ー前略ー
6月16日、台湾メディア『三立新聞ネット』にこんな見出しが躍った。報道によると、在広州日本国総領事館から、広東省と福建省など
中国華南地区の主要旅行会社でつくる団体に対し、「旅行会社11社の訪日観光ビザ申請手続き権を取り消す」旨の通知が届いたという。
流出した通知書面の写真には、11社の社名が記載されており、これに対して中国のある旅行会社は事実と認めたが、
具体的な理由については不明としている。
このビザ発給停止措置について、中華圏に詳しいジャーナリスト・角脇久志氏が解説する。
「中国では観光ビザを含め、日本へのビザは旅行会社を通じて申請しなければなりません。ただ、尖閣諸島をめぐる両国の
衝突などの緊急事態には、中国政府が旅行会社に圧力をかけ、日本のビザの代理申請業務を停止させたりします。
今回、旅行会社11社はそのビザ代理申請の権利を、在広州日本国総領事館から停止されたということ。停止された会社を見ると、
中国最大の旅行予約サイトの携程(Ctrip)、中国青年旅行社、春秋航空など、大手旅行会社やエアラインの関連会社が含まれています。
現段階で実際にビザ発給権停止の影響がどれだけあるかわかりませんが、大手が停止されることのインパクトは
大きいのではないでしょうか」
では、なぜこのような強硬措置がとられたのか。その背景に浮かび上がるのは、靖国神社に落書きして日本中を憤慨させた
“あの男”の存在だという――。
ー中略ー
台湾メディアの報道では、今回のビザ発給権停止と、靖国神社落書き男との間に因果関係があると明言はしていませんが、
示唆は露骨です。もし、ビザを取った中国人が日本で事件や問題を起こした場合、ビザ申請を受けた旅行会社も、
連帯責任で大きなペナルティを科される取り決めになっています。そのため、タイミング的にも靖国神社の事件の影響があると、
中国の旅行会社側も認識しているようです。かりにビザ発給が再開されたとしても、短期の旅行ビザについて、今後はより厳しい条件
が課されるのではないかとも見られています」(角脇氏)
ビザ取り消し報道については中国でも報道されているが、中国版Xの「微博(ウェイボー)」ではおおむね納得という反応が
大勢を占めている。
《この犯人は世界中から歓迎されないね》
《さらに10人を送り込んで放尿させたら、ビザの規制はさらに上がるだろう》
靖国事件直後の6月3日、中国外交部が開いた定例会見で、記者にこの行為について質問された報道官は、
「中国国民は、外国に行ったら当地の法律や規則を遵守し、理性的な態度を求める」と声明を出している。
今回のビザ発給権停止について、中国政府はコメントこそ出していないが、国のメンツをつぶす行為は、
さすがにかばいようがないようだ。
今回の問題を引き起こした『鉄頭』は現在、ウェイボーをはじめ、すべてのSNSを凍結されている。
しかし6月16日、鉄頭の仲間と見られるアカウントが、ウェイボー運営会社の北京本社に、アカウント復活のため抗議に行く鉄頭の
動画をウェイボーに投稿。また、17日には別のアカウントにより、中国に戻ってきた鉄頭を英雄として迎える仲間たちが、
彼に花束を渡すシーンが投稿されている。
これらの投稿のコメント欄には、同じ中国人からも、批判的なリプが多く寄せられている。
《こんな輩をまだ多くの人が支持しているなんて、悲惨な時代だなあ》
《もしウェイボーの会社が彼のアカウントの凍結解除しなければ、こいつはまたウェイボーの会社の門に小便をするだろう》
《こいつは反日愛国なのになぜ、HONDAの服を着ているんだ?》
《もし小便をしただけでヒーローになれるなら、社会は大混乱になるだろうよ》
愛国を隠れ蓑にした迷惑行為の余波は、しばらく収まりそうにない。
FLASH 6/20(木) 6:00配信
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