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都市伝説 No233 わたしの あたまが きてるよ うしろ みないでね

近所にある薄汚れてボロボロの廃墟。地元の人間でも近づかないこの場所に友人と肝試しに行かなければ、あんな恐ろしい目に合わなくてすんだのに――。  

俺が住んでいた町に廃墟があった。
2階建てのアパートみたいな建物で、
壁がコンクリートでできていた。

ガラスがほとんど割れていて、
壁も汚れてボロボロだったから、
地元の人間でも、あまりこの場所に近づくことはなかったらしい。

ある日俺は、友人と肝試しをすることになって、
この廃墟に行くことにした。
まだ昼ぐらいだったから、
建物の2階まで上がって建物を探索した。

そしたら並んでいる扉のひとつに、
文字が書いてあるものがあった。
友人と近づいて確認してみると、扉の前に

「わたしは このさきの へやに いるよ」

と書いてあった。
俺と友人は扉を開けて中に入り、先に進むことにした。

歩いて行くと分かれ道に突き当たって 、壁に

「わたしは ひだり に いるよ」

と書いてあった。
少し怖くなったけれど、
俺と友人はそのまま左に進むことにした。
すると両側に部屋があるところに突き当たって、壁に

「あたまは ひだり からだは みぎ」

と書いてあった。
友人はこれを見た瞬間に、
半狂乱になって逃げだした。

でも俺はその場所にとどまって、
勇気を出して右の部屋に行くことにした。
部屋に入り進んでいくと、突き当たりの壁に

「わたしの からだは このしたにいるよ」

と書いてあった。下を見ると

「ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ うしろ みないでね」

俺は急いで、その部屋の窓から飛び降りて逃げた。
それからはもう、その場所には近づいていない。