら中継は終わろうとしている
ようだ。
ラストにまた合唱が始まった。
まるで紅白歌合戦のエンディングの
ようだ。
会場の人たちもそれに合わせて歌う。
A氏夫妻も。
歌っていないのはたぶん私だけ。
そんなこんなで1時間ほどの衛星中継は
終了した。
衛星中継終了後、会場の司会から
「本日、新たに入会される人を発表します!」
とのアナウンス。
「〇〇さん11歳です!」
と、お父さんとともに前に出てアイサツを
していた。
パチパチパチパチと会場。
(これって自分の意思なのかなぁ・・?)
そういうわけで衛星中継、内容がさっぱりくよくわからなかった。
下らないバラエティを見せられたような気分だ。
A氏はこんなものを見せるためにわざわざ
旭川まで呼びつけたのだろうか・・?
衛星中継が終わり、A氏が少し話がしたいというので
それに付き合おうとした。
帰りが遅くなるが、私としてもA氏と話がしたい。
「相談室」
という部屋が良いだろうとのことで、招かれる。
すると・・
部屋には知らない男性が。
「やあどうも」
と、フレンドリーに握手を交わしてきた。
予想外に謎の男性との面談。
その男性の話を要約すると
・現世で幸せになるために教えを説くのは創◯学会だけ。
・幸せになるためには、創◯学会に入会したほうが良い。じゃないと不幸になる。
・私も実は鬱になったことがあったが1年で回復した。創◯学会のおかげだ。
そんな感じでいかに創◯学会が素晴らしいものかを
饒舌に私に説く。
私を信頼させようと彼は、うつ病などになった経験や
苦労話を話す。
私としても、親近感を覚えついうっかり
発達障害をカミングアウトしてしまった。
意気投合したと見えたその時・・
A氏が
「入会希望カード」
なるものを私に手渡す。
男性「なーに。入会とかそんな堅苦しいものじゃないんだよ。
ただここにちょっと名前を書いてもらうだけでいいんだ。これは
どこに提出するわけでもなく、A氏が仏壇に飾るだけだ。」
などと、署名を迫ってきた。
A氏夫妻、男性に圧倒され、
カードに署名する私。
それをA氏がバッグにしまう。
(ちょっとまずかったか・・・?)
流されやすい私は、つい署名してしまったが、
創◯学会に入会するつもりなど毛頭ない。
署名は失敗なので撤回したい。
私はそんなことを考え始めた。
お構いなしに話を続ける男性。
男性「実はね」
男性「私も発達障害かもしれないんだよ。出来ないこともあるし。
うつ病にもなった。しかし信心のおかげで乗り越えてきたんだ」
カチンときた。
(あ・・・?)
知りもしないのに軽々しく発達障害を口にするな。
どれほどの発達障害者が命を絶っているか。
どれほどの生きにくさか。
私の信頼を得たいがための発言かもしれないが、
私は一気にこの男性が嫌いになった。
時計に目をやるともう1時間も面談している。
私はA氏と話がしたかっただけなのに、なんで
こんな知らないオッサンと会話しているんだ?
これから北見までさらに160Kmの道のりを
走らなきゃならないんだぞ?
A氏夫妻も、私を入会させたいがために
信用させ、近づいたのだろうか?
そんな勧誘ノルマ厳しいの?
謎の男性は明らかに嫌いだが、A氏夫妻にも
不信感が芽生えてきた。
「もう時間なので」
と、男性の話を切り上げ帰ることにした。
男性、私の車をみて、
「いい車乗ってるね!さすが!」
などとわけのわからないことを
褒めたたえられ、
「次に会えることを楽しみにしているよ!」
と、終始フレンドリーな態度で
再度握手を交わし別れた。
もうお会いすることはない。
A氏とは面談後トイレで、
「さっきの入会希望カード、もう一度見せてもらえますか?」
とやんわりと伝え、
A氏からカードを受け取ると
「これは私が持っています」
とポケットにしまった。
→その夜シュレッダーにかけた。
そしてA氏の奥さんからは、
「お土産です」
と高級そうな食パンを受け取った。
どことなく表情が冷たく感じた。
そんなこんなでA氏夫妻に見送られ、
旭川を後にした。
なんだかなー
A氏、本当に発達障害者なんだろうか?
会員を募集するために私に近づいたのだろうか?
だとしたら本当に残念なことだ。
プライベートで友達が出来そうな感じ
だったのに。
それとも本当に私を苦から救い出したいから
入会を勧めている?
よくわからない。
ただ、私が創◯学会に入会することは
絶対にない。
なんというか、宗教に興味がないのだ。
自分を救えるのは、最終的には自分の力しかない。